第二種電気工事士 合格カリキュラム技能① 技能の準備と基本作業
この単元の 3 / 3 本目

技能試験は、公表された候補問題13問のうち1問を、約40分で作る試験です。13問はどれも違う回路に見えますが、手を動かす作業は寸法取り・はぎ取り・器具への結線・電線の接続の4つの組み合わせにすぎません。候補問題に入る前にこの4つを体に入れておくと、1問あたりの練習時間がぐっと短くなります。

結論

基本作業は「図の寸法+ボックス側100mm+器具側50mm」で切り、接続先に合わせた長さでむき、白線は W・N 表示の側へ。この3つを守れば、欠陥の大半は防げます。

  • 40分のうち36分で作り終え、見直しの時間を残す
  • ボックス側は100mm、器具側は50mm を図の寸法に足す
  • 輪作りは時計回り(ねじを締める向き)
  • 白線(接地側)はスイッチにはつながない
技能試験40分を、複線図3分・寸法取り5分・はぎ取り7分・器具の結線8分・電線の接続8分・見直し5分に分け、赤い線が時間の経過に沿って進む動く図解
赤い線が時間の経過です。1つの作業に時間がかかりすぎていないか、練習のたびに確かめます。

作業の流れと時間配分

技能試験は、料理にたとえると「レシピ(複線図)を書いて、材料を切って(寸法取り・はぎ取り)、盛り付ける(結線・接続)」流れです。下ごしらえを全部済ませてから組み立てると、手戻りが減って速くなります。

順番 作業 ポイント
1 複線図を描く 問題用紙の余白に。寸法と接続方法(スリーブか差込形か)も書き込む
2 寸法取り・切断 ケーブルを全部切ってから次へ。長さを油性ペンで書いておくと迷わない
3 はぎ取り 外装→絶縁被覆の順。接続先ごとの長さで
4 器具への結線 白線の行き先を器具の表示で確認
5 電線の接続 リングスリーブは刻印を確認、差込形は奥まで
6 見直し 欠陥の出やすい所を順番に指差しで確認
ここまでのポイント
  • 複線図→切る→むく→つなぐ→見直し
  • 下ごしらえを全部済ませてから組み立てる
  • 36分で作り終え、見直しの時間を残す

寸法取りと切断 ― 図の寸法に足す

問題の図に書いてある寸法は、器具やボックスの中心から中心までの長さです。そのまま切ると、つなぐための余りがなくて届きません。つなぐ場所に応じて長さを足します。

図の寸法150mmに、ジョイントボックス側100mmと器具側50mmを足して300mmで切ることを示した図
ケーブルの端 足す長さ(目安)
ジョイントボックス(アウトレットボックス)側 +100 mm
埋込連用器具・露出形コンセント・ランプレセプタクル・引掛シーリングなど器具側 +50 mm
電源側(施工省略の電源表示) +100 mm(ボックス側と同じ扱い)
問題ごとの指定がある場合はそちらを優先します。慣れてきたら、器具側を少し長めにとると結線がしやすくなります。

ケーブルは長さを測ったら、全部を先に切ってからはぎ取りに進みます。1本ずつ「切る→むく→つなぐ」を繰り返すより、同じ作業をまとめたほうが速く、長さの間違いにも気づきやすくなります。

ここまでのポイント
  • 図の寸法は中心から中心
  • ボックス側+100mm、器具側+50mm
  • 全部切ってから次の作業へ


被覆のはぎ取り ― 接続先で長さが変わる

VVFケーブルは、外側の外装(シース)と、中の電線1本ずつの絶縁被覆の2重になっています。ケーブルストリッパを使えば、外装と絶縁被覆を1本の工具でむけます。むく長さは、つなぐ相手で決まります

リングスリーブ・差込形コネクタ・埋込連用器具・ねじ止めの接続先ごとに、心線を出す長さの目安と、時計回りの輪作りを示した図
はぎ取りで起きやすい欠陥
  1. 心線に刃の傷をつける(深く切り込みすぎ)
  2. むきすぎて、器具や接続部から心線が見えている
  3. 外装のむきすぎで、ボックスの外まで絶縁被覆が出ている
  4. 輪作りが反時計回り、または輪が小さくてねじの頭からはみ出す

輪作りは、ランプレセプタクルや露出形コンセントのようにねじで押さえる器具で使います。心線をねじの径に合わせて丸め、時計回りにねじへかけます。ねじを締める向きと同じなので、締めるほど輪が内側へ巻き込まれて外れにくくなります。

ここまでのポイント
  • むく長さは接続先で決まる
  • ストリップゲージがある器具はそれに合わせる
  • 輪作りは時計回り

器具への結線 ― 白線の行き先

器具には、接地側の電線(白)をつなぐ側が決まっているものがあります。白線を逆の端子につなぐと欠陥です。器具の表面や裏の刻印(W・N・接地側)を見れば分かります。

コンセント・ランプレセプタクル・引掛シーリング・配線用遮断器で白線をつなぐ端子と、スイッチには白線をつながないことをまとめた図

迷ったときは、「白線はスイッチを通らずに、照明とコンセントへ直接行く」ことを思い出します。複線図の段階で白線の行き先を決めておけば、組み立てでは器具の表示を確かめるだけです。

ここまでのポイント
  • 白線は W・N・接地側の表示の端子へ
  • スイッチには白線をつながない
  • 複線図の段階で白線の行き先を決めておく

電線の接続 ― リングスリーブと差込形コネクタ

ジョイントボックスの中では、問題の指示に従ってリングスリーブか差込形コネクタで電線をつなぎます。

リングスリーブ

手順 やること
1 心線を約20mm出して、先端をそろえる
2 電線の太さと本数からスリーブ(小・中)を選ぶ
3 黄色の柄の圧着工具で、刻印(○・小・中)が合うダイスを選んで圧着
4 スリーブの先から出た心線を、1〜2mm残して切りそろえる
5 スリーブの根元に絶縁被覆がかみ込んでいないか、刻印が合っているかを確認
スリーブと刻印の組み合わせは、配線図問題の記事の表と同じです。

差込形コネクタ

差込形コネクタは、心線を約12mm出して奥まで差し込むだけです。透明な部分から心線の先が見えていれば、奥まで入っています。心線が外から見えている(むきすぎ)と欠陥になります。本数と同じ口数のコネクタを使います。

リングスリーブで多い欠陥
  1. 刻印の間違い(1.6mm×2本を「小」で圧着してしまう)
  2. スリーブの上下に心線の先が出ていない、または出すぎ
  3. 絶縁被覆をスリーブの中にかみ込んでいる
  4. 1つのスリーブを2回圧着している
ここまでのポイント
  • リングスリーブは刻印とダイスを必ず確認
  • 差込形は奥まで差し込み、透明部で確認
  • 接続は最後に1か所ずつ指差しで見直す
第二種電気工事士 合格カリキュラム:この記事は「技能⑨準備と基本作業」の1本です。次は 候補問題の複線図一覧 で描き方をそろえ、No.1 から順に作っていきます。欠陥の一覧は 一発アウトになる欠陥 にまとめています。受験日から逆算した計画は 学習ページ で作れます。


よくある質問

工具は何から揃えればいいですか?
ケーブルストリッパ、リングスリーブ用の圧着工具(黄色の柄)、ペンチ、ドライバー(+と-)、ウォーターポンププライヤ、電工ナイフ、スケールが基本です。セット品を買うと抜けがありません。選び方は工具の記事にまとめています。
練習用の材料はどのくらい必要ですか?
候補問題13問を1周するには、VVFケーブル(1.6mm 2心・3心、2.0mm 2心)と器具一式が必要です。2周目以降は同じ器具を使い回せるので、ケーブルとリングスリーブ・差込形コネクタを追加します。
寸法はどのくらい正確に切ればいいですか?
完成品の寸法が、図の寸法の半分以下になると欠陥です。数mm〜1cm程度のずれは問題になりません。長さより、はぎ取りと接続の正確さに時間を使います。
実際に作る前に、手順だけを確かめる方法はありますか?
技能試験3Dシミュレーターを使うと、複線図と配線の順番を画面上で確かめられます。道具が届く前の練習や、移動中の復習に向いています。

30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?

タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。

次に読むならこれ第2種電気工事士|配線図問題の解き方(最少電線本数・リングスリーブの種類と刻印・使う工具)第2種電気工事士
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。