技術図書館深夜電力機器は専用で引いて共用は式で引込線の取付点から引込口装置までは他の回路と混ぜない。一般負荷と共用するときは直率を掛けて足すこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【096】深夜電力機器の施設
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

深夜電力機器は、夜間の割安な電力を活用するための設備で、主に蓄熱式の温水器や暖房機器に使われます。夜間電力を有効に使う一方、配線方法や接地、漏電対策などに特有の基準が定められています。ここでは深夜電力機器の施設基準と安全対策を整理します。

深夜電力機器の施設基準を3つのポイント(専用回路での引込・共用許容電流の計算・D種接地と漏電遮断器)で整理した図解

結論

深夜電力機器は、引込線取付点から引込口装置までを専用回路で構成します。一般負荷と共用する場合の許容電流I = Ia + 0.7 × Ibで算出します。金属製外箱にはD種接地工事を行い、水気のある場所では漏電遮断器の設置が必須です。

図解:深夜電力機器の施設ポイント
① 専用回路
引込線取付点 → 引込口装置
他回路と混用しない
② 容量計算
一般負荷と共用時
I = Ia + 0.7 × Ib
③ 安全対策
金属製外箱にD種接地
水気のある場所は漏電遮断器必須
この記事でわかること
対地電圧と専用回路
✔ 電線・配線の基準
✔ 接地・漏電・絶縁対策
ペン太ペン太
深夜電力の温水器って、普通の回路から分岐して取っちゃダメなんですか?
ハリタハリタ
ダメです。引込線取付点から引込口装置までは専用回路とし、他の回路と混用できません。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 一般負荷と深夜電力負荷を共用するとき、許容電流はどう計算するか
  • 分岐回路を共用できるのは、何A以下で保護される回路か
  • 漏電遮断器が必須になるのは、どんな場所・条件のときか
この記事でわかること
計算式を確認したい方は、1つ目の項をご覧ください。

対地電圧と専用回路

トピック1:対地電圧と専用回路
  • 供給電路の対地電圧は内線規程「1300-1(屋内電路の対地電圧の制限)」に基づいて制限します。
  • 引込線の取付点から引込口装置までの配線は他回路と混用せず、専用回路で構成することが必須です(1370-5に準拠)。
  • 一般負荷と深夜電力負荷を共用する場合の許容電流はI = Ia + 0.7 × Ibで算出します(Iは共用部分の負荷電流、Iaは深夜電力負荷、Ibは一般負荷)。
  • 「0.7」は電灯負荷の直率で、電力負荷では「0.2」が標準です。使用実態によっては「1.0」とする場合もあります。
ペン太ペン太
一般負荷と共用するときの電流は単純に足せばいいんですよね?
ハリタハリタ
I=Ia+0.7×Ibで計算します。0.7は電灯負荷の値で、使用実態により変わる係数です。
負荷の種類直率の値
電灯負荷0.7
電力負荷0.2(標準)
使用実態による場合1.0とすることもある
ここまでのポイント
  • 供給電路の対地電圧は「1300-1(屋内電路の対地電圧の制限)」に基づいて制限する
  • 引込線の取付点から引込口装置までの配線は他回路と混用せず、専用回路で構成する(1370-5に準拠)
  • 一般負荷と深夜電力負荷を共用する場合の許容電流は I=Ia+0.7×Ib で算出する
  • Iは共用部分の負荷電流、Iaは深夜電力負荷、Ibは一般負荷
  • 「0.7」は電灯負荷の直率で、電力負荷では「0.2」が標準。使用実態によっては「1.0」とする場合もある

電線・配線の基準

トピック2:電線・配線の基準
  • 電線の太さは「3605-5(分岐回路の電線太さ)」に準拠し、負荷に応じて選定します。
  • 原則として各深夜電力機器ごとに専用分岐回路を設けますが、20A以下で保護される回路では共用が可能です。
  • 配線方法は金属管配線・合成樹脂管配線・金属製可とう電線管配線・ケーブル配線のいずれかに限られます。
  • 配線の途中に開閉器やコンセント等を設けることは原則禁止です。
取り違えやすいところ正しくは
共用部分の電流は単純に足せばよいI=Ia+0.7×Ib で計算する(電力負荷は0.2)
分岐回路は必ず機器ごとに専用にする20A以下で保護される回路では共用できる
配線方法は自由に選べる金属管・合成樹脂管・金属製可とう電線管・ケーブル配線に限られる
配線の途中にコンセントを設けてよい原則禁止
金属製外箱の接地はどんな場合も必要乾燥した床上で使用する場合などは除外される
ここまでのポイント
  • 電線の太さは「3605-5(分岐回路の電線太さ)」に準拠し、負荷に応じて選定する
  • 原則として各深夜電力機器ごとに専用分岐回路を設ける
  • 20A以下で保護される回路では共用が可能
  • 配線方法は金属管配線・合成樹脂管配線・金属製可とう電線管配線・ケーブル配線のいずれかに限られる
  • 配線の途中に開閉器やコンセント等を設けることは原則禁止

接地・漏電・絶縁対策

トピック3:接地・漏電・絶縁対策
  • 金属製外箱には感電防止のためD種接地工事を行います(乾燥した床上で使用する場合などは除外)。
  • 感電防止のため高感度・高速形の漏電遮断器を設置し、浴室や水気のある場所、対地電圧150Vを超える機器では必須です。
  • 貯蔵式電気温水器を水気のある場所に設置する際は、給湯管および給水管に0.5m以上の絶縁管を取り付けることが望ましいとされています。

たとえ話でイメージ

深夜電力機器の配線は、夜間専用の高速レーンのようなもの。他の交通(一般回路)と混ぜず専用レーンを確保し、合流するときは決まった計算式で容量を見積もる。専用回路と正しい容量計算が安全運用のカギです。

見習いペン太
見習いペン太
深夜電力機器って、専用の配線が必要なんですか?
はりた
はりた
そうだよ。引込線の取付点から引込口装置までは専用回路で組むのが必須なんだ。
見習いペン太
見習いペン太
一般の負荷と一緒に使うときの容量はどう考えるんですか?
はりた
はりた
I = Ia + 0.7 × Ib で計算するよ。直率の0.7は使い方次第で変わるから、実態を見て設計するのが大事だね。
深夜電力機器の専用回路・容量計算・安全対策を示した図
深夜電力機器は引込線の取付点から引込口装置までを他の回路と混用しない専用回路で構成する。原則として機器ごとに専用分岐回路を設けるが、20A以下で保護される回路は共用できる。一般負荷と共用する場合の許容電流は I=Ia+0.7×Ib で算出し(0.7は電灯負荷の需要率、電力負荷では0.2が標準)、金属製外箱にはD種接地工事を施す。浴室や水気のある場所、対地電圧150Vを超える機器では高感度・高速形の漏電遮断器が必須。
ここまでのポイント
  • 金属製外箱には感電防止のためD種接地工事を行う(乾燥した床上で使用する場合などは除外)
  • 感電防止のため高感度・高速形の漏電遮断器を設置する
  • 浴室や水気のある場所、対地電圧150Vを超える機器では漏電遮断器が必須
  • 貯蔵式電気温水器を水気のある場所に設置する際は、給湯管および給水管に0.5m以上の絶縁管を取り付けることが望ましい

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. 深夜電力機器の引込配線に決まりはありますか?
A. 引込線の取付点から引込口装置までの配線は他回路と混用せず、専用回路で構成することが必須です。
Q. 一般負荷と共用する場合の許容電流の求め方は?
A. I = Ia + 0.7 × Ib で算出します。Iは共用部分の負荷電流、Iaは深夜電力負荷、Ibは一般負荷で、0.7は電灯負荷の直率です。
Q. 深夜電力機器に必要な接地と漏電対策は?
A. 金属製外箱にはD種接地工事を行い、浴室や水気のある場所、対地電圧150Vを超える機器では高感度・高速形の漏電遮断器の設置が必須です。

まとめ|専用で引き、共用は式で見積もる

深夜電力機器は「引込口装置までは専用回路」「共用する場合は I=Ia+0.7×Ib で見積もる」の2点が設計の要になります。そのうえで、配線方法の限定と、水気のある場所での漏電対策を確認します。

確認する順番見るところ基準
Step1対地電圧1300-1に基づく制限
Step2引込口装置までの配線専用回路としているか(1370-5)
Step3共用部分の電流I=Ia+0.7×Ib(電力負荷は0.2)
Step4分岐回路と配線方法機器ごとに専用か、20A以下なら共用可。配線方法は4種類
Step5接地と漏電対策D種接地、高感度・高速形の漏電遮断器、絶縁管

直率をどの値で見るかによって、必要な電線サイズが変わります。電灯負荷か電力負荷か、実際の使い方はどうかを最初に確認しておくと、計算のやり直しを避けられます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
水まわりに置くときの注意はありますか?
ハリタハリタ
金属製外箱のD種接地と、高感度・高速形の漏電遮断器です。夜間電力を安心して活かしましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。