動力(電動機)の負荷容量換算表を、200V/400V・標準/可変速対応の換算ツールと早見表で解説。定格出力kWから規約電流(A)と負荷容量(kVA)を読み取り、電線太さの選定や変圧器容量の算定に使います。掲載値は目安の参考値です。
この記事は、連載「動力設備の設計マニュアル」の 第2回 負荷容量の換算・第6回 図面化と拾い の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。

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動力(電動機)の負荷容量換算表は、電動機の定格出力[kW]から、配線や変圧器の容量を見積もるための規約電流[A]と負荷容量[kVA]を読み取る表です。本記事では200V・400V/標準・可変速(インバータ)に対応した早見表と換算ツールを用意します。

🐧 見習いペン太:「モータのkWから電線サイズを決めたいんですが…」
🦔 はりた:「まず“規約電流”と“負荷容量kVA”を換算表で読むのが近道。電圧(200/400V)と種別(標準/インバータ)で値が変わるよ」
kW 銘板の出力。
電流[A] 電線・ブレーカーに。
kVA 変圧器の容量に。
条件 電圧と標準・可変速。
ペン太ペン太
電動機の電流値って、kWから毎回計算で出さないとダメなんですか?
ハリタハリタ
換算表を使えば一発です。定格出力から規約電流とkVAを読み取れます。200Vと400Vで値が違いますよ。
この記事の内容を、ツールで計算する動力盤 主幹ブレーカー選定ツール電動機の出力と台数から、主幹ブレーカーと幹線ケーブルが出ます
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標準電動機の負荷容量(200V・400V)

一般的な標準電動機の早見表です。定格出力[kW]に対する規約電流[A]と負荷容量[kVA]を、200V・400Vでまとめています。

定格出力[kW]200V 電流[A]200V 負荷容量[kVA]400V 電流[A]400V 負荷容量[kVA]
0.21.80.630.90.63
0.43.21.111.61.11
0.754.61.62.31.6
1.582.7842.78
2.211.13.855.53.82
3.716.85.828.45.82
5.524.68.5312.38.53
7.53411.81711.8
114816.72416.7
156422.23222.2
18.57927.439.527.4
229231.94631.9
30124436243
3715252.77652.7
4519065.99565.9
552287911479
75––155108
90––180125
110––220153

目安の参考値(この記事の換算表)。「-」は値の設定がない区分です。

200V 16.8A。
400V 8.4A(約半分)。
kVA どちらも5.82kVA。
式 A=kVA÷(√3×V)。
たとえるなら
kWとkVAは、ジョッキのビールと泡
ジョッキに注いだビールは、飲める部分(ビール)と泡に分かれますよね。ジョッキの大きさは、泡まで入れた全体で決まります。電動機も同じで、仕事をする分がkW、泡まで入れた全体がkVAです。変圧器や電線は、泡まで入る大きさ(kVAと電流)で選びます。
ここに注意!
「400Vなら、負荷容量も半分」ではありません。
400Vで半分になるのは電流です。負荷容量(kVA)は、200Vでも400Vでもほぼ同じです(3.7kWならどちらも5.82kVA)。
ペン太ペン太
インバータ運転でも、標準電動機の表の値をそのまま使えばいいですよね?
ハリタハリタ
使えません。可変速運転は基準が違い、標準の値と直接比較できないんです。専用の表を見てください。

可変速運転(インバータ)の負荷容量

インバータで可変速運転する場合の早見表です。値はインバータの入力電流で読みます(インバータの効率・力率を見込んだ値)。

定格出力[kW]200V インバータ入力電流[A]200V 負荷容量[kVA]400V インバータ入力電流[A]400V 負荷容量[kVA]
0.42.30.811.10.79
0.753.31.151.61.12
1.56.12.1132.07
2.28.62.994.32.96
3.7144.8574.82
5.520.57.1110.27.07
7.527.49.513.79.5
1139.613.819.713.7
1553.218.526.618.5
18.564.922.532.322.4
2276.826.73826.4
3010436.151.435.7
3712844.463.243.8
4515553.776.553.1
5518865.293.164.6
75––12788

目安の参考値(この記事の換算表)。「-」は値の設定がない区分です。

標準 16.8A・5.82kVA。
可変速 14.0A・4.85kVA。
読む所 インバータの入力側。
混ぜない 表を入れ替えない。
ここに注意!
「インバータ運転でも、標準の表の値を使えばよい」ではありません。
可変速の表は、インバータの入力側の電流で読みます。3.7kW・200Vなら、標準は16.8A・5.82kVA、可変速は14.0A・4.85kVAです(この記事の換算表の値)。2つの表を入れ替えて使いません。

換算値をキーワード検索

kW・電圧(200V/400V)・種別(標準/可変速)を入力すると、該当する電流・負荷容量を絞り込めます(複数語はスペース区切り)。

🔎 換算値を検索(kW・電圧・種別で絞り込み)
種別電圧出力kW電流[A]負荷容量[kVA]

※ 電流は標準=規約電流、可変速=インバータ入力電流。目安の参考値。

換算表の使いどころ

読み取った規約電流は分岐・幹線の電線太さの選定に、負荷容量[kVA]は変圧器容量の算定などに使います。複数台のモータがある場合は各容量を合計し、需要率なども考慮して電源側の容量を見積もります。

電流 1台ごとの電線・ブレーカー。
kVA 足し合わせて変圧器・幹線。
複数台 需要率も考える。
同じ1台 2つの設計に使う。

計算例:変圧器の容量を見積もる

200Vの動力盤に、次の3種類の電動機をつなぐ例です。kWをkVAに換算してから足します。

換算 kW→kVA。
合計 22.6kVA。
需要率 0.8は例。
見積もり 約18kVA。
電動機(例)種別負荷容量
ポンプ 3.7kW ×2台標準5.82kVA×2=11.64kVA
送風機 5.5kW可変速7.11kVA
冷却塔 2.2kW標準3.85kVA
合計―22.6kVA
需要率0.8(例)をかける―約18kVA

数値は例です。需要率は、負荷の使い方(同時に動く台数など)で決めます。

たとえるなら
換算表は、服のサイズ表
服を買うとき、身長からS・M・Lをサイズ表で読みますよね。毎回、採寸して型紙を起こしたりはしません。電動機も同じで、出力kWから電流とkVAを換算表で読みます。ただし、子ども服と大人服で表が違うように、標準と可変速、200Vと400Vで読む表が違います。
ここに注意!
「kWをそのまま足せば、変圧器の容量になる」ではありません。
電動機ごとにkVAへ換算してから足し、需要率なども考えて見積もります。3.7kWのモーターは、5.82kVAとして数えます。

注意点

掲載値は 目安の参考値です(可変速はインバータ効率・力率を見込んだ入力電流)。実際の設計では最新の規格値や採用機器のメーカ公表値を確認してください。表に「-」とある区分は値が設定されていないことを表します。

内線規程の規約電流とは別の表

この換算表の電流は、内線規程の資料3-7-3「電動機の規約電流値」と少しずつ違います。目的で使い分けます。

3.7kW 内線規程17.4A/換算表16.8A。
内線規程 ブレーカー・電線に。
換算表 kVAの集計に。
混ぜない 目的で使い分ける。
200V・標準内線規程(資料3-7-3)この換算表
0.75kW4.8A4.6A
3.7kW17.4A16.8A
5.5kW26A24.6A
15kW65A64A
22kW93A92A

分岐回路のブレーカーや電線を内線規程(3705節)で選ぶときは、内線規程の規約電流を使います。kVAを集計して変圧器や幹線を見積もるときは、この換算表が便利です。

ここに注意!
「この表の電流と、内線規程の規約電流は同じ」ではありません。
内線規程の資料3-7-3(電動機の規約電流値)は、200Vの3.7kWで17.4A、この換算表は16.8Aです。分岐回路のブレーカーや電線を内線規程(3705節)で選ぶときは、内線規程の規約電流を使います。
ここに注意!
「表の値で、実際の機器の電流も決まる」ではありません。
表は計画段階の参考値です。採用する機器が決まったら、銘板やメーカーの技術資料の値で確かめます。インバータ機器は、メーカーの資料の値が原則です。

よくある質問(FAQ)

Q. 動力負荷容量換算表は何に使いますか?

A. 電動機の定格出力(kW)から規約電流(A)と負荷容量(kVA)を読み取り、幹線・分岐の電線太さの選定や変圧器容量の算定などに使います。

Q. 標準電動機と可変速運転で表が違うのはなぜですか?

A. 可変速運転の値は、インバータの入力側の電流(インバータの効率・力率を見込んだ値)だからです。電動機に流れる電流ではないので、標準電動機の規約電流とは値が違います。インバータ運転なら可変速の表で読みます。

Q. 200Vと400Vで電流が変わるのはなぜですか?

A. 同じ出力でも電圧が高いほど電流は小さくなります(おおむね400Vは200Vの半分程度)。負荷容量(kVA)は電圧によらずほぼ同じです。

Q. 表の値はそのまま設計に使えますか?

A. 参考値です。実際は採用機器のメーカ公表値や最新規格を確認して設計してください。

Q. 3.7kWのモーターの電流は何Aですか?

A. この記事の換算表では、標準電動機で200V 16.8A・400V 8.4A、可変速(インバータ入力電流)で200V 14.0A・400V 7.0Aです。内線規程の規約電流(資料3-7-3)では200Vで17.4Aなので、分岐回路のブレーカーや電線を内線規程で選ぶときはこちらを使います。

Q. 複数台のモーターから変圧器の容量はどう出しますか?

A. 1台ずつkWをkVAに換算して合計し、需要率なども考えて見積もります。たとえば3.7kW標準2台・5.5kW可変速・2.2kW標準なら、5.82×2+7.11+3.85=22.6kVAで、需要率0.8(例)なら約18kVAです。

ペン太ペン太
この換算表、実務ではどんな場面で使うんですか?
ハリタハリタ
電線の太さ選定や変圧器容量の算定に使います。キーワード検索ツールで機器の値を引いてみると早いですよ。

まとめ

  • 定格出力kW →(電圧・種別で)規約電流A・負荷容量kVAを読む
  • 標準=規約電流/可変速=インバータ入力電流
  • 用途:電線太さ・変圧器容量の算定
  • 値は目安の参考値。設計時は最新規格・メーカ値で確認
  • kVAは足して変圧器へ。分岐回路の遮断器・電線は内線規程の規約電流で

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。