📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。いよいよ最終・第6部「実務の進め方」。知識は揃いました。あとは仕事としてどう回すか。初回は、1つの案件が図面一式になるまでの設計の流れを通しで見ます。

ペンタ
先輩、配属されてから「基本設計」とか「実施設計」とか聞くたびに、今なんの段階なのか分からずフワフワしてます…。
はりた
それ、新人あるあるの筆頭!設計の仕事は5つの幕でできた芝居みたいなもので、幕ごとに作るもの(成果物)が決まってる。全体図を見れば、自分の現在地が一発で分かるよ。

設計の5幕 ― 各幕に成果物がある

条件整理から基本設計・実施設計・積算・提出までの5幕フローと成果物
【図1】設計の流れ5幕。黄色の枠は「シリーズで学んだ武器の出番マップ」
ペンタ
黄色い枠、面白いですね。需要率は第2幕、サイズ計算は第3幕、法規は第5幕…。今まで学んだことに「出番の幕」があるんだ。
はりた
そう、このシリーズは実は5幕の芝居の稽古を、道具ごとにやってきたんだよ。そしてもう一つ大事なのが——各幕の成果物。「いま何の図書を作っているか」を言えれば、上司との会話も段取りも一気にクリアになる。「何やってるの?」に「実施設計の盤図です。来週の積算渡しに向けてます」と答えられたら、もう新人卒業だね。

手戻りの地雷マップ ― 流れを知る本当の目的

手戻りの4大発生ポイントと予防策、2つのカレンダー感覚
【図2】手戻り4大地雷と予防策。下段は新人がまず持つべき2つのカレンダー感覚
ペンタ
「1か所直したら3か所疑う」…。図面って直した1枚だけじゃ終わらないんですね。
はりた
そこが図面仕事の怖さで、プロット図・盤図・計算書・仕様書は数字でつながった一族なんだ。コンセントを1個増やせば、盤の回路が変わり、負荷が変わり、場合によっては幹線まで波及する(第7回の波及チェックの図書版)。だから変更は必ず関連図書へ横展開。これを癖にできた新人は、審査で強い。
ペンタ
図の下の「設計の遅れは、最後は現場の徹夜になる」って…グサッときました。
はりた
施工実務編でやった通り、現場には打設日やボード張りという動かせない締切がある。設計が1週間遅れても現場の竣工日は動かない——しわ寄せは全部後工程に行く。逆に言えば、前工程の1時間が後工程の1日を救う。この想像力こそが「段取り力」の正体だよ。

💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:案件に入ったら最初にやる3つ
新しい案件にアサインされたら——①いま第何幕かを確認 ②提出日と中間締切(積算渡し・チェック日)をカレンダーに入れる ③成果物一覧(何を作れば完了か)をもらう
→ この3つを聞ける新人は「仕事を任せられる」と評価されます。フワフワの正体は、現在地とゴールを知らないことだからです。
📋 実務活用事例:質疑回答は「資産」にする
第5幕の質疑回答は場当たりで返すと後で矛盾します。回答には根拠(第5部の階層)を添えて、回答書として記録・共有。良い質疑回答集は次の案件の設計標準になり、チームの資産になります。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 基本設計と実施設計って、何が「基本」で何が「実施」なの?
基本設計は「方針を決める」段階——系統・容量・主要機器・概算など、建物の骨格に関わる判断をします。実施設計は「工事ができる図面にする」段階——この図面を渡せば職人さんが作れる、という詳細度まで描き込みます。方針の変更は基本設計まで、が原則です。
🐣 積算って設計者の仕事なの?
会社によって分業は違いますが、拾い出し・数量調書は設計部門が担うことが多い仕事です。図面を描いた人が数量に責任を持つ、という考え方ですね。拾い漏れは見積漏れ=赤字工事に直結するので、施工実務編や用語編で覚えた「モノの名前」がここで効いてきます(次回・第20回で道具立てを紹介します)。

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「設計変更って、いつまで受けていいんですか?」と聞いてみた
はりた「幕が進むほど変更コストは跳ね上がる。基本設計中なら線1本、実施設計後半なら図書一式の横展開、着工後なら現場の手戻り(施工実務編②③⑤の締切たち)。だから“変更はいつまでなら安い”を客先に早めに伝えるのもプロの仕事なんだ」
🔎 「チェックって誰が何を見るんですか?」と聞いてみた
はりた「自分→先輩→管理者の多段チェックが基本。自分では図面間の整合(数字の一族)、先輩は設計判断の妥当性、管理者は法規と契約。チェックバック(赤入れ)は宝の山だから、指摘はリスト化して次の案件の自分ルールにしよう」
🔎 「工程が遅れそうなときは、どうすれば?」と聞いてみた
はりた「遅れの兆候が見えた時点で、黙らずすぐ相談——これが鉄則。早く言えば人を足す・範囲を調整する・優先順位を変えるなど手が打てる。締切前夜の告白がいちばん打ち手がない。KY(施工実務編①)の設計版だと思えばいい:危険は先に言葉にする」

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • 現在地を確認せずに作業を始めない:いま第何幕か・成果物は何かを最初に確認。
  • 変更を1枚の図面で完結させない:関連図書へ横展開。「1か所直したら3か所疑う」。
  • 遅れの相談を締切前夜にしない:兆候の時点で報告。早いほど打ち手がある。

まとめ ― 今日の1枚

  • 設計の流れは条件→基本→実施→積算→提出の5幕。各幕に成果物がある。
  • シリーズで学んだ武器には出番の幕がある(需要率は第2幕、サイズ計算は第3幕…)。
  • 手戻り4大地雷:条件漏れ・他業種未調整・図面間不整合・駆け込み。前工程の1時間が後工程の1日を救う
  • 案件に入ったら:現在地・締切・成果物の3点確認から。

次回・第20回は実務の道具立て——CAD・拾い出し・積算の基礎と便利ツール。毎日の作業を時短する武器庫を開きます。お楽しみに!

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
📖次に読むならこれ【新人講座 第20回】CAD・拾い出し・積算のきほん ― 図面はお金に変わる新人教育