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家のエアコンは200Vなのに、「住宅の屋内は150V以下」という決まりがあります。矛盾しているようで、ちゃんと守られています。カギは、決まりが見ているのが電線どうしの電圧ではなく、電線と大地の間の電圧=対地電圧だということです。この記事では、対地電圧のしくみ、変圧器の接地、配電方式ごとの値、住宅の150V以下の決まり、絶縁抵抗や検電器とのつながりを、使っている場面の動く図解でほどきます。線間電圧とはと対になる、超基本の14本目です。

結論

対地電圧は電線と大地の間の電圧で、感電の危なさを決めます。変圧器で中性線を接地しているので、単相3線式の対地電圧は100V。住宅の屋内は対地電圧150V以下が原則です。

  • 鳥は同じ電線にいるので平気、人は電線と大地の間で感電する
  • 単相3線式は200Vの機器でも対地100V、三相200Vは対地200V
  • 絶縁抵抗の基準も、対地電圧150V以下は0.1MΩ以上
  • 検電器は対地電圧で光る。白(接地側)は光らない
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解で、押すと大きく見られます。

この図の読み方

くり返し動きます。左から、もの・記号・用途の順です。

  1. もの:電線と大地の間の電圧
  2. 記号:100/200V(単相3線式)なら対地100V
  3. 用途:住宅は150V以下など、安全のものさし

動く図解で学ぶ電気設備接地・雷保護の動く図解25本を、まとめて見られます見る →

対地電圧とは ― 電線と大地の間の電圧

電線に止まった鳥が感電しないのは、両足とも同じ電線にいて、体に電圧がかからないからです。一方、地面に立った人が電線に触れると、体には電線と大地の間の電圧がかかり、電流が体を通って地面へ流れます。この電線と大地の間の電圧が対地電圧で、感電の危なさを決める電圧です。

鳥と人のちがい

人が手を伸ばして電線に触れると、体を通って地面へ電流が流れます。

  1. 鳥は両足とも同じ電線にいるので0V
  2. 人は電線と大地の間の電圧を受ける
  3. これが対地電圧
たとえるなら
対地電圧は「地面からの高さ」
電圧を高さにたとえると、線間電圧は2つの屋上の高さの差、対地電圧は地面からの高さです。地面に立つ人にとって怖いのは、屋上どうしの差ではなく、自分の足元(地面)からどれだけ高いかです。

線間電圧・相電圧との違いは線間電圧とはで解説しています。

ここまでのポイント
  • 対地電圧は電線と大地の間の電圧
  • 地面に立って触れると体にかかる
  • 感電の危なさは対地電圧で見る

変圧器の接地で決まる ― 配電方式ごとの対地電圧

電柱の変圧器は、高圧6600Vを低圧に下げるとき、低圧側の1本(単相3線式なら中性線)をB種接地工事で大地につないでいます。すると中性線は大地とほぼ同じ0Vになり、赤や黒の線と大地の間が100Vに決まります。高圧と低圧が万一触れても、低圧側が危ない電圧にならないための接地です。

変圧器の接地

変圧器の白い線が大地につながり、大地との電圧が順に光ります。

  1. 変圧器の低圧側の1本を接地する
  2. 接地した白と大地の間はほぼ0V
  3. 赤・黒と大地の間は100V

どの線を接地するかは配電方式で決まっていて、そこから対地電圧が決まります。

方式ごとの対地電圧

4つの方式が順に光ります。

  1. 単相2線式・単相3線式は対地100V
  2. 三相3線式200Vは対地200V
  3. 三相4線式415/240Vは対地240V
配電方式 線間電圧 対地電圧
単相2線式 100V 100V 100V
単相3線式 100/200V 100V・200V 100V
三相3線式 200V(1線接地) 200V 200V
三相4線式 415/240V 415V・240V 240V
接地した線と大地の間は0V。ほかの線と大地の間が対地電圧です。

変圧器の接地の決め方は接地設備の設計|B種接地工事について、接地の役割全体は接地(アース)とはで解説しています。

動く図解で見る:接地は何のためにあるかB種・C種・D種の役割を動く図解で(接地・雷保護のページへ)

ここまでのポイント
  • 変圧器の低圧側の1本をB種接地する
  • 接地した線と大地の間は0V
  • 単相3線式の対地電圧は100V


住宅は150V以下 ― 200Vのエアコンが使える理由

住宅は、電気にくわしくない人や子どもも毎日電気を使う場所です。そこで住宅の屋内の電路は、対地電圧150V以下が原則になっています。単相3線式の200Vは線間電圧で、対地電圧は100Vなので、200Vのエアコンや IHもこの範囲で使えます。三相200Vのように対地電圧が150Vを超える場合は、条件をそろえた大きな機器だけ、対地電圧300V以下まで認められます。

ひっかけ注意
「200Vの機器は住宅の150V以下の決まりに合わない」ではありません。
決まりが見ているのは対地電圧です。単相3線式の200Vは線間電圧で、対地電圧は100Vです。線間の数字だけで判断しないようにします。

150Vを超えてよい例外の細かい条件は内線規程の解釈と解説【001】対地電圧の制限と住宅の屋内電路の対地電圧制限で解説しています。

ここまでのポイント
  • 住宅の屋内は対地電圧150V以下
  • 単相3線式の200Vは対地100V
  • 三相200Vは条件つきで300V以下まで

絶縁抵抗の基準 ― 対地電圧が高いほどきびしい

電線や機器の絶縁が弱ると、電気が大地へもれて感電や火災の原因になります。そこで、絶縁抵抗計(メガー)で測った値が基準以上かを確かめます。その基準も対地電圧で分かれていて、対地電圧150V以下の回路は0.1MΩ以上、三相200Vの動力のようなそれ以外の300V以下の回路は0.2MΩ以上、300Vを超える回路は0.4MΩ以上です。

絶縁抵抗の基準

メガーの針が上がり、回路ごとの基準が順に光ります。

  1. 対地150V以下は0.1MΩ以上
  2. 300V以下のそれ以外は0.2MΩ以上
  3. 300V超は0.4MΩ以上
電路の使用電圧 対地電圧 絶縁抵抗
300V以下 150V以下 0.1MΩ以上
300V以下 150Vを超える 0.2MΩ以上
300Vを超える ― 0.4MΩ以上
出典:電気設備技術基準(省令)第58条の考え方。住宅の100V・200V回路は一番上の0.1MΩです。

基準の考え方は内線規程の解説|絶縁抵抗値の基準、0.1MΩという数字の由来は絶縁抵抗0.1MΩはどこから来たのかで解説しています。

ここまでのポイント
  • 絶縁抵抗の基準も対地電圧で分かれる
  • 住宅の回路は0.1MΩ以上
  • 対地電圧が高いほどきびしい


用途で見る ― 検電器と、現場での言い分け

現場で電気が来ているかを確かめる検電器も、対地電圧に反応して光ります。単相3線式で赤と黒に当てると光り、接地された白(中性線)に当てると光りません。ただし増改築を重ねた建物では色がちがうこともあるので、作業の前は必ず検電器で確かめます。

検電器

検電器を赤・白・黒に順に当てると、赤と黒だけが光ります。

  1. 赤と黒は対地100Vで光る
  2. 接地側の白は光らない
  3. 色がちがう現場もあるので必ず確かめる

対地電圧で決まるもの

対地電圧で決まる安全のルールが順に光ります。

  1. 住宅の上限は対地150V以下
  2. 絶縁抵抗の基準も対地電圧で決まる
  3. 「何V?」は線間か対地かを言い分ける

検電器や絶縁抵抗計の選び方は電気工事の工具・計測器おすすめで紹介しています。

動く図解で見る:接地抵抗の測定測定器の使い方を動く図解で(接地・雷保護のページへ)

ここまでのポイント
  • 検電器は対地電圧で光る
  • 接地側の白は光らない
  • 作業前は必ず検電する

読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. 200Vの機器は対地も200Vと思う:単相3線式なら対地は100Vです。
  2. 三相200Vも対地100Vと思う:1線を接地した三相200Vは、対地200Vの線があります。
  3. 白い線なら触っても平気と思う:色がちがう現場や、三相の白は電圧側のことがあります。
  4. 絶縁抵抗の基準を線間で選ぶ:300V以下の回路は対地電圧150V以下かで分けます。
  5. 鳥が平気だから電線は安全と思う:地面に立つ人が触れると対地電圧がかかります。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、接地と安全を動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

動く図解のジャンル一覧を見る →

よくある質問

対地電圧とは何ですか?

電線と大地(地面)の間の電圧です。地面に立った人が電線に触れたとき体にかかるのがこの電圧なので、感電の危なさを決めます。電線どうしの間の線間電圧とは別のものです。

線間電圧との違いは?

線間電圧は電線と電線の間の電圧で、機器を動かす電圧です。対地電圧は電線と大地の間の電圧で、安全のルールに使います。単相3線式なら線間電圧は200V、対地電圧は100Vです。

住宅の対地電圧は何Vまでですか?

住宅の屋内の電路は、対地電圧150V以下が原則です。単相3線式100/200Vは対地電圧100Vなので、200Vのエアコンや IHもこの範囲で使えます。2kW以上の機器などの条件をそろえた場合は、対地電圧300V以下まで認められます。

なぜ中性線と大地の間は0Vなのですか?

電柱の変圧器で、低圧側の中性線をB種接地工事で大地につないでいるからです。中性線が大地と同じ電位になり、赤や黒の線と大地の間が100Vに決まります。

絶縁抵抗の基準は対地電圧で変わりますか?

変わります。使用電圧300V以下で対地電圧150V以下の回路は0.1MΩ以上、300V以下のそれ以外は0.2MΩ以上、300Vを超える回路は0.4MΩ以上が基準です。

検電器で白い線が光らないのはなぜですか?

検電器は電線と大地の間の電圧(対地電圧)に反応して光ります。白い線は接地された中性線で大地との間がほぼ0Vなので光りません。ただし色がちがう現場もあるので、作業の前は必ず検電器で確かめます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。