変圧器の銘板や単線結線図、遮断器の計算書に出てくる「%Z」「%インピーダンス」。用語集では一言で説明されますが、何のパーセントなのか、どうやって短絡電流を出すのか、電源側の影響をどう足すのかまでは分かりにくい言葉です。この記事は、この3つだけにしぼって、計算例つきで説明します。

ペン太ペン太
変圧器の銘板に「%Z 4.2」って書いてありました。何のパーセントなんですか?
ハリタハリタ
変圧器の中の「流れにくさ」を割合で表した数字だよ。短絡電流を計算するときの出発点なんだ。
はじめての方へ:まず言葉の意味
変圧器の銘板に書かれたパーセントインピーダンスが4パーセントなら、ショートしたとき定格の25倍の電流が流れるので、それを切れる遮断容量の遮断器を選ぶ、ということを3コマで示す動く図解
ひとことで言うと
「%インピーダンス(%Z)」は、変圧器などの中の「電気の流れにくさ」を割合で表した数字。小さいほど、ショートしたときに大きな電流が流れます。
読み方
パーセントインピーダンス/パーセントゼット/パーセントインピーダンスほう
どこで出てくる?
変圧器の銘板やカタログ、単線結線図の変圧器まわり、遮断器の遮断容量の計算書、電験の計算問題。

結論

%インピーダンス(%Z)は、定格電流を流すのに要る電圧が、定格電圧の何%かを表す数字です。短絡電流は定格電流×100÷%Zで出せ、%Zが小さいほど大きくなります。電源や変圧器の%Zは、同じ基準容量にそろえれば足せる(%インピーダンス法)。

  • %Zは、二次側をショートした試験で決まる「流れにくさ」の割合
  • 500kVA・210V・%Z 4%なら、短絡電流は約34.4kA(電源側を無限大とした場合)
  • 新しい%Z=元の%Z×基準容量÷機器の容量。そろえてから足す
  • 受電点100MVAを入れると約30.5kA。遮断器の遮断容量はこれで選ぶ

この記事に出てくる言葉

読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。

言葉 読み方 やさしい説明
インピーダンス ― 交流の電気の流れにくさ。抵抗とリアクタンスを合わせたもの。単位はΩ。
定格電流 ていかくでんりゅう その機器が、ふだん流してよいと決められた電流。
短絡(ショート) たんらく 電線どうしが、器具を通らずに直接つながってしまうこと。
短絡電流 たんらくでんりゅう ショートしたときに流れる、とても大きな電流。数千〜数万Aになる。
遮断容量 しゃだんようりょう 遮断器が安全に切れる、いちばん大きな電流(kA)。
短絡容量 たんらくようりょう ショートしたとき電源側から送り込まれる電力の大きさ(MVA)。受電点の値は電力会社に聞く。
基準容量 きじゅんようりょう %Zを足し合わせるときに、そろえる共通の容量(10MVAなど)。
kVA・MVA キロブイエー・メガブイエー 変圧器などの容量の単位。1MVA=1,000kVA。
先に理解しておきたいこと

「%インピーダンス」を理解するために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。

1

電気には「流れにくさ」がある

電線や変圧器の中には、電気の流れをじゃまするもの(インピーダンス)があります。電流の大きさは、電圧÷インピーダンスで決まります。

2

ショートすると、じゃまするものが一気に減る

ふだんは照明やモーターなどの器具が電流をおさえていますが、ショートすると、電源の中と電線のインピーダンスしか残りません。そのため、とても大きな電流が流れます。

3

割合にすると、大きさのちがう機器を比べて足せる

Ωのままだと、電圧や容量がちがう機器どうしを比べにくくなります。定格に対する割合(%)にして、基準をそろえれば、比べたり足したりできます。

%インピーダンスは、何のパーセント? ― 定格電流を流すのに要る電圧

ペン太ペン太
流れにくさなのに、どうしてパーセントなんですか?
ハリタハリタ
二次側をショートして、定格電流を流すのに定格電圧の何%が要るかで表すのさ。4%なら、ほんの少しの電圧で定格電流が流れるってことなんだ。

変圧器の二次側をショートさせ、一次側にかける電圧を0から少しずつ上げていくと、ある電圧で二次側に定格電流が流れます。このときの電圧が、定格電圧の何%かを表したのが%インピーダンス(%Z)です。4%なら、定格電圧のたった4%で定格電流が流れる、という意味です。

%Z定格電流を流す電圧の割合
試験二次側をショート
小さいほど短絡電流が大きい
式定格×100÷%Z

逆にいえば、ショートした状態で定格電圧(100%)がかかると、電流は定格の100÷4=25倍になります。%Zが小さいほど、短絡電流は大きくなります。%Zは変圧器ごとに決まっていて、銘板やカタログに書かれています。

たとえるなら
%Zは、水道管の「細さ」を割合で表したもの
蛇口を全開にした(ショートした)とき、どれだけ水が出るかは、管の細さで決まります。管が太い(%Zが小さい)ほど、一気にたくさん流れます。%Zは、その管の細さを「ふだんの水量を流すのに必要な水圧の割合」で表した数字です。
ここに注意!
「%Zが小さいほど、よい変圧器」ではありません。
%Zが小さいと電圧降下は小さくなりますが、短絡電流が大きくなり、遮断容量の大きい(高価な)遮断器が必要になります。変圧器を入れ替えるときは、%Zの変化で下流の遮断器が足りなくならないかを確かめます。
ここまでのポイント
  • %Zは、定格電流を流すのに要る電圧の割合
  • ショート試験で決まり、銘板に書かれている
  • %Zが小さいほど、短絡電流は大きい

%Zから短絡電流を出す ― 定格電流×100÷%Z

ペン太ペン太
じゃあ、%Zから短絡電流がすぐ分かるんですか?
ハリタハリタ
定格電流×100÷%Zで出せるよ。4%なら定格の25倍。遮断器の遮断容量はこれで選ぶんだ。

電源側(電力会社の側)を、いくらでも電流を送れる無限大とみなすと、短絡電流は次の式で出せます。

短絡電流 = 定格電流 × 100 ÷ %Z

ステップ1定格電流約1,375A
ステップ2100÷4=25倍
ステップ3約34.4kA
使いみち遮断容量を選ぶ
項目 式 値
定格電流(三相) 容量 ÷ (√3 × 電圧) 500,000 ÷ (√3 × 210) = 約1,375A
倍率 100 ÷ %Z 100 ÷ 4 = 25倍
短絡電流 定格電流 × 倍率 1,375 × 25 = 約34,400A(34.4kA)

主幹の遮断器は、この短絡電流を切れる遮断容量(kA)のものを選びます。盤図に「25kA」「35kA」と書かれている数字がそれです(盤図のブレーカー表記の読み方)。

たとえるなら
短絡電流は、ダムが決壊したときの水の量
ふだん流れている水(定格電流)の何倍が一気に押し寄せるかを、%Zで見積もります。%Z 4%なら、ふだんの25倍です。
ここに注意!
「遮断器は、定格電流(AT)で選べば十分」ではありません。
遮断器には、短絡電流を切れる力(遮断容量・kA)も必要です。短絡電流が遮断容量を超えると、遮断器が切れずに壊れることがあります。
ここまでのポイント
  • 短絡電流=定格電流×100÷%Z
  • 500kVA・210V・4%なら約34.4kA
  • 遮断器は、遮断容量(kA)がこれを上回るものを選ぶ


%インピーダンス法 ― 基準容量にそろえて足す

ペン太ペン太
電力会社側の影響は、考えなくていいんですか?
ハリタハリタ
そこで%Z法の出番さ。受電点の短絡容量も%Zに直して、同じ基準にそろえて足すんだ。

実際には、電源側も無限大ではありません。電力会社の配電線にもインピーダンスがあり、受電点の短絡容量(MVA)として電力会社に聞くことができます。電源側と変圧器を1本の道として計算するのが%インピーダンス法(%Z法)です。

受電点10MVA基準で10%
変圧器10MVA基準で80%
合計90%
短絡電流約30.5kA
もの もとの値 10MVA基準の%Z
受電点 短絡容量 100MVA 10 ÷ 100 × 100 = 10%
変圧器 500kVA・%Z 4% 4 × 10,000 ÷ 500 = 80%
合計 直列なので足す 90%

10MVAを210Vで流したときの基準電流は約27,500Aなので、短絡電流は27,500×100÷90=約30.5kAです。電源側を無限大とした34.4kAより、少し小さくなります。ケーブルや複数の盤まで含めて計算するときは、セコサポの短絡電流・遮断容量 計算ツールで、同じ%Z法を使って各盤の短絡電流と必要な遮断容量を出せます。

ここに注意!
「%Zは、そのまま足せる」とは限りません。
足せるのは、同じ基準容量にそろえたあとだけです。500kVAで4%と、100MVAの受電点の%Zを、そのまま足してはいけません。
ここまでのポイント
  • 電源側は、受電点の短絡容量を%Zに直す
  • 新しい%Z=元の%Z×基準容量÷機器の容量
  • 同じ基準にそろえれば、直列のものは足せる

まとめ|結論

結論

%インピーダンス(%Z)は、定格電流を流すのに要る電圧の割合で、短絡電流は定格電流×100÷%Zで出せます。電源側も入れるときは、受電点の短絡容量と変圧器の%Zを同じ基準容量にそろえて足す%インピーダンス法を使います。遮断器は、こうして出した短絡電流を切れる遮断容量のものを選びます。

短絡電流を確かめるときは、この順で見ます。

  1. 受電点の短絡容量(MVA)を電力会社に確かめる
  2. 変圧器の容量(kVA)と%Zを、銘板やカタログで確かめる
  3. 同じ基準容量にそろえて足し、短絡電流を出す
  4. 主幹・分岐の遮断器の遮断容量(kA)が、それを上回っているか


よくある質問

%インピーダンス(%Z)とは何ですか?

変圧器などの内部インピーダンスを、定格電圧に対する割合(%)で表した値です。二次側をショートさせて定格電流を流すのに要る電圧が、定格電圧の何%かを表します。変圧器の銘板やカタログに書かれています。

%Zから短絡電流はどう求めますか?

電源側を無限大とみなせば、短絡電流=定格電流×100÷%Zです。たとえば500kVA・210V・%Z 4%の変圧器なら、定格電流約1,375A×25=約34.4kAになります。

%Zが小さい変圧器と大きい変圧器、どちらがよいですか?

一長一短です。%Zが小さいと、ふだんの電圧降下は小さくなりますが、短絡電流が大きくなり、遮断容量の大きい遮断器が必要になります。%Zが大きいと、その逆になります。

%インピーダンス法(%Z法)とは何ですか?

電源・変圧器・ケーブルなどの%Zを、同じ基準容量(たとえば10MVA)にそろえて直してから足し合わせ、短絡電流を計算する方法です。直列につながるものは、そのまま足せるので計算が簡単になります。

基準容量の換算はどうやりますか?

新しい%Z=元の%Z×基準容量÷その機器の容量です。500kVAで4%の変圧器を10MVA基準にすると、4×10,000÷500=80%になります。受電点の短絡容量が100MVAなら、10MVA基準で10÷100×100=10%です。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。