📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。第4部の2回目は、前回求めた容量を安全に流すための——ケーブルサイズ(太さ)の選び方。キーワードは許容電流です。

ペンタ
先輩、図面に「CV 38sq」とか書いてありますよね。あの太さって、どうやって決めてるんですか?経験と勘…?
はりた
昔はそういう先輩もいたけど(笑)、正解は計算と表で決める。しかも4ステップの型がある。今日はその型を持って帰ってもらうよ。

電流→太さの4ステップ

設計電流の算出から許容電流表での選定までの4ステップフロー
【図1】サイズ決定フロー。第1回のI=P÷V、第3回の力率がここで実戦投入される
ペンタ
STEP1の式、第1回と第3回でやったやつだ…!P÷V…三相は√3と力率。本当に再登場するんですね。
はりた
第1部は全部ここへの伏線だったのだ(笑)。で、今日の主役はSTEP2〜3。ケーブルには「安全に流せる電流の上限」=許容電流があって、それは発熱の限界で決まってる。電気が流れると電線は発熱する。絶縁体が耐えられる温度を超えないギリギリのライン、それが許容電流だ。

許容電流表の読み方 ― 条件で変わるのがミソ

許容電流表の読み方:サイズの行と敷設条件の列で選ぶ
【図2】許容電流表の読み方(イメージ値)。同じ38sqでも、条件で155A→92Aまで変わる
ペンタ
同じ太さなのに、束ねると半分近くまで減るんですか!?
はりた
そう、ここが新人が一番驚くポイント。理由はシンプルで、束ねる・管に入れる・暑い場所=熱がこもるから。放熱できないと同じ電流でも温度が上がるので、上限を下げるしかない。真夏の天井裏なんて条件としては最悪クラス。だから「どこを・どう通るか」を決めないとサイズは決められない——施工実務編⑤⑥で見たルートの話が、計算に直結してるんだ。
ペンタ
図2の緑の枠、「許容電流≧ブレーカー定格」…これはどういう意味ですか?
はりた
ケーブルを守るのは上流のブレーカー(第9回)だったよね。もしケーブルの体力(許容電流100A)よりブレーカー定格(150A)が大きかったら、ケーブルが悲鳴を上げてもブレーカーが落ちない。守り神が守れない組み合わせは絶対NG。サイズ選定とブレーカー選定は必ずセットで整合させる。

💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:幹線サイズの選定書を書く
分電盤L-3への幹線。負荷合計×需要率→設計電流92A→電線管3本収容の条件→表から38sqを選定、主幹100AのMCCBと整合確認——この一連を計算書に残します。
→ 数年後の増設検討でも、この計算書があれば「あと何A余裕があるか」が一目瞭然。計算書は未来の自分への申し送りです。
📋 実務活用事例:計算ツールで検算する
手計算で型を覚えたら、実務では計算ツールで効率化&検算するのが定石。当サイトの無料計算ツール一覧には幹線サイズ・電圧降下などの計算ツールがあります。ツールに入れる数字の意味が分かる——それが今日の内容の価値です。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 「sq(スケア)」って何の単位?
導体の断面積で、単位はmm²(平方ミリメートル)。squareの略で、現場では「38スケ」のように読みます。太いほど断面積が大きい=電気の通り道が広い=許容電流が大きい。第1回の水のたとえなら「水路の広さ」です。ちなみに細い電線は直径(1.6mm・2.0mm)で呼ぶ流儀もあります。
🐣 ケーブルとより線、電線って全部同じもの?
「電線」は導体に絶縁被覆をしたもの(IV線など)、「ケーブル」は電線をさらに外装(シース)で束ねて保護したもの(CVケーブルなど)。導体が1本の単線と、細い素線をより合わせたより線があり、太いサイズはほぼより線です。用語編⑤(電線・配管材の呼び名)で深掘り予定!

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「CVとかCVTって何が違うんですか?」と聞いてみた
はりた「CVは架橋ポリエチレン絶縁のケーブルで、3心をひとつの外装に入れたのがCV3心。CVTは単心のCVを3本より合わせたもので、放熱が良く許容電流が大きめ、曲げやすくて施工性もいい。幹線の主役はCVT——名前と得意技をセットで覚えよう」
🔎 「許容電流ぴったりで選ぶのは危険ですか?」と聞いてみた
はりた「ぴったりは避ける。将来の負荷増、想定外の高温、表の条件とのズレ——現実は計算より厳しい方に転ぶことがある。1〜2割の余裕を持たせるか、1サイズ上げるのが実務の相場。ただし太くしすぎはコストと施工性(曲げ・端子)に跳ね返るから、根拠のある余裕にすること」
🔎 「電圧が高いと電流が減るって、サイズにも効くんですか?」と聞いてみた
はりた「効く効く。同じ30kWでも、単相100Vなら300A、三相210Vなら92A——電圧が高いほど電流が小さくてサイズも細くできる。第8回の「なぜ高圧で受電するか」と同じ理屈が、建物の中の電圧選びにも生きてるんだ」

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • 表の条件を確認せず数字だけ引用しない:空中の値?管内の値?周囲温度は?——列と前提条件までがワンセット。
  • 低減率(補正)を忘れない:束ね本数・周囲温度の補正を飛ばすと、現場で熱いケーブルができあがります。
  • ブレーカーとの整合を最後に必ず確認:許容電流≧ブレーカー定格。サイズだけ決めて終わりにしない。

まとめ ― 今日の1枚

  • サイズ選定は電流を求める→条件で補正→表で選ぶ→検算の4ステップ。
  • 許容電流の正体は発熱の限界。放熱が悪い条件ほど流せる電流は減る
  • 大原則:ケーブルの許容電流 ≧ ブレーカー定格。守られる側が強くないと意味がない。
  • 計算書に条件と根拠を残す。ツールは意味が分かってこそ武器になる。

次回・第13回は、サイズ選定のもう一つの検算——電圧降下の計算。「長い距離を送ると電圧が痩せる」問題を図解します。お楽しみに!

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
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