📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

連載「用語編」の第5弾です。前回の用語編④「スイッチの種類と読み方」では、器具のシンボルと添字を扱いました。今回はもう一段、現場でいちばん頻繁に耳にする言葉――電線・ケーブル・配管材の呼び名を整理します。

「IVでいいの?」「それPF管?CD管?」――こうした会話は、正式名称ではなくほぼ通称・記号で交わされます。正式名称だけを丸暗記しても、現場ではなかなか会話になりません。今日はその通称と、正式名称・使いどころのつながりを、ペンタとはりたの会話で押さえていきましょう。

ペンタ
先輩、材料を発注しようとしたら「これ、IVでいいんですか?それともVVF?」って聞かれて、答えられませんでした……。
はりた
あるある。電線とケーブルって、名前は似てるけど構造がぜんぜん違うんだ。まずはそこから区別しよう。
ペンタ
構造が違う、ってどういうことですか?
はりた
図で見た方が早い。電線は導体と絶縁体だけ。ケーブルは、それをさらに外装(シース)で包んだもの。この違いが分かると、なぜ配管が必要な場合と不要な場合があるのかも分かるようになるよ。

電線・ケーブルの呼び名 ― 通称と記号のつながり

電線・ケーブルの呼び名図
図1:電線(IV)とケーブル(VVF)の構造の違いと、よく使う記号の一覧
ペンタ
IVって「電線」で、VVFは「ケーブル」なんですね。
はりた
その通り。IVは配管の中に通して使う前提の電線。VVFは通称「Fケーブル」と呼ばれていて、住宅の壁の中の配線でいちばんよく見る形だよ。外装があるから、配管なしでそのまま使える。
ペンタ
CVとCVTは、また別物ですか?
はりた
CVはCVケーブルという、絶縁性の高いケーブル。太い幹線でよく使う。CVTはそのCVを3本より合わせて、三相の幹線を配管に通しやすい形にしたもの。「CVをTの形(より線)にした」と覚えるといいよ。

なぜ「電線」と「ケーブル」を区別する必要があるのか

電線は絶縁体までしかないため、そのまま露出させると傷つきやすく、電気的にも保護が不十分です。だから配管(PF管やE管など)に通して、機械的な保護を別で行う必要があります。一方ケーブルは、シースという外装自体が保護の役割を果たすため、配管なしで壁の中や天井裏に直接配線できます。

ペンタ
じゃあ、ケーブルの方が万能なんですか?配管がいらないなら。
はりた
一概には言えないよ。ケーブルは外装がある分、太くなりがちで取り回しにくい場面もある。逆に電線は細くできるから、たくさんの回路を1本の配管にまとめて通せる。「どちらが優れているか」ではなく「どちらが向いているか」で選ぶものなんだ。

配管材の呼び名 ― 通称と使い分け

配管材の呼び名図
図2:PF管・CD管・E管・エフレックスの特徴と、可とう性(曲げやすさ)の比較
ペンタ
PF管とCD管、色が違うだけかと思ってました。
はりた
色にはちゃんと理由がある。CD管のオレンジ色は「これはコンクリートの中専用ですよ」という目印。CD管は自己消火性が無いから、コンクリートに埋め込んで火が燃え広がらないようにする前提で使うものなんだ。
ペンタ
間違えてCD管を天井裏で使ったら、どうなるんですか?
はりた
検査で指摘されて、やり直しになる。実際に現場でよくある「あるある事故」の1つだよ。だから色を見たら、まず「これはどこに使う管か」を考える癖をつけてほしい。


似ている呼び名の混同に注意 ― CVとCVT、PF管とCD管

呼び名は似ているのに中身が違う、というペアが電気の世界にはいくつもあります。CVとCVTは名前が似ていますが、CVは単芯のケーブル、CVTはそれを3本より合わせた三相用の形。PF管とCD管も同じ「可とう電線管」の仲間ですが、自己消火性の有無で使える場所がまったく違います。

ペンタ
似た名前が多くて、覚えるのが大変です……。
はりた
コツは「違いが生まれた理由」で覚えること。CVTは「三相を1本にまとめたいから、より合わせた」。CD管は「コンクリートの中は火が回らないから、燃えにくさを求めなくていい=安く作れる」。理由から覚えると、名前だけ暗記するより忘れにくいよ。
ペンタ
なるほど、意味とセットで覚えるということですね。
はりた
その通り。もう1つ、E管とエフレックスも混同しやすい。どちらも金属管だけど、E管は硬くてまっすぐ、エフレックスは柔らかくて自在に曲がる。「まっすぐ長く這わせるならE管、機器の近くで細かく取り回すならエフレックス」と使い分けるんだ。

現場で呼び名が通じないと起きること

拾い出しや材料発注の場面では、通称が分からないと「何を、どれだけ発注すればいいか」が正確に伝わりません。見積査定の場面でも、内訳書に書かれた「VVF1.6-2C」のような表記が読めないと、数量や仕様の妥当性を確認できなくなります。電話や定例会議で「そこ、エフでいい?それともCVT?」と聞かれたときに即答できるかどうかは、地味に信頼にも直結します。呼び名は単なる知識ではなく、実務を進めるための共通言語です。

ペンタ
内訳書の「VVF1.6-2C」って、どう読むんですか?
はりた
「VVFケーブルの、太さ1.6mmの芯線が2本入っているもの」という意味。数字とCの数(心線数)で、太さと本数が分かる仕組みになっている。この読み方だけでも覚えておくと、内訳書がぐっと読みやすくなるよ。

先輩がよく使う略語・言い回し

現場や打合せでは、今回紹介した記号よりもさらに崩れた略称が飛び交うことがあります。「エフ」(Fケーブル=VVF)、「ライニング」(硬質ビニルライニング鋼管)、「ネジなし」(E管の別名)、「フレキ」(エフレックスの略)――こうした略称は、正式名称からは想像しにくいものも多く、初めて聞くと戸惑いがちです。

ペンタ
「ライニング」って、さっき出てきたE管とは別物ですか?
はりた
ライニング鋼管は、E管(ねじなし電線管)の仲間で、鋼管の内側や外側に樹脂の被膜(ライニング)を施して防食性を高めたもの。屋外や湿気の多い場所で、金属管がさびるのを防ぎたいときに使う。E管の発展形、とイメージすると分かりやすいよ。
ペンタ
略語は会社によって違ったりしませんか?
はりた
その通り、多少のゆれはある。ただ今日紹介した呼び方は、業界で広く通じる基本セット。まずはこれを土台にして、現場に入ったら「ここではこう呼ぶんだ」という差分を覚えていけばいい。


💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:材料発注で「電線か、ケーブルか」を正確に伝えられる
「このルートはIV2本を配管に通してください」「ここはVVFで直接配線でお願いします」と、電線とケーブルを区別して指示できると、施工側との行き違いがなくなる。逆に区別せず伝えると、配管の要不要が現場で判断できず、手戻りにつながる。
📋 実務活用事例:CD管とPF管を正しく使い分けられる
コンクリート埋設のスラブ内配管はCD管、天井裏の露出に近い場所はPF管、というように使い分けを図面に正しく落とし込める。竣工検査でCD管の誤用を指摘されるという、よくあるミスを未然に防げる。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 「エフ」ってなんの略ですか?
「Fケーブル」の「F」は、VVFの「F」(Flat=平型)から来ている。断面が平たい形をしているケーブルという意味。現場では正式名称のVVFよりも「Fケーブル」「エフ」という呼び方の方がよく使われる。
🐣 CVTの「T」は何の意味ですか?
正式には「トリプレックス形(Triplex)」の頭文字で、3本より合わせた形を指す。CVケーブルを3本ねじり合わせて1本の幹線として使えるようにしたもの、とイメージすると覚えやすい。

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「EM-EEFって聞いたことがあるんですが、何が違うんですか?」と聞いてみた
EM-EEFは「エコケーブル」とも呼ばれ、VVFと同じ用途で使われるが、燃やしてもハロゲンガスなどの有害物質が出にくい環境配慮型の絶縁材料を使っている。近年は公共施設などでEM系(エコマテリアル)の指定が増えている。
🔎 「配管材はサイズもいろいろあるんですか?」と聞いてみた
ある。PF管・CD管ともに、内部に通す電線の本数や太さに応じて径(呼び径)を選ぶ。細すぎる管を選ぶと電線が入らなかったり、あとから電線を追加できなくなったりするので、将来の増設分も見込んで少し余裕を持たせるのが実務のコツ。
🔎 「この知識は積算にも関係しますか?」と聞いてみた
大いに関係する。積算編で学んだ「拾い出し」では、電線とケーブルで拾う単位や集計方法が変わることがある。呼び名を正確に区別できていないと、拾い出しの段階で数量を間違えるリスクがある。用語と積算はこうしてつながっている。
🔎 「カタログを見ても呼び名が統一されていない気がします。なぜですか?」と聞いてみた
メーカーによって型番の表記や愛称が微妙に異なるため。ただし記号の基本ルール(IV・VVF・CVなど)はJIS規格で定められているので、どのメーカーのカタログでも共通して通じる。迷ったら、まず記号の意味から確認する癖をつけるとぶれずに済む。


⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • 電線とケーブルを同じものだと思い込み、配管の要不要を間違える
  • CD管とPF管を色だけで判断し、用途(埋設か露出か)を確認しない
  • 内訳書の「VVF1.6-2C」のような表記を読み飛ばし、仕様の妥当性を確認しない
  • 正式名称だけ覚えて満足し、現場で使われる通称を知らずに会話についていけない
  • 配管材のサイズ(呼び径)を将来の増設分を見込まずぎりぎりで選定する
  • 分からない略語をそのままにせず、その場でメモして後で調べる習慣をつけない

まとめ ― 今日の1枚

  • 電線=導体+絶縁体のみ。ケーブル=さらにシース(外装)で覆われたもの
  • 電線(IVなど)は配管保護が前提、ケーブル(VVF・CVなど)は配管なしでも使える
  • IV=屋内配線用電線、VVF=Fケーブル、CV=架橋ポリエチレン絶縁ケーブル、CVT=CVを3本より合わせたもの
  • PF管は自己消火性があり天井内など、CD管は自己消火性が無くコンクリート埋設専用
  • E管(鋼製電線管)は強度重視の露出配線、エフレックスは狭く複雑な取り回しに使う
  • 通称・記号は現場の共通言語。知らないと発注・拾い出し・見積査定のすべてで行き違いが起きる
  • 呼び名の知識は、積算編で学んだ拾い出しの正確さにも直結する

関連記事として、用語編①「現場の施工用語の見方・読み方」もあわせてどうぞ。現場の言葉づかいがさらに広がります。

次回・用語編⑥は、「現場の打合せ・指示の言葉」。取り合い・逃げ・レベル・段取り……会議で置いていかれないための言葉を扱います。お楽しみに!

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
📖次に読むならこれ【高圧受変電設備の設計マニュアル②】設計図書の種類と役割 ― 単線結線図が「設備の顔」である理由設計マニュアル