この記事は、連載コンセント設備の設計マニュアル」第1回 全体フローと負荷の想定第2回 配置計画 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
用語編③ コンセントの種類と読み方の全体像
📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。用語編の第3弾は、毎日必ず目にするのに意外と説明できないコンセント穴の形の意味図面の添字の読み方——この2つが分かると、現場の壁と図面の両方が「読める」ようになります。

ペンタ
先輩、現地調査で「そこのコンセント、何Aか見といて」って言われたんですけど…見ただけで分かるものなんですか?
はりた
分かるよ!実はコンセントの穴の形は電圧×電流の組み合わせで規格が決まってるんだ。だから形を見れば、テスターを当てなくても「何V・何A用か」が言える。まずは代表の4パターン+接地付きから。
ペン太ペン太
コンセントの穴の形って、どれも同じじゃないんですか?
ハリタハリタ
形は電圧×電流の暗号です。縦穴は100V、横穴は200V。見た瞬間に種類がわかります。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 壁のコンセントを見ただけで、何V・何A用か言えますか。
  • EとET、アース付きという意味では同じでしょうか。
  • 図面に「2」とだけ描いたら、現場は何を取り付けるでしょうか。

穴の形は「電圧×電流」の暗号 ― 見た瞬間に種類がわかる

トピック1:穴の形は「電圧×電流」の暗号
コンセントの刃受形状を電圧と電流で整理したマトリクス図
【図1】刃受(穴)の形マトリクス。縦=100V、横=200V、L字や縦横ミックス=20A
ペンタ
えっ、待ってください。縦なら100V、横なら200V…そんな単純なルールだったんですか!?
はりた
そう、拍子抜けするくらいシンプル(笑)。これは間違った機器を物理的に差せなくするための設計なんだ。200V機器のプラグは横刃だから、100Vコンセントには絶対入らない。形そのものが安全装置になってる。
ペンタ
じゃあ右下の緑の、丸い穴が増えてるやつは…?
はりた
それが接地極付(E付)。アース刃を受ける穴が追加された形だよ。洗濯機・電子レンジ・OA機器みたいに漏電したとき人を守りたい機器は接地付きにするのが原則。内線規程でも水気・湿気のある場所は接地極付きが求められているんだ。
ペン太ペン太
EとETって、同じアース付きってことですよね?
ハリタハリタ
Eは差し込み型アース刃用、ETはネジ留めのアース端子用。機器に応じて選び分けます。
見えたもの読み取れる仕様現調でのメモ例
縦穴だけ100V系無印なら15A・125V
横穴だけ200V系単相200V。エアコン用の可能性
L字や縦横のミックス20A対応専用回路の可能性を疑う
丸い穴が増えている接地極付水回りやOA機器まわりか確認
ここまでのポイント
  • コンセントの穴の形は、電圧×電流の組み合わせで規格が決まっている。形を見れば何V・何A用かが言える。
  • これは間違った機器を物理的に差せなくするための設計。200V機器のプラグは横刃なので100Vコンセントには入らない。
  • 形そのものが安全装置になっている。
  • 接地極付は、アース刃を受ける穴が追加された形。水気・湿気のある場所は接地極付きが求められる。

図面では「添字」がコンセントの仕様書

トピック2:図面では「添字」がコンセントの仕様書

第5回で、コンセントの図記号(丸+2本線)は学びました。実務ではその横に付く小さな文字=添字(そえじ)が本番。ここに口数・接地・形状のすべてが書かれています。

コンセント記号の添字一覧表:2・E・ET・EET・LK・T・WP・定格表記・フロア
【図2】添字の読み方一覧。「記号+添字」でコンセントの仕様がすべて読める
ペンタ
EとETって、どっちもアースじゃないんですか?何が違うんだろう…
はりた
よく混同されるポイント!E=接地極付:プラグのアース刃が刺さる「極」があるET=接地端子付:アース線をネジで留める「端子」がある。プラグの形が違う機器に対応するための2方式で、両方欲しい場所は「EET」を使う。洗濯機置場の定番だね。
ペンタ
「LK(抜け止め)」って、どういうときに使うんですか?
はりた
差してから回すとロックされて抜けなくなるタイプ。天井のプロジェクター、店舗の什器、医療機器まわりみたいに「うっかり抜けたら事故・損害」という場所の定番。天井付けのコンセントはほぼLKと思っていいくらいだよ。
添字意味使いどころ
E接地極付。プラグのアース刃が刺さる洗濯機、電子レンジ、OA機器
ET接地端子付。アース線をネジで留める端子式の機器に合わせる場所
EET極と端子の両方を備える洗濯機置場の定番
LK抜け止め。差して回すとロックする天井のプロジェクター、店舗の什器
WP防雨形。雨がかかる程度を想定屋外、庇の下
ここまでのポイント
  • 実務では図記号のよこに付く小さな文字=添字が本番。口数・接地・形状のすべてがここに書かれる。
  • Eは接地極付でプラグのアース刃が刺さる極があり、ETは接地端子付でアース線をネジで留める端子がある。
  • 両方欲しい場所はEETを使う。洗濯機置場の定番。
  • LK(抜け止め)は差してから回すとロックされるタイプ。うっかり抜けたら事故・損害になる場所の定番で、天井付けはほぼLK。

💼 実務でこう生きる

トピック3:実務でこう生きる
📋 実務活用事例:現地調査で「壁を読む」
テナント改修の現調。壁のコンセントを見て「縦縦=100V15A」「左L字=100V20A、専用回路の可能性大」「横横=単相200V、エアコン用か」と即メモ。アース穴の有無も記録します。
→ 盤リスト(第9回)と突き合わせれば、どの回路がどこに来ているかが机上で復元でき、調査報告書の精度が一気に上がります。
📋 実務活用事例:器具表(プロット)の指定ミスを防ぐ
図面に「2E」と描くべきところを「2」だけにすると、現場は接地なしの2口を付けてしまいます。電子レンジ用に「EET」、屋外に「WP」、天井に「LK」——添字の指定漏れは手戻り工事に直結。添字=発注仕様という意識が、描く側に回ったとき効いてきます。
ここまでのポイント
  • 現調では壁のコンセントを見て、縦縦なら100V15A、左L字なら100V20Aで専用回路の可能性、横横なら単相200Vとメモする。
  • アース穴の有無も記録し、盤リストと突き合わせれば、どの回路がどこに来ているかが机上で復元できる。
  • 図面に「2E」と描くべきところを「2」だけにすると、現場は接地なしの2口を付けてしまう。
  • 電子レンジ用にEET、屋外にWP、天井にLK。添字の指定漏れは手戻り工事に直結する。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

トピック4:いまさら聞けない素朴なギモン
🐣 コンセントの左の穴だけ長いのはなぜ?
左の長い方は接地側(W=ワイド)で、変圧器側で大地につながっている電線が来ています。右の短い方が電圧側。器具側で極性を揃えたい機器(オーディオや測定器など)のための目印です。差し込みはどちら向きでも使えますが、「長い=接地側」は現場の共通知識なので覚えておきましょう。
🐣 「コンセント」って英語じゃないの?
実は和製英語です。英語では receptacle(レセプタクル)や outlet(アウトレット)。図面や仕様書で「レセプタクル」と書かれていたらコンセントのことです。ちなみにプラグを差す「タップ」「OAタップ」は延長コード側の呼び名です。
ここまでのポイント
  • 左の長い穴は接地側で、変圧器側で大地につながっている電線が来ている。右の短い方が電圧側。
  • 器具側で極性を揃えたい機器のための目印で、差し込み自体はどちら向きでも使える。
  • 「コンセント」は和製英語。英語では receptacle や outlet で、図面や仕様書のレセプタクルはコンセントのこと。
  • タップやOAタップは延長コード側の呼び名。

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

トピック5:深掘りQ&A ― 会話でもっと分かる
🔎 「20Aの回路に15Aのコンセントって付けていいんですか?」と聞いてみた
はりた「いい質問!内線規程では20A分岐回路に15A・20A兼用コンセントを付けるのが認められている。実際、事務所の20A回路に15Aコンセントが並ぶのは普通の光景。逆に30A回路に15Aコンセントは不可。回路とコンセントの組み合わせにはルールがあるんだ(第4部の分岐回路設計でやるよ)」
🔎 「専用回路にするかどうかは、何で決めるんですか?」と聞いてみた
はりた「目安は“1台で1kW級を食う機器”。電子レンジ・エアコン・複合機・給湯器あたりは専用回路が定番。ほかの機器と相乗りだと、同時使用でブレーカーが落ちる(第9回のエアコン専用回路の話とつながるね)」
🔎 「防水形(WP)って、どこまで水に耐えるんですか?」と聞いてみた
はりた「WPは“防雨形”で、雨がかかる程度を想定した構造。水没や噴流には耐えない。屋外でも設置の向きや高さ、フタの仕様で使い分ける。保護等級(IP表記)という指標もあって、これは仕様書の読み方として別の回で扱おう」
ここまでのポイント
  • 内線規程では20A分岐回路に15A・20A兼用コンセントを付けることが認められている。
  • 逆に30A回路に15Aコンセントは不可。回路とコンセントの組み合わせにはルールがある。
  • 専用回路の目安は1台で1kW級を食う機器。電子レンジ・エアコン・複合機・給湯器あたりが定番。
  • WPは防雨形で、雨がかかる程度を想定した構造。水没や噴流には耐えない。

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

トピック6:新人がやりがちな注意ポイント
  • 添字の書き漏れ・拾い漏れ:「E」1文字の有無で現場の施工が変わります。描くときも拾うときも添字までセットで。
  • 200Vコンセント=動力と思わない:横穴の200Vは単相200V(電灯系)。三相の動力コンセントはまた別物です(第10回参照)。
  • 現調で写真だけ撮って満足しない:形+添字+周辺機器をメモしてこそ、盤リストとの突き合わせができます。
ペン太ペン太
図面を描くとき、何に気をつければいいですか?
ハリタハリタ
添字の指定漏れは手戻り工事の元。LK(抜け止め)やWP(防雨形)も忘れずに。
ここまでのポイント
  • 添字を書き漏らさない、拾い漏らさない。「E」1文字の有無で現場の施工が変わる。
  • 200Vコンセントを動力と思わない。横穴の200Vは単相200Vで、三相の動力コンセントは別物。
  • 現調で写真だけ撮って満足しない。形+添字+周辺機器をメモしてこそ盤リストと突き合わせられる。

まとめ ― 今日の1枚

トピック7:まとめ ― 今日の1枚

コンセントは、形と添字という2つの手がかりで読めます。壁を見る目と図面を読む目が、同じ知識でつながります。

読む順番見るところ分かること
① 形刃受の向きと数電圧と電流の区分
② 接地丸穴や端子の有無漏電時に人を守る構成か
③ 記号図面の丸+2本線そこにコンセントがある
④ 添字記号のよこの小さな文字口数・接地・形状という発注仕様

形が語ること

  • 穴の形は縦=100V、横=200V、L字・ミックス=20A。誤接続防止の安全設計。
  • 接地はE=極、ET=端子、EET=両方。水回り・OA機器は接地付きが原則。

図面の読み方

  • 図面は記号(第5回)+添字(今回)の2段構えで読む。無印=15A・125V。
  • 現調では、形と添字と周辺機器をセットでメモすると盤リストと突き合わせられる。

描く側に回ったら

  • 添字は発注仕様そのもの。書き漏れ・拾い漏れは手戻りに直結。
  • 電子レンジ用にEET、屋外にWP、天井にLK。指定は具体的に書き切る。

壁の四角い器具ひとつに、電圧・電流・接地・使う場所の想定が畳み込まれています。読めるようになると、現地調査の速さがはっきり変わります。

用語編は今後も「電線・ケーブル・配管材の呼び名」「現場の打合せ・指示の言葉」と続きます。本編・第11回(第4部開幕:需要率・負荷率)もお楽しみに!

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。