📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら

図面に出てくる「200V」「20A」――このV(ボルト)やA(アンペア)って結局なに?を今日で解決します。電気は目に見えないので、“水の流れ”にたとえていっきに腹落ちさせましょう。この回が、これから出てくる計算ぜんぶの土台になります。

電圧・電流・抵抗を“水の流れ”で

ペンタ

ペンタ(新人)
はりたさん、図面に「200V」とか「20A」ってよく出てくるんですけど…V(ボルト)とA(アンペア)って、結局なにが違うんですか?
はりた

はりた(先輩)
きた、電気のいちばん基本!電気は目に見えないから、“水の流れ”に置きかえるとスッと分かるよ。この図、水が流れて水車が回っているでしょ。
図1 水路モデル(アニメ):電圧=落差(押す力)、電流=流れる水の量、抵抗=水車(流れにくさ)
図① 水路モデル ― 坂が高いほど水は勢いよく流れる=電圧が高いほど電流が流れる
はりた

はりた(先輩)
電圧V=坂の高さ(押す力)電流I=流れる水の量抵抗R=水車(流れにくさ)。これだけ!
ペンタ

ペンタ(新人)
あ、じゃあ V が大きいほど A も増える、ってことですか?
はりた

はりた(先輩)
そのとおり!ただし抵抗Rが邪魔をする。Rが大きい(水車が重い)と、同じ電圧でも流れる量は減る。これを式にしたのがオームの法則 V=I×R。下の図みたいに、求めたい文字を指でかくすと残りが答えになるよ。
図2 オームの法則の三角形(アニメ):VIRのどれかを指でかくすと残りが計算式になる
図② オームの法則の三角形 ― かくした文字=求めたい答え。一生使える覚え方

図面の「200V」「20A」はこう読む

200Vはその回路にかかる電圧20Aはそこに流せる電流(ブレーカーなら「ここまでならOK」の目安)。さらに電気の“仕事量”を表す電力 W=V×Iもセットで押さえると強力です。100Vで5A流れる機器は 100×5=500W。逆に「500Wの機器を100Vで使うと約5A」と電流を逆算できます。

ペンタ

ペンタ(新人)
W=V×I で、機器のワット数から電流(A)が出せるんですね。急に図面が“意味のある数字”に見えてきました!
はりた

はりた(先輩)
その感覚が大事!電流(A)が読めると、次は「何アンペアのブレーカー?」「電線は何スケ?」って話に一直線につながるよ。

💼 この回が実務でこう生きる

  • 機器の消費電力(W)から電流(A)を見積もれる → ブレーカー・電線サイズの“当たり”がつく。
  • 図面の電圧・電流の表記が読める → チェック・拾い出しが速くなる。
  • 「なぜ200Vにするの?」といった設計判断の会話についていける

📋 実務活用事例|「湯沸かし器を増やしたい」を数字で判断する

ケース:給湯室に電気ケトル(100V・1500W)を増設したい。既存の20A回路には電子レンジ(100V・1000W)がつながっている。

① ケトルの電流:I=W÷V=1500÷100=15A

② レンジの電流:1000÷100=10A

③ 同時使用すると 15+10=25A > 20Aブレーカーが落ちる!

結論:今日の式(W=V×I)だけで「既存回路に相乗りはNG、専用回路を新設」という設計判断が、根拠つきでできる。ちなみに200V・2.2kWのエアコンなら 2200÷200=11A。電圧が高いと電流が小さくて済む、も体感できます。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。

Q.そもそも“電気が流れる”って、何が流れているんですか?
→ 電線の中の電子というとても小さな粒です。ただ、設計の実務では今日の「水のイメージ」で考えれば十分です。

Q.鳥が電線に止まっても平気なのはなぜですか?
→ 電気は「電圧の差」があるところに流れるから。1本の電線に両足で止まると差がほぼゼロで、体にはほとんど電流が流れません。2本に同時に触れたら大変危険です。

🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

Q.電圧を2倍にしたら、電流も2倍になるんですか?

A.抵抗が同じならそうなるよ(V=I×R)。ただし実務では「上げればいい」わけじゃない。電圧を上げると機器の絶縁が耐えられるかが問題になるから、勝手に上げないのが鉄則

Q.なんで送電線って、あんな高い電圧なんですか?

A.同じ電力を送るなら、電圧を高くするほど電流を小さくできる(W=V×I)。電流が小さいと電線での発熱ロスが減るから、遠くへ送るほど高電圧が有利なんだ。この感覚は第13回・電圧降下にそのままつながるよ。

Q.W(ワット)って、V・Aとどう関係してるんですか?

A.電力 W=V×I。100Vで5Aなら500W。この考え方が、建物ぜんぶの容量(kVA)の話=第3回の入口になる。今日の式が、そのまま次に化けるんだ。

💬 はりたから新人さんへ:「じゃあ2倍にしたら?」「なんで?」とその場で聞けるのが、いちばん伸びる新人。式を丸暗記するより、「なぜそうなるか」を図でイメージすると忘れないし応用が利きます。

⚠️ ここだけ注意

実際の回路は抵抗のほかにコイルやコンデンサ(交流の世界=次回)も関わるので、いつでも単純に V=I×R だけ、とはいきません。でも“基本の考え方”はこの三角形が全て。まずはここを体にしみ込ませればOKです。

まとめ

  • 電圧V=押す力(坂の高さ)、電流I=流れる量、抵抗R=流れにくさ(図①)。
  • オームの法則 V=I×R。三角形で「かくしたところが答え」(図②)。
  • 電力 W=V×I もセット。ワット数から電流(A)を逆算できる。
  • 1500Wケトル=15A。既存回路に足すと落ちる→専用回路、まで判断できる。

▶ 次回・第2回

直流と交流/単相と三相のちがい
なぜ家庭は単相100Vで、工場の機械は三相200Vなのか。図面の「1φ2W」「3φ3W」の意味が読めるようになります。