内線規程の解釈と解説【001】|対地電圧の制限
家のエアコンやIHは200Vなのに、「住宅の屋内は150V以下」という決まりがあります。矛盾しているようですが、ちゃんと守られています。カギは、制限しているのが電線どうしの電圧ではなく、電線と地面(大地)の間の電圧=対地電圧だということ。この記事では、電線に止まる鳥のたとえで対地電圧をつかみ、住宅の150Vの原則と、300V・直流450Vまで認められる例外を、図で順に確かめます。
対地電圧とは ― 感電の危なさを決める電圧
電圧には2つの見方があります。
- 線間電圧:電線どうしの間の電圧。機器を動かすのに使う電圧(100V、200Vなど)
- 対地電圧:電線と大地(地面)の間の電圧。人が触れたときの感電の危なさを決める電圧
感電は、ほとんどが「地面に立った人が、電気の来ている部分に触れる」ことで起きます。だから内線規程1300-1(もとは電技解釈 第143条)は、住宅の屋内の電路を対地電圧150V以下に制限しています。
- 対地電圧=電線と大地の間の電圧。感電の危なさを決める
- 線間電圧=電線どうしの間の電圧。機器を動かす電圧
- 住宅の屋内の電路は、対地電圧150V以下が原則
住宅で200V機器が使える理由 ― 単相3線式
住宅の多くは単相3線式100/200Vで電気を受けています。3本の電線のうち、まん中の中性線は変圧器のところで接地されていて、地面と同じ電位です。
- 電圧線L1と中性線の間:100V(照明・コンセント)
- 電圧線L2と中性線の間:100V(照明・コンセント)
- 電圧線L1とL2の間:200V(エアコン・IHなど)
200Vは電線どうしの線間電圧です。L1もL2も、1本ずつ地面と比べれば100V。だから200V機器をつないでも、対地電圧は100Vで、150V以下に収まります。
- 単相3線式は中性線を接地。どの線も対地電圧は100V
- 200V機器は線間200Vでも対地電圧100V。だから住宅で使える
- 三相200V(1線接地)は対地電圧200Vで、150Vを超える
配電方式ごとの対地電圧 ― 150V・300V・直流450Vのものさし
| 配電方式 | 対地電圧 | 使えるところ(目安) |
|---|---|---|
| 単相3線式 100/200V | 100V | 住宅でそのまま使える |
| 三相3線式 200V | 200V | 住宅は2kW以上の機器の例外のときだけ。住宅以外は使える |
| 三相4線式 240/415V | 240V | 住宅以外(工場・ビルなど) |
- 対地電圧は配電方式と接地のしかたで決まる
- 単相3線は100V、三相200V(1線接地)は200V、三相4線400V級は約240V
150Vを超えてよい例外 ― 条件をそろえたら上限が上がる
150Vの原則には例外があります。ただし、どれも「人が触れにくくする」「漏電したら自動で切る」などの安全の条件とセットです。
- 住宅の2kW以上の機器:専用の回路で機器と直接つなぎ、専用の開閉器・過電流遮断器と漏電遮断器を付けるなどすれば、300V以下まで(三相200Vの機器など)
- 住宅の太陽電池・燃料電池・蓄電池:それに接続する負荷側の屋内配線は、隠ぺい場所の管・ケーブル工事にする、地絡したら自動で切るなどすれば、直流450V以下まで
- 住宅以外の場所の家庭用電気機械器具:店舗や事務所で家電を使う電路は、300V以下(人が触れにくくする等の条件)
- 白熱電灯:原則150V以下。住宅以外で条件をそろえれば300V以下
- 2kW以上の機器(住宅)は条件つきで300V以下
- 太陽電池・燃料電池・蓄電池の屋内配線(住宅)は条件つきで直流450V以下
- 住宅以外の家庭用機器は300V以下、白熱電灯は原則150V以下
- 例外にも上限と安全の条件がある
よくある質問
住宅の200Vエアコンは、対地電圧150V以下の制限を超えないの?
超えません。住宅の単相3線式100/200Vは中性線が接地されていて、200Vは電圧線どうしの線間電圧です。各電圧線と地面の間の対地電圧は100Vなので、150V以下に収まります。
線間電圧と対地電圧は何がちがうの?
線間電圧は電線どうしの間の電圧、対地電圧は電線と大地(地面)の間の電圧です。感電の危なさは対地電圧で決まるので、内線規程の150V・300Vの制限は対地電圧で判断します。
住宅に三相200Vは引けますか?
三相200V(1線接地)は対地電圧が200Vになるので、原則は住宅の屋内には使えません。定格消費電力2kW以上の機器に、専用回路・直接接続・漏電遮断器などの条件をそろえて供給する場合は、300V以下まで認められます。
太陽光発電の直流はどこまで?
住宅で太陽電池モジュールなどに接続する負荷側の屋内配線は、隠ぺい場所の管・ケーブル工事や地絡時の自動遮断などの条件をそろえれば、直流450V以下まで認められます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 制限は線間電圧で判断する | 対地電圧(地面との電圧)で判断する |
| 住宅の200V機器は制限を超えている | 単相3線式なら対地100V。問題ない |
| 200Vならどの方式も同じ | 三相200V(1線接地)は対地200V |
| 150Vを超える配線は一切できない | 条件つきで300V・直流450Vまで |
| 例外なら上限はない | 上限と安全の条件がセット |
📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】
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