第23回 他業種(建築・空調・衛生)との調整のきほん
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📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら

こんにちは、HARITAの設計室です。第22回で積算・見積のきほんを見てきました。図面から数量を拾い、金額に変える流れがひと通り分かったところで、今回は本編ラストのテーマ「他業種との調整」を扱います。
電気設備は単独で存在するわけではなく、空調・衛生・建築と同じ天井裏・同じ壁の中で共存します。ここでの調整をおろそかにすると、どれだけ電気設計が正しくても現場でやり直しになる――新人がいちばんつまずきやすい「取り合い」の考え方を、会話形式で見ていきましょう。
先輩、自分の描いた電気配線、図面上は問題なかったのに、現場で「ダクトとぶつかってる」って言われました…。どこで間違えたんでしょうか。
それ、電気の図面だけを見て設計してない?「取り合い」は電気単体では絶対に気づけないミスなんだ。
取り合いって、聞いたことはあるんですけど、正直よく分かってません。
簡単に言うと、複数の業種が同じ空間(天井裏・壁の中・床下)を取り合うこと。電気だけの図面で完結せず、他業種の図面と重ねて確認する必要がある。今日はその考え方を一から見ていこう。
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天井内の取り合い ― 4業種が同じ空間を奪い合う

この図、電気が一番下にありますね。何か理由があるんですか?
理由がある。動かせない設備から先に位置が決まるんだ。重力排水の配管は勾配が必須だから、ほぼ動かせない。ダクトも断面積が大きくて経路の自由度が低い。
電気は動かせるから、後回しにされちゃうってことですか?
その通り。電気ラックは相対的に小さく、経路の融通が利くから、最後に残ったスペースへ押し込まれがち。でも「融通が利く」は「後回しにしていい」の意味じゃない。押し込まれすぎると、必要な離隔すら取れなくなる。
なぜ新人が取り合いでつまずくのか
自分の図面だけ見ていたら、なんで気づけないんですか?
電気の平面図には、ダクトや配管は描かれていないことが多い。自分の図面が正しくても、他業種の図面と重ねて初めて衝突が見えるんだ。1枚の図面だけを完璧にしても、取り合いのミスは防げない。
じゃあ、他業種の図面も全部見ないといけないんですね。
全部を細かく理解する必要はないけど、自分のルートが通る場所に、他に何が来る予定かは必ず確認する。この意識があるかないかで、手戻りの発生率が大きく変わるよ。
図面協議 ― 重ね合わせて干渉を見つける
他業種の図面と自分の図面を重ねるって、具体的にどうやるんですか?
最近はBIM(3次元モデル)で自動的に干渉チェックする現場も増えてきたけど、基本は各業種の下地図(納まり図)を1枚に重ねて、目視で干渉箇所を洗い出すのが土台。ツールが変わっても、この基本の考え方は変わらない。
干渉が見つかったら、どうするんですか?
調整会議で優先順位を決めて、経路を再検討する。ここで積算編でやった「動かせない設備を先に決める」考え方がそのまま活きてくる。天井内の優先順位を知っていれば、会議での主張もしやすくなるよ。
現場での確認 ― 図面と現況のズレを見る
図面協議で解決していれば、現場ではもう安心ですか?
残念ながらそうとも限らない。躯体の実際の位置や、既存設備が図面と微妙にズレていることがある。図面上は問題なくても、現場で干渉することはよくある。
だから現場での確認も省略できないんですね。
その通り。図面協議は「事前に気づくための最初の関門」であって、最終確認ではない。現場での実測とすり合わせまでがワンセットだと考えよう。
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記録に残す ― 「言った・言わない」を防ぐ
協議で決まったことって、わざわざ記録しなくても、みんな覚えてるんじゃないですか?
それが甘い。案件は数か月〜数年続くこともあるし、担当者が途中で変わることもある。口頭の約束は必ず忘れられると思っておいた方がいい。
記録って、具体的に何を残せばいいんですか?
最低限、「いつ・誰と・何を・なぜその結論にしたか」の4点。図面に反映するのはもちろん、議事録として文章でも残しておくと、あとで「なぜこの経路にしたのか」を説明できる。
図面だけじゃダメなんですか?
図面は「結果」しか残らない。「なぜそうしたか」という経緯は議事録じゃないと残らない。後任者が見たときに、同じ議論を蒸し返さずに済むのは、この経緯の記録があるおかげなんだ。
実践 ― 調整の進め方と、気づくタイミングの重み

この帯グラフ、施工後に気づくと修正コストが一番大きいんですね。
そう。図面協議の段階なら線を引き直すだけで済む。でも施工後にボードを開けてからだと、やり直し+工期の遅れが発生する。同じ干渉でも、気づく段階によってコストが何倍にも変わるんだ。
じゃあ、なるべく早い段階で気づくことが大事なんですね。
その通り。早く・重ねて・記録するの3点セットを意識しよう。特に「記録する」を忘れがちだけど、協議結果を残しておかないと、後の工程で同じ干渉が蒸し返されることがあるよ。
💼 実務でこう生きる
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🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 自分の図面だけで完結したと思い込む … 他業種の図面と重ねるまでが設計です。
- 電気は融通が利くからと後回しにしすぎる … 最低限のスペースは早い段階で主張します。
- 図面協議で解決したら現場確認を省略する … 躯体・下地の実測は必ず行います。
- 干渉が見つかっても口頭だけで済ませる … 協議結果は必ず図面・議事録に記録します。
- 取り合いに気づくタイミングを軽視する … 早く気づくほど修正コストは小さくて済みます。
- 優先順位を毎回同じだと決めつける … 天井懐が低いなど現場条件で優先順位は変わり得ます。
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まとめ ― 今日の1枚
- 取り合いとは、複数の業種が同じ天井裏・壁の中を奪い合うこと。
- 天井内の優先順位は動かせない設備(勾配必須の排水配管など)から先に決まる。
- 電気ラックは融通が利く分、後回しにされやすいため、早めのスペース主張が必要。
- 取り合いは自分の図面だけでは気づけず、他業種の図面と重ねて初めて見える。
- 調整は下地図収集→重ね合わせ→協議→現場確認→記録の5ステップで進める。
- 干渉に気づくタイミングが遅いほど、修正コストは大きくなる。
- 取り合いは「早く・重ねて・記録する」の3点セットで防ぐ。
これで本編は第23回まで来ました。あわせて第21回 拾い出しのきほんや第22回 積算・見積のきほん、全カリキュラム(目次)もあわせてどうぞ。
次回・第24回は、いよいよ終章。「次に取る資格と勉強ロードマップ」。基礎を一通り学び終えたあと、次に何を学べばいいのか、資格や書籍への橋渡しをしていきます。
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