【新人講座 第21回】拾い出しのきほん ― 図面から数量を数え出す
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こんにちは、HARITAの設計室です。今回は、新人が最初に任されることの多い仕事——拾い出し(数量拾い)を1回まるごと使って学びます。前回の「描く」に続いて、いよいよ「拾う」の番です。


ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 1/50の図面を1/100だと思って測ると、何が起きるか。
- 平面図に見えないのに、配線長に足さなければならないものは何か。
- 数えた記号に色マーカーで印をつけるのは、何のためか。
拾い出しの5ステップ ― 数える前に、8割が決まる





| STEP | やること | ここで防げること |
|---|---|---|
| 1 準備 | 図面の版・縮尺・凡例を確認する。縮尺は図面内の寸法値と1か所突き合わせて検証 | 1/50を1/100と思って測れば配線長は全部ちょうど倍。気づいた時点で最初からやり直し |
| 2 区切る | 部屋ごと・回路ごとにブロックを決め、そのブロックを拾い切ってから次へ | 図面全体を行ったり来たりすることで生まれるダブりと抜け |
| 3 数える | 数えた記号に色マーカーで印を残す | 数え漏れと二重カウント |
| 4 測る | 器具は個数、配線は平面の長さ+立上り・立下り | 立上り忘れ |
| 5 まとめる | 拾い書に品名・規格・単位・数量+根拠メモ | あとで検算できない拾い |
- 拾い出しは「作業」ではなく「手順」。準備 → 区切る → 数える → 測る → まとめる。
- 縮尺を確認せずに測り始めると、1/50の図面を1/100だと思った瞬間に配線の長さが全部ちょうど倍になる。気づいた時点で最初からやり直し。準備の5分が、やり直しの5時間を防ぐ。
- 「区切る」は、部屋ごと・回路ごとにブロックを決めて、そのブロックを拾い切ってから次へ行くこと。図面全体を行ったり来たりすると、必ずダブりと抜けが出る。数える単位は小さいほど安全。
拾い出しの型 ― 1部屋でマスターする





ペン太
ハリタ- 器具は個数、配線は平面の長さ+立上り・立下り。
- 平面図は上から見た図だから縦の距離は見えない。見えない分を頭で補えるかが、拾える人と拾えない人の分かれ目。三大事故のひとつが「立上り忘れ」。
- 取付高さ(コンセントはFL+300、スイッチはFL+1200)が、ここで「拾いの精度」になる。
- 単位は個・台・m・式とバラバラ。拾い書の単位欄を先に埋めてから数えると、単位の取り違えはほぼ起きない。
拾いの道具 ― 数え漏れは、気合いではなく道具で減らす













新人がまず1つ買うなら ― 拾い用の道具2つ
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どちらも数千円から手に入る道具です。会社の備品にない場合は、自分用に1つ持っておくと拾いの精度が変わります。まずは自分の拾い方(紙で拾うか、画面で拾うか)に合うほうから。
このほか、拾いでよく使う三角スケール・数取器(カウンター)・色鉛筆などは、電気設備のおすすめアイテム一覧にまとめています。書籍については電気設備の必携書籍おすすめ4選もあわせてどうぞ。
| 道具 | 役目 | こんなときに効く |
|---|---|---|
| 三角スケール | 1/100・1/200など6種類の縮尺目盛りが付いた三角柱の定規。図面の縮尺に合った面で測れば、目盛りがそのまま実寸(m)で読める | 紙図面を測るとき。普通の定規は換算ミスの温床 |
| キルビメーター(曲線計) | 小さな車輪を図面の線の上で転がして、曲がった長さを測る | 柱を避け、梁下を通り、立ち上がる——折れ曲がった幹線・配管ルート |
| 数取器 | 頭の中のカウントを外に出しておく | 途中で中断されても、続きが分かる |
| 色マーカー/ペンタブレット | 拾った跡を残す。画面で拾うなら、線をなぞる・面を塗る動作がマウスより速い | マーキングをやめた瞬間に、検算ができなくなる |
- 拾いのミスは、ほぼ「数え漏れ」と「二重カウント」の2種類。どちらも「拾った跡が残っていない」ときに起きる。
- キルビメーター(曲線計)は、小さな車輪を図面の線の上で転がして曲がった長さを測る道具。折れ曲がったルートを三角スケールで一区間ずつ足すと、時間もかかるし足し忘れも出る。
- 道具の価値は、「途中で中断されても続きが分かる形」にしてくれること。数取器も、頭の中のカウントを外に出しておく道具。
- 画面で拾うならペンタブレットの効きが大きい。マウスで塗ると線がガタガタになり、塗るのが面倒になってマーキングをやめてしまう。マーキングをやめた瞬間に検算ができなくなる。
- 道具の本当の役目は「拾った跡を、あとから見つけられる形で残すこと」。速さはおまけ。
💼 実務でこう生きる
- 拾い出しデビュー初日は、①図面の版と縮尺と凡例を確認(縮尺は寸法値と1か所突き合わせて検証)②拾う範囲を宣言してから始める ③部屋・回路ごとに区切り、数えた記号には色マーカーで印 ④拾い書は品名・規格・単位・数量+根拠メモ ⑤最後に器具数と回路数をザックリ検算。
- この型どおりにやれば、初回から「検算できる拾い」ができる。速さは後から付いてくるので、まずは漏れなくダブりなく。
- 数えること自体より、集計と転記でミスと時間を消耗する。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
- 三角スケールは1/100・1/200など6種類の縮尺目盛りが付いた三角柱の定規。図面の縮尺に合った面を使えば、測った目盛りがそのまま実寸(m)で読める。普通の定規でも換算すれば測れるが、換算ミスの温床。
- CADデータをもらえず、PDFや紙図面しかない案件も普通にある。印刷して三角スケールで拾うか、PDF上で計測できるツールを使う。
- どちらも注意は「印刷・表示の倍率」。原寸で出力されていないと全部ズレるので、図面内の寸法値と実測を1か所突き合わせてから拾い始める。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
- 余長は、盤内の結線分・器具接続分・施工の逃げとして、会社ごとに割増ルール(例えば配線長の10%など)を持っていることが多い。自分で勝手に決めず、会社の標準を確認して、拾い書に割増率を明記する。
- 拾い間違いが見積後に見つかると、赤字や追加協議の火種になる。だからこそ検算の仕組みが大事——器具数と回路数の整合、㎡あたりの概算指標との突合、別の人によるクロスチェック。
- 間違い自体より「検算せずに出した」ことが問題になる。
- BIMで3Dモデルから数量を自動集計する流れは確実に進んでいる。ただし「モデルに正しく入力する」「出てきた数量の妥当性を判断する」のは人の仕事のまま。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 縮尺を確認せずに測り始めない:1/50と1/100では長さが倍違う。拾いの前に必ず確認+1か所検証。
- 立上り・立下りを忘れない:平面図に縦の距離は見えない。取付高さ(用語編②)で補う。
- 単位を混ぜない:個・台・m・式。拾い書の単位欄を最初に埋めてから数える。
- 数えた印を省略しない:印は「数えた証拠」。中断して戻ってきたとき、印だけが自分を助けてくれる。
ペン太
ハリタ- 縮尺を確認せずに測り始めない。1/50と1/100では長さが倍違う。拾いの前に必ず確認+1か所検証。
- 立上り・立下りを忘れない。平面図に縦の距離は見えない。取付高さで補う。
- 単位を混ぜない。個・台・m・式。拾い書の単位欄を最初に埋めてから数える。
- 数えた印を省略しない。印は「数えた証拠」。中断して戻ってきたとき、印だけが自分を助けてくれる。
まとめ ― 今日の1枚
拾い出しで差がつくのは、数える速さではなく、数える前の準備と、数えた跡の残し方です。この2つがそろっていれば、初回から検算できる拾いになります。
| 三大事故 | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 縮尺ちがい | 1/50と1/100では長さが倍違う | 拾いの前に必ず確認し、図面内の寸法値と1か所突き合わせて検証する |
| 立上り忘れ | 平面図は上から見た図なので、縦の距離が図面に見えない | 取付高さ(コンセントはFL+300、スイッチはFL+1200など)で補う |
| 単位の取り違え | 個・台・m・式が混ざる | 拾い書の単位欄を先に埋めてから数える |
拾いは手順
- 拾い出しは作業ではなく手順。準備 → 区切る → 数える → 測る → まとめる。
- 器具は個数、配線は平面の長さ+立上り・立下り。見えない縦を頭で補う。
三大事故
- 三大事故は縮尺ちがい・立上り忘れ・単位の取り違え。どれも準備で防げる。
残し方と道具
- 拾い書は品名・規格・単位・数量+根拠メモ。あとで検算できる形で残す。
- 道具は速く拾うためではなく、拾った跡を残すために使う。跡がない拾いは検算できない。
拾い出しは、新人が最初に任される仕事であると同時に、いちばん「型」が効く仕事でもあります。準備・区切り・印。この3つを守っているかぎり、多少遅くても誰かが検算できます。逆に、速く数えても跡が残っていなければ、その数字は誰にも確かめられません。
次回・第22回は、拾った数量がいよいよ金額になります——積算・見積のきほん。「設計の判断が、どうお金に変わるのか」を見ていきましょう。お楽しみに!
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