技術図書館コンデンサ一次側の開閉器を6枚のスライドで読む50kvarでのPC・LBSの分かれ目と、限流ヒューズはC定格が標準という点を図解つきで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

単線結線図でコンデンサの一次側まで来ると、LBSなのかVMCなのか、ヒューズは何アンペアなのかで手が止まります。変圧器の一次側は「300kVAまでPC」と覚えていても、コンデンサは同じようにいきません。単位も、分かれ目の数字も、見るべきヒューズの記号も別ものだからです。ここでは、容量・開閉頻度・電流の3つから順に決めていく手順で整理します。

結論

コンデンサの一次側開閉器は容量で機器種別、開閉頻度で方式が決まる2段構えです。ヒューズはそのあと、回路電流から選びます。

  • 定格設備容量50kvar以下はPC、超過はPF付LBS(高圧受電設備規程)
  • 直列リアクトル付きの回路は、一次側をLBS以上にする
  • 毎日入り切りするならVMC。LBSの負荷開閉は約200回が限界、VMCは10万回以上
  • 回路電流はI=定格設備容量÷(√3×回路電圧)。100kvar・6.6kVで8.75A
  • コンデンサは定格電流の130%まで流せる(JIS C 4902-1)。容量許容差も足して開閉器は1.5倍以上でとる
  • ヒューズはリアクトルなしがC定格、リアクトル付きがLC定格(JIS C 4604)
  • ヒューズ定格は回路電流の3〜5倍になる。100kvarで30A級
  • 開放後の再投入は放電抵抗で5分、放電コイルで5秒待つ
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
②で機器が決まり、③で方式が決まります。③を飛ばすと、数年でLBSが動かなくなります。

選定は2段構え ― 容量で種別、頻度で方式

コンデンサの一次側開閉器でつまずくのは、ひとつの表で決まると思って探してしまうからです。実際には、決まる順番があります。容量で使える機器の範囲がしぼられ、そのあと開閉頻度でどれにするかが決まり、最後に電流からヒューズの定格を選びます。

段 何で決まるか 決まること
1段目 定格設備容量[kvar] PCが使えるか、LBS以上が要るか
2段目 1年あたりの開閉回数 LBSでよいか、VMCが要るか
3段目 回路電流[A] 開閉器の定格電流とヒューズの定格電流
1段目と2段目を混ぜると、「容量は足りているのに数年で動かなくなる」開閉器を選んでしまいます。
ペン太ペン太
容量さえ分かれば、あとは表を引くだけだと思っていました。
ハリタハリタ
容量で決まるのは1段目だけです。毎日入り切りする回路かどうかを聞かないと、2段目が決まりません。
ここまでのポイント
  • 容量 → 開閉頻度 → 電流、の順に決まる
  • 容量だけでは機器は決まらない
  • ヒューズは最後。電流が出ていないと選べない
  • 順番を守ると、根拠を聞かれても答えられる

変圧器の「300kVA」で考えない

いちばん多い取り違えがここです。変圧器の一次側は、容量300kVA以下ならPC(高圧カットアウト)が使えます。この感覚のままコンデンサに来ると、「100kvarくらいならPCでいいだろう」という判断になります。これは規程に反します。

どちらも「一次側開閉器」ですが、見ている量が違います。
変圧器の一次側 コンデンサの一次側
見る量 皮相電力[kVA] 定格設備容量[kvar]
PCが使える上限 300kVA 以下 50kvar 以下
よりどころ JIS C 4620:2018/高圧受電設備規程 高圧受電設備規程
ヒューズの記号 T定格(変圧器用) C定格・LC定格(コンデンサ用)
効いてくる過電流 励磁突入電流 投入時の突入電流
同じ「一次側開閉器」という言葉でも、中身はほとんど共通していません。

もうひとつ、容量の読み方にも注意が要ります。「定格設備容量」はリアクトルを含めた設備としての容量で、コンデンサ単体の定格容量とは値が違います。6%リアクトル付きなら、設備容量50kvarはコンデンサ単体で約53.2kvarに当たります。カタログや銘板がどちらの表記かを先に確かめてください。

ここまでのポイント
  • 変圧器は300kVA、コンデンサは50kvar。単位も数字も別
  • 「定格設備容量」はリアクトル込みの値
  • 6%付きなら設備容量50kvar = コンデンサ単体で約53.2kvar
  • 銘板とカタログで表記が違うことがある


分かれ目は50kvar ― 機器種別の適用区分

高圧受電設備規程では、コンデンサの一次側に使う開閉装置を定格設備容量50kvar以下はPC、50kvarを超えるとPCは使えないと整理しています。50kvarを超える回路は、PF付LBS(限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器)以上になります。

PCが使えるのは50kvarまで。超えたらPF付LBS以上です。

もうひとつ、容量とは別の条件があります。直列リアクトルが付く回路では、50kvar以下でも一次側はLBSにするという扱いです。高圧進相コンデンサには直列リアクトルを設けることになっているので、実務ではほとんどの回路がこちらに当たります。リアクトルそのものの選び方はリアクトルの設置基準と選定方法で扱っています。

機器 使える容量 短絡を切るもの 主な使いどころ
PC(高圧カットアウト) 50kvar 以下 ヒューズリンク 小容量・固定バンク
PF付LBS 制限なし 限流ヒューズ(PF) キュービクルの標準
VMC(真空電磁接触器) 制限なし 限流ヒューズ(PF) 毎日入り切りする回路
VCB(真空遮断器) 制限なし 保護継電器と連動 大容量・選択遮断が要る受電
LBS以上は容量の上限では決まりません。開閉回数と、メーカーが示すコンデンサ開閉容量で決まります。

PCが選べる小容量でも、三相回路ではPF付LBSにしておくほうが無難です。PCは相ごとに独立していて、1相だけ溶断しても残り2相は通電したままになります。コンデンサの欠相運転は残った相に過電圧がかかるので、気づかないまま続くと危険です。PF付LBSはストライカが三相を同時に開放します(LBSの基礎と選定ポイント)。

ここまでのポイント
  • 50kvar以下はPC、超過はPF付LBS以上(高圧受電設備規程)
  • リアクトル付きの回路は、容量にかかわらず一次側をLBS以上にする
  • PCは1相だけ溶断して欠相する。三相はPF付LBSが無難
  • LBS以上の上限は容量ではなく、開閉回数と開閉容量で決まる


LBSかVMCか ― 決め手は開閉頻度

ここが、旧来の説明でいちばん抜けやすいところです。容量だけを見ると「50kvar超はLBS」で話が終わります。ところがLBSは、ひんぱんに入り切りするための機器ではありません。負荷電流の開閉は、おおよそ200回程度が限界です。

桁が3つ違います。毎日入り切りする回路にLBSを付けると、数年で動かなくなります。

1日1回入り切りすれば、1年で365回。LBSの限界をその年のうちに超えます。自動力率調整(APFC)を入れれば、負荷の変動に合わせてもっと細かく開閉します。こうした回路には、電気的寿命が10万〜25万回ある真空電磁接触器(VMC)を使います(APFCとVMCの設置基準と使用用途)。

容量が同じでも、入り切りの回数が違えば選ぶ機器が変わります。
こういう回路 1年の開閉回数の目安 選ぶもの
固定バンク。受電と一緒に入れっぱなし 数回〜十数回 PF付LBS
季節や時間帯で手動開閉する 数十回 PF付LBS
自動力率調整(APFC)で自動開閉する 数百回〜数千回 VMC
負荷変動が大きく、何度も入り切りする 数千回以上 VMC
「将来APFCを追加するかもしれない」なら、その時点でVMCを選んでおくほうが安く済みます。

VMCを使うときは、あわせて直列リアクトルが入っているかを必ず確かめます。リアクトルのない回路をVMCで開閉すると、投入のたびに過大な突入電流が流れ、接点が短期間で傷みます。

ペン太ペン太
容量は100kvarなのでLBSにしました。APFCも付いています。
ハリタハリタ
それだと数年でLBSが開閉できなくなります。APFCが付く時点でVMCです。
ここまでのポイント
  • LBSの負荷開閉は約200回が限界
  • VMCの電気的寿命は10万〜25万回
  • APFCが付くならVMC。容量では決まらない
  • VMCを使う回路には直列リアクトルが要る

回路に流れる電流は、定格電流のままではない

機器種別が決まったら、次は電流です。まず基準になるのが回路電流で、I=定格設備容量÷(√3×回路電圧)で出します。6.6kVで100kvarなら8.75Aです。

130%は流せる上限、+10%は作ったときのばらつき。理由が別なので、両方を見込みます。

ただし、開閉器やケーブルをこの8.75Aで選ぶと足りません。JIS C 4902-1は、高圧進相コンデンサの最大許容電流を定格電流の130%と定めています。高調波を含んだ電流が流れても、この範囲なら連続で使える、という意味です。さらに容量の許容差が−5%〜+10%あるので、プラス側に振れた個体では電流もその分増えます。両方を見込むと 1.30×1.10=1.43倍、実務では1.5倍以上でとります。

定格設備容量 回路電流(6.6kV) 1.5倍 PCが使えるか
10.6 kvar 0.93 A 1.39 A 使える
16 kvar 1.40 A 2.10 A 使える
20 kvar 1.75 A 2.62 A 使える
30 kvar 2.62 A 3.94 A 使える
50 kvar 4.37 A 6.56 A 使える(ここまで)
75 kvar 6.56 A 9.84 A PF付LBS以上
100 kvar 8.75 A 13.1 A PF付LBS以上
150 kvar 13.1 A 19.7 A PF付LBS以上
200 kvar 17.5 A 26.2 A PF付LBS以上
250 kvar 21.9 A 32.8 A PF付LBS以上
300 kvar 26.2 A 39.3 A PF付LBS以上
400 kvar 35.0 A 52.5 A PF付LBS以上
回路電流は計算で出ます。この列は、そのまま電流計やCT比の検討にも使えます。

実際のPF付LBSは定格電流200Aや400Aが標準なので、1.5倍の値で定格電流が足りなくなることはまずありません。この数字が効いてくるのは、ケーブルの許容電流と、ヒューズの下限側です。幹線の考え方は許容電流による選定方法と同じです。

ここまでのポイント
  • 回路電流 I=定格設備容量÷(√3×回路電圧)
  • コンデンサの最大許容電流は定格電流の130%(JIS C 4902-1)
  • 容量の許容差は−5%〜+10%
  • 両方を見込んで、開閉器とケーブルは1.5倍以上でとる


ヒューズの定格は、下限と上限にはさまれる

限流ヒューズの定格電流は、「小さすぎると運転中に飛ぶ」「大きすぎると内部故障でも切れない」という2つの条件にはさまれた帯の中から選びます。早見表の値も、もとをたどればこの2つから出てきたものです。

下と上の両方から挟まれています。どちらかだけを見ると外します。

下限は、連続して流れる電流と投入時の突入電流です。前の章で出した1.5倍の値を下回るヒューズは、運転しているだけで溶断します。加えて、投入のたびに流れる突入電流で劣化しないことが必要で、ここを受け持つのが次の章で扱う種別記号です。

上限は、コンデンサが壊れたときに守れることです。コンデンサは内部の素子が順に破れていく壊れ方をします。放置すると内圧が上がってケースが破裂し、油が飛散します。ヒューズはケースが破壊される前に切れる必要があり、メーカーはこれをケース破壊曲線として示しています。大きすぎるヒューズは、ここで役に立ちません。

定格設備容量 回路電流 メーカーカタログの選定例 電流に対する倍率
10 kvar 0.88 A 10 A 約11倍
20 kvar 1.75 A 10〜20 A 約6〜11倍
50 kvar 4.37 A 20 A 約4.6倍
100 kvar 8.75 A 30〜40 A 約3.4〜4.6倍
200 kvar 17.5 A 40〜75 A 約2.3〜4.3倍
各社カタログの選定例(並列コンデンサなし)。同じ容量でも、並列バンクの数・リアクトルの有無・開閉回数で値が変わります。

この表を見て分かるとおり、ヒューズの定格は回路電流の3〜5倍になります。小容量ほど倍率が大きくなるのは、突入電流に耐えさせる分が相対的に効いてくるからです。そして「容量ごとに1つだけ正解がある早見表」は作れません。並列バンクがいくつあるか、直列リアクトルが入っているか、年間何回開閉するかで、メーカーの選定表は別の表に分かれています。設計では、この3つを伝えて選定表の値をもらうところまでをセットにします。

ペン太ペン太
余裕をみて大きめの定格にしておくのは安全側じゃないんですか?
ハリタハリタ
逆です。大きすぎると、コンデンサが内部で壊れてもヒューズが切れません。切れないままケースが破裂します。
ここまでのポイント
  • 下限は、連続電流と投入時の突入電流
  • 上限は、ケースが破壊される前に切れること
  • ヒューズ定格は回路電流の3〜5倍になる
  • 容量だけで決まる早見表は作れない。並列バンク・リアクトル・開閉回数で変わる


G・T・M・C・LC ― リアクトル付きならC定格ではない

同じ10Aのヒューズでも、想定している負荷が違えば別の製品です。JIS C 4604は、繰返し過電流特性で種別を分けています。変圧器はT、電動機はM、コンデンサはC、というところまではよく知られていますが、もうひとつLC(リアクトル付きコンデンサ用)があります。

突入電流の形が違うので、耐量の決め方も別になっています。
記号 用途 繰返し過電流特性(JIS C 4604)
G 一般用 規定なし。どの負荷にも使える標準品
T 変圧器用 定格電流の10倍を0.1秒、100回繰り返しても溶断しない
M 電動機用 定格電流の5倍を10秒、10,000回繰り返しても溶断しない
C コンデンサ用(リアクトルなし) 定格電流の70倍を0.002秒、100回繰り返しても溶断しない
LC コンデンサ用(リアクトル付き) 定格電流の5倍を0.1秒、100回繰り返しても溶断しない
数字はそれぞれの負荷の突入電流の形に合わせてあります。C種は「大きく鋭い」、LC種は「小さく長い」。
電流の値をそのまま定格にすると、投入のたびに飛びます。

リアクトルのない回路では、投入の瞬間に定格の数十倍という電流が一瞬だけ流れます。C種の「70倍を0.002秒」は、この形に合わせた規定です。一方、6%の直列リアクトルを入れると突入電流は約5倍まで抑えられ、代わりに流れる時間が長くなります。LC種の「5倍を0.1秒」はこちらの形です。

高圧受電設備規程では進相コンデンサに直列リアクトルを設けることになっているので、実務で選ぶ多くはリアクトル付きの条件です。「コンデンサ用だからC定格」で止めず、メーカーの選定表がリアクトルの有無で分かれていることまで確かめてください。なお、メーカーによっては「6%・8%・13%のリアクトルが入っている場合は単器適用と同じに扱える」といった注記を添えていることがあります。どちらの条件で選定表を引くかは、カタログの注記に従います。

ここまでのポイント
  • 種別記号はG・T・M・C・LCの5つ
  • C種はリアクトルなし、LC種はリアクトル付き
  • C種は70倍を0.002秒、LC種は5倍を0.1秒
  • 「コンデンサ用ならC定格」では足りない。リアクトルの有無まで見る

開けたあと、すぐには入れられない

機器が決まっても、もうひとつ確認することがあります。コンデンサは開放したあとも電荷を持っています。残留電圧が抜けきる前に再投入すると、電源電圧に残留電圧が足し合わさって、通常よりはるかに大きな電流が流れます。

放電コイルと放電抵抗では、待てる時間が2桁違います。

JIS C 4902-1は、放電装置について開路してから残留電圧が50V以下になるまで、放電抵抗で5分、放電コイルで5秒と規定しています。この差が、そのまま選べる開閉方式の差になります。

放電装置 50V以下になるまで 組み合わせる開閉器
放電抵抗(コンデンサ内蔵) 5 分 PC・PF付LBS。手動で切るだけの回路
放電コイル(外付け) 5 秒 VMC。短い間隔で入り切りする回路
APFCで自動開閉する回路に放電抵抗だけでは、間隔が足りません。放電コイルとセットで考えます。

点検で開放したときも同じです。開放してすぐ端子に触れない、放電を確認してから作業するという手順は、この規定から来ています。断路器で切り離す場合の考え方は断路器(DS)の基礎知識と安全操作にまとめています。

ここまでのポイント
  • 開放後も残留電圧がある
  • 放電抵抗は5分、放電コイルは5秒で50V以下(JIS C 4902-1)
  • 短い間隔で入り切りする回路には放電コイル
  • 残留電圧があるうちの再投入は、過大な電流を流す

選定例 ― 6.6kV・設備容量100kvar・6%リアクトル付き

ここまでを1つの回路で通してみます。受電盤に固定バンクとして1バンク設ける、いちばん多い形です。

数字が出たら、そのまま図面と機器表に書けます。
項目 計算・根拠 結果
回路電流 100,000 ÷(√3×6,600) 8.75 A
開閉器の下限 8.75 × 1.5(130%+許容差) 13.1 A 以上
機器種別 50kvar超、かつリアクトル付き PF付LBS
開閉頻度 固定バンク(年に数回) LBSでよい
ヒューズ種別 6%リアクトル付き LC定格
ヒューズ定格 メーカー選定表(並列バンクなし) 30 A 級
コンデンサ定格電圧 6,600 ÷(1−0.06) 7,020 V
リアクトル定格電圧 (6,600÷√3)×6÷94 243 V
リアクトル定格容量 100 × 6÷94 6.38 kvar
再投入まで 放電抵抗内蔵のとき 5 分
この10行が図面と機器表の根拠になります。ヒューズ定格だけはメーカーの選定表で確認します。

もしこの回路にAPFCを追加する計画があるなら、ここでVMCに変えます。あわせて放電コイルを付け、再投入までの時間を5秒にします。コンデンサとリアクトルの定格電圧の出し方はリアクトルの設置基準と選定方法、受変電全体の中での位置づけは受変電設備の設計マニュアル⑪ 力率改善設備で扱っています。

ここまでのポイント
  • 100kvar・6.6kVの回路電流は8.75A
  • 開閉器は13.1A以上。固定バンクならPF付LBS
  • リアクトル付きなのでヒューズはLC定格、30A級
  • APFCを追加するならVMCと放電コイルに変える

よくある質問

コンデンサ一次側の開閉器はどう選定しますか?

定格設備容量で機器種別を決め、開閉頻度で方式を決めます。高圧受電設備規程では50kvar以下がPC(高圧カットアウト)、50kvarを超えるとPF付LBS以上です。さらに毎日のように入り切りする回路では、LBSではなくVMC(真空電磁接触器)を選びます。

100kvarのコンデンサの場合、限流ヒューズはいくつですか?

回路電流は100,000÷(√3×6,600)=8.75Aです。メーカーカタログの選定例では30〜40A級が示されています。並列バンクの数、直列リアクトルの有無、年間の開閉回数で変わるため、条件を伝えて選定表の値を確認してください。

限流ヒューズの定格電流はどう選びますか?

下限と上限にはさまれた帯の中から選びます。下限は連続して流れる電流(定格電流の1.5倍程度)と投入時の突入電流、上限はコンデンサのケースが破壊される前に切れることです。結果として、回路電流の3〜5倍の定格になります。

コンデンサのヒューズはC定格でよいですか?

直列リアクトルがない回路ならC定格です。リアクトルが入っている回路はLC定格が対応します。JIS C 4604では、C種が「リアクトルなしコンデンサ用」、LC種が「リアクトル付きコンデンサ用」と分かれています。メーカーによっては、6%・8%・13%のリアクトル付きを単器適用と同じ扱いにできると注記していることがあります。

VMCはどんなときに選定しますか?

ひんぱんに入り切りする回路です。LBSの負荷電流開閉は約200回程度が限界で、1日1回の開閉でも1年で超えてしまいます。自動力率調整(APFC)を設ける回路は、電気的寿命が10万〜25万回あるVMCを選びます。

VMCを使うときの注意点はありますか?

直列リアクトルが入っていることを確かめます。リアクトルのない回路をVMCで開閉すると過大な突入電流が流れ、接点が短期間で傷みます。また短い間隔で再投入するため、放電コイルを設けて残留電圧を5秒で50V以下にします。

VCB(真空遮断器)をコンデンサに使うことはありますか?

あります。大容量で、保護継電器と連動した選択遮断が必要な場合です。ただし遮断器の開閉回数は数千回程度で、VMCほどの頻度には向きません。頻度が高い大容量回路では、VCBとVMCを組み合わせる構成もあります。

「定格設備容量」と「コンデンサの定格容量」は同じですか?

違います。定格設備容量は直列リアクトルを含めた設備としての進相容量、コンデンサの定格容量はコンデンサ単体の値です。6%リアクトル付きなら、設備容量50kvarはコンデンサ単体で約53.2kvarに当たります。

開閉器の定格電流はコンデンサ電流の何倍でとりますか?

1.5倍以上でとります。JIS C 4902-1がコンデンサの最大許容電流を定格電流の130%と定めており、さらに容量の許容差が−5%〜+10%あるためです。1.30×1.10=1.43倍を切り上げた値になります。

なぜコンデンサは定格電流より大きな電流が流れるのですか?

高調波が重畳するためと、容量そのものにばらつきがあるためです。コンデンサのインピーダンスは周波数に反比例するので、高調波ほど流れやすくなります。JIS C 4902-1はこれを見込んで最大許容電流を130%としています。

直列リアクトルは必ず必要ですか?

高圧受電設備規程で、高圧進相コンデンサには直列リアクトルを設けることになっています。突入電流の抑制と、第5調波に対して回路を誘導性に保つためです。

PCで三相のコンデンサを開閉してもよいですか?

50kvar以下なら規程上は使えますが、三相ではPF付LBSが無難です。PCは相ごとに独立していて、1相だけ溶断すると欠相したまま運転が続きます。コンデンサの欠相は残った相に過電圧がかかります。

1相だけヒューズが切れたらどうなりますか?

PF付LBSやVMCでは、ストライカが動作して三相を同時に開放します。PCにはこの機能がないため、切れた相だけが開放され、残り2相は通電したままになります。

ヒューズが飛ぶ原因は何が多いですか?

突入電流の繰り返しによる劣化、種別記号の取り違え(C定格の回路にT定格を入れるなど)、定格が小さすぎる選定です。コンデンサ本体の内部故障で正しく切れている場合もあるので、交換前に容量とtanδを測ります。

開放してすぐ再投入できますか?

できません。放電抵抗内蔵なら5分、放電コイル付きなら5秒待ちます。残留電圧があるうちに投入すると、電源電圧と足し合わさって過大な電流が流れます。

点検でコンデンサを開放したあと、すぐ端子に触れてよいですか?

触れてはいけません。JIS C 4902-1が定める放電時間(放電抵抗5分、放電コイル5秒)を過ぎ、残留電圧が50V以下になったことを確認してから作業します。

コンデンサの保護は限流ヒューズだけでよいですか?

小容量はヒューズだけの構成が一般的です。メーカーの資料では、設備容量150kvar以上で保護検出器と限流ヒューズを組み合わせる例が示されています。内部素子の故障を早い段階で検出するためです。

APFCを後から追加できますか?

開閉器をVMCに更新し、放電コイルを追加する必要があります。LBSのままAPFCを付けると、開閉回数が寿命を超えます。将来の追加が見込まれるなら、最初からVMCで計画しておくほうが安く済みます。

単線結線図には何を書いておけばよいですか?

開閉器の種別と定格、ヒューズの種別記号と定格電流、コンデンサとリアクトルの定格容量・定格電圧です。ヒューズは「30A」だけでなく「LC30A」のように記号まで書くと、更新時の取り違えがなくなります。

選定の根拠はどこに残しますか?

機器表か計算書に、回路電流・1.5倍の値・機器種別の判断(50kvarとの関係、リアクトルの有無)・想定した開閉回数を残します。この4つがあれば、次に触る人が同じ結論を再現できます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
変圧器と同じで300kVAまでPC コンデンサは50kvar。単位も数字も別
容量だけで開閉器が決まる 容量で種別、開閉頻度で方式。2段構え
50kvar超だからLBSでよい 毎日入り切りするならVMC。LBSは約200回が限界
リアクトルの有無は開閉器に関係ない リアクトル付きは一次側をLBS以上にする
開閉器は回路電流で選ぶ 130%+容量許容差を見込んで1.5倍以上
コンデンサ用だからC定格 リアクトル付きはLC定格。JIS C 4604で別の種別
容量ごとの早見表が1つある 並列バンク・リアクトル・開閉回数で表が分かれる
余裕をみて大きめのヒューズが安全 大きすぎるとケース破壊前に切れない
ヒューズは電流とだいたい同じ値 回路電流の3〜5倍になる
定格設備容量=コンデンサの定格容量 6%付きなら設備容量50kvar=単体約53.2kvar
開放すればすぐ触れる 放電抵抗5分、放電コイル5秒を待つ
APFCは後から付けられる 開閉器をVMCに、放電を放電コイルに替える必要がある
図面には定格電流だけ書けばよい 種別記号まで書く。更新時の取り違えが減る
「変圧器の感覚のまま」がいちばん多い誤りです。コンデンサは別の機器として選びます。
手順 やること 見るところ
1|容量を確かめる 定格設備容量[kvar]。リアクトル込みかを確認 銘板・カタログ
2|種別を決める 50kvar以下はPC、超過はPF付LBS以上 高圧受電設備規程
3|リアクトルを見る 付いているなら一次側はLBS以上 高圧受電設備規程
4|開閉頻度を聞く 年に数回か、毎日か。APFCの有無 運用の計画
5|方式を決める ひんぱんならVMC。そうでなければLBS LBS約200回/VMC10万回
6|回路電流を出す I=設備容量÷(√3×回路電圧) 計算
7|1.5倍でとる 開閉器とケーブルの下限 JIS C 4902-1(130%)
8|ヒューズを選ぶ 種別記号はC/LC。定格はメーカー選定表 JIS C 4604
9|放電を確認する 放電抵抗5分か、放電コイル5秒か JIS C 4902-1
10|図面に残す 種別記号・定格・判断の根拠 機器表・計算書
この10手順で、図面と機器表に書けるところまで決まります。

📘 あわせて確認したいこと

変圧器側の開閉器とヒューズ容量早見表は変圧器一次側開閉器(PC・LBS)の選定方法、LBSそのものの構造は限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(LBS)の基礎、リアクトルの選び方はリアクトルの設置基準と選定方法で扱っています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?

タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。

次に読むならこれ参考文献『2023年度版』|高圧受電設備規程高圧受電設備規程
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。