この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。

漏電遮断器(ELB)を2つの視点で図解整理。行きと帰りの電流の差で漏電を検知して遮断する仕組みと、設置が必要な入口(金属製外箱で60V超の機械器具、変圧器で結合した300V超の低圧電路、住宅)、機械器具の例外を要点とFAQでまとめます。

技術図書館漏電遮断器|差で検知し、必要な場所に設ける行きと帰りの差で漏電を見つける仕組み、漏電遮断器が必要な入口、機械器具の例外を、全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

漏電遮断器(ELB)は、漏電を検知して電路を自動で遮断し、感電や火災を防ぐ装置です。押さえるポイントは 「仕組み/設置が必要なケース」 の2つです。

検知は、行きと帰りの差 同じなら動かず、差が出たら自動で遮断します。
入口は、機械器具・電路・住宅 金属製外箱で60V超、変圧器で結合した300V超、住宅。
機械器具の例外は、どれか1つで不要 簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外など。
ほかにも、例外がある 二重絶縁、絶縁変圧器、機械器具内の漏電遮断器など。
ペン太ペン太
漏電遮断器って、どうやって「漏れてる」って分かるんですか?
ハリタハリタ
電線を行く電流と帰る電流を比べてるんだ。正常なら差ゼロ、漏電すると差が出る。その差を見つけたら、自動で電路を切る。これで感電や火災を防ぐんだよ。

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ペン太ペン太
漏電遮断器って、どうやって漏電を見つけているんですか?
ハリタハリタ
行きと帰りの電流差を監視しています。正常なら差はゼロ、漏電すると差が生じて自動遮断します。

この記事で押さえる3つのこと

  • 漏電遮断器は、行きと帰りの電流の差を見て、差が出たら自動で遮断する。
  • 入口は3つ。金属製外箱で60V超の機械器具、変圧器で結合した300V超の低圧電路、住宅。
  • 機械器具には例外がある。簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外、接地抵抗値3Ω以下などの、どれか1つで不要。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、漏電遮断器を3つの視点で整理します。
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① 仕組み(差で漏電を検知)

ふだんは、行きと帰りが同じ 差がないので、機械は動き続けます。
漏電すると、帰りが少なくなる 大地へ漏れた分だけ、行きと帰りに差が出ます。
差を検出して、自動で遮断する 零相変流器(ZCT)で差を見て、遮断器が電路を切ります。
感電保護用の数値は、30mAと0.1秒 感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内です。
  • 正常時:行きの電流=帰りの電流 → 差はゼロ
  • 漏電時:電気が大地へ逃げて、帰りが少なくなり、行きと帰りに差が生じる → 差を検知して自動で遮断
  • 差の検出は、零相変流器(ZCT)で行う。行きと帰りの電線をまとめて輪に通し、差の電流だけを見る
  • 感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内(メーカー資料による)
ペン太ペン太
どんなときに設置が必須になるんですか?
ハリタハリタ
入口は3つです。金属製外箱で60V超の機械器具、変圧器で結合した300V超の低圧電路、それと住宅です。
状態 行きと帰りの電流 装置の動作
正常時 行きの電流=帰りの電流(差はゼロ) 動作しない
漏電時 電気が大地へ逃げて、帰りが少なくなり、差が生じる 差を検知して自動で遮断
たとえるなら
漏電遮断器の検知は、遠足の人数確認のようなもの
遠足では、出発のときと帰りのときに人数を数えて、1人でも足りなければ、迷子が出たと分かりますよね。漏電遮断器も同じで、行きの電流と帰りの電流を比べて、差があれば、どこかへ漏れていると分かります。大地へ逃げた電流の分だけ帰りが少なくなるので、その差を見て、自動で電路を遮断します。
ひっかけ注意
「漏電遮断器は、大きな電流が流れると切れる」ではありません。
漏電を見つけるのは、行きと帰りの電流の差だけです。電流が大きくても、行きと帰りが同じなら、漏電としては検出しません。電流の大きさで切るのは、過電流遮断器(配線用遮断器など)の役目で、過電流の保護を兼ねた製品は、その機能も別に持っています。
ひっかけ注意
「感電保護用は、定格電流だけ見て選べばよい」ではありません。
感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内のものを選びます。定格電流は、回路に合わせます。さらに、単相3線式の電路に施設する漏電遮断器は、中性線欠相保護機能付きとします(どちらもメーカー資料による)。
ここまでのポイント
  • 正常時は、行きの電流と帰りの電流が等しく、差はゼロ。
  • 漏電時は、電気が大地へ逃げて行きと帰りに差が生じる。
  • その差を零相変流器(ZCT)で検出して、自動で遮断する。
  • 感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内(メーカー資料による)。


② 設置が必要なケース

機械器具は、金属製外箱で60V超 60V以下は、この入口の対象外です。
電路は、変圧器で結合した300V超 高圧・特別高圧の電路と結合した低圧電路です。
住宅は、原則として設ける 住宅の電路には、原則として漏電遮断器を設けます。
住宅の150V超は、専用回路に設ける 対地電圧の原則は150V以下。超える場合は2kW以上の専用回路。
  • 機械器具:金属製外箱を有する、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路
  • 高圧・特別高圧と結合した電路:高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された、使用電圧が300Vを超える低圧電路
  • 住宅:住宅の電路には、原則として設ける(内線規程)。住宅の屋内電路の対地電圧は150V以下が原則。ただし、定格消費電力2kW以上の電気機械器具に専用の屋内配線で電気を供給する場合は300V以下とでき、その電路には、地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器)を施設する(電気設備技術基準の解釈 第143条)
ひっかけ注意
「低圧の機械器具なら、電圧に関係なく必要」ではありません。
機械器具の入口は、金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧のものです。60V以下の機械器具や、金属製外箱がない機械器具は、この入口の対象ではありません。
ひっかけ注意
「使用電圧300V超の低圧電路には、すべて必要」ではありません。
300V超の入口は、高圧又は特別高圧の電路に変圧器で結合された、使用電圧300V超の低圧電路です。高圧・特別高圧と結合していない低圧電路は、この入口の対象ではありません。

機械器具には、漏電遮断器を付けなくてよい例外があります。次のどれか1つに当てはまれば不要です(電気設備技術基準の解釈 第36条)。

簡易接触防護措置を施す 屋内は床上1.8m以上、屋外は地表上2m以上などです。
接地抵抗値が、3Ω以下 C種またはD種接地工事の値で見ます。
絶縁変圧器を設け、機械器具側を接地しない 機械器具側の線間電圧は300V以下です。
機械器具そのものが、安全な構造 二重絶縁、絶縁物で被覆、器具内に漏電遮断器など。
  • 簡易接触防護措置を施す:屋内は床上1.8m以上、屋外は地表上2m以上で、人が通る場所から容易に触れない範囲に施設する。または、さく・へい・金属管などで人が触れないようにする(金属製の囲いは、外箱と電気的に接続するおそれがあるものを除く)
  • 乾燥した場所に施設する
  • 対地電圧が150V以下の機械器具を、水気のある場所以外に施設する
  • C種接地工事またはD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下
  • 電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下のもの)を設け、機械器具側の電路を接地しない
  • 二重絶縁構造のもの(電気用品安全法の適用を受けるもの)
  • ゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの
  • 機械器具内に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する

このほか、発電所や変電所などに施設する場合、誘導電動機の二次側電路に接続されるもの、なども例外です。

たとえるなら
簡易接触防護措置は、手の届かない高い棚にしまうようなもの
割れやすいものや危ないものは、子どもの手が届かない高い棚にしまいますよね。簡易接触防護措置も同じで、屋内なら床上1.8m以上、屋外なら地表上2m以上の高さで、人が通る場所から容易に触れない範囲に施設するか、さく・へい・金属管などで人が触れないようにします。触れにくくしてあれば、漏電遮断器がなくても、例外として認められます。
ひっかけ注意
「金属製外箱で60V超なら、必ず漏電遮断器が必要」ではありません。
例外のどれか1つに当てはまれば、機械器具の漏電遮断器は不要です。ただし、乾燥した場所にある機械器具でも、人が水気のある場所から触れるおそれがあるときは、水気のある場所として扱います。

例外の「乾燥した場所」「水気のある場所」は、場所の区分です。区分は電気設備技術基準の解釈 第1条で、次のように決まっています。

乾燥した場所は、不要 対地電圧が150V以下でも150V超でも不要です。
湿気の多い場所は、150V超で必要 150V以下は不要、150Vを超えると必要です。
水気のある場所は、電圧を問わず必要 水を扱う場所や、雨露にさらされる場所などです。
触れる場所が悪いときは、悪い方で判断 水気のある場所から触れるなら、水気のある場所として扱います。
  • 乾燥した場所:湿気の多い場所と、水気のある場所以外の場所
  • 湿気の多い場所:水蒸気が充満する場所、または湿度が著しく高い場所
  • 水気のある場所:水を扱う場所、雨露にさらされる場所、水滴が飛散する場所、常時水が漏出する場所、または結露する場所
  • 人が、機械器具のある場所より悪い場所から触れるおそれがあるときは、悪い方の場所として扱う(内線規程)
たとえるなら
水気のある場所は、ぬれた手で電気製品にさわる場面のようなもの
ぬれた手で電気製品にさわってはいけない、と言われますよね。手がぬれていると、電気が体に流れやすくなるからです。場所も同じで、乾燥した場所は感電しにくく、水気のある場所は感電しやすいので、ほかの例外に当たらない機械器具は、水気のある場所なら電圧を問わず、漏電遮断器が必要になります。
取り違えやすいところ 正しくは
漏電遮断器は電流の大きさで動く 行きと帰りの電流の「差」で漏電を検知する
低圧機器なら電圧を問わず必要 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路が対象
300V以下の低圧電路なら不要 300V以下でも、金属製外箱で60V超の機械器具や、住宅の電路は対象になる
屋内なら、水気のある場所でも不要 水気のある場所は、屋内でも、電圧を問わず必要(ほかの例外に当たる場合は不要)
対象になれば必ず設置が必要 機械器具は、例外のどれか1つに当てはまれば不要。ただし、水気のある場所から触れるおそれがあれば、水気のある場所として扱う
選定は定格電流だけ見ればよい 感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内。単相3線式は中性線欠相保護付き。定格電流は回路に合わせる
ここまでのポイント
  • 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、設ける。
  • 高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された、使用電圧300V超の低圧電路にも、設ける。
  • 住宅の電路には、原則として設ける。
  • 機械器具には例外があり、簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外、接地抵抗値3Ω以下などの、どれか1つで不要。
  • 場所は、触れるおそれのある側の悪い方で判断する(水気のある場所から触れるなら、水気のある場所)。


よくある質問(FAQ)

Q1. 何を見て、遮断する? 行きと帰りの電流の差を見て、差が出たら自動で遮断します。
Q2. 設置が必要なのは、どんなとき? 60V超の金属製外箱、300V超の電路、住宅です。
Q3. 不要になるのは、どんなとき? 機械器具は、例外のどれか1つで不要です。
Q4. 選ぶときのポイントは? 30mA以下、0.1秒以内。単相3線式は中性線欠相保護付き。

Q. 漏電遮断器(ELB)はどんな仕組みで動くの?

A. 電線の行きと帰りの電流を比べ、その差を監視します。正常時は差がゼロですが、漏電すると電気が大地へ逃げて差が生じます。その差を零相変流器(ZCT)で検出すると、自動で電路を遮断し、感電や火災を防ぎます。感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内です(メーカー資料による)。

Q. 漏電遮断器の設置が必要なのはどんなとき?

A. 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路、高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された使用電圧300Vを超える低圧電路、住宅の電路(原則)で必要です。機械器具には、簡易接触防護措置を施す場合や、乾燥した場所に施設する場合などの例外があります。

Q. 漏電遮断器が不要になるのは、どんなとき?

A. 金属製外箱の機械器具では、簡易接触防護措置を施す場合、乾燥した場所に施設する場合、対地電圧150V以下で水気のある場所以外に施設する場合、接地抵抗値が3Ω以下の場合などの、どれか1つに当てはまれば不要です。このほか、二重絶縁構造のものや、電源側に絶縁変圧器を設けて機械器具側を接地しない場合などもあります。ただし、人が水気のある場所から触れるおそれがあるときは、水気のある場所として扱います。

Q. 漏電遮断器を選ぶときのポイントは?

A. 使用目的(感電保護か火災保護か)に合った種類を選びます。感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内のものです。定格電流は回路に合わせ、単相3線式の電路に施設するものは、中性線欠相保護機能付きとします(メーカー資料による)。


まとめ|差で検知し、必要な場所に設ける

漏電遮断器は、行きと帰りの電流の差で漏電を検知して自動で遮断する装置で、入口(機械器具・電路・住宅)と例外の組合せから、設置の要否を判断します。

確認する項目 内容
検知の原理 行きと帰りの電流の差を監視する
正常時 差はゼロ
漏電時 電気が大地へ逃げて差が生じ、自動で遮断する
設置が必要(機械器具) 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路
設置が必要(電路) 高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された、使用電圧300V超の低圧電路
設置が必要(住宅) 住宅の電路には、原則として設ける。屋内電路の対地電圧は150V以下が原則
機械器具の例外 簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外、接地抵抗値3Ω以下、絶縁変圧器、二重絶縁、機械器具内の漏電遮断器など。どれか1つで不要
場所の判断 乾燥した場所、湿気の多い場所、水気のある場所。触れる側の悪い方で判断する
選定の要点 感電保護用は感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内。定格電流は回路に合わせる。単相3線式は中性線欠相保護付き

仕組みで押さえること

  • 何を比べて検知しているか。
  • 正常時と漏電時の違い。
  • 検知後は、自動で遮断すること。

設置の要否で押さえること

  • 機器の電圧と外箱の材質。
  • 変圧器で結合した300V超の電路と、住宅。
  • 場所の区分(乾燥・湿気・水気)と、どの例外にあたるか。

選定で押さえること

  • 感電保護か火災保護か。
  • 感度電流と動作時間、定格電流。
  • 単相3線式は、中性線欠相保護付き。

漏電遮断器は住宅から工場まで広く使われますが、「どこに入れるか」は、入口(機械器具・電路・住宅)と例外で決まります。改修で用途や機器が変わったときは、入口と例外をもう一度あてはめ直しておくと、見落としを防げます。

ペン太ペン太
選定のときは何を確認すればいいですか?
ハリタハリタ
感電保護用は、30mA以下、0.1秒以内のものを選びます。単相3線式は中性線欠相保護付き、定格電流は回路に合わせます。例外に当たるかも、併せて確認を。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。