消防設備編④ 非常用照明の設置基準
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前回の消防設備編③「非常放送設備と誘導灯」の最後で、「誘導灯と非常用照明は根拠になる法律が違う」という話に少し触れました。今日はその非常用照明を、じっくり掘り下げていきます。
誘導灯と混同されがちですが、実は消防設備編①で学んだ「建築基準法」の設備です。今日の内容は、既存の詳細記事へのちょうどよい入口にもなっています。
先輩、非常用照明って結局、誘導灯と何が違うんでしたっけ……?
前回さらっと触れたね。誘導灯は消防法上の設備で「避難の方向」を示すもの。非常用照明は建築基準法上の設備で「足元の明るさ」を確保するもの。今日はこの非常用照明の中身を詳しく見ていこう。
「足元の明るさ」って、具体的にどれくらいの明るさなんですか?
そこがポイント。実は照度の基準が、使う照明器具の種類によって変わるんだ。まずはそこから見てみよう。
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非常用照明、配置の基本ルール

白熱灯だと1lx、蛍光灯・LEDだと2lxって、なんで基準が変わるんですか……?同じ明るさの照明のはずですよね。
光の性質の違いによるものなんだ。詳しい理由は既存の詳細記事に譲るとして、今日は「光源の種類によって必要な照度が変わる」ということだけ、しっかり押さえておこう。器具選定の段階で必ず確認するポイントだよ。
配置の間隔も、器具によって変わるんですね。
そう。器具ごとに配光性能(どこまで光が届くか)が違うから、メーカーの資料を見ながら、床面の明るさが途切れないように配置していく。感知器やスピーカーの配置と、考え方はよく似ているよ。
1lxと2lxの違いを、もう少し詳しく
この照度の違いは、非常用照明を理解するうえで最初につまずきやすいポイントです。もう少し丁寧に見ていきましょう。
現場で「これは1lx器具?2lx器具?」って聞かれたら、どう答えればいいですか?
まずは器具のカタログスペックを確認する癖をつけよう。「非常用照明器具」として型式認定を受けている製品には、対応する照度区分が明記されている。迷ったらカタログか、メーカーへの確認が確実だよ。
現場で照度を実測することもあるんですか?
竣工前の検査で、実際に照度計を使って測定することもある。設計段階の計算だけでなく、実測でも基準を満たしているかを確認する、という二段構えになっているんだ。
免除される居室、判断の入口

「免除される居室がある」って聞くと、ちょっと得した気分になりますが……判断が難しそうですね。
うん、ここは「広さ」だけで判断してはいけないのがポイント。採光上有効な開口部があって、避難上支障がない小規模な居室なら免除の余地があるけど、それでも用途や避難経路全体を見て個別に判断することになる。
病院の病室が免除されにくいのは、なぜですか?
自力で避難するのが難しい人が使う居室だから。部屋自体が小さくても、「その部屋を使う人が、非常時にどれだけ自力で動けるか」という視点が優先される。広さだけを見て免除を決めつけるのは危険、と覚えておいて。
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意匠図から設置要否を読み取る
ここまでの知識を、実際の意匠図を見るときにどう使うか、整理してみましょう。
意匠図を渡されたとき、非常用照明について最初に確認すべきことは何ですか?
まず避難経路になる廊下・階段の位置を確認する。ここは原則として設置対象になる。そのうえで、居室については免除の余地があるかどうかを、用途と避難経路の両面から見ていく、という順番がいい。
台数まで自分で決められるようになるには、まだ時間がかかりそうです。
台数の精密な計算はメーカーの配光データや専門知識が必要だから、新人のうちは「どこに設置対象があるか」を漏れなく拾えるようになるだけで十分な第一歩。台数の細かい計算は、先輩や専門業者と一緒に詰めていけばいい。
器具のタイプにも種類がある
非常用照明の器具そのものにも、いくつかのタイプがあります。設計の場面で選択肢として出てくるので、ここで押さえておきましょう。
非常用照明の器具って、全部同じ形だと思っていました。種類があるんですか?
大きく分けると、器具本体に電池を内蔵した「電池内蔵形」と、離れた場所にある電源装置から電気を送る「電源別置形」がある。天井の意匠や、まとめて電源管理をしたいかどうかで使い分けるんだ。
どちらを選ぶかは、誰が決めるんですか?
意匠上の制約や、メンテナンスのしやすさなど、いくつかの条件を踏まえて設計者が選定する。新人のうちは「電池を内蔵するタイプと、外部電源から送るタイプがある」という選択肢の存在を知っておくだけで十分だよ。
器具が変わると、配線の設計も変わってきそうですね。
その通り。電源別置形は、電源装置から各器具まで配線を引き回す必要がある。系統図を見るときは、どちらのタイプかによって配線ルートの読み方が変わる、と意識しておくといい。
他の警報・避難設備とのつながり
これまでの消防設備編で扱ってきた設備と、非常用照明のつながりを整理しておきましょう。
①〜③でやった警報設備と、今日の非常用照明って、どうつながっているんでしたっけ……?
感知器が火災を見つけ(②)、受信機が判断し(②)、放送とベルで知らせ(③)、誘導灯が方向を示し(③)、そして非常用照明が足元を照らして安全に歩けるようにする(④)。避難までの一連の流れの、最後のピースが今日の非常用照明なんだ。
声で知らせて、目印で導いて、足元を照らす……全部そろって、初めて安全に避難できるんですね。
その通り。1つだけでは機能しない。この全体像を持っておくと、どんな建物の図面を見ても「これは何のためにあるか」が説明できるようになるよ。
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⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 非常用照明と誘導灯を同じ設備だと思い込み、根拠法の違いを意識しない
- 器具の照度区分(1lx/2lx)をカタログで確認せず、選定してしまう
- 免除の可否を「部屋が小さいから」という理由だけで自己判断してしまう
- 病室のような特殊用途の居室でも、一般の居室と同じ基準で考えてしまう
- 非常用照明の非常電源を見落とし、分電盤設計で負荷を計上し忘れる
- 感知器〜受信機〜放送・誘導灯〜非常用照明の一連の流れを、バラバラに覚えてしまう
まとめ ― 今日の1枚
- 非常用照明は建築基準法上の設備で、避難の「足元の明るさ」を確保する
- 照度は床面で、白熱灯等は1lx以上、蛍光灯・LED等は2lx以上を確保する
- 設置対象は廊下・階段・避難上必要な通路、一定規模以上の居室など
- 器具の配光性能に応じた間隔で、床面照度が途切れないよう配置する
- 免除の可否は「広さ」だけでなく「避難のしやすさ」で個別に判断する
- 病室など自力避難が難しい人が使う居室は、免除されにくい
- 感知器→受信機→放送・誘導灯→非常用照明、という避難までの流れの一部として理解する
詳しい照度基準・免除規定は、既存の詳細記事もあわせてどうぞ。強電設備の設計|非常照明の1lxと2lxの違い、建築消防の設計|非常用照明の免除規定まとめで、実際の判断事例まで詳しく解説しています。
次回・消防設備編⑤では、非常電源のきほんを扱います。これまで何度も登場してきた「非常電源」を、発電機・蓄電池・キュービクル式非常電源専用受電設備という具体的な設備で整理していきましょう。
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