電気系の大学生・高専生で「在学中に電験三種(第三種電気主任技術者)を取りたい」人向けの記事です。電験三種は年2回・4科目・科目合格制なので、授業と同じ学期に受ける科目を決めれば、就職活動が本格化する前に4科目をそろえる計画が立ちます。順番は「理論 → 電力 → 機械 → 法規」が基本です。

この記事の結論
2年生の下期に理論、3年生の上期に電力と機械、3年生の下期に法規と残り。免除は「合格した次の試験から連続5回」なので、3年で使い切れます。
  • 理論が土台。ほかの3科目の計算はすべて理論の式を使うので、最初に取る
  • 機械は範囲が広いので早めに手を付ける。法規は暗記+計算で直前でも間に合う
  • 大学の授業(電気回路・電磁気・電気機器・発変電)と同じ学期に同じ科目を受けると、勉強時間が半分で済む
  • 科目合格でも履歴書に書ける。就活の面接で「残りの科目をいつ取るか」を言えるようにしておく

電験三種の4科目の関係:理論が土台で、電力と機械はその上に乗り、法規は横から。各科目60点で合格、持ち越しは連続5回

試験の仕組み ― 年2回・4科目・免除は連続5回

科目 出題 時間 中身
理論 A問題14問+B問題3問(選択あり) 90分 直流・交流回路、電磁気、電子回路、電気計測
電力 A問題14問+B問題3問 90分 発電(水力・火力・原子力・再エネ)、変電、送電、配電、電気材料
機械 A問題14問+B問題3問(選択あり) 90分 変圧器、誘導機、直流機、同期機、パワーエレクトロニクス、自動制御、照明・電熱・電気化学、情報
法規 A問題10問+B問題3問 65分 電気事業法、電気設備技術基準・解釈、電気施設管理(需要率・負荷率・調相・接地)
年2回上期:CBT 7月中旬〜8月上旬/筆記 8月末。下期:CBT 2月/筆記 3月
60点科目ごとの合格基準(年度により調整あり)
連続5回科目合格した次の試験から数えて免除される回数
7,700円受験手数料(インターネット申込み・令和8年度)

年2回になったのは令和4年度から、CBT方式が始まったのは令和5年度からです。CBTは期間内で試験日と会場を選べるので、大学の試験期間や実験の発表とぶつけずに済みます。免除の回数は「回」で数えるので、年2回なら2年半です。

出題数・試験時間・合格基準は年度で見直されることがあります。申込みの前に電気技術者試験センターの受験案内で確かめてください。

大学の授業と科目の対応 ― 同じ学期に同じ科目を受ける

電験の科目 大学・高専の授業(科目名の例) 授業と試験のずれ
理論 電気回路Ⅰ・Ⅱ、電磁気学、電子回路、電気・電子計測 試験は「解く速さ」が必要。授業の証明より、過去問の型に慣れる
電力 発電工学、送配電工学、高電圧工学、電気材料 授業でやらない配電・電気材料は、テキストで補う
機械 電気機器学、パワーエレクトロニクス、制御工学、照明・電熱 4機(変圧器・誘導機・直流機・同期機)は授業が分かれていることが多い。まとめて復習
法規 電気法規(開講がない大学も多い) 暗記が中心。数字(接地抵抗・離隔・絶縁)を表にして覚える

法規の数字は、実務でそのまま使うものです。電技解釈の条文ごとに、現場でどう使うかをまとめた電験三種 出題範囲×実務記事マップから、対応する解説記事へたどれます。


在学中に4科目そろえる計画

在学中の受験計画:2年下期に理論、3年上期に電力・機械、3年下期に機械の再挑戦と法規、4年上期に残った科目、4年下期は予備。免除は合格した次の試験から連続5回

12年生 下期(3月)
理論だけ。電気回路と電磁気の授業が終わった直後。過去問10年分を2周
23年生 上期(8月)
電力と機械。夏休みの前半を使う。片方落としても構わない
33年生 下期(3月)
法規と、落とした科目。就活の準備と重なるので、法規は1か月で仕上げる
44年生 上期(8月)
残った科目。内定後で時間がある。4年の下期(3月)は卒業直前なので予備
認定校のルートもある(試験と両方を知っておく)大学・高専の電気系の課程は「認定校」になっていることが多く、必要な科目の単位を取って卒業したあと、電圧500V以上の電気工作物の工事・維持・運用の実務経験(大学卒は1年以上、短大・高専卒は2年以上)を積むと、試験を受けずに免状を申請できます。ただし就職先によっては実務経験の要件を満たせないので、在学中の試験合格が確実です。認定の条件は経済産業省・産業保安監督部の案内で確かめてください。

科目別の進め方

理論 ― 過去問の「型」を覚える
直流回路・交流回路(ベクトル・複素数)・静電気・電磁気・電子回路・計測。B問題は回路計算と電磁気が定番。過去問10年分を、解けるまで同じ問題を繰り返す。理論は「1問6分」で解く速さも必要です。
電力 ― 暗記と計算が半々
発電(水力の出力・火力の効率・原子力)、変電(変圧器・調相設備)、送電(電圧降下・電力損失・たるみ)、配電(単相3線・中性線)、電気材料。計算は理論の交流計算をそのまま使います。
機械 ― 4機を先に、パワエレと制御は後に
変圧器・誘導機・直流機・同期機の等価回路と特性を先に固め、パワーエレクトロニクス(整流・チョッパ・インバータ)、自動制御(伝達関数・ボード線図)、照明・電熱・電気化学・情報は選択問題を見て絞ります。いちばん時間がかかる科目です。
法規 ― 数字を表にして、B問題は計算
電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法、電技と解釈(接地・離隔・絶縁抵抗・保護装置)、電気施設管理(需要率・負荷率・不等率、力率改善、水力の年間発電量)。B問題の計算は電力・理論と同じ式です。

4科目に共通する土台は「配線図が読めて、単線結線図で電気の流れを追える」ことです。第二種電気工事士の範囲は電験三種の入口なので、まだ持っていなければ学生向けの学習ガイドから先に済ませると、電力と法規が読みやすくなります。


就活に効かせる書き方と、電験が要る仕事

状態 履歴書の書き方(例)
4科目そろった 第三種電気主任技術者試験 合格(免状申請中/取得)
科目合格 第三種電気主任技術者試験 理論・電力 科目合格(令和8年度上期)。残り2科目は令和9年3月受験予定

電気主任技術者の選任が必要な職場は、ビル管理・電気保安法人・工場(生産技術・設備保全)・電力会社・鉄道・データセンターなど。設計事務所やサブコンでも、電験三種は受変電設備の設計を任される目安になります。仕事の中身は電気科の就職先ガイドで比べてください。

よくある質問

電卓は使えますか。

使えます(関数電卓と、電卓機能つきの通信機器は不可)。√や三角関数は手計算になるので、過去問で慣れておきます。

勉強時間はどれくらいですか。

一般に数百時間から1,000時間と言われますが、電気系の学生は授業で土台があるので短く済みます。目安として、理論は授業の復習+過去問で100時間前後、機械は最も長く150時間前後を見ておくと計画が立ちます。

CBTと筆記、どちらで受けるべきですか。

日程を選べるCBTがおすすめです。問題の難しさは同じで、CBTでも計算用紙が使えます。筆記は年1回の決まった日曜日で、会場も指定されます。

落とした科目があると、合格した科目も消えますか。

消えません。合格した科目は、その次の試験から連続5回まで免除されます。5回のあいだに残りをそろえれば合格です。

出典・参考:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験/同 令和8年度電気主任技術者試験の実施日程/産業保安監督部 電気主任技術者免状に係る学校等の認定について

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。