新人の学習ルート 12. 拾い出しと積算
この記事は、このステップの 1 / 8 本目です
進み方を見る →
動く図解この記事のポイントを動く図解にまとめました(①準備 → ②数える → ③測る → ④まとめる・くり返し再生)。ジャンル「積算・見積」で見る →
PR|本記事はプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!こんにちは、HARITAの設計室です。今回は、新人が最初に任されることの多い仕事——拾い出し(数量拾い)を1回まるごと使って学びます。前回の「描く」に続いて、いよいよ「拾う」の番です。

先輩、来週から拾い出しデビューすることになりました…。「図面から数量を拾って」って言われたんですけど、正直、数えればいいだけ…ですよね?

半分正解、半分あまい(笑)。拾い出しは新人の総合演習——記号・添字・取付高さ、今まで学んだ知識が全部ここで試される。しかも拾いは「作業」じゃなくて「手順」なんだ。まずその手順から。

ペン太
拾い出しって、図面の器具をひたすら数えるだけの作業ですよね?

ハリタ
数える前の準備で結果の8割が決まります。5ステップの型があるんですよ。
この記事で押さえる3つのこと
- 1/50の図面を1/100だと思って測ると、配線の長さが全部ちょうど倍になる
- 平面図に見えないが、配線長には立上り・立下りを足す
- 色マーカーの印は数えた証拠。数え漏れ・二重カウントを防ぎ、あとで検算できる
この記事でわかること
※ 本記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の第21回です。全カリキュラムは記事冒頭のリンクからご覧いただけます。
拾い出しの5ステップ ― 数える前に、8割が決まる
寸法値 図面の3,600を探す。
測る 1/100で7.2m。
合わない 2倍なら1/50。
直す 1/50で3.6m。
たとえるなら縮尺の取り違えは、地図の縮尺を読み違えて歩く距離を見積もるのと同じ
1/25,000の地図を1/50,000だと思って距離を読むと、歩く距離を2倍に見積もってしまいます。図面も同じで、1/50の図面を1/100だと思って測ると、配線の長さが全部ちょうど倍になります。歩き出す前に地図の縮尺を確かめるように、拾い始める前に縮尺を確かめます。
ここに注意!「拾い出しは、図面の器具を数えるだけ」ではありません。
準備 → 区切る → 数える → 測る → まとめる、の手順です。縮尺や凡例を確かめる準備で、結果の8割が決まります。
ここに注意!「縮尺は、表題欄を見れば十分」ではありません。
PDFや印刷は、表示や出力の倍率がずれていることがあります。図面内の寸法値と1か所突き合わせてから測り始めます。
【図1】拾い出しは5ステップ。いきなり数え始めないのがコツ
「数える前に8割が決まる」って、どういうことですか? 早く数え始めた方が速そうですけど…。

たとえば縮尺を確認せずに測り始めたとしよう。1/50の図面を1/100だと思って測ったら、配線の長さが全部ちょうど倍。気づいた時点で最初からやり直しだよね。準備の5分が、やり直しの5時間を防ぐんだ。

うっ…想像しただけでゾッとします。「区切る」っていうのは?

部屋ごと・回路ごとにブロックを決めて、そのブロックを拾い切ってから次へ行くこと。図面全体を行ったり来たりすると、必ずダブりと抜けが出る。数える単位は小さいほど安全だよ。
| STEP | やること | ここで防げること |
| 1 準備 | 図面の版・縮尺・凡例を確認する。縮尺は図面内の寸法値と1か所突き合わせて検証 | 1/50を1/100と思って測れば配線長は全部ちょうど倍。気づいた時点で最初からやり直し |
| 2 区切る | 部屋ごと・回路ごとにブロックを決め、そのブロックを拾い切ってから次へ | 図面全体を行ったり来たりすることで生まれるダブりと抜け |
| 3 数える | 数えた記号に色マーカーで印を残す | 数え漏れと二重カウント |
| 4 測る | 器具は個数、配線は平面の長さ+立上り・立下り | 立上り忘れ |
| 5 まとめる | 拾い書に品名・規格・単位・数量+根拠メモ | あとで検算できない拾い |
ここまでのポイント
- 拾い出しは「作業」ではなく「手順」。準備 → 区切る → 数える → 測る → まとめる。
- 縮尺を確認せずに測り始めると、1/50の図面を1/100だと思った瞬間に配線の長さが全部ちょうど倍になる。気づいた時点で最初からやり直し。準備の5分が、やり直しの5時間を防ぐ。
- 「区切る」は、部屋ごと・回路ごとにブロックを決めて、そのブロックを拾い切ってから次へ行くこと。図面全体を行ったり来たりすると、必ずダブりと抜けが出る。数える単位は小さいほど安全。
拾い出しの型 ― 1部屋でマスターする
平面 平面図で22m。
コンセント 2.2m×2。
スイッチ 1.3m。
合計 27.7m。
ここに注意!「配線の長さは、平面図で測った長さだけ」ではありません。
平面図は上から見た図なので、縦の距離は見えません。天井からコンセントやスイッチまでの立上り・立下りを、取付高さから出して足します。
【図2】器具は個数、配線は平面+立上り。拾い書は検算できる形で残す
配線の「平面22m+立上り等6m」…。そうか、コンセントはFL+300、スイッチはFL+1200だから、天井から下りてくる縦の分を足すんだ!

その通り!用語編②の取付高さが、ここで「拾いの精度」になる。平面図は上から見た図だから縦の距離は図面に見えない——見えない分を頭で補えるかが、拾える人と拾えない人の分かれ目。だから三大事故のひとつが「立上り忘れ」なんだ。

あと、単位が「個」「台」「m」「式」ってバラバラなのも怖いです…。

だから拾い書の単位欄を先に埋めてから数える。「これは個で数えるもの」「これはmで測るもの」と決めてから手を動かせば、単位の取り違えはほぼ起きない。

ペン太
また数え漏れしてました…気合いが足りないんでしょうか。

ハリタ
気合いではなく道具です。三角スケールやキルビメーターを使い分けましょう。
ここまでのポイント
- 器具は個数、配線は平面の長さ+立上り・立下り。
- 平面図は上から見た図だから縦の距離は見えない。見えない分を頭で補えるかが、拾える人と拾えない人の分かれ目。三大事故のひとつが「立上り忘れ」。
- 取付高さ(コンセントはFL+300、スイッチはFL+1200)が、ここで「拾いの精度」になる。
- 単位は個・台・m・式とバラバラ。拾い書の単位欄を先に埋めてから数えると、単位の取り違えはほぼ起きない。
拾いの道具 ― 数え漏れは、気合いではなく道具で減らす
印 数えたら色を付ける。
中断 電話で手が止まる。
続き 印のない所から。
合計 8個。検算できる。
たとえるなら数えた印は、読みかけの本にはさむしおり
しおりをはさんでおけば、途中で本を閉じても、どこまで読んだかがすぐ分かります。拾い出しの印も同じで、電話や打合せで手が止まっても、印のない所から続ければ数え漏れも二重カウントも起きません。しかも、あとから別の人が見ても、どこを数えたかが分かります。
ここに注意!「数え漏れは、集中すれば防げる」ではありません。
拾いのミスは、ほぼ数え漏れと二重カウントの2種類で、どちらも数えた跡が残っていないときに起きます。印を残す道具で防ぎます。

先輩、拾いって結局は目と根性ですよね。数え間違えないように、集中するしかないというか…。

集中力で戦うと、必ず負ける日が来るよ。拾いのミスは、ほぼ「数え漏れ」と「二重カウント」の2種類しかない。しかもこの2つは、どちらも「拾った跡が残っていない」ときに起きるんだ。だったら、跡が残る道具を使えばいい。
【図3】拾いの道具。紙でも画面でも、やることは「測る・数える・印を残す・集計する」の4つ
「キルビメーター」って初めて聞きました。定規とは違うんですか?

曲線計とも呼ばれる道具でね、
小さな車輪を図面の線の上で転がして、曲がった長さを測るんだ。
幹線ルートも配管ルートも、まっすぐには通らないだろう? 柱を避けて、梁下を通って、立ち上がって——あの折れ曲がった線を三角スケールで一区間ずつ足していくと、時間もかかるし足し忘れも出る。

たしかに、区間を数えている途中で「いま何本目だっけ」ってなります…。

それが数え漏れの正体だよ。道具が「途中で中断されても続きが分かる形」にしてくれることに価値がある。数取器も同じ発想で、頭の中のカウントを外に出しておく道具なんだ。

最近はPDFで拾うことも多いですよね。ペンタブって、必要ですか?

必須ではないけど、画面で拾うなら効きが大きい道具ではあるね。拾いって、線をなぞる・面を塗る・チェックを入れる——手描きに近い動作の連続なんだ。マウスはもともと「クリックする道具」で、「なぞる道具」じゃない。ペンで塗れるようになると、紙でやっていたマーキングのクセをそのまま画面に持ち込める。

たしかに、マウスで塗ろうとすると線がガタガタになります…。

それで塗るのが面倒になって、結局マーキングをやめてしまう。マーキングをやめた瞬間に、検算ができなくなる。道具をケチった結果がミスになる、典型例だね。

道具をそろえたら、拾いは早くなりますか?

早くはなる。でもそれはおまけだよ。道具の本当の役目は「拾った跡を、あとから見つけられる形で残すこと」。第19回でやった「早く言う」と同じで、自分のミスに自分で気づける状態をつくるのが先輩の仕事なんだ。
新人がまず1つ買うなら ― 拾い用の道具2つ
PR|本記事はプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます
どちらも数千円から手に入る道具です。会社の備品にない場合は、自分用に1つ持っておくと拾いの精度が変わります。まずは自分の拾い方(紙で拾うか、画面で拾うか)に合うほうから。
🏆 画面で拾う人へ|作業が手描きに戻る
🖊️
ペンタブレット
PDF・CAD上でのマーキング用|板タブなら数千円台から
✔ 線をなぞる・面を塗る動作がマウスより速い
✔ 紙でやっていたマーキングのクセをそのまま使える
✔ 筆圧で色を重ねられるので「拾い跡」が見やすい
✔ 図面のチェックバック・赤入れにもそのまま使える
Amazonで探す楽天市場で探す📐 紙で拾う人へ|曲線の長さを測る
🎯
キルビメーター(曲線計)
配線・配管ルートの長さ拾い用|アナログ式/デジタル式
✔ 曲がったルートを転がすだけで長さが出る
✔ 三角スケールで区間ごとに足す手間と足し忘れが消える
✔ 1/50・1/100など縮尺を切り替えて読める機種が便利
✔ デジタル式なら合計値をそのまま拾い書へ
Amazonで探す楽天市場で探すこのほか、拾いでよく使う三角スケール・数取器(カウンター)・色鉛筆などは、電気設備のおすすめアイテム一覧にまとめています。書籍については電気設備の必携書籍おすすめ4選もあわせてどうぞ。
| 道具 | 役目 | こんなときに効く |
| 三角スケール | 1/100・1/200など6種類の縮尺目盛りが付いた三角柱の定規。図面の縮尺に合った面で測れば、目盛りがそのまま実寸(m)で読める | 紙図面を測るとき。普通の定規は換算ミスの温床 |
| キルビメーター(曲線計) | 小さな車輪を図面の線の上で転がして、曲がった長さを測る | 柱を避け、梁下を通り、立ち上がる——折れ曲がった幹線・配管ルート |
| 数取器 | 頭の中のカウントを外に出しておく | 途中で中断されても、続きが分かる |
| 色マーカー/ペンタブレット | 拾った跡を残す。画面で拾うなら、線をなぞる・面を塗る動作がマウスより速い | マーキングをやめた瞬間に、検算ができなくなる |
ここまでのポイント
- 拾いのミスは、ほぼ「数え漏れ」と「二重カウント」の2種類。どちらも「拾った跡が残っていない」ときに起きる。
- キルビメーター(曲線計)は、小さな車輪を図面の線の上で転がして曲がった長さを測る道具。折れ曲がったルートを三角スケールで一区間ずつ足すと、時間もかかるし足し忘れも出る。
- 道具の価値は、「途中で中断されても続きが分かる形」にしてくれること。数取器も、頭の中のカウントを外に出しておく道具。
- 画面で拾うならペンタブレットの効きが大きい。マウスで塗ると線がガタガタになり、塗るのが面倒になってマーキングをやめてしまう。マーキングをやめた瞬間に検算ができなくなる。
- 道具の本当の役目は「拾った跡を、あとから見つけられる形で残すこと」。速さはおまけ。
💼 実務でこう生きる
品名 品名と規格。
単位 先に埋める。
数量 数えた数を入れる。
根拠 場所や割増率。
📋 実務活用事例:拾い出しデビュー初日の動き方
①図面の版と縮尺と凡例を確認(縮尺は寸法値と1か所突き合わせて検証) ②拾う範囲を宣言してから始める ③部屋・回路ごとに区切り、数えた記号には色マーカーで印 ④拾い書は品名・規格・単位・数量+根拠メモ ⑤最後に器具数と回路数をザックリ検算。
→ この型どおりにやれば、初回から「検算できる拾い」ができます。速さは後から付いてくるので、まずは漏れなくダブりなく。
📋 実務活用事例:拾いの集計をツールで時短する
数えること自体より、集計と転記でミスと時間を消耗します。当サイトの
電気設備のツール一覧(登録不要)には、姉妹サイト
セコサポの計算・作図・積算ツールがまとまっています。拾い書の集計や、
幹線サイズ・
電圧降下(第12〜13回)の検算にどうぞ。
ツールは「意味が分かって使う」が今シリーズの合言葉です。
ここまでのポイント
- 拾い出しデビュー初日は、①図面の版と縮尺と凡例を確認(縮尺は寸法値と1か所突き合わせて検証)②拾う範囲を宣言してから始める ③部屋・回路ごとに区切り、数えた記号には色マーカーで印 ④拾い書は品名・規格・単位・数量+根拠メモ ⑤最後に器具数と回路数をザックリ検算。
- この型どおりにやれば、初回から「検算できる拾い」ができる。速さは後から付いてくるので、まずは漏れなくダブりなく。
- 数えること自体より、集計と転記でミスと時間を消耗する。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
🐣 三角スケールって何?普通の定規じゃダメ?
1/100・1/200など6種類の縮尺目盛りが付いた三角柱の定規です。図面の縮尺に合った面を使えば、測った目盛りがそのまま実寸(m)で読めます。普通の定規でも換算すれば測れますが、換算ミスの温床。「図面の縮尺を確認→その面で測る」が拾いの基本動作です。
🐣 CADデータをもらえないときはどうするの?
PDFや紙図面しかない案件も普通にあります。その場合は印刷して三角スケールで拾うか、PDF上で計測できるツールを使います。注意はどちらも「印刷・表示の倍率」。原寸で出力されていないと全部ズレるので、図面内の寸法値と実測を1か所突き合わせてから拾い始めます。
ここまでのポイント
- 三角スケールは1/100・1/200など6種類の縮尺目盛りが付いた三角柱の定規。図面の縮尺に合った面を使えば、測った目盛りがそのまま実寸(m)で読める。普通の定規でも換算すれば測れるが、換算ミスの温床。
- CADデータをもらえず、PDFや紙図面しかない案件も普通にある。印刷して三角スケールで拾うか、PDF上で計測できるツールを使う。
- どちらも注意は「印刷・表示の倍率」。原寸で出力されていないと全部ズレるので、図面内の寸法値と実測を1か所突き合わせてから拾い始める。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
🔎 「余長ってどのくらい見込むんですか?」と聞いてみた
はりた「盤内の結線分・器具接続分・施工の逃げとして、会社ごとに割増ルール(例えば配線長の10%など)を持っていることが多い。大事なのは“自分で勝手に決めず、会社の標準を確認して、拾い書に割増率を明記する”こと。根拠を書くのは計算書と同じ作法だね」
🔎 「拾い間違いが後から見つかったら、どうなるんですか?」と聞いてみた
はりた「見積後なら赤字や追加協議の火種になる。だからこそ検算の仕組みが大事——器具数と回路数の整合、㎡あたりの概算指標との突合、別の人によるクロスチェック。間違い自体より“検算せずに出した”ことが問題になるんだ」
🔎 「BIMって聞きますけど、拾いはなくなるんですか?」と聞いてみた
はりた「3Dモデルから数量を自動集計する流れは確実に進んでる。でも“モデルに正しく入力する”“出てきた数量の妥当性を判断する”のは人の仕事のまま。今日の「何を・どう数えるか」の理解は、道具が進化するほど効いてくる土台だよ」
🔎 立上り・立下りの長さは、どうやって出すんですか?
天井高さ(配線が通る高さ)から、器具の取付高さを引いて出します。たとえば天井2.5mでコンセントがFL+300なら、立下りは2.2mです。取付高さは、図面の凡例や特記で確かめます。
🔎 拾い書には、どんな欄を作ればいいですか?
品名・規格・単位・数量に、根拠メモの欄を加えます。根拠メモには、どの図面のどの範囲を拾ったか、割増率をいくつにしたかを書きます。単位の欄を先に埋めてから数えると、単位の取り違えを防げます。
ここまでのポイント
- 余長は、盤内の結線分・器具接続分・施工の逃げとして、会社ごとに割増ルール(例えば配線長の10%など)を持っていることが多い。自分で勝手に決めず、会社の標準を確認して、拾い書に割増率を明記する。
- 拾い間違いが見積後に見つかると、赤字や追加協議の火種になる。だからこそ検算の仕組みが大事——器具数と回路数の整合、㎡あたりの概算指標との突合、別の人によるクロスチェック。
- 間違い自体より「検算せずに出した」ことが問題になる。
- BIMで3Dモデルから数量を自動集計する流れは確実に進んでいる。ただし「モデルに正しく入力する」「出てきた数量の妥当性を判断する」のは人の仕事のまま。
ここに注意!「余長は、自分の感覚で足せばよい」ではありません。
割増率は会社ごとに標準があります。自分で決めず、会社の標準を確かめて、拾い書に割増率を書いておきます。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 縮尺を確認せずに測り始めない:1/50と1/100では長さが倍違う。拾いの前に必ず確認+1か所検証。
- 立上り・立下りを忘れない:平面図に縦の距離は見えない。取付高さ(用語編②)で補う。
- 単位を混ぜない:個・台・m・式。拾い書の単位欄を最初に埋めてから数える。
- 数えた印を省略しない:印は「数えた証拠」。中断して戻ってきたとき、印だけが自分を助けてくれる。

ペン太
初めての拾い出し、まず何から手を付ければいいですか?

ハリタ
まず縮尺の確認から。縮尺・立上り忘れ・単位混同が三大事故ですからね。
ここまでのポイント
- 縮尺を確認せずに測り始めない。1/50と1/100では長さが倍違う。拾いの前に必ず確認+1か所検証。
- 立上り・立下りを忘れない。平面図に縦の距離は見えない。取付高さで補う。
- 単位を混ぜない。個・台・m・式。拾い書の単位欄を最初に埋めてから数える。
- 数えた印を省略しない。印は「数えた証拠」。中断して戻ってきたとき、印だけが自分を助けてくれる。
まとめ ― 今日の1枚
拾い出しで差がつくのは、数える速さではなく、数える前の準備と、数えた跡の残し方です。この2つがそろっていれば、初回から検算できる拾いになります。
| 三大事故 | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
| 縮尺ちがい | 1/50と1/100では長さが倍違う | 拾いの前に必ず確認し、図面内の寸法値と1か所突き合わせて検証する |
| 立上り忘れ | 平面図は上から見た図なので、縦の距離が図面に見えない | 取付高さ(コンセントはFL+300、スイッチはFL+1200など)で補う |
| 単位の取り違え | 個・台・m・式が混ざる | 拾い書の単位欄を先に埋めてから数える |
拾いは手順
- 拾い出しは作業ではなく手順。準備 → 区切る → 数える → 測る → まとめる。
- 器具は個数、配線は平面の長さ+立上り・立下り。見えない縦を頭で補う。
三大事故
- 三大事故は縮尺ちがい・立上り忘れ・単位の取り違え。どれも準備で防げる。
残し方と道具
- 拾い書は品名・規格・単位・数量+根拠メモ。あとで検算できる形で残す。
- 道具は速く拾うためではなく、拾った跡を残すために使う。跡がない拾いは検算できない。
拾い出しは、新人が最初に任される仕事であると同時に、いちばん「型」が効く仕事でもあります。準備・区切り・印。この3つを守っているかぎり、多少遅くても誰かが検算できます。逆に、速く数えても跡が残っていなければ、その数字は誰にも確かめられません。
次回・第22回は、拾った数量がいよいよ金額になります——積算・見積のきほん。「設計の判断が、どうお金に変わるのか」を見ていきましょう。お楽しみに!
✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
次に読むならこれブレーカーとは?しくみ・動作特性・定格の選び方・漏電遮断器を動く図解で超基本から新人教育
関連
HARITAの設計室 トップページ
この記事の外に、9つの入口があります。
記事を読むだけではたどり着けない資料・一覧・ツールを、トップページにまとめています。気になる入口を押すと、トップのその場所へ直接移動します。