工業高校の電気科、高専・大学の電気系、専門学校や職業訓練校で電気を学んでいる人のための進路ガイドです。「電気の仕事」とひとことで言っても、電力会社・電気設備設計・電気工事・ビル管理・メーカーでは、毎日やることがまるで違います。求人票を見る前に、それぞれの持ち場と、資格を取る順番をつかんでおきましょう。

この記事の結論
仕事の違いは「電気の流れのどこを担当するか」と「図面・現場・運転のどれが中心か」で見分けます。
  • 建物の電気に関わるのは 設計・工事・ビル管理 の3つ。1つの建物を、描く人・つくる人・守る人で分担する
  • 在学中に取るなら 第二種電気工事士 が最優先。どの道に進んでも使う共通の土台になる
  • 向き不向きは「座って考えるのが好きか」「体を動かして形にするのが好きか」「決まった手順を確実に回すのが好きか」でだいたい分かれる

発電所から照明・コンセントまでの電気の流れと、電力会社・電気設備設計・電気工事・ビル管理・メーカーが主に関わる範囲

5つの仕事は、ここが違う

身近なたとえでいうと、建物の電気は「家を建てる」のと同じ分担です。設計は間取り図を描く人、工事は大工さん、ビル管理は住み始めてからの点検や修理をする人です。電力会社は水道局のように、建物の外から電気を届けます。メーカーは、そこで使う部品や機械を作っています。

仕事 毎日やること 働く場所 向いている人
電気設備設計 照明・コンセント・幹線・受変電の設計、計算書と図面づくり、建築・空調の設計者との調整 設計事務所・ゼネコンやサブコンの設計部。ほぼ事務所 図面や計算をこつこつ詰めるのが好き
電気工事(施工・施工管理) 配管・配線・器具付け。施工管理は工程・品質・安全・原価の管理と、職人さんへの段取り 建設現場。現場ごとに場所が変わる 体を動かして形にするのが好き。人をまとめるのが好き
ビル管理・電気保安 受変電設備の点検、停電作業、トラブル対応、設備の運転記録 ビル・工場・病院・商業施設に常駐、または巡回 決まった手順を確実に回すのが得意
電力会社 発電所・変電所・送配電線の保守と運用、新しい設備の計画 発電所・変電所・営業所。夜間や災害時の出動もある 大きな設備と長く付き合いたい
電機メーカー 分電盤・変圧器・照明器具などの開発・製造・品質管理・技術営業 工場・研究所・営業所 ものづくりそのものが好き
「サブコン」「ゼネコン」って何?ゼネコンは建物全体の工事をまとめる総合建設会社、サブコンはその下で電気や空調などの設備工事を受け持つ専門の会社です。電気設備の設計・施工管理の求人は、サブコン(電気工事会社)に多くあります。

1日の流れで比べる

設計の1日
9:00 メール・図面の修正依頼を確認 → 10:00 照度計算と器具の配置 → 13:00 建築設計者と打合せ(天井の高さ・機械室の広さ)→ 15:00 幹線の電圧降下を計算 → 17:00 CADで図面を直して提出
施工管理の1日
8:00 朝礼・KY活動 → 8:30 職人さんと今日の作業を確認 → 10:00 配管の検査・写真撮影 → 13:00 他業種と工程の調整 → 16:00 翌日の資材と人の手配 → 事務所で書類
ビル管理の1日
8:30 前の担当から引継ぎ → 9:00 受変電設備の巡回点検・メーター記録 → 11:00 照明の不点や漏電の対応 → 14:00 年次点検の段取り → 夜勤がある職場も

どの仕事も、図面を読む力と第二種電気工事士の知識が土台です。設計の実務は 新人マイページ の新人講座で、1日の流れから順番に読めます。


資格を取る順番

在学中は第二種電気工事士、入社1〜3年で第一種電気工事士と電験三種、実務経験のあとに施工管理技士や建築設備士という順番

在学中にいちばん効くのは第二種電気工事士です。筆記(学科)と技能の2段階で、受験資格はありません。工業高校なら2年生の上期に受けるのが定番です。電験三種は難しい試験ですが、科目ごとの合格を持ち越せるので、在学中に1〜2科目取っておくと入社後がぐっと楽になります。

資格と仕事の関係をもっと詳しく知りたいときは 資格で広がる電気設備のキャリア へ。

求人票・会社説明会で見るところ

確かめておきたい5つ
  1. 何をする部署か:「電気職」だけでは設計か施工管理かメンテナンスか分かりません。配属先の仕事を具体的に聞く
  2. 現場の範囲:施工管理なら転勤・出張の有無、現場が変わる頻度
  3. 資格の支援:受験料の補助、合格時の手当、社内の勉強会
  4. 新人教育:先輩が付くか、何か月で一人立ちか
  5. 休みと残業:工期末や年度末の忙しさ、夜勤・当直の有無

会社説明会で「入社1年目は何をしていますか」と聞くと、その会社の実際の仕事がよく見えます。

内定が決まったら

入社までの時間は、資格の先取りより「用語」と「図面の見方」に使うのがおすすめです。電気設備の内定者が入社までに読む10本 に、合計1時間ほどで読める記事をまとめています。

よくある質問

普通科や文系からでも電気の仕事に就けますか。

就けます。第二種電気工事士には受験資格がなく、電気工事会社やビル管理会社には未経験から始める人も多くいます。まずは第二種の学科から始めてみてください。

設計と施工管理、どちらを選べばいいか迷っています。

会社によっては施工管理を数年経験してから設計へ移る道もあります。現場を知っている設計者は重宝されるので、最初に現場を経験するのは遠回りではありません。

電気の仕事はきついと聞きます。

工期末の忙しさや夜間・休日の作業がある職場もあります。一方で、資格と経験がそのまま評価される仕事でもあります。求人票と説明会で、繁忙期の働き方を具体的に確かめるのがいちばん確実です。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。