出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

電動機(モーター)は起動時に大きな電流が流れるため、配線設計では負荷算定とブレーカーの選定が特に重要です。ここでは内線規程にもとづき、電動機回路を安全に設計する要点を整理します。

電動機の配線設計の3つのポイント(負荷算定・ブレーカ選定・保護装置)を整理した図解

この記事の結論

電動機の負荷算定は銘板の定格電流が基本で、原則1台につき1回路(専用回路)とします。ブレーカーは電動機の定格電流の3倍まで(50A超は2.75倍まで)。過負荷保護装置と欠相保護も忘れずに設けます。

電動機の負荷算定

  • 汎用モーターは銘板(ネームプレート)の定格電流をそのまま使うのが基本。出力別に決まった規約電流から選ぶこともできる
  • インバーター付きやエアコン・冷凍機などの特殊なモーターはメーカー資料を確認する。圧縮機は銘板電流×1.2で計算することが多い
  • 冷凍機やチラーは起動時の電流に注意する
  • 電動機は起動時に大電流が流れるため、原則として1台につき1回路(専用回路)とする

開閉器とブレーカーの選定

  • 開閉器の定格電流は、ブレーカーの定格電流と同じか、それ以上とする
  • 電動機1台の場合、ブレーカーの定格電流は電動機の定格電流の3倍まで。ただし電動機が50Aを超える場合は2.75倍まで
  • 他の機器と一緒に使うときは、それらの定格電流も合計して計算する
  • 原則として電線の許容電流≧ブレーカーの定格電流。過負荷保護装置との協調が取れれば、電線の2.5倍以下のブレーカーでもよい
  • 許容電流が100A超で計算値が中途半端になる場合は、直近上位の定格値のブレーカーでよい。専用回路で1360-4に適合する遮断器を使う場合は、電線と同じ定格電流でもよい

過負荷保護と欠相保護

  • 過負荷保護装置には、電動機用ヒューズ、配線用遮断器(モーター保護タイプ)、熱動継電器(サーマルリレー)などがある
  • 保護装置が内蔵されている、35W以下の交流モーター、常時人が監視する、過負荷の心配がない、単相モーターで15A以下の回路(20A以下の配線用遮断器)から電源供給、出力0.2kW以下の小型モーターなどは省略できる場合がある
  • 三相のうち1本でも電源が途切れる欠相は電動機の損傷につながるため、欠相保護装置で検出・遮断する。やむを得ない場合は警報のみでよいケースもある

たとえ話でイメージ

電動機の起動は、止まっている重い荷車を一気に押し出す瞬間に似ています。動き出すまでは大きな力(突入電流)が要るので、すぐに音を上げない少し余裕のあるブレーカー(定格の3倍まで)を選び、押しすぎて壊れないよう過負荷保護で見守るわけです。

見習いペン太
見習いペン太
モーターって、どれも同じように電気を使うんじゃないの?
はりた
はりた
いや、種類や使い方で必要な電流がけっこう変わるよ。基本は銘板の定格電流を見て、圧縮機なら×1.2で考えるんだ。
見習いペン太
見習いペン太
ブレーカーは電線と同じ大きさにすればいい?
はりた
はりた
電動機は起動電流が大きいから、定格の3倍まで(50A超は2.75倍まで)OK。そのぶん過負荷保護や欠相保護でしっかり守るんだよ。

よくある質問(FAQ)

Q. 電動機の負荷算定は何を基準にしますか?
A. 汎用モーターは銘板(ネームプレート)の定格電流が基本です。出力別の規約電流から選ぶこともできます。圧縮機は銘板電流×1.2で計算することが多く、冷凍機・チラーは起動電流に注意します。
Q. ブレーカーは電動機の定格電流の何倍まで選べますか?
A. 電動機1台の場合、定格電流の3倍までです。ただし電動機が50Aを超える場合は2.75倍までとします。他機器と併用する場合はその定格電流も合計します。
Q. 過負荷保護装置を省略できる場合はありますか?
A. 保護装置が内蔵されている、35W以下の交流モーター、常時監視がある、過負荷の心配がない、単相で15A以下の回路から給電、出力0.2kW以下の小型モーターなどでは省略できる場合があります。条件の確認が必要です。
Q. 欠相保護はなぜ必要ですか?
A. 三相のうち1本でも電源が途切れると電動機がうまく動かず損傷する危険があるためです。欠相保護装置で異常を検出・遮断します。やむを得ない場合は警報のみでよいケースもあります。