この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
技術図書館対地電圧の制限|住宅150V以下、200Vのエアコンが使える理由制限は線間電圧ではなく対地電圧で見る。単相3線式で200V機器が使える理由と、300V・直流450Vの例外を全7枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

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家のエアコンやIHは200Vなのに、「住宅の屋内は150V以下」という決まりがあります。矛盾しているようですが、ちゃんと守られています。カギは、制限しているのが電線どうしの電圧ではなく、電線と地面(大地)の間の電圧=対地電圧だということ。この記事では、電線に止まる鳥のたとえで対地電圧をつかみ、住宅の150Vの原則と、300V・直流450Vまで認められる例外を、図で順に確かめます。

①対地電圧は電線と地面の間の電圧、②住宅の屋内は150V以下が原則、③単相3線式なら200V機器でも対地電圧は100Vなので使えます。
この記事でわかること
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対地電圧とは ― 感電の危なさを決める電圧

たとえるなら
電線に止まっている鳥が感電しないのは、なぜでしょう。
鳥は両足とも同じ電線に乗っていて、体の中を電気が通る「行き先」がありません。ところが地面に立った人が電線に触ると、電気は電線 → 体 → 地面へ流れ、感電します。このとき体にかかるのが、電線と地面の間の電圧、つまり対地電圧です。
鳥は同じ電線に乗っているので体に電圧がかかりません。地面に立つ人が電線に触ると、電線と地面の間の電圧(対地電圧)が体にかかります。

電圧には2つの見方があります。

  • 線間電圧:電線どうしの間の電圧。機器を動かすのに使う電圧(100V、200Vなど)
  • 対地電圧:電線と大地(地面)の間の電圧。人が触れたときの感電の危なさを決める電圧

感電は、ほとんどが「地面に立った人が、電気の来ている部分に触れる」ことで起きます。だから内線規程1300-1(もとは電技解釈 第143条)は、住宅の屋内の電路を対地電圧150V以下に制限しています。

ここまでのポイント
  • 対地電圧=電線と大地の間の電圧。感電の危なさを決める
  • 線間電圧=電線どうしの間の電圧。機器を動かす電圧
  • 住宅の屋内の電路は、対地電圧150V以下が原則

住宅で200V機器が使える理由 ― 単相3線式

単相3線式は中性線を接地しています。電圧線どうしは200Vでも、どの電線も地面との間は100Vです。

住宅の多くは単相3線式100/200Vで電気を受けています。3本の電線のうち、まん中の中性線は変圧器のところで接地されていて、地面と同じ電位です。

  • 電圧線L1と中性線の間:100V(照明・コンセント)
  • 電圧線L2と中性線の間:100V(照明・コンセント)
  • 電圧線L1とL2の間:200V(エアコン・IHなど)

200Vは電線どうしの線間電圧です。L1もL2も、1本ずつ地面と比べれば100V。だから200V機器をつないでも、対地電圧は100Vで、150V以下に収まります。

ひっかけ注意
「200Vのエアコンは、150Vの制限を超えている」ではありません。
制限は線間電圧ではなく対地電圧で見ます。単相3線式の200Vは、対地電圧が100Vなので問題ありません。逆に、同じ200Vでも三相3線式の200V(1線を接地)は、接地していない線の対地電圧が200Vになり、150Vを超えます。
ここまでのポイント
  • 単相3線式は中性線を接地。どの線も対地電圧は100V
  • 200V機器は線間200Vでも対地電圧100V。だから住宅で使える
  • 三相200V(1線接地)は対地電圧200Vで、150Vを超える


配電方式ごとの対地電圧 ― 150V・300V・直流450Vのものさし

単相3線式は対地100V、三相3線式200Vは対地200V、三相4線式240/415Vは対地240V。どの線の内側に入るかで、使える場所が決まります。
配電方式 対地電圧 使えるところ(目安)
単相3線式 100/200V 100V 住宅でそのまま使える
三相3線式 200V 200V 住宅は2kW以上の機器の例外のときだけ。住宅以外は使える
三相4線式 240/415V 240V 住宅以外(工場・ビルなど)
1線を接地した三相3線式200Vの例。接地のしかたで対地電圧は変わります。
ここまでのポイント
  • 対地電圧は配電方式と接地のしかたで決まる
  • 単相3線は100V、三相200V(1線接地)は200V、三相4線400V級は約240V

150Vを超えてよい例外 ― 条件をそろえたら上限が上がる

住宅の2kW以上の機器は300V以下、太陽電池・燃料電池・蓄電池の直流は450V以下、住宅以外の家庭用機器は300V以下、白熱電灯は原則150V以下。どれも安全の条件つきです。

150Vの原則には例外があります。ただし、どれも「人が触れにくくする」「漏電したら自動で切る」などの安全の条件とセットです。

  • 住宅の2kW以上の機器:専用の回路で機器と直接つなぎ、専用の開閉器・過電流遮断器と漏電遮断器を付けるなどすれば、300V以下まで(三相200Vの機器など)
  • 住宅の太陽電池・燃料電池・蓄電池:それに接続する負荷側の屋内配線は、隠ぺい場所の管・ケーブル工事にする、地絡したら自動で切るなどすれば、直流450V以下まで
  • 住宅以外の場所の家庭用電気機械器具:店舗や事務所で家電を使う電路は、300V以下(人が触れにくくする等の条件)
  • 白熱電灯:原則150V以下。住宅以外で条件をそろえれば300V以下
ひっかけ注意
「例外なら何Vでもよい」ではありません。
例外にも上限があります(300V以下、直流450V以下など)。そして、上限が上がるほど安全の条件が増えます。細かい条件は電技解釈 第143条と内線規程1300-1の原文で確かめます。
ひとことで言うと:「制限は地面との電圧で見る。住宅は150V以下、単相3線の200Vは対地100Vだからセーフ」。
ここまでのポイント
  • 2kW以上の機器(住宅)は条件つきで300V以下
  • 太陽電池・燃料電池・蓄電池の屋内配線(住宅)は条件つきで直流450V以下
  • 住宅以外の家庭用機器は300V以下、白熱電灯は原則150V以下
  • 例外にも上限と安全の条件がある


よくある質問

住宅の200Vエアコンは、対地電圧150V以下の制限を超えないの?

超えません。住宅の単相3線式100/200Vは中性線が接地されていて、200Vは電圧線どうしの線間電圧です。各電圧線と地面の間の対地電圧は100Vなので、150V以下に収まります。

線間電圧と対地電圧は何がちがうの?

線間電圧は電線どうしの間の電圧、対地電圧は電線と大地(地面)の間の電圧です。感電の危なさは対地電圧で決まるので、内線規程の150V・300Vの制限は対地電圧で判断します。

住宅に三相200Vは引けますか?

三相200V(1線接地)は対地電圧が200Vになるので、原則は住宅の屋内には使えません。定格消費電力2kW以上の機器に、専用回路・直接接続・漏電遮断器などの条件をそろえて供給する場合は、300V以下まで認められます。

太陽光発電の直流はどこまで?

住宅で太陽電池モジュールなどに接続する負荷側の屋内配線は、隠ぺい場所の管・ケーブル工事や地絡時の自動遮断などの条件をそろえれば、直流450V以下まで認められます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
制限は線間電圧で判断する 対地電圧(地面との電圧)で判断する
住宅の200V機器は制限を超えている 単相3線式なら対地100V。問題ない
200Vならどの方式も同じ 三相200V(1線接地)は対地200V
150Vを超える配線は一切できない 条件つきで300V・直流450Vまで
例外なら上限はない 上限と安全の条件がセット
「線間か、対地か」を取り違えなければ、住宅の200V機器も例外の判断も迷いません。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。