照明図・器具表・照度計算書の読み方|lm・W・K・Ra・UGR・保守率と建築化照明の記号を分解する【図面の見方・読み方③】
器具表の 5,200lm・34.6W・5000K・Ra83、計算書の 保守率 0.75、備考の UGR 19 以下――照明図には、単位の違う数字が並びます。平面図・器具表・照度計算書の 3 枚を行き来しながら読むのが照明図の読み方で、数字はそれぞれ行き先が違います。この記事では、器具表の列、光束法の式、JIS の基準、グレアの種類、建築化照明の 5 つを、図で分解します。
結論
照明図は平面図・器具表・照度計算書の 3 点セット。器具表は明るさは lm、電気は W、色味は K、色の見え方は Raで読み、計算書は E = F × N × U × M ÷ A の前提値(照明率 U・保守率 M)を先に見ます。
- 事務室の目安は 750lx・UGR 19 以下・Ra 80 以上(JIS Z 9110)
- JIS の照度は維持照度。保守率を掛けた値で比べる
- グレアは「直接・反射」×「不快・減能」。UGR は不快グレアの指標
- 建築化照明は光の向きで区別。仕上がりは納まり寸法で決まる
- 照明図はどの図書を見ればいい?
- lm・W・K・Ra はそれぞれ何?
- 照度計算書の式と保守率は?
- 何 lx あれば足りる?
- グレアと UGR は何?
- コーブ・コーニスはどう違う?
- 実際の器具表を読むには?
照明図は「平面図・器具表・照度計算書」の3点セット
照明の図面は 1 枚では読めません。平面図に器具の位置と記号があり、器具表にその記号の中身があり、照度計算書にその器具で明るさが足りる根拠があります。3 枚を行き来しながら読むのが、照明図の読み方です。
| 図書 | 書いてあること | 読むときの入口 |
|---|---|---|
| 照明平面図 | 器具の位置・記号・回路番号・スイッチ系統 | 記号(A1、B2…)と傍記の小文字(a、b…=スイッチ系統) |
| 器具表(器具リスト) | 記号ごとの種別・光束・電力・色温度・演色性・配光・数量 | 記号で平面図と突き合わせる |
| 照度計算書 | 部屋ごとの平均照度と、その計算の前提(照明率・保守率) | 計算結果より先に、前提値を見る |
平面図の記号は JIS C 0303 の図記号がもとで、一般照明は円、蛍光灯形は長方形、黒く塗りつぶした記号は非常用照明、というように形で種類が分かります。頻出記号は新人講座 第5回にまとめています。この記事は、その記号の先にある器具表と計算書の数字を読むための回です。
- 照明図は平面図・器具表・照度計算書の 3 点で読む
- 入口は「記号」。平面図と器具表を記号で突き合わせる
- 計算書は結果より先に前提値(照明率・保守率)を見る
器具表の列を読む ― lm・W・K・Ra・配光
器具表の 1 行は、最初の図のとおり 8 つほどの列でできています。数字の列は 4 つ。lm(光束)・W(電力)・K(色温度)・Ra(演色性)です。それぞれ何を表し、どこへつながるかを並べます。
| 列 | 単位 | 意味 | 行き先 |
|---|---|---|---|
| 定格光束(器具光束) | lm(ルーメン) | 器具から出る光の量。LED 器具は「器具光束」で表すのが今の主流 | 照度計算書の F |
| 消費電力 | W | 器具が使う電力。LED 電源(ドライバ)の損失込み | 分電盤の負荷計算・回路分け |
| 色温度 | K(ケルビン) | 光の色味。数字が低いほど暖かい色 | 内装・用途との相性(下表) |
| 演色性 | Ra | 色の見え方の忠実さ。100 が基準光と同じ | 事務室は Ra80 以上が目安。物販・美術は 90 以上 |
| 配光 | ― | 光の広がり方。幅広・集光・ウォールウォッシャなど | 器具間隔・グレア・壁面の明るさ |
| 固有エネルギー消費効率 | lm/W | 光束 ÷ 電力。大きいほど効率が良い | 省エネ基準(建築物省エネ法)の根拠 |
| 区分 | 色温度の範囲 | 見え方 | よく使う場所 |
|---|---|---|---|
| 電球色(L) | 2600〜3250 K | 暖かいオレンジ寄り | 住宅・ホテル・飲食 |
| 温白色(WW) | 3250〜3800 K | やや暖かい | ロビー・待合 |
| 白色(W) | 3800〜4500 K | 中間 | 倉庫・作業場 |
| 昼白色(N) | 4600〜5500 K | 自然光に近い | 事務室・学校・店舗 |
| 昼光色(D) | 5700〜7100 K | 青白い | 工場の検査・製図 |
ハリタ
ハリタ- 明るさは lm、電気は W。LED では別々に読む
- K は色味(5000K=昼白色)、Ra は色の見え方(事務室 80 以上)
- lm/W は効率。省エネ基準の根拠になる
照度計算書 ― 光束法の式と、保守率・照明率
照度計算書の多くは光束法で書かれています。式は E = F × N × U × M ÷ A。1 台の光束 F に台数 N を掛け、部屋の形と反射率で決まる照明率 Uと、汚れや劣化を見込む保守率 Mを掛けて、床面積 A で割ると、水平面平均照度 Eが出ます。
| 記号 | 名前 | どこから来る値か | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| F | 光束(lm) | 器具表の定格光束 | 器具光束かランプ光束かで数字が変わる |
| N | 台数 | 器具表の数量 | 平面図の個数と一致しているか |
| U | 照明率 | 室指数(部屋の縦・横・高さ)と天井・壁・床の反射率から、器具メーカーの表で引く | 反射率の前提(例 70・50・10%)が実際の内装と合っているか |
| M | 保守率 | 器具の種類と使用環境で決める。LED では 0.7〜0.8 程度 | 値が大きいほど照度が高く出る。根拠(メーカー資料)を確認 |
| A | 面積(m²) | 部屋の床面積 | 作業面の高さ(机上 0.8m など)も併記される |
⚠️ 計算書の「答え」だけ比べてはいけない
2 社の照明提案で片方が 550lx、片方が 600lx と出ていても、保守率を 0.7 と 0.8 で置いているだけ、ということがあります。読むべきは前提値が同じかです。前提が違えば、答えの比較に意味はありません。
- 光束法:E = F × N × U × M ÷ A
- U は部屋の形と反射率、M は汚れ・劣化の見込み
- 結果の lx より先に、U と M の前提値を確認する
照度基準と UGR ― JIS Z 9110 で「足りているか」を読む
計算書の結果が「足りているか」は、JIS Z 9110(照明基準総則)と突き合わせて判断します。部屋の用途ごとに推奨照度が決まっていて、多くの計算書は基準値を隣に書いています。あわせてUGR(統一グレア評価値)の上限も定められています。
| 場所(事務所) | 推奨照度(lx) | UGR の上限 | Ra の下限 |
|---|---|---|---|
| 事務室・設計室 | 750 | 19 | 80 |
| 会議室・集会室 | 500 | 19 | 80 |
| 受付 | 300 | 22 | 80 |
| 廊下 | 100 | ― | 40 |
| 階段 | 150 | ― | 40 |
数字の読み方で迷いやすいのが「750lx は作業面の平均か、最低か」です。JIS Z 9110 の値は維持照度――使い続けている間、平均で下回らないようにする値――です。だから計算書は保守率 M を掛けた「新品でない状態」の照度で比べます。
- 足りているかは JIS Z 9110 の推奨照度と突き合わせる
- 事務室は 750lx・UGR 19 以下・Ra 80 以上が目安
- JIS の値は維持照度。保守率を掛けた値で比べる
グレアの種類 ― 直接・反射、不快・減能、そして UGR
「グレア」はまぶしさのことですが、用語集に 5 つも並んでいるのは、分け方が 2 軸あるからです。1 つ目は光がどこから来るか。光源が直接目に入るのが直接グレア、机やモニターで跳ね返ってから目に入るのが反射グレア(間接グレアとも呼びます)。2 つ目は何が起きるか。見えてはいるが不快なのが不快グレア、まぶしくて見えなくなるのが減能グレアです。
UGRは、このうち不快グレアを 10〜28 の数値にしたもので、小さいほどまぶしくありません。器具表や計算書に「UGR 19 以下」と書かれていたら、事務室の上限を満たす器具・配置だと読めます。UGR は器具単体の値ではなく、部屋の大きさ・器具の配置・見る位置で変わるので、計算書に前提が書かれています。
💡 モニター作業の部屋で見るのは反射グレア
UGR が 19 以下でも、モニターに器具が映り込めば反射グレアで作業しにくくなります。器具表の配光欄に「低輝度」「OA 対応」「ルーバー付」とあれば、反射グレア対策の器具です。平面図で、机の向きと器具の並びが直交しているかも合わせて見ます。
- グレアは「直接・反射」×「不快・減能」の 2 軸で分ける
- UGR は不快グレアの指標。10〜28 で小さいほど良い。事務室は 19 以下
- モニター作業では反射グレア(器具の映り込み)を別に見る
建築化照明の記号 ― コーブ・コーニス・バランス・コファ・光天井
器具表の備考に「コーブ用」「コーニス用」と書かれ、平面図では線状の記号だけ、という照明があります。建築化照明――天井や壁に器具を組み込んで、器具そのものを見せない手法です。5 つの違いは、断面図で光の向きを見れば分かります。
| 名前 | 器具の場所 | 光の向き | 見え方 |
|---|---|---|---|
| コーブ照明 | 壁の上部の棚(折り上げ)の中 | 上向き。天井を照らす | 天井がふわっと明るく、空間が高く見える |
| コーニス照明 | 天井際の幕板の裏 | 下向き。壁を照らす | 壁面が明るく、奥行きが出る |
| バランス照明 | 壁の中段の幕板の裏 | 上下両方 | 壁を上下に照らす。窓まわりに多い |
| コファ照明 | 天井のくぼみ(折り上げ格子)の中 | 下向き | 天井の凹みごとに明るさの塊ができる |
| 光天井 | 天井全面の拡散パネルの内側 | 下向き・全面 | 天井そのものが光る。影が出にくい |
建築化照明は、器具の明るさ(lm)より納まりの寸法で仕上がりが決まります。幕板が低ければ器具が見えてしまい、棚が浅ければ天井に光の縞ができます。図面を読むときは、器具表と断面詳細図をセットで見ます。
- 建築化照明は「光の向き」で 5 つを区別する
- コーブは上向き(天井)、コーニスは下向き(壁)、バランスは上下
- 仕上がりは器具より納まりの寸法で決まる。断面詳細図とセットで読む
実例 ― 器具表の1行と計算書の1行を読む
最初の図の 1 行、A1:LED ベースライト 40 形、5,200lm・34.6W・5000K・Ra83・幅広配光・24 台を読み下すと、「昼白色で色の見え方は事務室向き、1 台 5,200lm を 24 台」。計算書は E = 5,200 × 24 × 0.65 × 0.75 ÷ 120 ≒ 507lx。基準の 750lx に足りないので、台数か器具を変える検討が続く――ここまで読めれば、照明図は「読めた」と言えます。
💡 照明図を読んだあとに照合する3つ
- 平面図の台数 = 器具表の数量 = 計算書の N 3 枚で数が合っているか
- 計算書の前提値 照明率の反射率と保守率が、内装仕様と器具メーカー資料に合っているか
- JIS Z 9110 照度・UGR・Ra が用途の基準を満たしているか
3 回にわたって、盤図のブレーカー・配線表記・照明図の数字を分解してきました。共通しているのは、表記は部品に分ければ読めること、そして読んだら別の図書と照合することです。用語集の各カードから、この 3 本の記事へ戻れるようにしてあります。
よくある質問
器具表の lm と W はどちらが明るさですか?
lm(ルーメン)が明るさ、W(ワット)が電力です。LED では同じ W でも lm が製品ごとに違うため、明るさは lm で読み、W は電気代や分電盤の負荷計算に使います。
保守率とは何ですか?
器具の汚れや光源の劣化で明るさが落ちる分をあらかじめ見込む係数です。LED 器具では 0.7〜0.8 程度が目安で、器具の種類と使用環境で決めます。値が大きいほど計算上の照度は高く出るため、根拠を確認します。
事務室は何 lx 必要ですか?
JIS Z 9110:2010 では事務室・設計室の推奨照度は 750lx、UGR の上限は 19、Ra の下限は 80 です。この値は維持照度(使い続けている間に平均で下回らない値)なので、保守率を掛けた計算値と比べます。
UGR とは何ですか?
統一グレア評価値(Unified Glare Rating)で、不快グレアを 10〜28 の数値にしたものです。小さいほどまぶしくありません。部屋の大きさ・器具の配置・見る位置で変わるため、器具単体ではなく部屋ごとに計算します。
コーブ照明とコーニス照明の違いは何ですか?
コーブ照明は壁上部の棚に器具を置いて天井を上向きに照らす方法、コーニス照明は天井際の幕板の裏に器具を置いて壁を下向きに照らす方法です。光の向きが逆で、コーブは天井、コーニスは壁が明るくなります。
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