内線規程の解釈と解説【074】|低圧進相コンデンサ
出典(内線規程(JEAC8001-2022))より
ペン太
ハリタ記事のテーマ
低圧進相用コンデンサを安全に施設するための規格・施設方法・放電装置のルールについて解説する。
この3つ、すぐ答えられますか
- 定格電圧600V以下のコンデンサは、どの規格に適合させますか。
- 放電装置は、開路後どれだけの時間で何Vまで下げる能力が必要ですか。
- 各負荷に共用して取り付ける場合、あわせて何を施設しますか。
低圧進相用コンデンサとは?
低圧進相用コンデンサとは、電力系統の力率改善や電圧調整などに使用されるコンデンサです。
- 低圧進相用コンデンサは、電力系統の力率改善や電圧調整などに使用されるコンデンサ。
低圧進相用コンデンサの規格
-
JIS規格への適合
- 定格電圧が600V以下の低圧進相用コンデンサは、JIS C 4901 (2013) 「低圧進相用コンデンサ」の性能に適合するものを使用する必要があります。
-
JISマークの表示
- 定格電圧が600V以下の低圧進相用コンデンサは、JISの表示が付されているものを使用する必要があります。
-
蒸着電極コンデンサの注意点
- 蒸着電極コンデンサは、銘板又はケースに記号「SH」で表示されています。
- 低圧進相用コンデンサの多くはこの型式であり、「保安装置」又は「保安機構」が内蔵されている旨表示されています。
- 旧型式のものは、保安装置等が内蔵されていないものがあるので、これらは再使用しないようにしましょう。
| 確認する内容 | 規格上の要求 |
|---|---|
| 定格電圧600V以下のコンデンサ | JIS C 4901(2013)「低圧進相用コンデンサ」の性能に適合するもの |
| 表示 | JISの表示が付されているもの |
| 蒸着電極コンデンサの識別 | 銘板又はケースに記号「SH」で表示 |
| 蒸着電極コンデンサの保安装置 | 「保安装置」又は「保安機構」が内蔵されている旨の表示を確認 |
| 旧型式のもの | 保安装置等が内蔵されていないものがあり、再使用しない |
- 定格電圧600V以下は、JIS C 4901(2013)「低圧進相用コンデンサ」の性能に適合するものを使用する。
- 定格電圧600V以下は、JISの表示が付されているものを使用する。
- 蒸着電極コンデンサは、銘板又はケースに記号「SH」で表示される。
- 多くはこの型式で、「保安装置」又は「保安機構」が内蔵されている旨が表示されている。
- 旧型式のものは保安装置等が内蔵されていないものがあるため、再使用しない。
低圧進相用コンデンサの施設方法
- 低圧進相用コンデンサは、個々の負荷に取り付けることを推奨します。
放電装置
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放電装置の設置
-
放電装置の能力
- 低圧進相用コンデンサの放電装置は、コンデンサ回路に直接接続しておくか、又はコンデンサ回路を開いた場合、自動的に接続するように施設し、開路後3分間以内にコンデンサの残留電荷を75V以下に低下させる能力のあるものである必要があります。
個々の負荷に取り付ける場合の施設ルール
-
コンデンサ容量
- コンデンサの容量は、負荷の無効分より大きくしないようにしましょう。
- (低圧進相用コンデンサ取付容量基準については、資料3-3-3を参照してください。)
-
コンデンサの取り付け位置
- コンデンサは、手元開閉器又はこれに相当するものよりも負荷側に取り付けましょう。
-
分岐電路
- 本線から分岐し、コンデンサに至る電路には、開閉器などを施設しないようにしましょう。
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電線の太さ
- 上記3の電線の太さは、3335-1表及び3335-2表に示す最小太さとしましょう。
- ただし、長さが3m以下の場合は、3335-3表に示す値によることができます。
-
放電抵抗器付コンデンサの使用
- 低圧進相用コンデンサには、放電抵抗器付コンデンサを使用することを推奨します。
電動機負荷の場合の電線太さ
本線から分岐してコンデンサに至る電線の最小太さは、以下の表を目安に選定します。
| 電動機の定格出力 (kW) | 単相2線式 (100V) | 単相2線式 (200V) | 三相3線式 (200V) |
|---|---|---|---|
| 2.2以下 | 8mm² | 2.0mm | 1.6mm |
| 3.7 | 14mm² | 5.5mm² | 2.0mm |
| 7.5 | 38mm² | 14mm | 5.5mm² |
| 15 | – | – | 14mm |
| 37 | – | – | 22mm |
| 37超過 | – | – | 38mm |
| 放電装置 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 放電コイル、放電抵抗その他開路後の残留電荷を放電させる装置を設ける |
| 例外① | コンデンサが手元開閉器よりも負荷側に直接接続され、かつ負荷機器の内部に開閉器類を備えていない場合(コンデンサに対しては専用の開閉器・過電流遮断器・断路器を設置しないこと) |
| 例外② | コンデンサが変圧器の二次側に開閉器又は過電流遮断器の類を経由しないで直接接続されている場合 |
| 接続のしかた | コンデンサ回路に直接接続するか、回路を開いた場合に自動的に接続するよう施設する |
| 能力 | 開路後3分間以内に残留電荷を75V以下に低下させること |
- 低圧進相用コンデンサは、個々の負荷に取り付けることを推奨する。
- 低力率の低圧電動機・電圧装置などは、力率改善のため進相用コンデンサの取付けを推奨する。
- 高調波の発生する制御装置の出力側に接続する負荷には、進相用コンデンサを取り付けない。
- 放電装置は開路後3分間以内に残留電荷を75V以下に低下させる能力のあるものとする。
- コンデンサ容量は負荷の無効分より大きくせず、手元開閉器より負荷側に取り付ける。
- 本線から分岐しコンデンサに至る電路には開閉器などを施設せず、電線は所定の表による最小太さとする。
直列リアクトル
- 低圧進相用コンデンサを各負荷に共用して取り付ける場合は、直列リアクトルを施設する必要があります。
- (直列リアクトルの選定にあたっては、JIS C 4901 (2013) 「低圧進相用コンデンサ」、「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」及びJEAG 9702 (2013) 「高調波抑制対策技術指針」を参照してください。)
- 低圧進相用コンデンサを各負荷に共用して取り付ける場合は、直列リアクトルを施設する。
- 選定にあたっては、JIS C 4901(2013)、「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」及びJEAG 9702(2013)を参照する。
取付け場所
-
屋内施設
- 低圧進相用コンデンサを屋内に施設する場合は、湿気の多い場所、水気のある場所、周囲温度が40℃を超える場所などを避け、堅固に取り付けましょう。
-
屋外施設
- 低圧進相用コンデンサを屋外に施設する場合は、屋外形コンデンサを使用しましょう。
- ただし、防水構造の箱に収め、以下の要件を満たす場合は、屋内形のものを使用できます。
- ① 箱は、外傷を受けない場所を選び、堅固に取り付けましょう。
- ② 箱は、堅ろうで点検容易なものとし、鋼板製のものはさび止め塗料を施しましょう。
- ③ 電線引入れ口は、雨水の浸入を防ぐため、箱の下部などに設けましょう。
- (専用の開閉器は、なるべく同一箱内に収めましょう。)
電線の太さ
- 低圧進相用コンデンサを施設した低圧回路の幹線及び分岐回路の電線太さは、コンデンサを施設しない場合と比べて細くしないようにしましょう。
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 力率改善のためなら共用でまとめてよい | 個々の負荷に取り付けることを推奨。共用する場合は直列リアクトルを施設する |
| 高調波が出る回路でも力率改善は有効 | 高調波の発生する制御装置の出力側に接続する負荷には、進相用コンデンサを取り付けない |
| コンデンサ容量は大きいほどよい | 負荷の無効分より大きくしない |
| 分岐した先に開閉器を入れておくと便利 | 本線から分岐しコンデンサに至る電路には、開閉器などを施設しない |
| 放電装置はどの場合も必要 | 2つの例外に該当する場合はこの限りではない |
| 屋外形でなければ屋外に置けない | 防水構造の箱に収め所定の要件を満たせば屋内形も使用できる |
| コンデンサを付ければ幹線は細くできる | 幹線及び分岐回路の電線太さは、コンデンサを施設しない場合と比べて細くしない |
- 屋内では、湿気の多い場所、水気のある場所、周囲温度が40℃を超える場所などを避け、堅固に取り付ける。
- 屋外では屋外形コンデンサを使用する。
- 防水構造の箱に収め、外傷を受けない場所に堅固に取り付け、堅ろうで点検容易な箱(鋼板製はさび止め塗料)とし、電線引入れ口を箱の下部などに設ける場合は屋内形も使用できる。
- 専用の開閉器は、なるべく同一箱内に収める。
- 幹線及び分岐回路の電線太さは、コンデンサを施設しない場合と比べて細くしない。
接地
- 低圧進相用コンデンサの金属製外箱は、機械器具の金属製外箱などの接地の規定に準じて接地工事を施しましょう。
JIS C 4901/JISマーク
手元開閉器の負荷側
3分以内に75V以下
金属製外箱を接地

- 低圧進相用コンデンサの金属製外箱は、機械器具の金属製外箱などの接地の規定に準じて接地工事を施す。
よくある質問(FAQ)
Q. 低圧進相用コンデンサはどんな規格に適合する必要がありますか?
A. 定格電圧が600V以下のものは、JIS C 4901(2013)「低圧進相用コンデンサ」の性能に適合し、JISマークの表示が付されているものを使用します。
Q. 放電装置にはどんな能力が必要ですか?
A. 開路後3分間以内にコンデンサの残留電荷を75V以下に低下させる能力が必要です。コンデンサ回路に直接接続しておくか、回路を開いた場合に自動的に接続するように施設します。
Q. コンデンサはどこに取り付けるのが推奨されますか?
A. 個々の負荷に取り付けることが推奨されます。手元開閉器(またはこれに相当するもの)よりも負荷側に取り付け、本線から分岐してコンデンサに至る電路には開閉器などを施設しないようにします。
Q. 蒸着電極コンデンサで注意すべき点は何ですか?
A. 記号「SH」で表示され、多くは保安装置(保安機構)が内蔵されています。旧型式で保安装置等が内蔵されていないものは再使用しないようにします。
まとめ
低圧進相用コンデンサは、JIS適合品を選び、個々の負荷の手元開閉器より負荷側に取り付け、放電装置と接地を確実にすることが基本です。
| 確認する項目 | 規程が示す内容 |
|---|---|
| 適合規格(600V以下) | JIS C 4901(2013)「低圧進相用コンデンサ」 |
| 表示 | JISの表示が付されているもの |
| 蒸着電極コンデンサ | 記号「SH」で表示。保安装置内蔵の表示を確認し、旧型式は再使用しない |
| 取付けの推奨 | 個々の負荷に取り付ける |
| 取り付けない負荷 | 高調波の発生する制御装置の出力側に接続する負荷 |
| コンデンサ容量 | 負荷の無効分より大きくしない |
| 取付け位置 | 手元開閉器又はこれに相当するものよりも負荷側 |
| 分岐電路 | 本線から分岐しコンデンサに至る電路に開閉器などを施設しない |
| 放電装置の能力 | 開路後3分間以内に残留電荷を75V以下 |
| 共用して取り付ける場合 | 直列リアクトルを施設する |
| 屋内の場所 | 湿気の多い場所・水気のある場所・周囲温度40℃超などを避け、堅固に取り付ける |
| 屋外の場所 | 屋外形コンデンサ(所定の要件を満たす防水構造の箱に収める場合は屋内形も可) |
| 幹線・分岐回路の電線太さ | コンデンサを施設しない場合と比べて細くしない |
| 接地 | 金属製外箱に、機械器具の金属製外箱などの接地の規定に準じた接地工事 |
機器を選ぶときに押さえること
- 低圧進相用コンデンサは、JIS規格に適合し、JISマークの表示があるものを使用しましょう。
- 蒸着電極コンデンサは、保安装置内蔵の新しいものを使用しましょう。
- 放電抵抗器付コンデンサを使用することを推奨します。
回路の計画で押さえること
- 低圧進相用コンデンサは、個々の負荷に取り付けることを推奨します。
- 手元開閉器又はこれに相当するものよりも負荷側に取り付けましょう。
- 本線から分岐し、コンデンサに至る電路には開閉器などを施設しないようにしましょう。
設置と保安で押さえること
- 放電装置を設置し、コンデンサの残留電荷を安全に放電できるようにしましょう。
- 屋内・屋外それぞれの場所の条件を満たして施設しましょう。
- 金属製外箱には、機械器具の金属製外箱などの接地の規定に準じて接地工事を施しましょう。
低圧進相コンデンサは力率改善のために後から追加されることも多い機器です。残留電荷という感電のリスクを持つため、放電装置の要否と接地は、容量の検討と同じタイミングで確認しておくと安心です。
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低圧進相用コンデンサ、JIS規格、JISマーク、蒸着電極コンデンサ、放電装置、電気工事、電気技術規程、安全
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