電気設備の経済ニュース|2026年9月3日号

配信 2026年9月3日 朝7時/木曜は「新技術」を深掘りします

節電要請から30分、誤差±10%で建物が自分で応える。DRの自動制御が、実証から展開の段階に入りました。

本記事は情報提供であり、特定の有価証券の取得・売却を推奨するものではありません。数値は公表時点の速報値です。

2026年9月3日号のまるわかりグラレコ。鹿島建設と三菱電機がデマンドレスポンス要請に応じて建物の電力消費を自動制御するシステムを開発、経済産業省が大規模送電線・大規模電源の融資制度の事前相談を開始、電気銅建値は240万円で据置き。

今号まるわかりグラレコ(当サイト作成)

■ 今日の数字
ドル円 159.69円(9月2日 東京17時値・日本銀行「外国為替市況」/中心相場は160.39円)
電気銅建値 240万円/トン(JX金属 9月1日改定分。9月2日・本日朝とも改定なし=据置き2営業日目)
節電要請から30分間の削減誤差 ±10%(鹿島建設・三菱電機の実証。目標削減量に対する実削減量の差)
■ 昨日からの変化
・ドル円の東京17時値は159円69銭。前営業日の159円98銭から29銭の円高方向でした。9時値は160円20銭で、日中に51銭下げています。
・電気銅建値は9月1日改定の2,400,000円/トンのまま。本日朝の時点で新しい改定の掲載はありません。
・経済産業省が9月1日、大規模送電線・大規模電源に対する融資制度の事前相談の受付を始めました。
・盤の主要機器メーカの納期情報は、本稿執筆時点で確認できた範囲では前号から変化がありませんでした。
新技術

節電要請から30分、誤差±10%で建物が応える

開発発表

鹿島建設株式会社と三菱電機株式会社は8月26日、デマンドレスポンス(DR)の要請に応じて建物の電力消費を自動で最適制御するシステムを開発したと発表しました。電力会社などインフラ側の需給情報と建物側の消費情報をもとに、利用者の快適性と節電量のバランスをAIが繰り返し演算し、設備機器を制御します。

実証は鹿島技術研究所本館(東京都調布市)で行われ、空冷ヒートポンプチラー、外調機、パッケージエアコン、蓄電池1分ごとの演算で制御。節電要請から30分間の電力消費について、実削減量と目標削減量の差が±10%に収まることを確認したとしています。平常時のピークカットにも使えるとしています。

出典:鹿島建設株式会社・三菱電機株式会社 プレスリリース「デマンドレスポンス要請に応じて建物の電力消費を最適制御するシステムを開発」2026年8月26日 https://www.kajima.co.jp/news/press/202608/26a1-j.html (2026年9月3日閲覧)。要約は当サイトによります。

→ 実務メモ 設計者は、DRに応じる建物で「制御される側」になる設備(熱源・空調・蓄電池)と、その計測点を、基本設計の段階で系統図に書き分けておきたいところです。受電点だけの計測では30分値の検証ができない計算になります。制御対象や仕様は物件ごとに異なるため、メーカー・施工者に個別確認を。
新技術

PCS・変圧器・高圧盤を工場で一体化して出荷

量産は2027年

株式会社パワーエックスは8月3日、蓄電所やデータセンターを電力系統につなぐ機器を一つの架台にまとめた「Grid Connector」シリーズを発表しています。パワーコンディショナ変圧器・高圧配電盤を工場で一体化して出荷し、現地の工事は据付と接続作業が中心になる、という設計思想です。蓄電所向けは2.5MVAと5MVAの2モデルで、年末から試作・検証、2027年第3四半期から順次量産の予定。データセンター向けは電力・蓄電・冷却の3ユニット構成で、2027年初頭に試作機を設置するとしています。

ただし所定の事前工事や手続きが済んでいることが前提で、実際の工程は設置条件で変わる、と発表資料に注記されています。

出典:株式会社パワーエックス プレスリリース「蓄電所とデータセンターの系統接続をより早く、シンプルに 『Grid Connector』シリーズを発表」2026年8月3日(2026年9月3日閲覧)。要約は当サイトによります。

→ 実務メモ 蓄電所やデータセンターの施工管理を担当されている方は、一体型ユニットが搬入される前提で、搬入経路・基礎寸法・ケーブルピットの位置をどの段階で確定させるかを工程表に書き込んでおきたいところです。量産前の製品ですので、採用可否と納期は必ずメーカーに個別確認を。

図解1。値上げと補助金・制度・受注期限の残り日数のカウントダウン、および納期情報の更新状況。

図解1 期限のカウントダウンと、納期情報の更新状況(当サイト作成)

電力インフラ

大規模送電線・電源の融資制度、事前相談は9月30日まで

9月1日

経済産業省は9月1日、電気事業法に基づく大規模送電線・大規模電源の整備を支援する融資制度の運用を始めると発表し、事前相談の受付を開始しました。経済産業大臣の認定を受けた事業計画に対し、電力広域的運営推進機関が財政投融資等を活用して資金を貸し付ける仕組みです。対象は①地域間連系線、②地内の基幹送変電設備、③電源の3類型。2026年度中の融資実行を希望する事業者は9月30日までに連絡、2027年度以降の希望は9月30日以降も受け付ける、と案内されています。

出典:経済産業省 ニュースリリース「電気事業法に基づく大規模送電線・大規模電源に対する融資制度について、事前相談の受付を開始しました」2026年9月1日 https://www.meti.go.jp/press/2026/09/20260901002.html (2026年9月3日閲覧)

→ 実務メモ 系統増強や大型電源の計画に関わる設計者・事業担当の方は、手元の案件が3類型のどれに当たるかと、2026年度中の実行を望むかどうかを、今月中に整理しておきたいところです。融資の可否は計画の認定・審査により個別に判断されます。
相場

銅建値は240万円で据置き、ドル円は日中に51銭下げ

据置き

JX金属株式会社の電気銅建値は、9月1日改定の2,400,000円/トンのままです。9月2日と本日朝の時点で改定の掲載はなく、据置き2営業日目になります。ドル円は日本銀行の9月2日分で、9時値160円20銭に対し17時値159円69銭。中心相場は160円39銭でした。

出典:JX金属株式会社ウェブサイト「銅建値」 https://www.jx-nmm.com/cuprice/ (JX金属ウェブサイトへのリンクです)/日本銀行「外国為替市況」2026年9月2日分(いずれも2026年9月3日閲覧)。据置き営業日数は当サイトの日次記録によります。

→ 実務メモ 積算を担当されている方は、9月1日改定分を反映した見積が出せているかを確認し、有効期限が9月中に切れる案件を先に洗い出しておきたいところです。建値は素材の指標で、調達価格には加工費と流通コストが乗ります。
■ 逆算に使えるツール:資材の発注リミット逆算ツール(https://denkisekkei.com/?p=1418)。会員登録は不要で、無料でお使いいただけます。
※「セコサポ(denkisekkei.com)」は、当サイト「HARITAの設計室」と同一の運営者による姉妹サイトです。

図解2。9月の確定した公表日・締切日の一覧と、電気設備の実務クイズ。

図解2 今週〜月末の確定スケジュールと、今日の1問(当サイト作成)

出典一覧

  1. 鹿島建設株式会社・三菱電機株式会社 プレスリリース「デマンドレスポンス要請に応じて建物の電力消費を最適制御するシステムを開発」2026年8月26日 https://www.kajima.co.jp/news/press/202608/26a1-j.html (2026年9月3日閲覧)
  2. 株式会社パワーエックス プレスリリース「蓄電所とデータセンターの系統接続をより早く、シンプルに 『Grid Connector』シリーズを発表」2026年8月3日(同日閲覧)
  3. 経済産業省 ニュースリリース「電気事業法に基づく大規模送電線・大規模電源に対する融資制度について、事前相談の受付を開始しました」2026年9月1日 https://www.meti.go.jp/press/2026/09/20260901002.html (同日閲覧)
  4. JX金属株式会社ウェブサイト「銅建値」 https://www.jx-nmm.com/cuprice/ (JX金属ウェブサイトへのリンクです。同日閲覧)
  5. 日本銀行「外国為替市況」2026年9月2日分(同日閲覧)
  6. 一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募情報(3次公募)」(同日閲覧)
  7. パナソニックEWネットワークス株式会社「ネットワーク機器価格改定について」2026年7月15日/コイズミ照明株式会社「照明器具の価格改定について」(同日閲覧)
  8. 政府統計の総合窓口(e-Stat)「公表予定一覧」2026年9月分(2026年9月2日閲覧)
  9. 一般社団法人日本配電制御システム工業会ウェブサイト「電用品等調達困難に伴うご協力・ご支援のお願い」(2026年9月3日閲覧)

ご注意

  1. 本記事は公表資料をもとにした情報提供であり、特定の有価証券の取得・売却を推奨するものではありません。本文中の企業名は公表資料の発表主体として記載したものです。
  2. 数値はいずれも公表時点の速報値です。訂正・改定が入る可能性があります。
  3. 新技術として取り上げたシステム・製品は、発表時点で実証または量産前の段階のものです。性能・仕様・提供時期は今後変わる可能性があります。
  4. 補助金・融資制度について、申請できるかどうかは申請者要件・設備要件・計画の認定により個別に判断されます。当サイトは申請手続きの代行・受任を行いません。必ず最新の公募要領と執行団体・所管官庁でご確認ください。
  5. 値上げ率・起算点・経過措置の条件は各社が公表した時点のものです。適用条件は取引先・契約により異なりますので、必ず個別にご確認ください。
  6. 納期・期限に関する記述は計算上の目安です。実際のリードタイムは型式・数量・時期で変わるため、必ずメーカー・商社に個別にご確認ください。
  7. グラレコ・図解・アイキャッチはすべて当サイトが作成した図であり、他社の図表・グラフ・製品画像は含んでいません。電気銅建値は本日値と直近の改定分のみを掲載しています。系列グラフ・指数・ヒートマップは、当サイト自身の日次記録が所定の日数に達するまで休止しています。
  8. 「本稿執筆時点で確認できた範囲では」と記した事項は、確認できなかっただけで存在しないことを意味するものではありません。

次回配信:2026年9月4日(金)朝7時/金曜は「今週の値動きまとめ」を深掘りします。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。