建築消防|消火器の設置基準について詳しく解説
消火器の設置基準を解説。設置の基本ルール、能力単位の意味と計算方法、設置場所を決めるときの注意点まで。
結論
消火器は用途ごとに面積不問・延べ150㎡以上・延べ300㎡以上で設置義務が決まり、必要量は延べ面積÷算定基準面積の能力単位で出します。配置は各部分から歩行距離20m以内です。
- 地階・無窓階・3階以上は、その階の床面積50㎡以上で必要
- 火を使う設備・器具のある飲食店は面積不問
- 耐火構造+内装難燃なら算定基準面積を2倍に読み替える
- 電気設備のある場所は100㎡以下ごとに1個追加。SP等の有効範囲内は3分の1まで減らせる
ペン太
ハリタ消火器が必要な建物 ― 令第10条第1項
消火器(消火器具)の設置義務は、消防法施行令第10条第1項で決まります。用途で「面積不問」「150㎡以上」「300㎡以上」の3段階に分かれ、さらに危険物・指定可燃物と、地階・無窓階・3階以上の階の条件が加わります。
| 区分 | 主な用途(令別表第一) | 設置が必要な規模 |
|---|---|---|
| 1号 | (一)項イ 劇場など、(二)項 キャバレー・遊技場・カラオケボックスなど、(三)項のうち火を使う設備・器具を設けた飲食店など、(六)項イ(1)〜(3) 病院・有床診療所など、(六)項ロ 老人福祉施設など、(十六の二)項 地下街、(十六の三)項、(十七)項 重要文化財など、(二十)項 | 面積に関係なく必要 |
| 2号 | (一)項ロ 公会堂・集会場、(三)項(1号以外)、(四)項 物販店舗、(五)項 旅館・ホテル・共同住宅、(六)項イ(4)・ハ・ニ、(九)項 浴場、(十二)〜(十四)項 工場・車庫・倉庫 | 延べ150㎡以上 |
| 3号 | (七)項 学校、(八)項 図書館、(十)項 停車場、(十一)項 神社・寺院、(十五)項 事務所など | 延べ300㎡以上 |
| 4号 | 少量危険物(指定数量の5分の1以上)・指定可燃物を貯蔵し又は取り扱うもの | 数量で判定 |
| 5号 | 上記以外でも、地階・無窓階・3階以上の階 | その階の床面積50㎡以上 |
飲食店は、2019年10月の改正で火を使う設備・器具を設けた店は面積に関係なく必要になりました(防火上有効な措置を講じたものを除く)。「飲食店はすべて面積不問」ではなく、火を使うかどうかで分かれます。(十六)項イの複合用途は、用途部分ごとに判定します(令第9条)。
- 1号は面積不問、2号は延べ150㎡以上、3号は延べ300㎡以上
- 火を使う設備・器具のある飲食店は面積不問
- 地階・無窓階・3階以上は、その階の床面積50㎡以上で必要
必要な本数 ― 能力単位で数える
消火器には「能力単位」という消火能力の目安が表示されています。お米の量を「合」で量るように、消火能力を単位で足し算します。必要な能力単位は、延べ面積(床面積)÷算定基準面積で求めます(規則第6条)。
| 用途 | 算定基準面積 | 耐火構造+内装難燃 |
|---|---|---|
| (一)項イ、(二)項、(十六の二)項、(十六の三)項、(十七)項 | 50㎡ | 100㎡ |
| (一)項ロ、(三)〜(六)項、(九)項、(十二)〜(十四)項 | 100㎡ | 200㎡ |
| (七)項、(八)項、(十)項、(十一)項、(十五)項 | 200㎡ | 400㎡ |
主要構造部を耐火構造とし、壁・天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料とした建物は、算定基準面積を2倍にできます。たとえば耐火構造で内装を難燃材料とした延べ600㎡の事務所なら、600÷400=1.5で、2単位以上です。
- 付加設置:変圧器・配電盤などの電気設備がある場所は、床面積100㎡以下ごとに消火器を1個以上追加します。ボイラー室など多量の火気を使う場所は、床面積÷25㎡の能力単位を追加します。
- 減らせる場合:屋内消火栓・スプリンクラーなどの有効範囲内は、必要な能力単位を3分の1まで減らせます。大型消火器を置いた有効範囲内は2分の1まで減らせます。11階以上の部分には適用されません。
- 必要な能力単位=延べ面積÷算定基準面積(50/100/200㎡)
- 耐火構造+内装難燃なら算定基準面積を2倍に読み替える
- 電気設備室は100㎡以下ごとに1個追加。SP等の有効範囲内は3分の1まで減らせる
置き方 ― 歩行距離20m以内
能力単位が足りていても、置き場所の条件を満たさなければ不適合です。消火器は、建物の各部分から歩行距離20m以内になるよう、階ごとに配置します(大型消火器は30m以内)。
歩行距離は、地図アプリの「直線距離」ではなく「徒歩ルート」の距離です。壁や間仕切りを迂回した、実際に歩く道のりで測ります。レイアウト変更で間仕切りが増えると、同じ本数でも20mを超える場所が出ることがあります。
- 高さ:床面から1.5m以下の位置に置きます(規則第9条)。
- 標識:見やすい位置に「消火器」の標識を付けます。
- 置き場所:通行や避難に支障がなく、使うときにすぐ持ち出せる場所に置きます。地震で転倒しないように措置します。
- 各部分から歩行距離20m以内(大型消火器は30m以内)
- 歩行距離は壁や間仕切りを迂回した実際の道のり
- 床面から1.5m以下に置き、標識を付ける
まとめ
消火器は、用途と延べ面積で設置義務を判定し、能力単位で必要量を出し、歩行距離20m以内で配置する、という3段階で検討します。電気室やボイラー室の付加設置も忘れずに拾いましょう。下の算定表で、用途と面積から必要な能力単位を確認できます。
| 確認すること | 根拠 |
|---|---|
| 設置が必要か | 令第10条第1項 |
| 必要な能力単位 | 規則第6条(付加設置を含む) |
| 減らせるか | 規則第7条・第8条 |
| 配置・高さ・標識 | 規則第6条・第7条・第9条 |
ペン太
ハリタ建築用途別設置基準算定表
消火器とは?
消火器は、火災の初期段階で火を消し止めるための最も身近で有効な消防用設備です。消防車が到着するまでの間に火災の延焼を防ぎ、被害を最小限に抑える重要な役割を果たします。このツールを使って、あなたの建物に法的な設置義務があるかを確認し、安全対策にお役立てください。
基本情報
STEP 1:建物の用途は?
建物の主な用途を選択してください。
STEP 2:建物の延べ面積は? (㎡)
建物全体の床面積の合計を入力してください。
STEP 3:地階・無窓階・3階以上の階は?
該当する階はありますか?
STEP 3-1:その階の床面積は? (㎡)
地階・無窓階・3階以上の階のうち、最も大きい床面積を入力してください。
STEP 4:少量危険物・指定可燃物は?
指定された量の危険物や可燃物を取り扱っていますか?
判定結果
建物の情報を入力・選択し、[判定する]ボタンを押してください。
判定履歴
算定ロジックの概要
以下のいずれかの条件に合致する場合、消火器の設置義務があります。
| 防火対象物 | 一般 (延べ面積) |
地階・無窓階・3階以上の階 (床面積) |
判定結果 |
|---|---|---|---|
| 少量危険物・指定可燃物 ※ | 指定数量以上 | – | 義務あり |
|
※注記: 少量危険物は指定数量の1/5以上、指定可燃物は指定数量以上で設置義務が生じます。 |
|||
| 地階・無窓階・3階以上の階 | – | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (1)項イ 劇場等 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (1)項ロ 集会場等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (2)項 キャバレー等 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (3)項 飲食店等 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (4)項 百貨店等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (5)項イ 旅館等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (5)項ロ 共同住宅等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (6)項イ(1) 病院 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (6)項イ(2) 有床診療所 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (6)項イ(3) 病院・有床診療所等 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (6)項イ(4) 無床診療所等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (6)項ロ 老人短期入所施設等 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| (6)項ハ 老人デイサービスセンター等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (6)項ニ 特別支援学校等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (7)項 学校等 | ≧ 300㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (8)項 図書館等 | ≧ 300㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (9)項イ 蒸気浴場等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (9)項ロ 一般浴場 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (10)項 車両停車場等 | ≧ 300㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (11)項 神社等 | ≧ 300㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (12)項イ 工場等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (12)項ロ スタジオ等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (13)項イ 車庫等 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (13)項ロ 特殊格納庫 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (14)項 倉庫 | ≧ 150㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (15)項 前各項以外 | ≧ 300㎡ | ≧ 50㎡ | 義務あり |
| (16)項 複合用途 | 各用途による | 各用途による | 要確認 |
| (16の2)項, (16の3)項, (17)項 | 面積に関わらず | 面積に関わらず | 義務あり |
| 上記のいずれにも合致しない場合 | – | – | 義務なし |
ペン太
ハリタよくある質問
消火器の設置が必要なのはどのような建物ですか?
用途によって、面積に関係なく必要なもの、延べ150㎡以上で必要なもの、延べ300㎡以上で必要なものに分かれます。そのほか、地階・無窓階・3階以上の階で床面積50㎡以上の階や、少量危険物・指定可燃物を扱う建物にも必要です。
飲食店は面積に関係なく消火器が必要ですか?
火を使う設備・器具を設けた飲食店は、面積に関係なく必要です(防火上有効な措置を講じたものを除く)。それ以外の飲食店は延べ150㎡以上で必要です。
能力単位とは何ですか?
消火器の消火能力を表す数値で、消火器に表示されています。必要な能力単位は、延べ面積を用途ごとの算定基準面積(50/100/200㎡)で割って求めます。耐火構造で内装を難燃材料とした建物は、算定基準面積を2倍にできます。
消火器までの歩行距離の基準は?
建物の各部分から歩行距離20m以内(大型消火器は30m以内)になるよう配置します。直線距離ではなく、壁や間仕切りを迂回した実際に歩く道のりで測ります。
スプリンクラーなどがあれば消火器を減らせますか?
屋内消火栓・スプリンクラーなどの有効範囲内は、必要な能力単位を3分の1まで減らせます。大型消火器を置いた有効範囲内は2分の1まで減らせます。11階以上の部分には適用されません。
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