技術図書館消火ポンプは起動は自動、停止は人屋内消火栓とスプリンクラーの起動、受信機への表示、止め方と点検の注意この資料をスライドで見る資料一覧を見る

屋内消火栓の赤いランプの下にあるボタンを押すと、地下のポンプ室で消火ポンプが回り出します。スプリンクラーは、誰もボタンを押さなくても、ヘッドが開いただけでポンプが動きます。そして、どちらのポンプも自動では止まりません。この記事では、自動火災報知設備(自火報)と消火ポンプの発停について、屋内消火栓とスプリンクラーの起動のしかた、受信機への表示、止め方までを、図で1つずつ丁寧に解説します。

結論

消火ポンプは、起動ボタン・P型発信機や配管の圧力低下で自動的に起動し、直接操作でしか止まりません。運転やスプリンクラーの作動は、自火報の受信機や防災センターに表示します。

  • 屋内消火栓は、消火栓箱の起動ボタンやP型発信機からポンプを起動できる(規則12条)
  • スプリンクラーは、ヘッドが開いて圧力が下がるとポンプが起動する
  • ポンプは直接操作によってのみ停止。自火報を復旧しても止まらない
  • 始動を知らせる赤色の表示灯、締切運転の逃し配管、非常電源を備える
屋内消火栓の起動ボタン・P型発信機、スプリンクラーのヘッド開放による圧力低下、2号・易操作性1号消火栓の弁の開放をきっかけに消火ポンプが起動し、止めるのは直接操作だけであることを示した全体像
起動のきっかけは設備ごとに違いますが、止めるのは人の手です。

発停のルール ― 起動は自動、停止は人の手で

消火ポンプ(加圧送水装置)の起動と停止には、はっきりしたルールがあります。

項目 決まり
起動 直接操作できること。1号消火栓では、消火栓箱の内部または直近の操作部(自火報のP型発信機を含む)から遠隔操作できること
停止 直接操作によってのみ停止されること
表示灯 ポンプの始動を明示する赤色の表示灯を、消火栓箱の内部または直近に設けること
締切運転 締切運転時の水温上昇を防ぐ逃し配管を設けること。性能を試験する配管も設けること
非常電源 非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備などによること
消防法施行規則12条、加圧送水装置の基準(平成9年消防庁告示第8号)をもとに作成

たとえるなら、消火ポンプは「押せばすぐ走り出すが、自分では止まらない」走者です。止まってよいかは、火が消えたのを見た人だけが判断できるからです。

ここまでのポイント
  • 起動はボタン・発信機・圧力低下などで自動的に
  • 停止は直接操作だけ
  • 赤色の表示灯・逃し配管・非常電源を備える

屋内消火栓 ― ボタンを押すとポンプが回る

屋内消火栓の起動ボタンを押すと、受信機または制御盤から起動の信号が消火ポンプに送られ、ポンプが回って表示灯が点滅し、ホースから放水されるまでを示した動く図解
動く図解:起動ボタン → 信号 → ポンプ起動 → 表示灯が点滅 → 放水。

1号消火栓では、消火栓箱の起動ボタン、または自火報のP型発信機を押すと、ポンプが起動します。発信機を押せば、自火報のベルが鳴ると同時にポンプも動き出す、という一石二鳥のしくみです。

種類 主な起動のしかた
1号消火栓 消火栓箱の起動ボタン、または自火報のP型発信機を押す
易操作性1号消火栓・2号消火栓 1人で操作できるよう、弁を開けるなどの操作と連動してポンプが起動するものが一般的
一般的な構成の例。細部は設備の基準と製品で確認する

ポンプが起動すると、消火栓の上の赤いランプが点滅します。消火栓の位置を示す表示灯と、ポンプの始動を知らせる表示灯を兼ねて、ふだんは点灯、ポンプが動くと点滅させる方式がよく使われます。「水が来ているよ」という合図です。

ここまでのポイント
  • 1号消火栓は、起動ボタンかP型発信機でポンプを起動
  • 2号・易操作性1号は、弁の操作と連動して起動するものが一般的
  • ポンプが動くと、赤いランプが点滅して知らせる


スプリンクラー ― 圧力が下がるとポンプが回る

熱でスプリンクラーヘッドが開いて放水し、流水検知装置が作動して受信機へ信号を送り、配管の圧力が下がって圧力タンクの圧力スイッチが働き、消火ポンプが起動するまでを示した動く図解
動く図解:スプリンクラーのポンプを動かすのは「圧力の低下」です。

閉鎖型湿式のスプリンクラー設備は、ボタンを押さなくても動きます。しくみは、家庭の井戸ポンプと同じです。蛇口をひねると配管の圧力が下がり、それを圧力スイッチが感じてポンプが回ります。

  1. ヘッドが開く:火災の熱で、ヘッドの感熱部が壊れて放水が始まる
  2. 流水検知装置が作動:配管に水が流れたことを検知し、その信号を自火報の受信機に送る
  3. 圧力スイッチが働く:配管と圧力タンクの圧力が下がる
  4. ポンプが起動:水を送り続けて、放水を続ける
  5. 表示:受信機・防災センターに、スプリンクラーの作動とポンプの運転を表示する

ポイントは、スプリンクラーは自火報の信号を待たずに、自分で動くことです。自火報とのつながりは、流水検知装置の信号を受信機に送り、警報や表示を出すことにあります。スプリンクラーを設けた部分では、条件によって自火報の感知器を省略できる場合もあります。設置基準は「建築消防|スプリンクラー設備の設置基準|ヘッドの水平距離・省略できる部分と加圧送水装置の非常電源」で整理しています。

ここまでのポイント
  • ヘッドが開いて圧力が下がると、ポンプが起動する
  • 流水検知装置の信号を、自火報の受信機へ送る
  • スプリンクラーは自火報の信号を待たずに自分で動く

受信機へ知らせること ― 運転・作動・異常

消火設備から受信機や防災センターへ、ポンプ運転、スプリンクラー作動(区域別)、減水、電源の異常、制御弁の閉の信号を送る構成を示した図
消火設備の状態は、受信機や防災センターで一目でわかるようにします。

消火ポンプやスプリンクラーは、地下のポンプ室など、ふだん人がいない場所にあります。だからこそ、状態を受信機や防災センターに知らせることが大切です。

信号 意味 わかること
ポンプ運転 消火ポンプが動いている 放水が行われている、または起動した
スプリンクラー作動(区域別) 流水検知装置が作動した どの階・区域でヘッドが開いたか
減水 水源や呼水槽の水が減った 水の補給や漏れの確認が必要
電源の異常 ポンプの電源が切れた いざというときにポンプが動かない
制御弁の閉 点検などで閉めた弁が閉まったまま 戻し忘れると、ヘッドが開いても放水されない
一般的な計画の例。表示の項目は建物と所轄の指導で決める
ここまでのポイント
  • ポンプ運転とスプリンクラー作動を受信機・防災センターに表示
  • 減水・電源の異常も知らせる
  • 制御弁の閉めっぱなしに気づけるようにする


止め方と電源 ― 自動では止まらない理由

消火ポンプが自動で止まると消防隊の放水中に水が止まってしまうため、消火を確かめてから制御盤の停止ボタンで人が止めること、締切運転の逃し配管を示した図
ポンプを止めるのは、火が消えたのを確かめた人です。

消火ポンプが自動で止まらないのは、放水している途中で水が止まることがいちばん危ないからです。スプリンクラーの配管の圧力が戻ったからといって、火が消えたとは限りません。

項目 内容
止め方 消火を確かめてから、制御盤の停止ボタンで止める。スプリンクラーは、その階の制御弁も閉める
自火報の復旧 受信機を復旧しても、ポンプは止まらない
締切運転 放水していないのにポンプが回ると水温が上がる。逃し配管で少しずつ水を逃がす
非常電源 停電しても動くよう、発電機などの非常電源につなぐ(使用時間は30分以上とされるのが一般的)
消防法施行規則12条、東京消防庁の資料などをもとに作成

停電時の発電機の動きと、火災時の一般負荷遮断については「建築消防|自火報と非常用発電機の発停|停電で始動、火災で一般負荷を遮断するしくみと40秒ルール」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 放水の途中で止まらないよう、ポンプは人が止める
  • 受信機を復旧しても、ポンプは止まらない
  • 締切運転の逃し配管と、発電機などの非常電源を備える

試験と点検 ― 起動・表示・停止を確かめる

起動、スプリンクラーの起動、表示と移報、停止、非常電源、復旧の6つの確認ポイントを並べた図
竣工前の試験と定期点検で確かめる6つのポイント。
  • 起動:起動ボタン・P型発信機でポンプが起動し、表示灯が点滅するか
  • スプリンクラーの起動:末端試験弁を開けて、流水検知装置の作動とポンプの起動を確かめる
  • 表示と移報:ポンプ運転・スプリンクラー作動・減水が、受信機や防災センターに出るか
  • 停止:自動で止まらず、制御盤で止められるか
  • 非常電源:停電時に発電機などで起動・運転できるか
  • 復旧:閉めた制御弁を開に戻したか。圧力タンクの圧力が戻ったか

⚠️ 自火報の点検で、ポンプが回ってしまう

P型発信機とポンプの起動を兼ねていると、自火報の点検で発信機を押したときにポンプが起動します。点検の前にポンプの起動回路を止めるか、起動しても問題ないように準備しておきます。終わったら起動回路と制御弁を必ず元に戻し、戻したことを記録に残します。

ここまでのポイント
  • 発信機・末端試験弁でポンプの起動を確かめる
  • 止まらないこと、制御盤で止められることを確かめる
  • 点検のあとは、起動回路と制御弁を必ず戻す


よくある質問

屋内消火栓のポンプは、どうやって起動しますか?

消防法施行規則12条では、屋内消火栓の加圧送水装置の起動装置は、直接操作できるものであり、かつ、屋内消火栓箱の内部またはその直近に設けた操作部(自動火災報知設備のP型発信機を含む)から遠隔操作できるものとしています。1号消火栓では、起動ボタンやP型発信機を押すとポンプが起動するのが一般的です。

消火ポンプは自動で止まりますか?

止まりません。消防法施行規則12条で、加圧送水装置は直接操作によってのみ停止されるものとされています。放水の途中で止まると消火活動ができなくなるため、自火報を復旧してもポンプは回り続けます。消火を確かめてから、制御盤で人が止めます。

スプリンクラーのポンプは、自火報の信号で起動しますか?

一般的な閉鎖型湿式スプリンクラー設備では、自火報の信号ではなく、配管の圧力の低下で起動します。熱でヘッドが開くと配管の水が流れ、圧力タンクの圧力が下がって圧力スイッチが働き、ポンプが起動します。同時に流水検知装置が作動して、その信号が自火報の受信機に送られます。

ポンプの起動を知らせる表示灯とは何ですか?

加圧送水装置が始動したことを知らせる赤色の表示灯で、屋内消火栓箱の内部またはその直近に設けます(消防法施行規則12条)。消火栓の位置を示す赤色の表示灯と兼ねて、ポンプが起動すると点滅させる方式がよく使われます。

締切運転とは何ですか?

ポンプが回っているのに、どこからも放水していない状態の運転です。水が流れないとポンプの中の水温が上がってしまうため、加圧送水装置には締切運転時の水温上昇を防ぐ逃し配管を設けることとされています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。