新人の学習ルート
読む順番に迷ったら、マイページのルートに沿って進められます
進み方を見る →

家の分電盤では、電気を使いすぎるとブレーカーが落ち、原因を片づければまた上げられます。昔の家では、かわりにヒューズが切れて、交換していました。高圧のキュービクルにも、この2つのやり方があります。ブレーカーにあたるCB形と、ヒューズにあたるPF・S形です。第5回は、受電の心臓部の主遮断装置の読み方を見ていきます。

結論

主遮断装置は構内の事故の大電流を切る機器です。VCB・CT・OCR(51)があればCB形、ヒューズPFと負荷開閉器LBSだけならPF・S形で、どちらになるかは受電設備容量が目安です。

  • PF・S形は300kVA以下、CB形は4,000kVA以下が目安
  • VCBは定格遮断電流(例 12.5kA)まで読む
  • PF・S形はストライカで3相まとめて開く
  • VCBは再投入、PFは切れたら交換
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
工場の中でショートが起きるとCTが見てOCRが判断し、VCBが0.1秒ほどで切って配電線まで広げない場面から、CB形のVCB・CT・OCR(51)と定格遮断電流の記号、PF・S形のヒューズが溶けてストライカがLBSを3相まとめて開くしくみ、受電設備容量300kVAと4,000kVAを目安にした選び方を示す動く図解
約50秒でくり返します。使っている場面から、CB形、PF・S形、選び方の順に見ます。

主遮断装置は「構内の事故をここで止める」

構内でショート(短絡)が起きると、ふだんの何十倍もの電流が一気に流れます。この電流を受電点で切り、電力会社の配電線まで事故を広げないのが主遮断装置です。単線結線図では、DS・LAの下、母線の手前にあります。

形 組み合わせ 切りかた
CB形 VCB(真空遮断器)+CT+OCR(過電流継電器) CTで電流を見てOCRが判断し、VCBが切る
PF・S形 PF(限流ヒューズ)+LBS(負荷開閉器) ヒューズが溶けて切り、LBSを開く
どちらも「構内の事故の電流を切る」ための組み合わせです。
ここまでのポイント
  • 構内の事故の大電流を切る
  • DS・LAの下、母線の手前
  • CB形とPF・S形の2つ

CB形は「刃に×」と「CT・51」

CB形では、刃に×を描いた遮断器の記号に「VCB」(または「CB」)と書かれています。その手前にCTがあり、CTから細い線でOCR(器具番号51)につながっています。

図面の表記 読み方
刃に×と「VCB」 真空遮断器。事故の電流を切る
CTと変流比(例 150/5A) 電流を小さくしてOCRに送る
丸や四角に「51」 過電流継電器(OCR)。いつ切るかを決める
VCB 7.2kV 600A 12.5kA 定格電圧・定格電流・定格遮断電流
トリップ電源(CTD・直流電源など) 停電中でもVCBを切るための電源
12.5kAは「切れる短絡電流の上限」です。定格電流だけで判断しません。
読み方のコツ:VCBは切る力を持っていますが、いつ切るかは自分では決めません。CTとOCRがそろって初めて動きます。図面では、CTからOCR、OCRからVCBへの細い線をたどって、組になっているかを確かめます。記号の見分け方は第4回とあわせて見てください。
ここまでのポイント
  • 刃に×がVCB
  • CTとOCR(51)が組
  • 定格遮断電流を読む


PF・S形は「ヒューズ」と「LBS」

PF・S形では、四角いヒューズの記号(PF)と、負荷開閉器(LBS)の記号が並びます。CTやOCRはありません。ショートの電流が流れるとヒューズが溶けて切ります。

図面の表記 読み方
四角と「PF」 限流ヒューズ。電流がピークになる前に溶けて切る
開閉器と「LBS」 ふだんの電流を入り切りする負荷開閉器
「ストライカ引外し付」 ヒューズが溶けるとピンが飛び出し、LBSを3相まとめて開く
PFの定格(例 7.2kV 100A) ヒューズの大きさ。変圧器などに合わせて選ぶ
地絡の保護は、PAS側のDGRで受け持つか、キュービクル側にZCTとGRを置きます。

ヒューズは相ごとに入っているので、1本だけ切れると欠相運転になり、三相モーターが焼けてしまいます。ストライカは、それを防ぐための「3相まとめて開く」合図です。引込部のPASとDGRについては第2回で扱っています。

ここまでのポイント
  • 四角いヒューズがPF
  • LBSとセット
  • ストライカで欠相を防ぐ

どちらを選ぶかは受電設備容量が目安

項目 CB形 PF・S形
受電設備容量の目安 4,000kVA以下 300kVA以下
事故のあと 原因を直せば再投入できる ヒューズを交換する(3本そろえて)
保護の細かさ OCRの設定で調整しやすい 短絡に強く、過負荷は苦手
大きさと価格 大きく、高め 小さく、安め
受電設備容量は、変圧器やコンデンサなどの容量の合計(kVA)で、契約電力(kW)とは別です。
読み方のコツ:容量が300kVAぎりぎりでPF・S形になっている図面は、将来変圧器を足すと主遮断装置ごと入れ替えになります。病院やデータセンターのように止められない施設では、再投入できるCB形を選ぶことが多いです。選び方のくわしい考え方は設計マニュアル⑥ 受電部②で扱っています。
ここまでのポイント
  • 300kVA以下ならPF・S形も
  • それをこえるとCB形
  • 将来の増設も見る


間違えやすいところ

よくある読み違い

  1. 定格電流だけで足りると読む:事故のときに切れるかは定格遮断電流で決まります。
  2. VCBだけで保護できると思う:CTとOCRがないとVCBは動きません。
  3. PF・S形で過負荷も守れると思う:ヒューズが得意なのは短絡です。
  4. ヒューズを1本だけ交換する:ほかの2本も傷んでいることがあるので3本そろえます。
  5. 受電設備容量と契約電力を混同する:形を決めるのはkVAの受電設備容量です。

次回は、CB形の手足になるVT・CT・ZCT・ZPD(計器用変成器)の読み方です。全体の流れは第1回で見ています。

ここまでのポイント
  • 定格遮断電流を読む
  • CTとOCRとの組を確かめる
  • ヒューズは3本そろえる

よくある質問

主遮断装置とは何ですか?

受電点で構内の事故の大きな電流を切るための機器です。構内でショートや地絡が起きたとき、ここで切ることで事故を電力会社の配電線まで広げないようにします。点検のときに構内全体を停電させる役目もあります。

CB形とPF・S形はどう見分けますか?

受電の主回路に、刃に×を描いた遮断器(VCB)とCT、過電流継電器(器具番号51)があればCB形です。四角いヒューズ(PF)と負荷開閉器(LBS)だけならPF・S形です。

どちらを選ぶかは何で決まりますか?

受電設備容量(変圧器やコンデンサなど、つながる機器の容量の合計)が目安です。PF・S形は300kVA以下で使え、それをこえるとCB形になります。CB形の目安は4,000kVA以下です。将来の増設や、止められない施設かどうかも考えます。

VCBの「12.5kA」は何の数字ですか?

定格遮断電流で、そのVCBが切ることのできる短絡電流の上限です。受電点の短絡電流がこれをこえると、切ろうとしても切れずに壊れてしまいます。短絡電流を計算して確かめます。

ストライカとは何ですか?

ヒューズが溶けたときに飛び出す小さなピンです。ヒューズは相ごとに入っているので1本だけ切れることがあり、そのままだと欠相運転になってモーターが焼けてしまいます。ストライカがLBSを3相まとめて開くことで、これを防ぎます。

PF・S形で過負荷も守れますか?

限流ヒューズが得意なのは短絡の大きな電流で、じわじわ増える過負荷は苦手です。過負荷を守るには、変圧器の二次側の配線用遮断器や温度の監視で補います。

30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?

タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。

この記事に関連する無料ツール

次に読むならこれ【単線結線図の見方④】DS・LA ― 刃の先の縦線で断路器を読み、遮断器が先・DSはあとの順番と、雷を大地へ逃がす避雷器の接地まで新人教育
次はこれ
新人マイページで進捗とノートを残す →読んだ記事は自動で記録されます。ノートは端末に保存され、書き出せます。
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。