屋外消火栓設備は、工場や倉庫、学校といった大きな建物で出てくる設備です。屋内消火栓設備の親戚のように見えて、設置義務の判定のしかたも、条文の準用のしかたも違います。とくに「延べ面積で判定する」と思い込んでいると、判定そのものを間違えます。

この記事では、屋外消火栓設備・動力消防ポンプ設備・パッケージ型消火設備の3つを、消防法施行令第19条・第20条・第29条の4と、消防法施行規則第22条、そして平成16年総務省令第92号・消防庁告示第12号/第13号にあたって整理します。電気設計者にとっての要点は、屋外消火栓は屋内消火栓の非常電源の規定がそのままフルに適用されること、動力消防ポンプ設備には電気の規定が一切ないこと、そしてパッケージ型は「手動」と「自動」で電源の要否が正反対であることです。

屋外消火栓設備の設置義務は床面積で決まる

まず令第19条第1項です。ここでいちばん間違えやすいのが面積の指標です。

屋外消​火栓は「延べ面積」で判定しない床面積の数え方 令第19条第1項4階3階2階1階算入しない算入しないこの2階分の床面積の合計地階を除く階数が1のときは1階の床面積だけで判定します。面積要件と対象の項耐​火建築物9,000㎡以上準耐​火建築物6,000㎡以上その他の建築物3,000㎡以上対象 (一)項から(十五)項まで、(十七)項、(十八)項(十六)項・(十六の二)項・(十六の三)項は入らない同一敷地内の建築物は1つとみなすことがある 令第19条第2項・同一敷地内に2以上の建築物があり、相互の1階の外壁間の中心線からの水平距離が・ 1階では3m以下、2階では5m以下 である部分をもつものは、第1項の適用について1の建築物とみなす。・括弧書きで「耐​火建築物及び準耐​火建築物を除く」とされているので、耐火・準耐火の棟は合算されません。・棟を分けて面積を逃げる計画は、この規定でまとめられることがあります。HARITA
図1 屋外消火栓設備の設置判定。延べ面積ではなく、1階と2階の床面積の合計で判定する。

令第19条第1項の面積は「床面積」

条文の括弧書きは次のようになっています。

床面積(地階を除く階数が一であるものにあつては一階の床面積を、地階を除く階数が二以上であるものにあつては一階及び二階の部分の床面積の合計)」

つまり3階以上の床面積は算入しません。5階建ての建物で延べ面積が10,000㎡あっても、1階と2階の合計が9,000㎡(耐火建築物の場合)に届かなければ設置義務はありません。

面積の区分

  • 耐火建築物 9,000㎡以上
  • 準耐火建築物 6,000㎡以上
  • その他の建築物 3,000㎡以上

対象となるのは別表第一(一)項から(十五)項まで、(十七)項および(十八)項です。(十六)項、(十六の二)項、(十六の三)項は含まれません。複合用途防火対象物や地下街には屋外消火栓設備の設置義務がない、ということです。

同一敷地内の建築物は1つとみなされることがある

令第19条第2項は、棟を分けることで面積要件を逃れられないようにする規定です。

令第19条第2項

同一敷地内にある2以上の建築物(耐火建築物および準耐火建築物を除く)で、これらの建築物相互の1階の外壁間の中心線からの水平距離が、1階では3m以下、2階では5m以下である部分を有するものは、第1項の規定の適用については1の建築物とみなす

括弧書きの除外に注意してください。耐火建築物と準耐火建築物は、この合算の対象になりません。

「3階以上には要らない」は不正確

よく「屋外消火栓は1階と2階のためのものだから3階以上には関係ない」と言われますが、これは2つの別の話が混ざっています

1階・2階が出てくるのは2か所だけ

  • 令第19条第1項 設置義務の面積算定が1階+2階の床面積の合計
  • 令第11条第4項 屋外消火栓設備や動力消防ポンプ設備を設けたことで屋内消火栓設備を免除できる範囲が「1階及び2階の部分に限る」

令第19条には階による設置免除の規定はありません。技術基準(第3項第1号)の水平距離40mも「建築物の各部分から」であって、階の限定はありません。

したがって正確には、設置義務の判定と屋内消火栓の代替範囲が1階・2階に着目しているのであって、屋外消火栓設備そのものが3階以上と無関係というわけではありません。


屋外消火栓設備の技術基準

技術基準は令第19条第3項の6号と、規則第22条の細目です。

屋外消​火栓設備の技術基準令第19条第3項 全6号1号各部分から1のホース接続口までの水平距離 40m以下2号消防用ホースの長さは40mの範囲内に有効に放水できる長さ3号水源水量=設置個数(2を超えるときは2)× 7㎥ 以上4号2個同時使用でノズル先端 0.25MPa以上・350L/min以上5号避難の際通路となる場所など操作が阻害される箇所に設けない6号非​常電源を附置すること覚えておく数値水平距離40 m 以下放水圧力0.25 MPa 以上放水量350 L/min 以上水源水量7㎥ × 最大2個 = 14 ㎥ポンプ吐出量400 L/min × 最大2個ポンプ全揚程H=h1+h2+h3+25 m位置と表示 規則第22条・開閉弁は地盤面からの高さ1.5m以下、又は地盤面下0.6m以内の部分に設ける(第1号)。・地盤面下に設ける屋外消​火栓のホース接続口は、地盤面からの深さ0.3m以内とする(第1号)。・放水用器具の格納箱は屋外消​火栓から歩行距離5m以内。ただし外壁の見やすい箇所に設けるときは不要(第2号)。・加​圧送水装置の始動を明示する表​示灯は赤色。屋外消​火栓箱の内部又はその直近に設ける(第3号)。・箱の表面に「ホース格納箱」、屋外消​火栓の直近に「消​火栓」の標識(第4号)。HARITA
図2 令第19条第3項の6つの号と、押さえておく数値・位置。

数値のまとめ

  • 建築物の各部分から1のホース接続口までの水平距離40m以下(第1号)
  • 水源水量=屋外消火栓の設置個数(2を超えるときは2)×7㎥以上=最大14㎥(第3号)
  • 2個同時使用でノズル先端の放水圧力0.25MPa以上、放水量350L/min以上(第4号)
  • ポンプ吐出量=設置個数(2を超えるときは2)×400L/min以上(規則第22条第10号ハ)
  • ポンプ全揚程 H=h₁+h₂+h₃+25m(同)
  • 高架水槽 H=h₁+h₂+25m / 圧力水槽 P=p₁+p₂+p₃+0.25MPa

「水平距離は50m」「水源は40㎥」といった数字を見かけることがありますが、条文は40m最大14㎥です。40mは屋内消火栓の1号消火栓(25m)より長く、屋外から建物を囲む前提の数値になっています。

位置と表示

規則第22条の第1号から第4号は、現場で目に見える部分の規定です。

規則第22条第1号〜第4号

  • 第1号 開閉弁は地盤面からの高さ1.5m以下の位置、または地盤面下0.6m以内の部分に設ける。地盤面下に設ける屋外消火栓のホース接続口は、地盤面からの深さ0.3m以内とする
  • 第1号の2 放水用器具は消防庁長官の定める基準に適合するものとする
  • 第2号 放水用器具を格納する箱は屋外消火栓から歩行距離5m以内。ただし屋外消火栓に面する建築物の外壁の見やすい箇所に設けるときはこの限りでない
  • 第3号 加圧送水装置の始動を明示する表示灯は赤色とし、屋外消火栓箱の内部またはその直近に設ける
  • 第4号 屋外消火栓箱の表面に「ホース格納箱」、屋外消火栓の直近に「消火栓」の標識

「ホース接続口は地盤面から0.5m以上1m以下」という説明を見かけますが、規則第22条にその数値はありません連結送水管の送水口の規定と混同されているようです。屋外消火栓については上記のとおり、開閉弁1.5m以下または地盤面下0.6m以内、地盤面下のホース接続口は深さ0.3m以内です。

また格納箱までの5mは歩行距離であって水平距離ではありません。しかもただし書きがあり、屋外消火栓に面する外壁の見やすい箇所に設けるなら、この5mの制限はかかりません。

ノズル・ホースの寸法は法令にない

規則第22条第1号の2は「放水用器具は消防庁長官の定める基準に適合するもの」と委任しており、規則にノズル口径やホース呼称・長さの数値はありません。委任先の告示番号は今回特定できませんでした。

各消防本部の指導基準には数値が書かれていますが、内容が一致していません。たとえば福岡市はノズル呼称19mm以上・噴霧切替式、ホース呼称50または65で長さ20m以上を2本以上、北九州市は呼称65で長さ20m以上です。法令上の数値として引用しないでください。


電気設計から見た屋外消火栓設備

規則第22条は、屋内消火栓設備の規則第12条第1項を号ごとに呼び出す形になっています。呼び出し方が号によって微妙に違うので、そこを整理します。

屋内消​火栓の条文をどこまで持ってくるか消防法施行規則 第22条は、第12条第1項の各号を号ごとに呼び出す形になっています項 目屋内消​火栓規則12条1項屋外消​火栓規則22条準用の書き方と電気設計上のポイント呼水装置第3号の2第5号「第12条第1項第3号の2の規定の例により」非​常電源第4号第6号「第12条第1項第4号の規定の例により」 括弧書きなし=イからホまで全部。専​用受​電設備も使え、容量は30分。配線第5号第7号「第12条第1項第5号に準じて」 ただし地中配線は例外 ← 屋内消​火栓との最大の差配管第6号第8号「第12条第1項第6号に準じて」加​圧送水装置第7号第9号・第10号第10号で括弧書き付きの準用。全揚程は+25m、吐出量は400L/min×最大2個総​合操作盤第8号第11号「第12条第1項第8号の規定は、屋外消​火栓設備について準用する」耐震措置第9号第12号貯水槽等に第12条第1項第9号に規定する措置を講じること動力消​防ポンプ設備には電気の規定がない令第20条に「非​常電源」の語は出てきません。規則にも動力消​防ポンプ設備の細目を定めた条がありません。非​常電源・配線・総​合操作盤・耐震措置のいずれも、この設備には法令上の規定がないということです。HARITA
図3 規則第22条が規則第12条第1項をどう準用しているか。非常電源は限定なし、配線には地中配線の例外がある。

非常電源は屋内消火栓と同じ枠組みがそのまま適用される

規則第22条第6号の条文はこれだけです。

規則第22条第6号

「非常電源は、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。」

括弧書きによる限定がありません。つまり第12条第1項第4号のイからホまで(イ=非常電源専用受電設備、ロ=自家発電設備、ハ=蓄電池設備、ニ=燃料電池設備、ホ=配線)がまるごと適用されます。

ガス系の消火設備(不活性ガス・ハロゲン化物・粉末)が「第4号ロからホまでの例による」としてイを外していたのとは対照的です。屋外消火栓設備では、延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物(小規模特定用途複合防火対象物を除く)でなければ非常電源専用受電設備も使えます。容量も屋内消火栓と同じ考え方で30分です。

もっとも、屋外消火栓設備の設置対象は(十六)項を含まないため、大規模な特定防火対象物にあたるケースは限られます。工場・倉庫・学校といった非特定防火対象物が中心になるので、実務では専用受電設備が選べる場面のほうが多いはずです。

配線には「地中配線」の例外がある

規則第22条第7号は、操作回路の配線を規則第12条第1項第5号に準じて設けることとしたうえで、地中配線については例外としています。

屋外消火栓は建物の外に散在するので、消火栓箱と加圧送水装置の間の配線は敷地内を地中で引き回すことになります。屋内消火栓と同じ耐熱配線の考え方をそのまま外部に持ち出すと成立しないため、この例外が置かれているわけです。屋内消火栓との実務上の最大の差はここだと思います。

その他の準用

  • 第5号 呼水装置は第12条第1項第3号の2の規定の例による
  • 第8号 配管は第12条第1項第6号に準じて
  • 第9号 加圧送水装置は点検に便利で災害の被害を受けるおそれが少ない箇所に設ける
  • 第10号 加圧送水装置は第12条第1項第7号を括弧書き付きで準用(イ=高架水槽、ロ=圧力水槽、ハ=ポンプ、ホ=起動装置)
  • 第11号 総合操作盤は第12条第1項第8号を準用
  • 第12号 貯水槽等には第12条第1項第9号に規定する措置(耐震措置)を講じる

起動装置は第10号ホで、屋内消火栓と同じく直接操作でき、かつ屋外消火栓箱の内部またはその直近の操作部(自動火災報知設備のP型発信機を含む)から遠隔操作できるものとされています。表示灯(第3号)とあわせて、消火栓箱まで電源と信号線を持っていく必要があります。


動力消防ポンプ設備

消防ポンプ自動車または可搬消防ポンプを用いる設備です。基準は令第20条だけで、消防法施行規則に細目を定めた条はありません。令第20条に「総務省令で定める」という委任文言がないためです。

動力消​防ポンプ設備設置対象と規格放水量 令第20条第1項第1号令第11条第1項各号(第4号を除く)の防​火対象物又はその部分0.2 ㎥/min 以上第1項第2号令第19条第1項の建築物(屋外消​火栓設備の設置対象と同じ)0.4 ㎥/min 以上第2項で、第1号には令11条2項を、第2号には令19条2項(同一敷地内は1の建築物とみなす)を準用します。技術基準 令第20条第4項 全4号第1号 各部分から一の水源までの水平距離・規格放水量 0.5 ㎥/min 以上100 m 以下・0.4 以上 0.5 未満40 m 以下・0.4 未満25 m 以下第2号 ホースはその距離の範囲内に有効に放水できる長さ第3号 水源水量=規格放水量で20分間放水できる量以上(20㎥以上となる場合は20㎥)第4号 常置場所・消​防ポンプ自動車・けん引式 水源から歩行距離1,000m以内他の設備を設けたときの免除・屋外消​火栓設備、屋内消​火栓設備、ス​プリンクラー設備、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消​火設備を・技術基準に従い設置したときは、その有効範囲内の部分について動力消​防ポンプ設備を設置しないことができます(令第20条第5項)。・逆に、動力消​防ポンプ設備や屋外消​火栓設備を設けたことで屋内消​火栓設備を免除できる範囲は、・令第11条第4項により「1階及び2階の部分に限る」とされています。3階以上は免除されません。HARITA
図4 動力消防ポンプ設備の設置対象・規格放水量と技術基準。

設置対象と規格放水量

  • 第1項第1号 令第11条第1項各号(第4号を除く)に掲げる防火対象物またはその部分 → 規格放水量0.2㎥/min以上(第3項)
  • 第1項第2号 令第19条第1項の建築物(=屋外消火栓設備の設置対象と同じ) → 規格放水量0.4㎥/min以上(第3項)

第2項で、第1号には令第11条第2項を、第2号には令第19条第2項(同一敷地内は1の建築物とみなす)を準用します。

技術基準(令第20条第4項 全4号)

  • 第1号 防火対象物の各部分から一の水源までの水平距離 規格放水量0.5㎥/min以上は100m以下0.4以上0.5未満は40m以下0.4未満は25m以下
  • 第2号 消防用ホースの長さは、上記の距離の範囲内の各部分に有効に放水できる長さ
  • 第3号 水源水量は規格放水量で20分間放水できる量以上(20㎥以上となる場合は20㎥)
  • 第4号 常置場所は、消防ポンプ自動車または自動車によりけん引されるものは水源からの歩行距離1,000m以内、その他は水源の直近

注意したいのは0.5㎥/minという数値の位置です。これは第3項の規格放水量の区分ではなく、第4項第1号の水平距離を決めるための区分に出てきます。第3項に出てくるのは0.2と0.4だけです。

電気の規定は存在しない

令第20条に「非常電源」の語は出てきません。規則にも細目条がないため、非常電源・配線・総合操作盤・耐震措置のいずれについても、この設備には法令上の規定がありません

可搬式のポンプでエンジン駆動が前提の設備なので、常用電源そのものを必要としない、という整理です。動力消防ポンプ設備が採用された場合、電気設備の設計者の仕事はほぼ発生しません。

免除の関係も押さえておきます。令第20条第5項により、屋外消火栓設備、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備を技術基準に従って設置したときは、その有効範囲内の部分について動力消防ポンプ設備を設置しないことができます。

逆方向も重要です。令第11条第4項により、動力消防ポンプ設備や屋外消火栓設備を設けたことで屋内消火栓設備を免除できる範囲は「1階及び2階の部分に限る」とされています。3階以上は免除されません。


パッケージ型消火設備とパッケージ型自動消火設備

水源も配管も要らない消火設備として、既存建物の改修でよく提案されるのがパッケージ型です。ところがこの設備、消防法施行規則を探しても条文が見つかりません

パッケージ型は消防法施行規則には書かれていない消防法施行令第29条の4平成16年総務省令第92号第1条 屋内消​火栓設備に代えて第2条 ス​プリンクラー設備に代えて平成16年消防庁告示第12号 パッケージ型消​火設備第13号 パッケージ型自動消​火設備建 築 物地階を除く階数延べ面積I 型耐​火建築物6 以下3,000 ㎡ 以下I 型耐​火建築物以外3 以下2,000 ㎡ 以下II 型耐​火建築物4 以下1,500 ㎡ 以下II 型耐​火建築物以外2 以下1,000 ㎡ 以下パッケージ型消​火設備 平成16年消防庁告示第12号 第三電源が要るのはどちらか・地階、無​窓階、火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所には設けられません(告示第12号 第三)。・パッケージ型消​火設備には電源の規定がありません。水源も配管も非​常電源も不要です。・パッケージ型自動消​火設備には非​常電源が必要です(告示第13号 第十三条第4号)。監視状態60分+警報10分以上。・ただし主電源に電池を用いる場合(II型に限る)は非​常電源が不要とされています。HARITA
図5 パッケージ型の法体系と型式区分。令第29条の4から総務省令、告示へとつながる。

法体系

  1. 消防法施行令第29条の4 「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準」。通常用いられる消防用設備等に代えて、総務省令で定めるところにより消防長または消防署長が同等以上の防火安全性能を有すると認める設備等を用いることができる
  2. 必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成16年総務省令第92号)
     第1条=屋内消火栓設備に代えて用いることができるパッケージ型消火設備
     第2条=スプリンクラー設備に代えて用いることができるパッケージ型自動消火設備
  3. 平成16年消防庁告示第12号(パッケージ型消火設備の技術上の基準)
    平成16年消防庁告示第13号(パッケージ型自動消火設備の技術上の基準)

この3段構造を知らないと、条文を探すところで詰まります。消防法施行規則にはパッケージ型の規定はありません

I型・II型は4区分

パッケージ型消火設備の設置範囲は告示第12号 第三で決まります。I型・II型の2区分と説明されることが多いのですが、建築物の種別でさらに分かれて合計4区分です。

設置できる範囲

  • I型・耐火建築物 地階を除く階数6以下、延べ面積3,000㎡以下
  • I型・耐火建築物以外 地階を除く階数3以下、延べ面積2,000㎡以下
  • II型・耐火建築物 地階を除く階数4以下、延べ面積1,500㎡以下
  • II型・耐火建築物以外 地階を除く階数2以下、延べ面積1,000㎡以下

あわせて、地階、無窓階、火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所は除外されます。

I型とII型の性能

  • 消火薬剤(強化液)貯蔵量 I型200L以上/II型60L以上
  • ホースの長さ I型25m以上/II型20m以上
  • 防護面積 I型850㎡以下/II型500㎡以下
  • 放射時間 I型2分以上/II型1分30秒以上
  • 階の各部分から1のホース接続口までの水平距離 I型20m以下/II型15m以下

電源が要るのは「自動」のほうだけ

ここが電気設計者にとって一番大事なところです。

パッケージ型消火設備(手動)

告示第12号に電源の規定はありません。加圧用ガス等によって薬剤を放射する人為操作式の設備なので、水源も配管も非常電源も不要です。電気工事は発生しません。

パッケージ型自動消火設備

非常電源が必要です。告示第13号 第十三条第4号に規定があり、容量は「監視状態を60分間継続した後、作動装置等の電気を使用する装置を作動し、かつ音等を10分間以上継続して発生させることができること」とされています。種別は蓄電池設備が基準です。

ただし主電源に電池を用いる場合(II型に限る)は非常電源が不要という特例があります。

また受信装置には、火災信号を受信したときに自動的に音または音声による警報を発すること、複数の警戒区域があるときは発生箇所を自動表示すること、警報中に異なる火災信号を受信したときに作動装置へ起動信号を発信すること、といった要件があります(告示第13号 第十一条)。感知・受信・警報・起動という自火報に近い電気系統が入ります。

「パッケージ型は電源不要」という説明は、手動のパッケージ型消火設備についてだけ正しいということです。福祉施設の改修などで出てくるパッケージ型自動消火設備は、電源も配線も受信装置もある設備なので、電気設備の設計・施工が必要になります。

パッケージ型自動消火設備を設置できる防火対象物(告示第13号)

  • I型 令第12条第1項第1号・第3号・第4号・第9号〜第12号の防火対象物のうち、別表第一(五)項・(六)項に掲げるもの、または(十六)項のうち(五)項・(六)項の用途部分で、延べ面積10,000㎡以下のもの
  • II型 令第12条第1項第1号・第9号の防火対象物で、延べ面積275㎡未満のもの(易燃性可燃物が存し消火困難と認められるものを除く)

点検

点検の周期は規則第31条の6第1項と平成16年消防庁告示第9号により、機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回です。屋外消火栓設備・動力消防ポンプ設備・パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備のいずれも両方の対象です。

点検票の様式(昭和50年消防庁告示第14号)は、屋外消火栓設備が別記様式第9、動力消防ポンプ設備が別記様式第10、パッケージ型消火設備が別記様式第28、パッケージ型自動消火設備が別記様式第29です。報告は特定防火対象物で1年に1回、それ以外で3年に1回(規則第31条の6第3項)。

まとめ 条文にあたって確認したこと

この記事で訂正した点

  • 屋外消火栓の設置判定は延べ面積ではなく床面積。地階を除く階数が1なら1階、2以上なら1階と2階の床面積の合計(令第19条第1項)
  • 対象は(一)項〜(十五)項、(十七)項、(十八)項。(十六)項・(十六の二)項・(十六の三)項は入らない
  • 「3階以上には要らない」は不正確。令第19条に階による免除はない。1階・2階が効くのは面積算定と、令第11条第4項の屋内消火栓の免除範囲
  • 水平距離は40m、水源は最大14㎥(2個×7㎥)。50mや40㎥ではない
  • 「ホース接続口は地盤面から0.5m以上1m以下」は屋外消火栓の規定ではない。開閉弁1.5m以下または地盤面下0.6m以内、地盤面下のホース接続口は深さ0.3m以内(規則第22条第1号)
  • 格納箱までの5mは歩行距離で、外壁の見やすい箇所に設けるときはただし書きで不要(同第2号)
  • 屋外消火栓の非常電源は第12条第1項第4号を限定なしで準用。専用受電設備も使え、容量30分
  • 配線には「地中配線は例外」というただし書きがある(同第7号)
  • 動力消防ポンプ設備には規則の細目条がなく、電気の規定も一切ない
  • 0.5㎥/minは規格放水量の区分ではなく、第4項第1号の水平距離の区分に出てくる数値
  • パッケージ型の根拠は消防法施行規則ではない。令第29条の4 → 平成16年総務省令第92号 → 平成16年消防庁告示第12号・第13号
  • パッケージ型消火設備のI型・II型は建築物の種別で4区分
  • 「パッケージ型は電源不要」は手動のものだけ。パッケージ型自動消火設備には非常電源(監視60分+警報10分)が必要

確認できなかったこと

  • 規則第22条第1号の2の委任先告示(屋外消火栓の放水用器具の基準)の番号・名称を特定できませんでした。屋外消火栓のノズル口径・ホース呼称・長さは、法令上の数値としては確認できていません。
  • 告示第13号におけるパッケージ型自動消火設備の地階・無窓階の制限の有無は、明示的な規定を見つけられませんでした(存在しないと断定はしません)。
  • 告示第12号における「11階以上の階に設置できない」という明文は確認できませんでした。階数上限(I型6、II型4)により結果的に制限されます。

この3つの設備は、電気設計者の関わり方が両極端です。屋外消火栓設備は屋内消火栓とほぼ同じ電気の仕事が発生し、動力消防ポンプ設備はゼロ、パッケージ型は手動ならゼロで自動なら自火報に近い一式が必要。どれが採用されるかで負荷が大きく変わるので、機械側の設備選定は早めに確認しておきたいところです。

参考にした法令・告示

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第11条、第19条、第20条、第29条の4
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条、第22条、第31条の6
  • 必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成16年総務省令第92号)第1条、第2条
  • パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成16年消防庁告示第12号)
  • パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成16年消防庁告示第13号)
  • 平成16年消防庁告示第9号(点検の期間)
  • 昭和50年消防庁告示第14号(消防用設備等の点検の基準)
  • 動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令(昭和61年自治省令第24号)

条文は e-Gov 法令検索、告示は消防庁ウェブサイトで確認しています(2026年8月時点)。

屋外消火栓設備は、1階と2階の床面積で義務が決まり、40mの水平距離で本数が決まり、非常電源は屋内消火栓と同じ枠組みが使えます。動力消防ポンプ設備には電気の規定がなく、パッケージ型は手動か自動かで電源の要否が正反対。まずこの3つの性格の違いを押さえておけば、機械の図面を見た瞬間に自分の仕事量が読めます。

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電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。