電気設備設計・施工について悩んでいませんか?
内線規程のよく使う内容をピックアップしています
電気設計に必要な計算書式を配信中!
接地設備の設計 PR

接地の設計|医用接地の設置基準と設計指針について詳しく解説

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

 

医療機器に必要な接地とは。

 

今回の疑問

 

医用接地の基準について知りたい!

 

結論

医用接地の基準については日本工業規格JIS T 1022:2018に

記載されており、本記事はその内容に沿って解説していきます

本記事のおすすめの方
  • 病院の設計を行っている方
  • 医用接地の基準について調べている方

 

この記事でわかること
  1. 医用接地の設置基準
  2. 医用接地の目的
  3. 設計図の書き方

 

この記事のカテゴリー

医用接地の概要

医用接地の種類は下記の2種類あり目的によって設置する種類を選定します

医用接地の種類

  1. 等電位接地
  2. 保護接地

医用接地の特徴

  • 医用接地設備は、医用電気機器が装着された患者や医療従事者を感電から確実に保護するため、一般の接地に比べ、安全かつ信頼性の高いものとなっています

一般の接地と医用接地の違い

一般の接地の対象範囲

  • 接地極と大地間の抵抗値を対象

医用接地

接地極と大地間の抵抗値及び下記の接地線の電気抵抗を対象

  1. 医用接地センタの測定端子と医用コンセントの接地極刃受け又は接地端子の端子部間
  2. 医用接地センタの測定端子と固定設備の露出導電性部分及び系統外導電性部分の間

接地抵抗値

  • 医用接地方式に用いる接地抵抗値は、10Ω以下とします。
  • 10Ω以下が困難な場合には、医用室に等電位接地を行うことによって接地抵抗値を100Ω以下とすることができます。

横引きする接地幹線

  • 接地幹線は公称断面積14㎟以上

接地幹線の接続方法

  • 鉄骨造、鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の場合

接地幹線として用いる鉄骨又は2条以上の主鉄筋と横引き幹線を同一階で2か所以上に接続する

  • 鉄骨や鉄筋などの構造体が使用できない場合

接地幹線として用いる絶縁電線と、横引き接地幹線として用いる絶縁電線を同一階で2系統以上に接続する

接地分岐線

  • 公称断面積5.5㎟以上

 

保護接地

保護接地の概要

 

マクロショックの防止を図るため露出導電性部分に施す接地で、マクロショック最小感知電流1mAの1/10の0.1mA(10μA)を安全許容電流とし、これを維持するための接地設備。

 

等電位接地

等電位接地の概要

 

ミクロショックの防止を図るため露出導電性部分及び系統外導電性部分を一点へ電気的に接続し、患者周辺を等電位化する接地で、心臓直撃の心室細動を誘発する電流0.1mAの1/10の0.01mA(10μA)を安全許容電流とし、患者周囲の金属体相互の電位差を10mV以内とする接地設備。

 

保護接地の検討

保護接地を設ける

医用電気機器を使用する医用室には、マクロショックを防止するため医用室ごとに保護接地を設けます。

保護接地の構築には医用接地センタ、医用コンセント及び医用接地端子が必要となります。

保護接地の設置条件

設置場所

  • 医用電気機器を使用する医用室

目的

  • マクロショックの防止

必要な機器

  • 医用接地センタ
  • 医用コンセント
  • 医用接地端子
医用接地方式の概要図

 

等電位接地の検討

保護接地を設ける

医用電気機器の電極などを直接心臓に挿入または接触して医療を行う医用室ミクロショックを防止するため、等電位接地を設けます

保護接地の設置条件

設置場所

  • 医用電気機器の電極などを直接心臓に挿入または接触して医療を行う医用室

目的

  • ミクロショックの防止

必要な機器

医用接地方式の概要図

 

STEP1|接地極と接地幹線の構成

接地極と接地幹線

構成の条件

  • 構造体接地極が利用できる場合

接地幹線の接続箇所

  • 構造体の鉄骨又は主鉄筋

計画におけるポイント

  • 雷保護設備用の引下げ銅線箇所の外周部の柱は避ける
  • 建物内の内側柱を利用する

 

 

接地幹線の接続例

 

 

免震構造の場合

免震構造の場合

免震構造の場合、構造体の電気設的接続が切り離されてしまうため、すべての柱に対して免震装置の上下の構造体を導体により電気的に接続する必要があります。

 

 

新築建物で構造体接地極が利用できない場合

構造体接地極が利用できない場合
  • 接地幹線は構造体の鉄骨又は主鉄筋を利用します
  • 試験端子盤を設置し同一階に2系統以上に接続します

構造体接地極が使用できない場合

接地幹線【構造体の鉄骨又は主鉄筋】

横引きする接地幹線と接続

試験端子盤を設置

試験端子盤を介し同一階で2系統接続する

 

免震構造の場合、免震横断部分の導体に適切な余長を持たせます

 

改修工事や既存建物にテナントとして入居する場合

改修工事の場合
  • 接地幹線は構造体の鉄骨又は主鉄筋ではなく絶縁電線を利用します
  • 試験端子盤を設置し同一階に2系統以上に接続します

構造体接地極が使用できない場合

接地幹線【絶縁電線】

横引きする接地幹線と接続

試験端子盤を設置

試験端子盤を介し同一階で2系統接続する

免震構造の場合、免震横断部分の導体に適切な余長を持たせます

 

STEP2|接地センタと接地幹線の接続

医用接地センタ

医用接地センタのリード線は10本あります

そのうち2本は接地幹線の接続に用いります

横引きした幹線よりプルボックスなどにより分岐し

医用接地センタ側にて接地リード線5.5㎟×2本と接続する

 

医用接地センタと接地分岐線の接続

接地分岐線の接続

医用コンセントや医用接地端子の接続は医用接地センタの残り8本のリード線に接続します

 

ポイント
  1. 接地分岐数が8本以上ある場合は医用接地センタ内の1本のリード線に複数の分岐線を接続してもよいとなっています
  2. 接地分岐線と末端の接地リード線との接続(医用接地センタと医用コンセントなど)は1本の接地分岐線には1個の接地端末を原則としていますが、同一ボックス内に医用コンセント及び医用接地端子など複数の接地端末を設置している場合は、ボックス内で一本の接地分岐線にそれぞれの接地用リード線を一括接続してよいとなっています。(下図左パターン)

分岐接地線が太い場合

分岐側の接地線が太い場合
  1. X線装置などの据置型医用電気機器への接地線を接続する場合、接地幹線より分岐して接続すること
  2. 定格電流の大きい医用機器の場合必要な接地線のサイズも太くなります
  3. 接地線の公称断面積8㎟以上の場合、医用接地センタから分岐せずに、接地幹線にプルボックス等により分岐点を設け接続します。
  4. この時分岐側の接地線サイズが14㎟を超える場合、接地幹線サイズ≧分岐接地線となるように変更します

分岐側接地線サイズ

医療機器の保護接地線サイズ
医用機器の過電流遮断器容量 接地線サイズ
100A以下 5.5
150A以下 8
200A以下 14
400A以下 22
600A以下 38
1,000A以下 60
1,200A以下 100

 

 

この記事を書いた人
HARITA
電気設備設計に従事し、自身の経験を基に設計の知識向上のためこのサイトを運営しています。
関連する記事