【新人講座 第19回】設計の流れ ― 案件が図面一式になるまでの5幕

こんにちは、HARITAの設計室です。いよいよ最終・第6部「実務の進め方」。知識は揃いました。あとは仕事としてどう回すか。初回は、1つの案件が図面一式になるまでの設計の流れを通しで見ます。


ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 「基本設計」と「実施設計」は、何が違うのか。
- コンセントを1個増やすと、どこまで波及するか。
- 工程が遅れそうなとき、いつ相談するのが正解か。
設計の5幕 ― 各幕に成果物がある



ペン太
ハリタ- 設計の仕事は5つの幕でできた芝居のようなもので、幕ごとに作るもの(成果物)が決まっている。全体図を見れば、自分の現在地が一発で分かる。
- 流れは条件整理 → 基本設計 → 実施設計 → 積算 → 提出の5幕。
- シリーズで学んだ武器には出番の幕がある。需要率は第2幕、サイズ計算は第3幕、法規は第5幕。
- 「いま何の図書を作っているか」を言えれば、上司との会話も段取りも一気にクリアになる。
手戻りの地雷マップ ― 流れを知る本当の目的





- プロット図・盤図・計算書・仕様書は、数字でつながった一族。コンセントを1個増やせば盤の回路が変わり、負荷が変わり、場合によっては幹線まで波及する。
- だから変更は必ず関連図書へ横展開。「1か所直したら3か所疑う」。
- 現場には打設日やボード張りという動かせない締切がある。設計が1週間遅れても現場の竣工日は動かない。しわ寄せは全部後工程に行く。
- 逆に言えば、前工程の1時間が後工程の1日を救う。この想像力こそが「段取り力」の正体。
💼 実務でこう生きる
- 新しい案件にアサインされたら、①いま第何幕かを確認 ②提出日と中間締切(積算渡し・チェック日)をカレンダーに入れる ③成果物一覧(何を作れば完了か)をもらう。
- この3つを聞ける新人は「仕事を任せられる」と評価される。フワフワの正体は、現在地とゴールを知らないこと。
- 第5幕の質疑回答は場当たりで返すと後で矛盾する。回答には根拠を添えて、回答書として記録・共有する。
- 良い質疑回答集は次の案件の設計標準になり、チームの資産になる。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
| 基本設計 | 実施設計 | |
|---|---|---|
| 何をする段階か | 方針を決める | 工事ができる図面にする |
| 決めること | 系統・容量・主要機器・概算など、建物の骨格に関わる判断 | この図面を渡せば職人さんが作れる、という詳細度まで描き込む |
| 変更の扱い | 方針の変更は基本設計まで、が原則 | 幕が進むほど変更コストは跳ね上がる |
- 基本設計は「方針を決める」段階。系統・容量・主要機器・概算など、建物の骨格に関わる判断をする。
- 実施設計は「工事ができる図面にする」段階。この図面を渡せば職人さんが作れる、という詳細度まで描き込む。
- 拾い出し・数量調書は設計部門が担うことが多い仕事。図面を描いた人が数量に責任を持つ、という考え方。
- 拾い漏れは見積漏れ=赤字工事に直結する。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
| いつ変更が入るか | 影響の広さ |
|---|---|
| 基本設計中 | 線1本 |
| 実施設計の後半 | 図書一式の横展開 |
| 着工後 | 現場の手戻り |
| だから | 「変更はいつまでなら安いか」を客先に早めに伝えるのも、プロの仕事 |
- チェックは自分 → 先輩 → 管理者の多段が基本。自分は図面間の整合(数字の一族)、先輩は設計判断の妥当性、管理者は法規と契約を見る。
- チェックバック(赤入れ)は宝の山。指摘はリスト化して、次の案件の自分ルールにする。
- 工程が遅れそうなときは、遅れの兆候が見えた時点で、黙らずすぐ相談。早く言えば人を足す・範囲を調整する・優先順位を変えるなど手が打てる。
- 締切前夜の告白がいちばん打ち手がない。危険は先に言葉にする。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 現在地を確認せずに作業を始めない:いま第何幕か・成果物は何かを最初に確認。
- 変更を1枚の図面で完結させない:関連図書へ横展開。「1か所直したら3か所疑う」。
- 遅れの相談を締切前夜にしない:兆候の時点で報告。早いほど打ち手がある。
ペン太
ハリタ- 現在地を確認せずに作業を始めない。いま第何幕か・成果物は何かを最初に確認する。
- 変更を1枚の図面で完結させない。関連図書へ横展開する。
- 遅れの相談を締切前夜にしない。兆候の時点で報告。早いほど打ち手がある。
まとめ ― 今日の1枚
新人が感じる「フワフワ」の正体は、能力ではなく、現在地とゴールを知らないことです。5幕のどこにいて、何を作れば終わるのか。それが言えれば、仕事はもう回り始めています。
| 案件に入ったら確認する3点 | 具体的に | なぜ |
|---|---|---|
| ① 現在地 | いま第何幕か | フワフワの正体は、現在地とゴールを知らないこと |
| ② 締切 | 提出日と中間締切(積算渡し・チェック日)をカレンダーに入れる | 設計が1週間遅れても、現場の竣工日は動かない |
| ③ 成果物 | 何を作れば完了かの一覧をもらう | 「実施設計の盤図です。来週の積算渡しに向けてます」と答えられる |
設計の5幕
- 設計の流れは条件→基本→実施→積算→提出の5幕。各幕に成果物がある。
- シリーズで学んだ武器には出番の幕がある(需要率は第2幕、サイズ計算は第3幕…)。
手戻りを防ぐ
- 手戻り4大地雷:条件漏れ・他業種未調整・図面間不整合・駆け込み。前工程の1時間が後工程の1日を救う。
案件に入ったら
- 案件に入ったら:現在地・締切・成果物の3点確認から。
この回には計算式も法令番号も出てきませんが、いちばん実務に効く回かもしれません。知識は幕ごとに出番があり、出番を間違えると使えません。次に「何やってるの?」と聞かれたら、幕の名前と成果物で答えてみてください。それだけで、周りの見る目が変わります。
次回・第20回は実務の道具立て——CAD・作図のきほん。「描く → 拾う → 積む」の入口として、あとで拾える図面の描き方から始めます。お楽しみに!
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