この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【044】床面に施設する平形保護層配線
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

平形保護層配線は、薄くて柔軟な平形導体合成樹脂絶縁電線(フラットケーブルを床面などに施設する方法で、カーペットの下に配線できます。使える電線・場所・接地に厳しいルールがあります。要点を3つに整理します。

床面に施設する平形保護層配線の3つのポイントの図解
結論
①電気用品安全法適合で接地線付きの平形導体合成樹脂絶縁電線(20A/30A用)を使い、対地電圧150V以下。住宅・学校・病院・床暖房床面・危険場所などは施設禁止。②30A以下の専用分岐回路漏電遮断器を施し、床面は粘着テープ固定+防護。③接続は専用コネクタ、金属製部分にD種接地
この記事でわかること
✔ 1. 使用電線・対地電圧・施設できない場所
✔ 2. 分岐回路・漏電遮断器・施設方法
✔ 3. 接続と接地
ペン太ペン太
床にペタッと貼れるフラットケーブルって、住宅のリビングにも使えますか?
ハリタハリタ
住宅では使えません。学校や病院も禁止です。対地電圧150V以下という制限もあります。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 床面の平形保護層配線を施設できない場所には、どこがありますか。
  • 使用する分岐回路の過電流遮断器定格電流は、何A以下ですか。
  • 壁面に施設する場合、電線はどのように収めますか。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、床面に施設する平形保護層配線のルールを4つの視点で整理します。

1. 使用電線・対地電圧・施設できない場所

トピック1:使用電線・対地電圧・施設できない場所
  • 電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、20A用または30A用、かつ接地線を有するものを使う
  • 対地電圧は150V以下
  • 造営物の床面または壁面に施設する
  • 施設できない場所:住宅/旅館・ホテル等の宿泊室/学校の教室等/病院・診療所の病室等/床暖房を施設した床面/粉じん・ガス・危険物・腐食性ガス・火薬庫などの危険場所
ペン太ペン太
回路はどう組むんですか?普通のコンセント回路から分けてもいいですか?
ハリタハリタ
30A以下の専用分岐回路にして、定格感度電流30mA以下の漏電遮断器を設けるのが条件です。
施設できない場所区分
住宅建物の用途
旅館・ホテル等の宿泊室建物の用途
学校の教室等建物の用途
病院・診療所の病室等建物の用途
床暖房を施設した床面床の仕様
粉じん・ガス・危険物・腐食性ガス・火薬庫などの危険場所危険場所
ここまでのポイント
  • 電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、20A用または30A用、かつ接地線を有するものを使う。
  • 対地電圧は150V以下。
  • 造営物の床面または壁面に施設する。
  • 施設できない場所は、住宅/旅館・ホテル等の宿泊室/学校の教室等/病院・診療所の病室等/床暖房を施設した床面/粉じん・ガス・危険物・腐食性ガス・火薬庫などの危険場所。

2. 分岐回路・漏電遮断器・施設方法

トピック2:分岐回路・漏電遮断器・施設方法
  • 過電流遮断器の定格電流30A以下専用分岐回路で使用する(定格は電線に表示された定格電流以下)
  • 電路には漏電遮断器(定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内)を施設する
  • 造営材(壁・床・天井)を貫通させない、外部への引き出しはジョイントボックスを使う
  • 床面は粘着テープ(製造業者指定品)で容易にはがれないよう固定し、防護性・防炎性のあるタイルカーペット等で機械的衝撃から保護する
  • 壁面に施設する場合は金属ダクトに収める(床面からの立上り30cm以下+防護装置なら例外)
たとえ話
フラットケーブルは「薄いシールのような電線」。カーペットの下にすっきり敷けますが、踏まれ続けるので、テープでしっかり固定し、丈夫なカーペットでカバーする必要があるわけです。
見習いペン太
見習いペン太
普通の電線みたいに重ねて敷いてもいいんですか?
はりた
はりた
いや、直接重ね合わせるのは禁止だよ。折り曲げや交差、接続部・引出し部のまわりだけは例外だけどね。
ここまでのポイント
  • 過電流遮断器の定格電流30A以下の専用分岐回路で使用する(定格は電線に表示された定格電流以下)。
  • 電路には漏電遮断器(定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内)を施設する。
  • 造営材(壁・床・天井)を貫通させない。外部への引き出しはジョイントボックスを使う。
  • 床面は粘着テープ(製造業者指定品)で容易にはがれないよう固定し、防護性・防炎性のあるタイルカーペット等で機械的衝撃から保護する。
  • 壁面に施設する場合は金属ダクトに収める(床面からの立上り30cm以下+防護装置なら例外)。

3. 接続と接地

トピック3:接続と接地
  • 電線相互の接続は引張強さを20%以上減少させないよう、専用コネクタを使う(必要な専用工具は必ず使用)
  • 端子台・コンセントとの接続も適した専用コネクタ・端子台を使う(一体接続加工品などは端子台を省略可)
  • コネクタは再使用してはいけない
  • 上部保護層・上部接地用保護層・ジョイントボックス・差込み接続器の金属製外箱にはD種接地工事を施す
  • 緑/黄色のしま模様または緑色の線心は接地線以外に使ってはいけない
取り違えやすいところ正しくは
15A用の電線でも使える20A用または30A用で、かつ接地線を有するものを使う
住宅でも床に施設できる住宅、旅館・ホテル等の宿泊室、学校の教室等、病院・診療所の病室等には施設できない
床暖房の上でも保護すれば施設できる床暖房を施設した床面には施設できない
一般の分岐回路から分岐してよい過電流遮断器の定格電流30A以下の専用分岐回路で使用する
造営材を貫通させて隣室へ通せる造営材(壁・床・天井)を貫通させない。外部への引き出しはジョイントボックスを使う
壁面もそのまま貼れる壁面に施設する場合は金属ダクトに収める(床面からの立上り30cm以下+防護装置なら例外)
接続部の強度は問わない引張強さを20%以上減少させないよう、専用コネクタを使う
ここまでのポイント
  • 電線相互の接続は引張強さを20%以上減少させないよう、専用コネクタを使う(必要な専用工具は必ず使用)。
  • 端子台・コンセントとの接続も適した専用コネクタ・端子台を使う(一体接続加工品などは端子台を省略可)。
  • コネクタは再使用してはいけない。
  • 上部保護層・上部接地用保護層・ジョイントボックス・差込み接続器の金属製外箱にはD種接地工事を施す。
  • 緑/黄色のしま模様または緑色の線心は、接地線以外に使ってはいけない。

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)
Q. 平形保護層配線に使える電線は?
A. 電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、20A用または30A用、かつ接地線を有するものです。
Q. 対地電圧の上限は?
A. 150V以下です。
Q. 施設できない場所は?
A. 住宅、旅館・ホテル等の宿泊室、学校の教室等、病院・診療所の病室等、床暖房を施設した床面、粉じん・ガス・危険物などの危険場所です。
Q. 分岐回路や漏電遮断器の条件は?
A. 過電流遮断器30A以下の専用分岐回路で使用し、電路に定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内の漏電遮断器を施設します。
Q. 接地は必要?
A. 上部保護層・上部接地用保護層・ジョイントボックス・差込み接続器の金属製外箱にD種接地工事が必要です。

まとめ|使える場所を絞り、専用回路で守る配線

床面の平形保護層配線は、施設できない場所をまず外し、30A以下の専用分岐回路と漏電遮断器で守り、カーペット等で機械的衝撃から保護することが基本です。

確認する項目規程が示す内容
使用する電線電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線(20A用または30A用、接地線を有するもの)
対地電圧150V以下
施設する場所造営物の床面または壁面
施設できない建物の用途住宅/旅館・ホテル等の宿泊室/学校の教室等/病院・診療所の病室等
施設できない床床暖房を施設した床面
施設できない危険場所粉じん・ガス・危険物・腐食性ガス・火薬庫など
分岐回路過電流遮断器の定格電流30A以下の専用分岐回路(定格は電線に表示された定格電流以下)
漏電遮断器定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内
造営材の貫通させない。外部への引き出しはジョイントボックス
床面の固定粘着テープ(製造業者指定品)で容易にはがれないよう
床面の保護防護性・防炎性のあるタイルカーペット等
壁面に施設する場合金属ダクトに収める(床面からの立上り30cm以下+防護装置なら例外)
電線相互の接続引張強さを20%以上減少させないよう専用コネクタ(専用工具を使用)
端子台・コンセントとの接続適した専用コネクタ・端子台(一体接続加工品などは端子台を省略可)
コネクタ再使用してはいけない
D種接地工事の対象上部保護層・上部接地用保護層・ジョイントボックス・差込み接続器の金属製外箱
緑/黄のしま模様・緑色の線心接地線以外に使ってはいけない

採用の可否で押さえること

  • 建物の用途が施設できない区分に入っていないか。
  • 床暖房や危険場所ではないか。
  • 電線の定格と接地線の有無。

回路と施工で押さえること

  • 30A以下の専用分岐回路と漏電遮断器。
  • 造営材を貫通していないか。
  • 床面の固定方法とタイルカーペット等による保護。

接続と接地で押さえること

  • 専用コネクタと専用工具、引張強さの確保。
  • コネクタを再使用していないか。
  • D種接地工事の対象と接地線の色。

床面の平形保護層配線は、レイアウト変更の多いオフィスで力を発揮する一方、使える場所がはっきり限定されています。採用を検討する段階で、上の表の「施設できない場所」をまず確認しておくと、設計のやり直しを避けられます。

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ペン太ペン太
施工で気を付けることを、次にひとつ挙げるなら何ですか?
ハリタハリタ
電線を直接重ね合わせないことです。粘着テープで固定して防護タイルで保護し、接続は専用コネクタで行います。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。