新人の学習ルート 3. 図面を読めるようにする
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技術図書館電気設備の図面は答える質問で選ぶ配置図・単線結線図・幹線系統図・器具表の役割、読む順番、場所と系統の往復この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は、連載「照明設備の設計マニュアル」の 第1回 全体フローと必要照度 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
動く図解この記事のポイントを動く図解にまとめました(①4つの図面 → ②ふたつの姿 → ③読む順番 → ④往復・くり返し再生)。ジャンル「図面の読み方・描き方」で見る →
📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

今回から第2部「図面を読めるようになる」に入ります。配属されて最初に渡される分厚い「図面一式」——実はぜんぶ同じ建物を、目的別に切り取ったものです。種類と役割さえ分かれば、怖くありません。

ペン太ペン太
配置図に単線結線図に幹線系統図…同じ建物なのに、なぜ図面が何枚もあるんですか?
ハリタハリタ
それぞれ「答える質問」が違うからです。どこに置くか、どうつながるか、どのルートか、目的が別なんです。

この記事で押さえる3つのこと

  • 配置図はどこに、単線結線図はどうつながる、幹線系統図は縦のルート、器具表は何を何台に答える
  • 同じ回路が、配置図では配線ルート、結線図では1本の線になる
  • 図面一式は単線結線図から読む(大きい話から小さい話へ)
この記事の内容を、ツールで計算する分電盤 単線結線図 作成ツール回路を入れると、単線結線図と相別集計が自動で出ます
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図面は「同じ建物の、別の切り口」

場所 配置図(平面図)。
系統 単線結線図。
縦のルート 幹線系統図。
数量 器具表・盤表。
ここに注意!
「図面の呼び名が違えば、別の図面」ではありません。
配置図・平面図・プロット図、幹線系統図・竪系統図のように、呼び名は会社や案件で揺れます。名前ではなく「何を答える図か」で見分けます。
ペンタ
ペンタ(新人)
はりたさん、案件の図面フォルダを開いたら、配置図、単線結線図、幹線系統図、器具表…と何十枚もあって。どれが何の図面なのか、さっぱりです…。
はりた
はりた(先輩)
最初はみんなそう。でもタネを明かすと、あれは全部「同じ建物」を目的別に切り取った図なんだ。図①を見て。それぞれの図面が「何の質問に答えるか」に注目!
図1 4つの図面の役割マップ:配置図・単線結線図・幹線系統図・器具表が順に光る
図① 同じ建物を目的別に切り取る ― 各図面は「答える質問」が違う
  • ① 配置図(平面図):どこに・何を置く? 建築の平面に電気シンボルを描き込んだ「場所の図」。
  • ② 単線結線図:電気がどうつながる? 盤・ブレーカー・回路の関係を1本線で表す「系統の図」。
  • ③ 幹線系統図:太い幹線が建物をどう通る? 受電から各階の盤までの縦のルート。
  • ④ 器具表・盤表:何を・何台使う? 記号と品名・数量の対応リスト。見積や発注の土台。
図面答える質問どんな図か
① 配置図(平面図)どこに・何を置く?建築の平面に電気シンボルを描き込んだ「場所の図」
② 単線結線図電気がどうつながる?盤・ブレーカー・回路の関係を1本線で表す「系統の図」
③ 幹線系統図太い幹線が建物をどう通る?受電から各階の盤までの縦のルート
④ 器具表・盤表何を・何台使う?記号と品名・数量の対応リスト。見積や発注の土台
ここまでのポイント
  • 分厚い図面一式は、ぜんぶ同じ建物を目的別に切り取った図
  • 注目するのは「その図が何の質問に答えるか」
  • 配置図=場所、単線結線図=系統、幹線系統図=縦のルート、器具表=数量

同じ回路を、2つの図面でたどってみる

配置図 曲がった配線ルート。
結線図 20Aから1本の線。
1本に省略 電線が2〜3本でも1本。
往復 系統と場所を行き来する。
たとえるなら
単線結線図は電車の路線図、配置図は住宅地図
電車の線路は実際には曲がりくねっていますが、路線図では駅のつながりがわかるように、まっすぐな線で描かれます。単線結線図も同じで、実際の電線が2〜3本でも、曲がって配線されていても、つながりだけを1本の線で描きます。どこの角を曲がるかを知りたいときは住宅地図、つまり配置図を開きます。
ここに注意!
「単線結線図の1本の線は、電線1本」ではありません。
単線結線図は、実際の電線が2〜3本でも、つながりが見えるように1本に省略して描く図です。電線1本1本の接続を知りたいときは、複線図や展開接続図を使います。
ペンタ
ペンタ(新人)
「場所の図」と「系統の図」…。同じコンセントが、違う図面に別の姿で出てくるってことですか?
はりた
はりた(先輩)
その通り!これが図面読みのいちばん大事な感覚。図②で、黄色い点=“同じ電気”が2つの図面をどう流れるか見てみて。
図2 配置図と単線結線図の対比:同じ回路を黄色い点が同時にたどる
図② 同じ回路の“ふたつの姿” ― 配置図では配線ルート、結線図では1本の線
ペンタ
ペンタ(新人)
なるほど…配置図だとぐねぐね曲がってる配線が、結線図だと1本にまとまるんですね。
はりた
はりた(先輩)
うん。単線結線図は実際の電線が2〜3本でも、わざと1本に省略して「つながり」を見やすくした図なんだ。だから図面は往復して読む。結線図で系統をつかみ、配置図で場所を確かめる。この往復ができれば、もう図面は怖くないよ。
ペン太ペン太
図面の束を渡されたら、とりあえず配置図から見ればいいですか?
ハリタハリタ
大から小へ、です。結線図→幹線系統図→配置図→器具表の順。全体の骨格から入るのがコツです。
ここまでのポイント
  • 同じ回路が、配置図では配線ルート、結線図では1本の線として現れる
  • この「ふたつの姿」をつかむのが、図面読みでいちばん大事な感覚

新人はこの順番で読もう

系統 STEP1単線結線図。
縦ルート STEP2幹線系統図。
場所 STEP3配置図。
答え合わせ STEP4器具表・盤表。
たとえるなら
大きい話から読むのは、旅行でまず日本地図を見ること
初めての旅行では、いきなり街の細かい地図を見るより、先に日本地図で「どの県のどのあたりか」をつかんだほうが迷いません。図面も同じで、まず単線結線図で建物全体の電気のつながりをつかみ、幹線系統図、配置図、器具表と、だんだん細かい図へ進みます。
ここに注意!
「図面の束を渡されたら、配置図から読めばよい」ではありません。
おすすめは大きい話から小さい話の順です。単線結線図で系統をつかみ、幹線系統図、配置図、器具表・盤表の順に進むと迷いません。

おすすめは「大きい話 → 小さい話」の順です。

  • STEP1:単線結線図 ― 建物全体の電気のつながり(系統)を頭に入れる。
  • STEP2:幹線系統図 ― 太い幹線がどの縦ルート(EPS)を通るか確認。
  • STEP3:配置図 ― 各階の「現場のどこに何があるか」を見る。
  • STEP4:器具表・盤表 ― 数量・仕様の答え合わせ。

💼 この回が実務でこう生きる

  • 「それはどの図面を見れば分かる?」に即座に手が伸びる。
  • 質問が具体的になる(「配置図の3階の、この回路番号なんですが…」)。
  • 図面チェックの基本動作=結線図と配置図の突き合わせができる。
ここまでのポイント
  • 読む順番は大きい話 → 小さい話
  • 単線結線図で系統を頭に入れ → 幹線系統図で縦ルート → 配置図で各階 → 器具表で答え合わせ
  • 「それはどの図面を見れば分かる?」に即座に手が伸びるようになる

📋 実務活用事例|現場からの電話に、図面の“往復”で即答する

電話 どの回路か聞かれる。
場所 配置図でL-3-5。
系統 盤表で20A・3か所。
回答 ほかの2か所も確認を。

ケース:現場から電話。「3階西側のコンセントが使えない。これ、どの回路?」

① 配置図(3階)で該当のコンセントを探す → そばに回路番号「L-3-5」の書き込み。

② 単線結線図・盤表で「L-3盤の5番回路」を確認 → 20Aブレーカー、コンセント3個口の回路と判明。

③ 回答:「L-3盤の5番、20Aの回路です。同じ回路にあと2か所コンセントがあるので、そちらも確認を」——電話1本、数分で解決。

結論:場所(配置図)→ 系統(結線図・盤表)の往復こそ、実務の図面読みの基本動作。今日の内容そのままです。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。

Q.図面に書いてある「S=1/100」って何ですか?
→ 縮尺です。実物の1/100の大きさで描いてあるという意味。図面上の1cmが実際の1mです。

Q.図面って、上が北なんですか?
→ とは限りません!図面には方位記号(Nの矢印)が描かれています。まず方位記号を探すのがクセになると、現場で迷いません。

🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

Q.「平面図」と「配置図」って同じものですか?

A.ほぼ同じ意味で使われることが多いよ。建築の平面図に電気設備を描き込んだものを、会社によって「配置図」「電気平面図」「プロット図」などと呼ぶ。名前より「場所を答える図」という役割で覚えるのがコツ。

Q.単線結線図って、なんでわざわざ1本線に省略するんですか?

A.実際の電線どおりに2〜3本描くと、線だらけで「つながり」が見えなくなるから。系統の理解が目的の図なんだ。逆に、電線1本1本の接続が必要な場面では「複線図」や「展開接続図」という別の図を使うよ(第二種電気工事士の試験でも出てくる!)。

Q.図面の中の「EPS」って何ですか?

A.Electric Pipe Space(またはShaft)=電気配線専用の縦シャフトのこと。幹線系統図の縦ルートは、実際の建物ではこのEPSの中を通っている。配置図で「EPS」と書かれた小部屋を見つけたら、そこが電気の幹の通り道だよ。

Q.単線結線図と複線図は、どう使い分けるんですか?

A.単線結線図は、建物の電気のつながり(系統)をつかむための図で、電線を1本に省略して描きます。複線図は、実際の電線1本1本の接続を描く図で、施工や第二種電気工事士の技能試験で使います。

Q.配置図の「L-3-5」のような回路番号は、どう読むんですか?

A.この記事の例では「L-3盤の5番回路」です。配置図の器具のそばにある回路番号から盤表をたどると、ブレーカーの容量や同じ回路の器具がわかります。番号の付け方は会社・案件で違うので、凡例で確かめます。

💬 はりたから新人さんへ:図面を1枚ずつ完璧に読もうとしないこと。「この図は何の質問に答える図か」だけ押さえて、あとは往復しながら慣れる。3案件も経験すれば、自然に手が動くようになります。
図面で見かける表記・呼び名意味
S=1/100縮尺。実物の1/100の大きさで描いてある(図面上の1cmが実際の1m)
方位記号(Nの矢印)図面の向き。上が北とは限らないので、まずこれを探す
配置図/電気平面図/プロット図ほぼ同じ。建築の平面図に電気設備を描き込んだ「場所を答える図」
幹線系統図/竪系統図呼び名が揺れるだけ。縦のルートを答える図
ここまでのポイント
  • 縮尺は「S=1/100」のように書かれ、図面上の1cmが実際の1m
  • 図面の上が北とは限らない。まず方位記号(Nの矢印)を探す
  • 単線結線図が1本線に省略するのは、線だらけで「つながり」が見えなくなるのを避けるため
ここに注意!
「図面の上は、いつも北」ではありません。
図面の向きは案件ごとに違います。まず方位記号(Nの矢印)を探してから読みます。
ここに注意!
「S=1/100なら、図面の1cmは実際の10cm」ではありません。
S=1/100は、実物の100分の1の大きさで描いてあるという意味です。図面上の1cmは、実際の1mになります。

⚠️ ここだけ注意

図面の呼び名は会社・案件によってかなり揺れます(配置図/平面図/プロット図、幹線系統図/竪系統図…など)。名前が違っても慌てず、「これは何を答える図ですか?」と確認すればOK。それ自体が良い質問です。

ペン太ペン太
読む順番は分かりました。実務で使いこなすコツは何ですか?
ハリタハリタ
場所と系統の往復です。現場からの電話に図面を行き来して即答できれば、頼られる存在になれますよ。

まとめ

結論。図面は覚えるものではなく、質問で引くもの。何を知りたいかが決まれば、開く図面は自動的に決まります。

聞かれたこと開く図面
「どこに何がある?」配置図
「これはどの回路?どこまで停電する?」単線結線図・盤表
「幹線はどの縦ルートを通る?」幹線系統図
「何を何台使う?」器具表・盤表

4つの図面の関係

  • 図面一式は同じ建物を目的別に切り取ったもの(図①)。
  • 配置図=場所/単線結線図=系統/幹線系統図=縦のルート/器具表=数量。
  • 同じ回路が、配置図では「配線ルート」、結線図では「1本の線」で描かれる(図②)。

実務での使い方

  • 読む順番は結線図→幹線系統図→配置図→器具表(大→小)。
  • 実務の基本動作は図面の往復(場所⇄系統)。

図面を1枚ずつ完璧に読もうとしないこと。「この図は何の質問に答える図か」だけ押さえて、あとは往復しながら慣れていけば十分です。

▶ 次回・第5回

電気図記号の読み方 ― コンセント・照明・盤・機器
図面の“文字”にあたる図記号を、頻出のものから一気に覚えます。これが読めれば配置図はもう解読できる!

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
幹線設備の計画のなかで読む
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弱電設備の計画のなかで読む
この内容は、連載「弱電設備の設計マニュアル」の 第1回 全体フローと工事区分・第6回 図面化と拾い でも扱っています。
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引込・受電の計画のなかで読む
この内容は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」の 第6回 工事区分と図面化 でも扱っています。
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動力設備の計画のなかで読む
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。