接地設備の設計|医用接地の設置基準と設計指針について詳しく解説
医療機器に必要な接地とは。
医用接地の基準について知りたい!
医用接地の基準は、JIS T 1022(病院電気設備の安全基準)に
定められています。現行は2023年版で、本記事の数値は2018年版の本文で確かめたものです
- 病院の設計を行っている方
- 医用接地の基準について調べている方
- 医用接地の設置基準
- 医用接地の目的
- 設計図の書き方
ペン太
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この記事で押さえる3つのこと
- 医用接地方式の接地抵抗値は、通常10Ω以下。
- 10Ω以下が困難なら、医用室に等電位接地を行い100Ω以下にできる。
- 横引きの接地幹線は14㎟以上、接地分岐線は5.5㎟以上。
医用接地の概要
医用接地の種類
- 等電位接地
- 保護接地
医用接地の特徴
- 医用接地設備は、医用電気機器が装着された患者や医療従事者を感電から確実に保護するため、一般の接地に比べ、安全かつ信頼性の高いものとなっています
- 接地極と大地間の抵抗値を対象
- 医用接地センタの測定端子と医用コンセントの接地極刃受け又は接地端子の端子部間
- 医用接地センタの測定端子と固定設備の露出導電性部分及び系統外導電性部分の間
接地抵抗値
- 医用接地方式に用いる接地抵抗値は、通常、10Ω以下とします。
- 10Ω以下が困難な場合には、医用室に等電位接地を行うことによって接地抵抗値を100Ω以下とすることができます。
横引きする接地幹線
- 接地幹線は公称断面積14㎟以上
接地幹線の接続方法
- 鉄骨造、鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の場合
- 鉄骨や鉄筋などの構造体が使用できない場合
接地分岐線
- 公称断面積5.5㎟以上
| 区分 | 対象となる抵抗 |
|---|---|
| 一般の接地 | 接地極と大地間の抵抗値 |
| 医用接地 | 接地極と大地間の抵抗値、および医用接地センタの測定端子と医用コンセントの接地極刃受け又は接地端子の端子部間、医用接地センタの測定端子と固定設備の露出導電性部分及び系統外導電性部分の間の接地線の電気抵抗 |
- 医用接地の種類は、等電位接地と保護接地の2種類あり、目的によって選定する。
- 医用接地設備は、医用電気機器が装着された患者や医療従事者を感電から確実に保護するため、一般の接地に比べ安全かつ信頼性の高いものとなっている。
- 医用接地方式に用いる接地抵抗値は通常10Ω以下(困難な場合は医用室に等電位接地を行うことで100Ω以下とできる)。
- 横引きする接地幹線は公称断面積14㎟以上、接地分岐線は公称断面積5.5㎟以上。
- 鉄骨造・鉄筋コンクリート造などでは、センタが2つ以上つながる横引き幹線を、鉄骨又は2条以上の主鉄筋に2か所以上で接続する。
- 構造体が使用できない場合は、接地極から医用室のある階までを絶縁電線とし、大地から2系統以上・系統ごとに接地極を設ける。
保護接地
マクロショックの防止を図るため露出導電性部分に施す接地で、マクロショック最小感知電流1mAの1/10の0.1mA(100μA)を安全許容電流とし、これを維持するための接地設備。
- 保護接地は、マクロショックの防止を図るため露出導電性部分に施す接地。
- マクロショック最小感知電流1mAの1/10の0.1mAを安全許容電流とし、これを維持するための接地設備。
等電位接地
ミクロショックの防止を図るため露出導電性部分及び系統外導電性部分を一点へ電気的に接続し、患者周辺を等電位化する接地で、心臓直撃の心室細動を誘発する電流0.1mAの1/10の0.01mA(10μA)を安全許容電流とし、患者周囲の金属体相互の電位差を10mV以内とする接地設備。
ペン太
ハリタ| 接地の種類 | 防止する感電 | 安全許容電流 |
|---|---|---|
| 保護接地 | マクロショック | マクロショック最小感知電流1mAの1/10の0.1mA |
| 等電位接地 | ミクロショック | 心室細動を誘発する電流0.1mAの1/10の0.01mA(患者周囲の金属体相互の電位差を10mV以内) |
- 等電位接地は、ミクロショックの防止を図るため、露出導電性部分及び系統外導電性部分を一点へ電気的に接続し、患者周辺を等電位化する接地。
- 心臓直撃の心室細動を誘発する電流0.1mAの1/10の0.01mAを安全許容電流とする。
- 患者周囲の金属体相互の電位差を10mV以内とする接地設備。
保護接地の検討
医用電気機器を使用する医用室には、マクロショックを防止するため医用室ごとに保護接地を設けます。 保護接地の構築には医用接地センタ、医用コンセント及び医用接地端子が必要となります。
設置場所
- 医用電気機器を使用する医用室
- マクロショックの防止
- 医用接地センタ
- 医用コンセント
- 医用接地端子
- 医用電気機器を使用する医用室には、マクロショックを防止するため医用室ごとに保護接地を設ける。
- 保護接地の構築には、医用接地センタ、医用コンセント及び医用接地端子が必要。
- センタは医用室ごとに設ける。隣の医用室と床面積の合計が50㎡以下なら共用できる。
- コンセント・端子とセンタの間は0.1Ω以下(6V以下の交流で約25Aを流し、電圧降下法で測る)。
等電位接地の検討
医用電気機器の電極などを直接心臓に挿入または接触して医療を行う医用室ミクロショックを防止するため、等電位接地を設けます
設置場所
- 医用電気機器の電極などを直接心臓に挿入または接触して医療を行う医用室
- ミクロショックの防止
- 医用接地センタ(1人の患者の範囲は同じセンタ)
- 接地分岐線(5.5㎟以上)
- 医用電気機器の電極などを直接心臓に挿入または接触して医療を行う医用室には、ミクロショックを防止するため等電位接地を設ける。
- 患者が占める場所から水平2.5m・床上2.3mの範囲の、固定設備の露出導電性部分と系統外導電性部分を、センタのリード線へ分岐線でそれぞれ直接つなぐ(表面積0.02㎡以下の系統外導電性部分は除外できる)。
STEP1|接地極と接地幹線の構成
構成の条件
- 構造体接地極が利用できる場合
- 構造体の鉄骨又は主鉄筋
- 雷保護設備用の引下げ銅線箇所の外周部の柱は避ける
- 建物内の内側柱を利用する
免震構造の場合
免震構造の場合、免震層で構造体の電気的な接続が切り離されるおそれがあるため、接地幹線に使う柱では、免震装置の上下の構造体を導体で電気的に接続します。どの柱でどうつなぐかは、構造設計者と決めておきます。
新築建物で構造体接地極が利用できない場合
- 鉄骨・主鉄筋と構造体の地下部分の電気的接続が確実でない工法では、構造体を接地幹線に使えません
- 接地極から医用室のある階までを絶縁電線とし、大地から2系統以上・系統ごとに接地極を設けます
構造体接地極が使用できない場合
接地幹線【絶縁電線】
横引きする接地幹線と接続
大地から2系統以上とする
系統ごとに接地極を設ける
免震構造の場合、免震横断部分の導体に適切な余長を持たせます
改修工事や既存建物にテナントとして入居する場合
- 接地幹線は構造体の鉄骨又は主鉄筋ではなく絶縁電線を利用します
- 接地極から医用室のある階までを絶縁電線とし、大地から2系統以上・系統ごとに接地極を設けます
構造体接地極が使用できない場合
接地幹線【絶縁電線】
横引きする接地幹線と接続
大地から2系統以上とする
系統ごとに接地極を設ける
免震構造の場合、免震横断部分の導体に適切な余長を持たせます
- 構造体接地極が利用できる場合は、構造体の鉄骨又は主鉄筋を接地幹線の接続箇所とする。
- 雷保護設備用の引下げ銅線箇所の外周部の柱は避け、建物内の内側柱を利用する。
- 免震構造の場合は、接地幹線に使う柱で、免震装置の上下の構造体を導体により電気的に接続する。
- 構造体を接地幹線に使えない場合は、接地極から医用室のある階までを絶縁電線とし、大地から2系統以上・系統ごとに接地極を設ける(センタが1つなら1か所でもよい)。
STEP2|接地センタと接地幹線の接続
医用接地センタには、接地分岐線をつなぐリード線があります(本数は製品で確かめます)
接地幹線には、センタボディーのリード線2本を一括して堅固に接続します
横引きした幹線よりプルボックスなどにより分岐し
医用接地センタ側にて接地リード線5.5㎟×2本と接続する
医用接地センタと接地分岐線の接続
- JISの本文では、医用コンセントと医用接地端子のリード線は、接地分岐線でセンタのリード線にそれぞれ直接つなぐことになっています。
- リード線が足りないときや、1つのボックスに複数の端子を入れるときのまとめ方は、使う製品の施工説明書と、設計者・監理者の取り決めで確かめます。
- 医用接地センタは医用室ごとに設ける(隣の室と合計50㎡以下なら共用できる)。
- 接地幹線には、センタボディーのリード線2本を一括して接続する。
- 横引きした幹線よりプルボックスなどにより分岐し、医用接地センタ側で接地リード線5.5㎟×2本と接続する。
- 医用コンセントや医用接地端子は、残りのリード線に分岐線でそれぞれ直接接続する。
分岐接地線が太い場合
- X線装置などの据置形医用電気機器は、電源側の過電流遮断器の容量に応じた太さ(下の表)の接地線で接地します
- 定格電流の大きい医用機器の場合必要な接地線のサイズも太くなります
- 接地線が5.5㎟なら医用接地センタのリード線へ直接つなぎます。公称断面積8㎟以上の場合は、医用接地センタから分岐せずに、接地幹線にプルボックス等により分岐点を設け接続します。
- 据置形機器の接地線をつなぐ横引き接地幹線は、つなぐ接地線のうち最大の太さ以上にします。14㎟を超える接地線をつなぐなら、幹線も太くします
分岐側接地線サイズ
| 医用機器の過電流遮断器容量 | 接地線サイズ(㎟) |
| 100A以下 | 5.5 |
| 150A以下 | 8 |
| 200A以下 | 14 |
| 400A以下 | 22 |
| 600A以下 | 38 |
| 1,000A以下 | 60 |
| 1,200A以下 | 100 |
表の注:接地幹線を変圧器のB種接地工事と金属体などで接続しない場合は、表で14㎟を超える部分を14㎟にしてよいとされています。
- 据置形機器の接地線は、5.5㎟ならセンタのリード線へ直接、8㎟以上ならプルボックス等で接地幹線へ接続する。
- 接地線の公称断面積8㎟以上の場合は、医用接地センタから分岐せず、接地幹線にプルボックス等により分岐点を設けて接続する。
- 横引き接地幹線は、つなぐ接地線のうち最大の太さ以上にする。
よくある質問(FAQ)
Q. 医用接地の基準は何に記載されていますか?
A. JIS T 1022(病院電気設備の安全基準)に定められています。現行は2023年版で、主な改正は非常電源の区分(特別非常電源の廃止)です。本記事の数値は2018年版の本文で確かめたものなので、設計では最新版を確かめてください。
Q. 医用接地方式の接地抵抗値はいくつ以下にしますか?
A. 通常、10Ω以下とします。10Ω以下が困難な場合は、医用室に等電位接地を行うことで100Ω以下とすることができます。
Q. 接地幹線と接地分岐線のサイズは?
A. 横引きする接地幹線は公称断面積14㎟以上、接地分岐線は公称断面積5.5㎟以上とします。
Q. 医用接地にはどんな種類がありますか?
A. マクロショック防止のための保護接地と、ミクロショック防止のための等電位接地の2種類があり、目的によって設置する種類を選定します。
Q. 医用接地センタは医用室ごとに必要ですか?
A. 医用室ごとに設けます。隣り合う医用室との床面積の合計が50㎡以下の場合は、医用接地センタを共用できます。
Q. 医用コンセントと医用接地センタの間の抵抗は、どう確かめますか?
A. 無負荷電圧6V以下の交流で約25Aの電流を流し、電圧降下法で測って0.1Ω以下とします。等電位接地をした金属部分とセンタの間も同じ方法で0.1Ω以下とします。
ペン太
ハリタまとめ|2種類の接地を目的で選び、幹線から組み立てる
医用接地は、マクロショック防止の保護接地とミクロショック防止の等電位接地を目的で選び、接地極・接地幹線・接地センタの順に構成するのが基本です。
| 確認する項目 | 基準・内容 |
|---|---|
| 医用接地の種類 | 保護接地(マクロショック防止)/等電位接地(ミクロショック防止) |
| 一般の接地との違い | 接地極と大地間の抵抗値に加え、所定の接地線の電気抵抗も対象になる |
| 接地抵抗値 | 10Ω以下 |
| 10Ω以下が困難な場合 | 医用室に等電位接地を行うことで100Ω以下とできる |
| 横引きする接地幹線 | 公称断面積14㎟以上 |
| 接地分岐線 | 公称断面積5.5㎟以上 |
| 構造体を使う場合の接続 | センタが2つ以上なら、鉄骨又は2条以上の主鉄筋に2か所以上 |
| 構造体が使えない場合の接続 | 接地極から医用室の階まで絶縁電線。大地から2系統以上・系統ごとに接地極 |
| 接地幹線の計画上の注意 | 雷保護設備用の引下げ銅線箇所の外周部の柱を避け、内側柱を利用する |
| 免震構造の場合 | 接地幹線に使う柱で、免震装置の上下を導体で電気的に接続する |
| 医用接地センタの数 | 医用室ごとに1台(隣の室と合計50㎡以下なら共用可) |
| センタと幹線の接続 | センタボディーのリード線2本を一括して接続 |
| 医用コンセント・接地端子 | 残りのリード線へ分岐線でそれぞれ直接(0.1Ω以下) |
| 接地線が8㎟以上の場合 | 接地幹線にプルボックス等で分岐点を設けて接続 |
| 据置形機器をつなぐ幹線 | つなぐ接地線のうち最大の太さ以上 |
種類の選定で押さえること
- マクロショックとミクロショックの違い。
- 医用室の用途(心臓に直接触れるかどうか)。
- 必要な機器(接地センタ・コンセント・接地端子)。
接地抵抗と電線で押さえること
- 10Ω以下という基準と、100Ω以下にできる条件。
- 接地幹線14㎟以上、接地分岐線5.5㎟以上。
- 医用接地では接地線の電気抵抗も対象になること。
構成と接続で押さえること
- 構造体接地極が使えるかどうか。
- 構造体なら2か所以上、電線なら大地から2系統以上という考え方。
- 太い接地線を幹線から分岐する場合のサイズ関係。
医用接地は、患者に直接つながる機器を扱うため、一般の接地より一段厳しい考え方で組み立てられています。設計では抵抗値だけでなく「どこからどこまでの抵抗を見るのか」を押さえておくと、測定や検査の段階で慌てずに済みます。
手術室・ICUなどで使う 医用非接地配線方式(絶縁変圧器と絶縁監視装置) も別記事で解説しています。







