第二種電気工事士 合格カリキュラム学科④ 電気工事の施工方法
この単元の 9 / 22 本目

天井に白い小さな器具が並び、そこに電線が張られている――古い工場や倉庫で見かけるがいし引き工事です。電線を建物から浮かせて支えるので、離す距離と支える間隔の数値がとても大切です。この記事では、がいし引き工事のしくみ、3つの数値、材料、電圧による違い、ほかの配管との離隔を、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

がいし引きは電線をがいしで浮かせて支える工事。電線どうし6cm以上・造営材と2.5cm以上(300V以下)・支持点間2m以下の3つの数値が基本です。

  • 電線はOW・DVを除く絶縁電線
  • 300Vを超えると造営材との離隔は4.5cm以上(乾燥した場所は2.5cm)
  • 水道管・ガス管・弱電流電線とは10cm以上
  • 点検できない隠ぺい場所には使えない
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
天井(造営材)に取り付けたノップがいしで絶縁電線を支え、造営材から離して空中に張るがいし引き工事の様子を示した図
がいし引き工事は、電線を建物から浮かせて支えます。

がいし引き工事 ― 電線を浮かせて支える

がいし引き工事は、磁器でできたがいしで絶縁電線を支え、天井や壁(造営材)から離して施設する工事です。たとえるなら洗濯物を干すロープです。ロープを柱から浮かせて張るように、電線を建物から離して張ります。

電線が管やケーブルの外装で守られていない分、離す距離と支える間隔で安全を確保します。施工できるのは、展開した場所と点検できる隠ぺい場所です(「電気設備の基本知識 #020【施工場所と工事の種類】」参照)。

ペン太ペン太
がいし引きって古い工法ですよね。覚える必要ありますか?
ハリタハリタ
新しく施工することは少なくなりましたが、古い建物の改修で出会いますし、試験でもよく問われます。数値は3つだけなので、しっかり押さえておきましょう。
ここまでのポイント
  • がいしで電線を支え、造営材から離す
  • 離す距離と支える間隔で安全を確保する
  • 展開した場所・点検できる隠ぺい場所で使う

3つの数値 ― 6cm・2.5cm・2m

がいし引き工事の3つの数値として、電線どうしの間隔6cm以上、電線と造営材の離隔2.5cm以上(300V以下)、支持点間の距離2m以下を、横から見た図と上から見た図で順に示した動く図解
動く図解:3つの数値を、順番に確認します。
項目 数値(300V以下)
電線どうしの間隔 6cm以上
電線と造営材との離隔 2.5cm以上
支持点間の距離 2m以下(造営材の上面・側面に沿って取り付ける場合)
電気設備技術基準の解釈(がいし引き工事)をもとに作成
ここまでのポイント
  • 電線どうし6cm以上
  • 造営材と2.5cm以上
  • 支持点間2m以下

材料 ― 支える・縛る・通す

がいし引き工事の材料として、電線を支えるノップがいし、電線をがいしに縛るバインド線、造営材を貫通するときに電線を通す絶縁管を並べた図
がいし引き工事で使う主な材料。
材料 役割
ノップがいし 電線を支える磁器。絶縁性・難燃性・耐水性がある
バインド線 電線をがいしに縛り、ずれやたるみを防ぐ
絶縁管(がい管など) 造営材を貫通するとき、電線を1本ずつ通して守る
一般的な材料の例

電線は絶縁電線を使いますが、屋外用ビニル絶縁電線(OW)と引込用ビニル絶縁電線(DV)は使えません。電線の種類は「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • ノップがいしで支え、バインド線で縛る
  • 貫通部分は絶縁管に通す
  • OW・DVは使えない


電圧による違い ― 高いほど遠ざける

がいし引き工事の数値を使用電圧で比べた表。電線どうしの間隔は6cm以上で同じ、造営材との離隔は300V以下で2.5cm以上、300Vを超えると4.5cm以上(乾燥した場所は2.5cm以上)、支持点間は2m以下
電圧が高いほど、造営材から遠ざけます。
項目 300V以下 300Vを超える
電線どうしの間隔 6cm以上 6cm以上
造営材との離隔 2.5cm以上 4.5cm以上(乾燥した場所は2.5cm以上)
支持点間(上面・側面に沿う場合) 2m以下 2m以下
電気設備技術基準の解釈(がいし引き工事)をもとに作成。細かな条件は条文で確認する
ここまでのポイント
  • 電線どうしは電圧にかかわらず6cm以上
  • 300Vを超えると造営材から4.5cm以上
  • 乾燥した場所なら2.5cm以上でよい

ほかの配管との離隔 ― 10cm以上

がいし引き工事の低圧配線と、水道管・ガス管・電話線やLANなどの弱電流電線を10cm以上離すことを示した動く図解
動く図解:ほかの配管や通信線を、10cm以上遠ざけます。

がいし引きの電線は、管やケーブルで守られていないので、水道管・ガス管や弱電流電線(電話線・LANなど)と10cm以上離します。電線が裸電線の場合は30cm以上です。

ここまでのポイント
  • 水道管・ガス管・弱電流電線と10cm以上
  • 裸電線なら30cm以上
  • 守りが薄い分、距離で安全を確保する

押さえる要点 ― 数値と使える場所

がいし引き工事で押さえる要点として、電線どうし6cm以上、造営材との離隔(300V以下2.5cm・300V超4.5cm)、支持点間2m以下、OW・DVを除く絶縁電線、ほかの配管と10cm以上、施工場所(展開・点検できる隠ぺい場所)を並べた図
がいし引き工事で押さえる要点のまとめ。

ネオン放電灯工事も、がいし引き工事の考え方で電線を支えます(「電気設備の基本知識 #008【ネオン放電灯工事】」参照)。次の#022は「電気設備の基本知識 #022【ケーブル工事】」です。

ここまでのポイント
  • 6cm・2.5cm・2mの3つの数値
  • OW・DVは使えない
  • 点検できない隠ぺい場所には使えない

よくある質問

がいし引き工事とはどんな工事ですか?

磁器でできたノップがいしなどで絶縁電線を支え、造営材(天井や壁)から離して施設する工事です。古い建物や工場・倉庫などで見られます。

電線どうしの間隔と、造営材との離隔は?

電線どうしの間隔は6cm以上です。電線と造営材との離隔は、使用電圧300V以下なら2.5cm以上、300Vを超える場合は4.5cm以上(乾燥した場所では2.5cm以上)です。

支持点間の距離は?

造営材の上面または側面に沿って取り付ける場合は、2m以下とします。

がいし引き工事に使える電線は?

絶縁電線を使います。ただし、屋外用ビニル絶縁電線(OW)と引込用ビニル絶縁電線(DV)は使えません。

水道管やガス管とはどれくらい離しますか?

がいし引き工事の低圧配線は、水道管・ガス管や弱電流電線(電話線など)と10cm以上離します。電線が裸電線の場合は30cm以上です。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?

タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。

次に読むならこれ高校生が第二種電気工事士に受かるまでの勉強時間|学科60時間・技能は13問×2回、部活と両立する12週間の日程第2種電気工事士
第二種電気工事士 合格カリキュラム学科④ 電気工事の施工方法
次はこれ(学科④)地中配線