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天井の照明の後ろ、壁のスイッチの奥、天井裏の丸い箱。電気の配線には、あちこちにボックスが隠れています。「アウトレットとスイッチボックスは何が違う?」「図面の四角に×は?」と聞かれると、意外と答えに詰まります。この記事では、ものとしてのボックス、施工の流れ、図面の記号、用途を、使っている場面の動く図解でほどきます。電線管の「つなぐのはボックスの中」の続きで、超基本の8本目です。

結論

ボックスは電線をつなぐ・器具を付けるための箱です。電線の接続は必ずボックスの中。種類は「つなぐ」と「付ける」で分け、図面では四角に×・ただの四角・斜線入りの丸で描きます。

  • つなぐ:アウトレットボックス・ジョイントボックス・プルボックス
  • 付ける:スイッチボックス・塗代カバー・露出ボックス
  • コンクリートの中のボックスは、型枠に留めてから打つ
  • ガスや蒸気のある場所は、特殊仕様の防爆形ボックスとシーリングフィッチング
  • 照明・スイッチ・コンセントの記号の後ろにも、ボックスが隠れている
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解で、押すと大きく見られます。

この図の読み方

くり返し動きます。左から、もの・記号・用途の順です。

  1. もの:電線をつなぐ・器具を付ける箱
  2. 記号:四角に×・四角・斜線入りの丸
  3. 用途:天井・壁・コンクリートで選ぶ

動く図解で学ぶ電気設備施工・現場の動く図解23本を、まとめて見られます見る →

ボックスとは ― つなぐのは必ずボックスの中

電線どうしをつなぐ所(接続点)は、少しの緩みで熱をもったり、火花が出たりすることがあります。そこで接続は必ずボックスの中で行い、ふたを閉めます。熱や火花が天井や壁の中に出ず、あとでふたを開ければ点検もできます。照明・スイッチ・コンセントを取り付ける土台も、ボックスです。

ボックスが要る理由

左はむき出しの接続、右はボックスの中の接続です。

  1. むき出しだと、熱や火花が天井の中に出る
  2. ボックスの中でつないで、ふたを閉める
  3. ふたを開ければ、あとで点検できる
たとえるなら
ボックスは、電線の「点検口つきの部屋」
電線は、管や天井の中という廊下を通ってきて、ボックスという部屋で乗り換え(接続)をします。部屋には扉(ふた)があるので、あとから入って様子を見られます。
ここまでのポイント
  • 電線の接続は必ずボックスの中
  • ふたを閉めて熱や火花を閉じ込める
  • ふたを開ければ点検できる

ものとしてのボックス ― 「つなぐ」と「付ける」

ボックスは、何をする場所かで2つに分けると覚えやすくなります。電線をつなぐためのアウトレットボックス・ジョイントボックス・プルボックスと、器具を付けるためのスイッチボックス・塗代カバー・露出ボックスです。

種類の見分け方

8つのボックスと部品が順に光ります。

  1. つなぐ:アウトレット・ジョイント・プルボックス
  2. 付ける:スイッチボックス・塗代カバー・露出ボックス
  3. 特殊仕様:防爆形ボックスとシーリングフィッチング
ボックス 形・材料 主な使い道
アウトレットボックス 金属。八角形・四角形 天井の照明の後ろ、電線の接続点
ジョイントボックス(VVF用) 樹脂。丸いふた付き 天井の中でVVFケーブルどうしをつなぐ
プルボックス 大きい四角 長い配管・曲がりの途中、管が集まる所
スイッチボックス 細長い。壁に埋め込む スイッチ・コンセントを取り付ける
塗代カバー ボックスの前面の枠 壁や天井の仕上げ面に合わせる
露出ボックス 管の口つき。屋外は防水形 機械室や屋外の露出配線
防爆形ボックス(特殊仕様) 厚い金属。ねじ込みで封じる ガスや蒸気のある危険場所
材料や大きさは、配線の方法と器具で決めます。

壁のスイッチは「ボックス+枠+器具+プレート」

壁のスイッチやコンセントは、壁の中のスイッチボックスに連用取付枠を付け、枠にスイッチをはめてねじで留め、最後にプレートをはめてできています(スイッチの種類はスイッチとはで)。

組み立ての順番

枠、スイッチ、プレートの順に重なり、押すと照明が点きます。

  1. 壁の中のボックスまで配線が来ている
  2. 連用取付枠にスイッチをはめて、ねじで留める
  3. プレートをはめて完成

動く図解で見る:ボックス類の種類と用途つなぐ・付けるで分ける動く図解(施工・現場のページへ)

ここまでのポイント
  • つなぐ:アウトレット・ジョイント・プルボックス
  • 付ける:スイッチボックス・塗代カバー・露出ボックス
  • 壁のスイッチはボックス+枠+器具+プレート


施工の流れ ― コンクリートに埋める、穴を守る

コンクリートの建物では、床(スラブ)を打つ前に、型枠の上にボックスを留め、CD管などをつないでおきます。コンクリートを打って型枠を外すと、天井面にボックスが出てくるので、そこに照明を付けます。打つ前に付け忘れると、あとからは簡単に増やせません。

コンクリートの中のボックス

型枠にボックス → コンクリート → 型枠を外す → 照明、の順に進みます。

  1. 型枠にボックスを留め、CD管をつなぐ
  2. コンクリートを打ち、固まったら型枠を外す
  3. 天井面に出たボックスに照明を付ける

金属のボックスの穴にケーブルを通すときは、ゴムブッシングを付けて、金属の切り口で被覆が傷つかないようにします。管でつなぐときは、ボックスコネクタで管の口をボックスに留めます。

穴の守り方

左はブッシングなし、右はゴムブッシングあり。

  1. 金属の切り口に被覆がこすれると傷つく
  2. ゴムブッシングが切り口をおおって守る
  3. 管のときはボックスコネクタで留める
ひっかけ注意
「天井の中なら見えないから、ボックスなしでつないでいい」ではありません。
見えない場所ほど、熱や火花に気づけません。天井の中でも、接続はジョイントボックスなどの中で行い、あとで点検できるようにします。

動く図解で見る:躯体工事の仕込み ― タイムリミットは打設日コンクリートを打つ前に入れておくもの(施工・現場のページへ)

ここまでのポイント
  • コンクリートの中のボックスは型枠に留めてから打つ
  • 金属ボックスの穴にはゴムブッシング
  • 天井の中でも接続はボックスの中

図面ではこう描く ― 四角に×、四角、斜線入りの丸

図面(JIS C 0303)では、プルボックスを四角に×、ジョイントボックスをただの四角、VVF用ジョイントボックスを斜線入りの丸で描きます。照明・スイッチ・コンセントの記号の後ろにもボックスが隠れているので、拾うときは器具の数だけボックスも数えます。

記号の見どころ

3つの記号が光ったあと、器具の後ろのボックスが現れます。

  1. 四角に×はプルボックス(横に材料と寸法)
  2. ただの四角はジョイントボックス
  3. 器具の記号の後ろにもボックスがある
記号 意味
四角に× プルボックス(材料と寸法を横に書く)
ただの四角 ジョイントボックス
斜線入りの丸 VVF用ジョイントボックス
照明・スイッチ・コンセント 後ろにボックスがある(描かれない)
出典:JIS C 0303:2000。器具の後ろのボックスの種類は、特記や仕様書で確かめます。

記号の見分け方と数え方は【プロット図の見方⑦】ボックス、露出配管のプルボックスは【プロット図の見方⑲】、材料の拾い方は【プロット図の見方⑬】一般材の拾い出しで詳しく解説しています。

動く図解で見る:プロット図の見方⑦ ボックス四角に×・四角・斜線入りの丸を動く図解で(図面の読み方・描き方のページへ)

ここまでのポイント
  • 四角に×はプルボックス
  • ただの四角はジョイント、斜線入りの丸はVVF用
  • 器具の後ろのボックスも数える


用途で選ぶ ― 場所ごとのボックス

ボックスは、器具と配線の場所で決まります。天井の照明の後ろはアウトレットボックス、天井の中でVVFをつなぐ所はジョイントボックス、壁のスイッチやコンセントはスイッチボックス、長い配管や曲がりの途中はプルボックス、屋外の露出は防水ボックスです。

使い分け

番号のピンが順に立ち、場所ごとのボックスが光ります。

  1. 天井の照明はアウトレットボックス
  2. 天井の中のVVFはジョイントボックス
  3. 長い配管はプルボックス、屋外は防水形
場所 よく使うボックス
天井の照明 アウトレットボックス(+塗代カバー)
天井の中のケーブルの接続 VVF用ジョイントボックス
壁のスイッチ・コンセント スイッチボックス
コンクリートの床・壁 コンクリートボックス・埋込用のアウトレットボックス
長い配管・曲がりの途中 プルボックス
屋外・機械室の露出 露出ボックス(屋外は防水形)
塗装場・危険物倉庫(ガス・蒸気) 防爆形ボックス+シーリングフィッチング
プルボックスの大きさは、入る管の数と太さで決めます。

プルボックスの大きさの決め方はプルボックスのサイズ選定・計算方法、ボックスの種類の一覧はアウトレットボックス等のボックス類の種類と用途で解説しています。

特殊仕様 ― 防爆用のボックス

塗装場や危険物の倉庫のように、燃えやすいガスや蒸気がたまるおそれのある危険場所では、ふつうのボックスは使えません。中で火花が出てガスに火がついても、炎を外に出さない頑丈な耐圧防爆形のボックスを使います。電線管は薄鋼電線管以上を5山以上ねじ込んで封じ(爆発等級3・IICの場所は6山以上)、ボックスの近くと危険場所の境界にシーリングフィッチングを付けて、管の中を充てん材で止めます。管の中をガスや爆発の圧力が伝わらないようにするためです(防爆の考え方は第1回 防爆とは何を防ぐことかで)。

防爆の要点

管がねじ込まれ、シールに充てんされ、流れてきたガスがシールで止まります。

  1. 管と箱は5山以上のねじ込みで封じる
  2. シーリングフィッチングに充てん材を詰める
  3. 送り接続はせず、外せるユニオン継手を使う
ひっかけ注意
「シーリングフィッチングを付ければ、それで止まる」ではありません。
金具を付けても、中に充てん材を詰めなければシールとして何も働きません。外からは見えないので、充てんした様子を写真で残しておきます。

ねじ込みとシールの施工は第5回 防爆工事の施工と点検、配管とケーブルの違いは第6回 配管工事とケーブル工事の違いで詳しく解説しています。

動く図解で見る:防爆の配管工事とケーブル工事の違い止める場所が違うことを動く図解で(防爆設備のページへ)

ここまでのポイント
  • 照明はアウトレット、壁はスイッチボックス
  • 天井の中のVVFはジョイントボックス
  • 長い配管はプルボックス、屋外は防水形
  • 危険場所は防爆形ボックスとシーリングフィッチング


読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. ボックスの外で電線をつなぐ:接続は必ずボックスの中です。
  2. 四角に×を配電盤と読む:正方形に×はプルボックス。盤は横長の長方形です。
  3. 斜線入りの丸を照明と読む:VVF用ジョイントボックスです。照明の丸に斜線はありません。
  4. 描かれたボックスだけを数える:器具の後ろのボックスも数えます。
  5. ゴムブッシングを省く:金属のボックスの穴には付けて被覆を守ります。
  6. 危険場所にふつうのボックスを使う:ガスや蒸気のある場所は防爆形ボックスです。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、ボックスや配管の施工を動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

動く図解のジャンル一覧を見る →

よくある質問

電気工事のボックスとは何ですか?

電線どうしをつないだり、照明・スイッチ・コンセントを取り付けたりするための箱です。電線の接続は必ずボックスの中で行い、ふたを閉めておけば、熱や火花を閉じ込められ、あとでふたを開けて点検もできます。

アウトレットボックスとスイッチボックスの違いは何ですか?

アウトレットボックスは金属製の八角形や四角形の箱で、天井の照明の後ろや電線の接続点に使います。スイッチボックスは壁の中に埋め込む細長い箱で、連用取付枠を使ってスイッチやコンセントを取り付けます。

ジョイントボックスとは何ですか?

電線どうしをつなぐためのボックスです。住宅の天井の中では、VVFケーブルどうしを差込形コネクタなどでつなぐ樹脂製のVVF用ジョイントボックスがよく使われます。図面では、ただの四角(ジョイントボックス)や斜線入りの丸(VVF用ジョイントボックス)で描きます。

プルボックスはどんなときに使いますか?

電線管が長いときや曲がりが多いとき、たくさんの管が集まるときに、途中に入れる大きなボックスです。ここで電線を引き入れやすくします。直角の曲がりが3か所を超える、管の長さが30mを超えるといったときに入れます。図面では四角に×で描きます。

塗代カバーとは何ですか?

ボックスの前面に付ける枠で、壁や天井の仕上げ面の高さに合わせて、照明や器具を取り付けられるようにする部品です。コンクリートに埋めたボックスや、ボードの壁や天井に付けるボックスで使います。

防爆用のボックスはふつうのボックスと何が違いますか?

ガスや蒸気のある危険場所で使う特殊仕様のボックスで、中で爆発が起きても炎を外に出さない耐圧防爆構造の頑丈な容器です。電線管は5山以上(爆発等級3・IICでは6山以上)ねじ込んで封じ、近くにシーリングフィッチングを付けて管の中を充てん材で止めます。カップリングの送り接続はせず、外せるユニオン継手を使います。

ゴムブッシングは何のために使いますか?

金属のボックスの穴にケーブルを通すときに穴に付け、金属の切り口で電線の被覆が傷つくのを防ぎます。管でつなぐときは、ボックスコネクタで管の口をボックスに留めます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。