【新人講座 施工実務編④】接地工事と地中引込の実際 ― 大地に電気の逃げ道をつくる

こんにちは、HARITAの設計室です。施工実務編④は建物の外、地面の下の電気工事。漏れた電気の逃げ道をつくる接地工事と、電気を地中で建物へ運ぶ地中引込です。第8回(受変電)で登場した引込の“地下ルート版”でもあります。
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 接地工事は、棒を地面に刺せば終わりでしょうか。
- ハンドホールは、何のために地中に置くのでしょうか。
- 空の管をわざわざ埋めておくのは、なぜでしょうか。
- 接地工事の流れ ― 土の性質と向き合う
- 地中引込の流れ ― ハンドホールと管路
- 実務での使いどころ ― 予備管と埋設記録
- 素朴なギモン ― 大地に流す理由、標識シートの役目
- 深掘りQ&A ― 抵抗が下がらない、接地の種別、埋設物
- 注意ポイント ― 接地線の色、記録、将来分の確認
接地工事 ― 埋めて、測って、増し打ち

ペン太
ハリタ| 地面の条件 | 接地抵抗の下がり方 | 現場での打ち手 |
|---|---|---|
| 砂地 | 下がりにくい | 本数を増やす、深打ちする |
| 粘土質 | 下がりやすい | 標準的な打ち込みで収まりやすい |
| 岩盤 | 棒が入らない | 板や網(メッシュ)に変える |
| どの地質でも共通 | 1回で決まらないのが普通 | 測りながら足す。低減剤も選択肢 |
- 接地極(棒や板)を地中に埋め、抵抗を測り、規定値以下になるまで足していく。
- 接地抵抗は土の性質(地質・水分)で決まるので、机上の計算どおりにはいかない。
- 砂地は下がりにくい、粘土質は下がりやすい、岩盤は棒が入らないので板や低減剤を使う。
- 設計では種別ごとの規定値を示し、現場が実測で追い込む。
地中引込 ― ハンドホールでつなぐ地下ルート

- 地中引込は、掘削→管路敷設→ハンドホール据付→埋戻しの流れ。
- 人が入るのがマンホール、手を入れて作業するのがハンドホール。
- 地中の配管は長距離や曲がりが続くとケーブルを引き込めなくなるため、途中に作業の中継点を置く。
- ハンドホールの位置とサイズは設計事項。図面に描くのは設計者の仕事。
💼 実務でこう生きる
- 地中管路は竣工後に掘り返せないので、設計時に予備管(空の管)を1〜2本入れておくのが定石。
- 予備管があるかないかで、10年後の増設・更新の工事費が桁違いになる。
- 埋戻し前に、深さ(スケールを当てて)・離隔・標識シートを写真で記録する。
- 竣工後の「ここ掘って大丈夫か」に答えられるのはこの記録だけ。埋設位置は竣工図にも正確に反映する。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
- 大地はとても大きな導体で、電気を受け止めても電位がほぼ変わらない。
- 漏電したとき、電気が人体ではなく接地線→大地へ流れるよう、抵抗の低い逃げ道を用意しておくのが接地の役割。
- だから接地抵抗は低いほど安全側になる。
- 埋設標識シートは掘る人への警告で、ケーブルの少し上に埋める。シート・埋設深さ・離隔はセットで設計事項。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
| 埋める前にやること | 残すもの | 怠ると起きること |
|---|---|---|
| 埋設物調査(図面照会・試掘) | 調査結果と照会の記録 | 掘削中にガス管などに当たる |
| 深さ・離隔の確認 | スケールを当てた写真 | 竣工後に位置を証明できない |
| 標識シートの敷設 | 敷設状況の写真 | 将来の掘削でケーブルを切られる |
| 予備管の敷設 | 本数と経路を竣工図へ | 増設・更新のたびに掘り直しになる |
- 抵抗が下がらないときは、深打ち、並列(本数を増やして間隔をとる)、接地抵抗低減剤、板や網(メッシュ)への変更。
- 共通するのは「測りながら足す」こと。1回で決まらないのが普通。
- 接地は守る対象と電圧でクラスが分かれ、種別ごとに合格ラインが違う。
- 掘る前に埋設物調査(図面照会・試掘)を行い、図面にない管が出たら即作業停止して管理者に連絡する。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 接地線の色を間違えない:接地線は緑(緑/黄)。色の取り違えは点検者を欺く危険行為です。
- 埋戻し前の記録を怠らない:深さ・離隔・シートの写真。埋まったら二度と見えません。
- 予備管・将来増設の確認漏れ:地中は掘り返せない。設計段階で将来分まで聞き取るのが仕事。
ペン太
ハリタ- 接地線の色を間違えない。接地線は緑(緑/黄)で、色の取り違えは点検者を欺く危険行為。
- 埋戻し前の記録を怠らない。深さ・離隔・シートの写真は、埋まったら二度と撮れない。
- 地中は掘り返せない。予備管や将来増設の必要を、設計段階で聞き取っておく。
まとめ ― 今日の1枚
地面の下の工事に共通するのは、やり直しがきかないということ。だから測って追い込み、埋まる前に記録を残します。
| 工事 | 現場が追い込むこと | 設計が決めること |
|---|---|---|
| 接地工事 | 規定値以下になるまで増し打ちする | 種別と規定値、接地極の位置 |
| 地中引込 | 掘削・管路・埋戻しを進める | ハンドホールの位置とサイズ |
| 記録 | 埋戻し前に写真を残す | 記録項目と竣工図への反映 |
| 将来対応 | 予備管を管路に含めて敷設する | 予備管の本数と将来の増設想定 |
接地は土との対話
- 接地工事は埋める→測る→増し打ち。土との対話で規定値以下へ追い込む。
- 砂地は下がりにくく、岩盤は棒が入らない。地質に応じて打ち手を変える。
地中ルートの作り方
- 地中引込は掘削→管路→ハンドホール→埋戻し+標識シート。
- ハンドホール=地中の中継ボックス。位置とサイズは設計事項。
未来へ残すもの
- 予備管と埋設記録が未来の工事を救う。
- 掘る前の埋設物調査と、埋戻し前の写真が、あとから位置を証明できる唯一の手がかりになる。
地中の仕事は竣工すると誰の目にも触れません。だからこそ、記録と予備管という形で次の世代へ引き継いでおく価値があります。
次回・施工実務編⑤は建物の中へ戻って「内装〜天井内配線の実際」——ボードが閉まる前の勝負を見ていきます。
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