第6回 配管工事とケーブル工事の違い
防爆の配線は金属管工事かケーブル工事による。管の中で止めるか、機器の引込口で止めるか。要点・弱点・使い分け、そして選んだ時点で決まる点検項目まで整理する。
防爆の配線は、金属管工事かケーブル工事のどちらかによります。違いは施工のしやすさではなく、ガスの通り道をどこで止めるかです。そしてその選択は、そのまま引渡し後の点検項目を決めることになります。
結論
配管は管の中で止め、ケーブルは機器の引込口で止めるどちらが優れているという話ではない。選んだ側の弱点を、点検で潰すことになる。
- 金属管は中が空洞なので、シーリングフィッチングで途中を止める必要がある。
- ケーブルは外装が連続しているので、止めるべきは引込口の一点。担い手はケーブルグランド。
- 配管は管が機械的保護と接地経路を兼ねる。ケーブルはそれを別に用意する。
- 弱点は、配管が「充てん忘れが見えない」こと、ケーブルが「グランドの緩み」。
止める場所が違う
可燃性ガスが存在する場所の低圧屋内配線は、金属管工事かケーブル工事によることとされている。どちらも「危険な雰囲気を電気設備の内部へ通さない」という目的は同じだが、止める場所と担い手が違う。
金属管工事では、管そのものが防爆の一部になる。ただし管の中は空洞なので、ガスが管を伝って移動し、内部で爆発が起きればその圧力も伝わる。だから途中で止める仕掛けが要る。それがシーリングフィッチングである。
ケーブル工事では、ケーブルの外装が連続しているため、管のような空洞がない。止めるべきは、ケーブルが機器に入る一点だけになる。その役目を担うのがケーブルグランドである。
- 低圧屋内配線は、金属管工事かケーブル工事による。
- 金属管は中が空洞で、ガスと圧力が伝わる。
- ケーブルは外装が連続していて、止めるのは引込口の一点。
配管工事の要点
💡 管とねじ込み、そしてシールの位置
ここが崩れると、防爆として成立しません。
- 電線管は薄鋼電線管、またはこれと同等以上の強度を持つものによる。
- 管相互および管と機器の接続は、完全ねじ部で5山以上ねじ合わせる。爆発等級3およびIICの場所では6山以上とされる。
- カップリングによる送り接続は行わない。ユニオンカップリングなど、あとから外せる継手を使う。
- 分岐や端末処理をする防爆機器との間、および危険場所どうし・危険場所と非危険場所の境界にシーリングフィッチングを設ける。境界に隔壁がある場合は、いずれか一方の3m以内とされる。
- 電動機の接続部など可とう性が必要な箇所は、耐圧防爆型または安全増防爆型のフレキシブルフィッチングによる。
現場で最も見つけにくい不具合が、シーリングフィッチングの充てん忘れである。金具は付いていても中が空なら、シールとして何も働いていない。外観では判別できないので、充てん作業の写真を残す運用にしておきたい。
- ねじ込みは5山以上(IICは6山以上)。
- 送り接続は不可。外せる継手を使う。
- 充てん忘れは外から見えない。写真を残す。
ケーブル工事の要点
⚠️ グランドは機器と一体で評価されている
現場で汎用品に替えた時点で、その機器は防爆として成立しなくなります。
- ケーブルは、キャブタイヤケーブル以外のケーブルによる。
- 引込口には機器付属のケーブルグランドを使い、メーカー指定のトルクで締め付ける。
- 未使用の引込口は、指定の閉止プラグで塞ぐ。テープや汎用のプラグでは代わりにならない。
- 外傷を受けるおそれのある場所では、鋼板製のダクト(1.2mm以上)やラック(1.6mm以上)、保護管で保護する。露出のサドル留めだけの配線は認められない。
- 異なる危険場所の間、危険場所と非危険場所の間は、シール材や砂詰めなどでガスの流動を止める。防火区画の貫通は認定工法による。
グランドが機器の一部として型式検定を受けている、という点は見落とされやすい。ケーブル外径が合わないからと汎用のグランドに交換すると、書類上は防爆機器でも、実物は防爆として成立しない状態になる。外径が合わない場合は、ケーブルの側を選び直すのが筋である。
- グランドは機器付属のものを、指定トルクで締める。
- 外径が合わないなら、ケーブルの側を選び直す。
- 未使用の引込口は、指定の閉止プラグで塞ぐ。
比べてみる
| 配管(金属管)工事 | ケーブル工事 | |
|---|---|---|
| 止める担い手 | シーリングフィッチング+ねじ込み | ケーブルグランド+ケーブル外装 |
| 機械的な保護 | 管そのものが保護になる | ダクト・ラック・保護管で別に用意する |
| 接地 | 管が接地経路を兼ねる | 接地線または遮へい層で別に確保する |
| 施工の手間 | 大きい(ねじ切り、据付、充てん) | 小さい |
| 増設・改修 | しにくい | しやすい |
| 弱点 | 充てん忘れが外から見えない | 振動によるグランドのゆるみ |
| 向く場所 | 外力・熱を受ける場所、機器の直近 | 本数が多い区間、将来変更のある区間 |
どちらが優れているという話ではない。条件に合わせて選び、選んだ側の弱点を点検で潰すことになる。
- 配管は手間が大きいが、保護と接地を兼ねる。
- ケーブルは速いが、保護と接地を別に用意する。
- 弱点が違うので、点検で見る場所も変わる。
現場ではどう分けるか
💡 幹線はケーブル、機器の直近だけ管
この組み合わせが多くなります。
新設のプラントでも、全線を管で通すことは少ない。本数の多い幹線はケーブルラックで引き、危険場所に入ってから、あるいは機器の直近だけを管にする。判断の分かれ目は次のあたりになる。
既設の改修では、既設の工法に合わせるのが原則になる。管とケーブルが混在すると、境界の処理が増え、点検の手順も二重になる。どうしても混在させるなら、境界をどこに置くかを図面で決めてから着工したい。
| 判断のポイント | 配管が向く | ケーブルが向く |
|---|---|---|
| 機械的な外力 | 通路、車両の動線、可動部の近く | 外力を受けない区間 |
| 熱 | 高温の配管や輻射熱の近く | 常温の環境 |
| 本数 | 少ない(機器の直近だけ) | 多い(盤への引込、計装の多点) |
| 将来の改造 | 予定がない | 増設・変更が見込まれる |
| 既設の工法 | 既設が配管 | 既設がケーブル |
- 新設でも、全線を管で通すことは少ない。
- 既設の改修では、既設の工法に合わせるのが原則。
- 混在させるなら、境界を図面で決めてから着工する。
💡 この回のまとめ
配管かケーブルかは、施工の都合だけの話ではない。選んだ時点で、その設備が使われるあいだ続く点検項目まで決まる。施工の手間と、そのあと何十年の保守を並べて比べたい。
よくある質問
防爆の配線は、配管とケーブルのどちらですか?
可燃性ガスが存在する場所の低圧屋内配線は、金属管工事かケーブル工事によることとされています。どちらでもよいのではなく、条件に合わせて選び、選んだ側の弱点を点検で潰すことになります。
配管とケーブルで、何がいちばん違いますか?
ガスの通り道を止める場所です。金属管工事は管の中をシーリングフィッチングで止め、ケーブル工事は機器の引込口をケーブルグランドで止めます。管の中は空洞なので途中で止める仕掛けが要りますが、ケーブルは外装が連続しているため、止めるべきは引込口の一点になります。
どちらが安いですか?
施工の手間は配管のほうが大きく、ねじ切り・据付・充てんの工数がかかります。ただし配管は管そのものが機械的保護と接地経路を兼ねるため、ケーブル工事ではダクトやラック、接地線を別に用意することになります。本数と将来の改造の頻度で逆転します。
将来の増設を考えるとどちらですか?
ケーブル工事のほうが改修しやすくなります。配管は経路が固定され、増設のたびにねじ切りとシールの追加が要ります。逆に、機械的外力や熱を受ける場所では配管が向きます。
配管の弱点は何ですか?
シーリングフィッチングの充てん忘れが外から見えないことです。金具は付いているのに中が空、という状態は完成検査では見つかりません。充てん作業の写真を残す運用が対策になります。
ケーブルの弱点は何ですか?
振動によるケーブルグランドの緩みです。緩んでケーブルが動くようになると、シール性能が落ちます。増し締めの記録を残し、点検項目に入れておきます。
本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。実際の施工にあたっては、適用される指針の版、発注者の仕様書、および所轄官庁の指導に従ってください。



