技術図書館面積で積み上げて1,500VAで割る用途別の標準負荷に面積を掛けて土台を作り、1,500VAで割って回路数を出し専用回路を加えるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)3605節

配線設計とは、どの電線をどの太さで、どこにどう通すかを決め、安全でムダのない電気の通り道をつくる設計です。ここでは内線規程にもとづき、負荷容量の算定から分岐回路数の求め方までを整理します。

1 面積 P×A+Q×B。
2 加算 C(住宅は500〜1,000VA)。
3 割る ÷1,500VA切り上げ。
4 専用 エアコン・IHなど。
ペン太ペン太
分岐回路の数って、合計負荷を1,500VAで割ればそのまま答えですよね?
ハリタハリタ
端数は切り上げ、エアコンなどの専用回路も別途加算します。割るだけでは足りません。

この記事で押さえる3つのこと

  • 設備負荷容量=P×A+Q×B+C。Cは「加算すべきVA数」(住宅1世帯500〜1,000VAなど)。
  • 合計VA÷1,500VAを切り上げ、エアコンなどの専用回路を足す。
  • 大形機器は回路の80%以内。単相3線式はつり合いと中性線の欠相保護。
この記事でわかること
計算例まで通して読むと、回路数の出し方がつかみやすくなります。

負荷容量の算定

工場など 10VA/㎡。
事務所など 30VA/㎡。
住宅 40VA/㎡。
廊下など 5VA/㎡(住宅以外)。
  • 基本式は設備負荷容量=P×A+Q×B+C(P・Q:面積m2、A・B:標準負荷VA/m2、C:加算すべきVA数)
  • 用途別の標準負荷(3605-1表)は、工場・劇場など10、ホテル・学校・飲食店など20、事務所・銀行・美容室など30、住宅・アパート40 VA/m2
  • 部分別の標準負荷(3605-2表)は、廊下・階段・倉庫などが5 VA/m2など
  • 加算すべきVA数(C)を足す:住宅1世帯500〜1,000VA、ショーウインドウ間口1mにつき300VA、広告灯・ネオンサインなど
ペン太ペン太
回路容量いっぱいまで大形機器を載せるつもりでした…まずいですか?
ハリタハリタ
大形電気機器の負荷は分岐回路容量の80%以内に抑えるのがルールです。
標準負荷の区分 対象 標準負荷
用途別(3605-1表) 工場・劇場など 10 VA/m²
用途別(3605-1表) ホテル・学校・飲食店など 20 VA/m²
用途別(3605-1表) 事務所・銀行・美容室など 30 VA/m²
用途別(3605-1表) 住宅・アパート 40 VA/m²
部分別(3605-2表) 廊下・階段・倉庫など 5 VA/m²

Cは「加算すべきVA数」

Cは、面積の標準負荷では見込めない分を上乗せする数値です(内線規程の加算すべきVA数)。

住宅 1世帯500〜1,000VA。
ショーウインドウ 1mにつき300VA。
広告灯など そのVA数。
大きな機器 専用回路で別に。
加算するもの VA数
住宅・アパート 1世帯につき 500〜1,000VA
商店のショーウインドウ 間口1mにつき 300VA
屋外の広告灯・電光サイン・ネオンサインなど そのVA数
劇場・映画館などの舞台照明など そのVA数
たとえるなら
負荷の見積もりは、引っ越しのトラック選び
引っ越しのトラックは、部屋の広さで荷物の量の見当をつけ、ピアノのような大物があれば別に足して選びますよね。配線設計も同じで、面積×標準負荷で土台を出し、ショーウインドウなどの加算分を足して、1,500VAで割って回路数を決めます。エアコンのような大物は、専用回路として別に足します。
ここに注意!
「Cには、冷蔵庫やテレビなど家電の容量を足す」ではありません。
Cは内線規程の「加算すべきVA数」で、住宅・アパートは1世帯につき500〜1,000VA、商店のショーウインドウは間口1mにつき300VA、屋外の広告灯・ネオンサインや舞台照明はそのVA数です。エアコンなどの大きな機器は、専用回路で別に考えます。
ここに注意!
「住宅の廊下や洗面所にも、部分別の5VA/㎡を使う」ではありません。
住宅は、住宅全体の床面積に40VA/㎡を掛けます。廊下・階段・倉庫などの部分別の標準負荷(3605-2表)は、住宅以外の建物で使います。
ここまでのポイント
  • 基本式は 設備負荷容量=P×A+Q×B+C(P・Qは面積m²、A・Bは標準負荷VA/m²、Cは加算すべきVA数)
  • 用途別の標準負荷(3605-1表)は、工場・劇場など10、ホテル・学校・飲食店など20
  • 事務所・銀行・美容室などは30、住宅・アパートは40 VA/m²
  • 部分別の標準負荷(3605-2表)は、廊下・階段・倉庫などが5 VA/m²など
  • 加算すべきVA数(C)を足す:住宅1世帯500〜1,000VA、ショーウインドウ間口1mにつき300VA、広告灯・ネオンサインなど


分岐回路とブレーカーの選定

  • 分岐回路の種類とブレーカー定格(3605-4表)は、15A分岐=15A以下、20A分岐(配線用遮断器/ヒューズ)=20A、30A=30A、40A=40A、50A=50A、50A超=電線の許容電流以下
  • 必要最小の分岐回路数は合計負荷VA÷1,500VA(端数切り上げ)で求める
  • 計算例:合計8,250VA÷1,500VA=5.5→6回路。これにエアコン専用1回路を加え合計7回路
  • IHクッキングヒーター・エアコン・電子レンジなどの大電力機器は専用回路にするのが基本
  • 大形電気機器(冷蔵庫・換気扇・送風機など)は、原則として分岐回路の80%以内の負荷容量に抑える

計算例:店舗つき事務所

8,250VAの内訳を、式どおりに組み立てた例です(数値は例)。Pは、部分(Q)を除いた床面積です。

合計 8,250VA。
÷1,500VA 5.5→6回路。
専用 +1回路。
答え 7回路。
項目 計算 VA
P×A(事務所) 250㎡×30VA/㎡ 7,500VA
Q×B(廊下・便所) 30㎡×5VA/㎡ 150VA
C(ショーウインドウ) 間口2m×300VA 600VA
合計 ― 8,250VA
回路数 8,250÷1,500=5.5→切り上げ 6回路
専用回路 エアコン +1回路(計7回路)
ここに注意!
「回路数の計算で、端数は切り捨ててよい」ではありません。
5.5回路なら6回路です。切り捨てると1回路あたりの負荷が1,500VAを超えます。計算で出た回路数は下限で、エアコンなどの専用回路を別に足します。
エアコン 専用回路。
IH・レンジ 専用回路。
一般 1,500VAでまとめる。
大形機器 80%以内。
ここまでのポイント
  • 分岐回路の種類とブレーカー定格は3605-4表による
  • 必要最小の分岐回路数は、合計負荷VA÷1,500VA(端数切り上げ)
  • 計算例では8,250VA÷1,500VA=5.5→6回路、エアコン専用1回路を加えて合計7回路
  • IHクッキングヒーター・エアコン・電子レンジなどの大電力機器は専用回路にするのが基本
  • 大形電気機器(冷蔵庫・換気扇・送風機など)は、原則として分岐回路の80%以内の負荷容量に抑える


単相3線式分岐回路の注意点

100V L1-N・L2-N。
200V L1-L2。
バランス L1側とL2側に分ける。
中性線 欠相保護付き主幹で守る。
  • 単相3線式は2本の電圧側電線(L1・L2)と1本の中性線(N)からなり、L1-N・L2-Nで100V、L1-L2で200Vが使える
  • 電圧側電線(100V)を同一相に偏らせず、電圧のバランスをとる
  • 中性線が切れると異常電圧になるため、欠相対策が必須
  • 住宅の分岐回路数は3605-5表を参考にし、必要に応じて増やしてよい
たとえるなら
単相3線式は、シーソー
シーソーは、両側の重さがつり合っていると安定しますよね。片側だけに人が集まると傾きます。単相3線式も同じで、100Vの回路をL1側とL2側にバランスよく振り分けます。真ん中の支点(中性線)が外れると、軽い側が跳ね上がるように、負荷の軽い側の電圧が上がってしまいます。
ここに注意!
「中性線が切れても、電圧が下がるだけ」ではありません。
中性線が切れると、L1側とL2側の100Vの機器が直列につながった形になり、負荷の軽い側に100Vより高い電圧がかかります。中性線欠相保護付きの主幹ブレーカーで守ります。
ここに注意!
「100Vの回路は、どちらの相につないでも同じ」ではありません。
L1側とL2側のどちらかに100Vの回路が偏ると、中性線に流れる電流が増え、電圧もつり合わなくなります。分電盤で、両側にバランスよく振り分けます。
ペン太ペン太
「配線設計」ってよく聞くけど、まず何から決めるの?
ハリタハリタ
最初に建物でどれくらい電気を使うか、負荷容量を見積もるんだ。P×A+Q×B+Cで計算するよ。
ペン太ペン太
分岐回路の数ってどうやって決めるの?
ハリタハリタ
合計負荷VAを1,500VAで割って端数を切り上げる。エアコンなど大物は専用回路を別に足すのがコツだよ。
取り違えやすいところ 正しくは
分岐回路の容量いっぱいまで機器を載せてよい 大形電気機器は分岐回路容量の80%以内に抑える
回路数の計算で端数は切り捨てる 切り上げる(5.5なら6回路)
計算で出た回路数がそのまま最終値 エアコンなどの専用回路を別に加える
単相3線式なら相の振り分けは自由 電圧側電線を同一相に偏らせず、バランスをとる
中性線が切れても電圧が下がるだけ 異常電圧になるため、欠相対策が必須
ここまでのポイント
  • 単相3線式は2本の電圧側電線(L1・L2)と1本の中性線(N)からなる
  • L1-N・L2-Nで100V、L1-L2で200Vが使える
  • 電圧側電線(100V)を同一相に偏らせず、電圧のバランスをとる
  • 中性線が切れると異常電圧になるため、欠相対策が必須(中性線欠相保護付きの主幹ブレーカーなど)
  • 住宅の分岐回路数は3605-5表を参考にし、必要に応じて増やしてよい


よくある質問(FAQ)

Q. 設備負荷容量はどう計算しますか?
A. 基本式は P×A+Q×B+C です。Pは部分を除いた床面積、Aは用途別の標準負荷(VA/m2)、Qは廊下・階段など部分の面積、Bはその標準負荷、Cは加算すべきVA数(住宅1世帯500〜1,000VA、ショーウインドウ間口1mにつき300VAなど)です。
Q. 用途別の標準負荷の目安は?
A. 3605-1表より、工場・劇場などは10、ホテル・学校・飲食店などは20、事務所・銀行・美容室などは30、住宅・アパートは40 VA/m2です。
Q. 分岐回路数はどう求めますか?
A. 合計負荷VAを1,500VAで割り、端数を切り上げて必要最小回路数とします。たとえば8,250VAなら÷1,500=5.5で6回路、さらにエアコン専用などを加えます。
Q. 単相3線式で200Vが使えるのはなぜ?
A. L1-N間とL2-N間がそれぞれ100V、電圧側のL1-L2間が200Vになるためです。なお中性線が切れると異常電圧が生じるため、欠相対策が必須です。
Q. 住宅の加算VA(C)はいくつにしますか?
A. 内線規程の加算すべきVA数は、住宅・アパートで1世帯につき500〜1,000VAです。電気をよく使う世帯なら大きいほうで見込みます。エアコンやIHなどの大きな機器は、専用回路として別に足します。
Q. 中性線が切れるとどうなりますか?
A. L1側とL2側の100Vの機器が直列につながった形になり、負荷の軽い側に100Vより高い電圧がかかって、機器が壊れるおそれがあります。中性線欠相保護付きの主幹ブレーカーで守ります。

まとめ|面積から積み上げ、専用回路を足す

配線設計は「面積×標準負荷で土台を出し、加算すべきVA数を足し、1,500VAで割って回路数を求め、専用回路を加える」という積み上げで進みます。最後に単相3線式のバランスと欠相対策を確認すれば形になります。

確認する順番 やること よりどころ
Step1 用途別・部分別の標準負荷を当てる 3605-1表・3605-2表
Step2 加算すべきVA数(C)を足す 住宅1世帯500〜1,000VA、ショーウインドウなど
Step3 合計VA÷1,500VAで回路数を出す 端数は切り上げ
Step4 大電力機器の専用回路を加える IH・エアコン・電子レンジなど
Step5 相のバランスと欠相対策を確認 単相3線式の注意点、3605-5表

回路数は計算で出た数が下限で、住宅では3605-5表を参考に増やして構いません。あとから機器が増えることを見込んで、余裕を1回路分持たせておくと使い勝手が変わります。

ペン太ペン太
単相3線式では最後に何を確認すべきですか?
ハリタハリタ
中性線断線時の異常電圧を防ぐ欠相対策です。ここまでできれば設計は安心ですよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。