【単線結線図の見方⑧】変圧器バンク ― 開閉器・変圧器・主幹・B種接地の4点セットで読み、動力と電灯を分ける理由と容量の決め方を知る
家の電気は、電柱の上にあるバケツのような変圧器で6,600Vから100V・200Vに下げて届いています。キュービクルのある建物は、この変圧器を自分の敷地に置いているようなものです。しかも1台ではなく、エアコンやポンプ用、照明やコンセント用と、用途ごとに何台も並べます。第8回は、単線結線図の真ん中に並ぶ変圧器バンクの読み方です。
結論
変圧器バンクは一次側の開閉器・変圧器・二次側の主幹・B種接地のまとまりです。動力は三相3線210V、電灯は単相3線210V/105Vと用途ごとに分け、容量は負荷の合計×需要率から標準容量に切り上げます。
- 記号の横の「相・電圧・容量・結線」を読む
- 動力と電灯を分けて、照明のちらつきを防ぐ
- 105V・210Vは電圧降下を見込んだ出口の電圧
- 大きすぎる変圧器は鉄損を払い続ける
変圧器は用途ごとに分ける
大きな変圧器を1台置けば済みそうですが、ふつうは動力用と電灯用に分けます。必要な電気の形がちがううえに、エアコンやポンプが起動したときの電圧の落ち込みで、事務室の照明がちらつくのを防ぐためです。
| 用途 | 変圧器 | 二次側 | おもな負荷 |
|---|---|---|---|
| 動力 | 三相変圧器(3φ) | 三相3線 210V | エアコン・ポンプ・ファン・エレベーター |
| 電灯 | 単相変圧器(1φ) | 単相3線 210V/105V | 照明・コンセント・OA機器 |
- 動力と電灯を分ける
- 照明のちらつきを防ぐ
- 片方ずつ止めて点検できる
バンクは「開閉器・変圧器・主幹・B種接地」の4点セット
1つのバンクは、高圧母線から下に向かって、一次側の開閉器、変圧器、二次側の主幹の順に並びます。変圧器の二次側には、高圧と低圧が混ざったときの危険を防ぐB種接地が付きます。
| 図面の表記 | 読み方 |
|---|---|
| PF付LBS(またはPC) | 一次側の開閉器。PFは励磁突入電流で切れない定格を選ぶ |
| 丸2つと「3φ 6,600/210V 300kVA」 | 相数・電圧比・容量 |
| 「Δ-Δ」「Δ-Y」「V」 | 結線。単線結線図では省略されることもある |
| %Z(%インピーダンス) | 短絡電流や電圧変動の計算に使う値 |
| ACB・MCCB | 二次側の主幹。低圧の幹線を守る |
| EB(B種) | 変圧器の二次側の接地 |
小さな変圧器では、一次側に高圧カットアウト(PC)を使うこともあります。どちらを選ぶかと、ヒューズの大きさの決め方は変圧器一次側開閉器(PC・LBS)の選定方法でくわしく扱っています。主遮断装置のPF・LBSとのちがいは第5回とあわせて見てください。
- 一次側の開閉器
- 相・電圧・容量・結線
- 二次側の主幹とB種接地
三相3線と単相3線 ― 二次側の形がちがう
動力用の三相3線は、3本の線のどの2本の間も210Vです。モーターを回すのに向いた電気です。電灯用の単相3線は、外側の2本(L1・L2)の間が210V、真ん中の中性線(N)との間が105Vになり、家の分電盤と同じ形です。
| 結線 | 特徴 | 使いどころ |
|---|---|---|
| Δ-Δ | 動力用の標準。1台が故障してもV結線として運転を続けられる | 一般動力 |
| Δ-Y | 二次側に中性点が取れる | 三相4線式にしたい大きな建物 |
| V-V | 単相変圧器2台で三相をつくる。2台合計の約86.6%まで使える | 費用を抑えたい小さめの動力 |
| 単相3線 | 210V/105Vをつくる | 照明・コンセント |
- 動力は三相3線210V
- 電灯は単相3線210V/105V
- 105V・210Vは出口の電圧
容量は「負荷の合計×需要率」から標準容量へ
つながる機器の容量をそのまま足した値で変圧器を選ぶと、大きすぎます。すべての機器が同時にいっぱいで動くことはないからです。
| 手順 | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| ① 負荷の合計 | つながる機器の容量を足す | 400kVA |
| ② 需要率をかける | 同時に使う割合 | ×0.6=240kVA |
| ③ 不等率で割る | グループどうしで最大の時刻がずれる分 | 複数のグループを合わせるとき |
| ④ 標準容量に切り上げ | 50・75・100・150・200・300・500kVAなど | 300kVA |
変圧器の損失には、つないでいる間ずっとかかる鉄損と、負荷の2乗で増える銅損があります。大きすぎると鉄損を払い続け、小さすぎると過熱します。負荷率40〜60%ほどが経済的といわれます。需要率の取り方は変圧器容量の選定・計算方法、設計の考え方は設計マニュアル⑨ 変圧器部で扱っています。
- 合計に需要率をかける
- 標準容量に切り上げる
- 鉄損と銅損のバランス
間違えやすいところ
よくある読み違い
- 負荷の合計をそのまま変圧器容量と読む:需要率をかけた最大需要電力から選ばれています。
- 210Vを200Vの書き間違いと思う:電圧降下を見込んだ定格二次電圧です。
- V結線を2台分の容量で読む:使えるのは2台合計の約86.6%です。
- B種接地を見落とす:変圧器の二次側に必ず付きます。接地は第11回で扱います。
- 変圧器の容量と受電設備容量を混同する:受電設備容量は変圧器とコンデンサなどの合計です。
次回は、力率をよくするSC(進相コンデンサ)とSR(直列リアクトル)の読み方です。保護継電器は第7回で見ています。
- 需要率を見る
- 210Vは正しい
- V結線は約86.6%
よくある質問
変圧器バンクとは何ですか?
変圧器1台と、その前後に付く機器をひとまとまりにした呼び方です。一次側の開閉器(PF付LBSや高圧カットアウト)、変圧器、二次側の主幹(ACBやMCCB)、B種接地で1つのバンクになります。
なぜ変圧器を1台にまとめず、何台にも分けるのですか?
動力(三相)と電灯(単相)では、必要な相数と電圧がちがうからです。まとめると、エアコンやポンプの起動で照明がちらつくこともあります。分けておけば、片方を止めて点検しながら、もう片方を生かす運用もできます。
二次電圧が100V・200Vではなく105V・210Vなのはなぜですか?
変圧器から機器までの配線で電圧が下がる分を見込んで、出口の電圧を少し高めにしているからです。105V・210Vは変圧器の定格二次電圧で、使う側の電圧100V・200Vとは別のものです。
図面の「Δ-Δ」「V結線」は何を表していますか?
変圧器の巻線のつなぎ方です。Δ-Δは動力用の標準、Δ-Yは二次側に中性点が取れる結線、V結線は単相変圧器2台で三相をつくる結線です。V結線は、2台の合計容量の約86.6%までしか使えません。
変圧器の容量はどう決めますか?
つながる機器の容量を合計し、需要率(同時に使う割合)をかけて最大需要電力を出します。いくつかのグループを合わせるときは不等率も考えます。そこから50・75・100・150・200・300kVAなどの標準容量に切り上げます。
変圧器は大きめにしておけば安心ですか?
大きすぎると、負荷が少なくても鉄損(無負荷損)を払い続けることになります。小さすぎると過熱します。負荷率40〜60%ほどが経済的といわれ、将来の増設も見て決めます。
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