スプリンクラー設備は水の設備です。それでも電気設備の設計者が図面を引く段になると、加圧送水装置の電源と制御、起動用水圧開閉装置からの信号、流水検知装置の発信部から防災センターまでの配線、非常電源の種別と、電気の仕事が一気に増えます。しかも非常電源に何を使えるかは建物の用途と延べ面積で変わるので、受電計画そのものに跳ね返ります。

この記事は、消防法施行令第12条と消防法施行規則第13条〜第14条を条文にあたって整理したものです。実務書でよく見かける「標準型ヘッドの水平距離は耐火建築物で2.6m」「スプリンクラーに専用受電設備は使えない」といった説明が、どこで条文とずれているのかもあわせて示します。

どの建物にスプリンクラー設備が必要か

設置義務は消防法施行令第12条第1項で、第1号から第12号まで並んでいます。ひとつずつ性格が違うので、一覧にしておきます。

ス​プリンクラー設備を設置すべき防​火対象物消防法施行令 第12条第1項(第1号〜第12号)1号(六)項の福祉施設等イ・ロは面積によらず全部 ハは延べ面積275㎡以上2号(一)項の舞台部地階・無​窓階・4階以上300㎡以上 その他500㎡以上3号(一)〜(四)(五)イ(六)(九)イ(十六)イ地階を除く階数が11以上(棟単位・面積要件なし)4号3号と同じ用途(3号該当を除く)(四)(六)イ(1)〜(3)は3,000㎡ その他6,000㎡以上5号(十四)項 ラック式倉庫天井の高さ10m超 かつ延べ面積700㎡以上6号(十六の二)項 地下街延べ面積1,000㎡以上7号(十六の三)項 準地下街延べ面積1,000㎡以上かつ特定用途部分500㎡以上8号指​定可燃物危政令別表第四の1,000倍以上(可燃性液体類を除く)9号地下街のうち福祉施設等の用途部分(六)項イ(1)(2)・(六)項ロの用途部分10号(十六)項イ(3号該当を除く)特定用途部分の合計3,000㎡以上のものの当該部分の階11号前各号以外の地階・無​窓階・4〜10階(一)(三)(五)イ(六)(九)イは1,000/1,500㎡以上12号前各号以外の11階以上の階面積要件なし(階単位)第3号と第12号を取り違えない第3号は「地階を除く階数が11以上」=建物全体に義務。第12号は「11階以上の階」=その階だけに義務です。HARITA
図1 消防法施行令第12条第1項の設置対象。第3号は棟単位、第12号は階単位で、性格がまったく違う。

第3号と第12号の違い

第3号は「地階を除く階数が11以上」の防火対象物そのものが対象で、面積要件がありません。建物全体にスプリンクラー設備が必要になります。

第12号は「前各号以外の防火対象物の11階以上の階」で、こちらは階単位です。1〜10階には義務がなく、11階から上の階だけに設けます。

「11階建てだから全館スプリンクラー」と機械的に言えるのは第3号の用途((一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ)に限られます。事務所ビル((十五)項)は第12号なので、11階から上だけです。ここを取り違えると水源水量もポンプ容量も変わります。

(六)項の福祉施設等は面積要件の構造が特殊

第1号は福祉施設等を対象にしていますが、イ・ロ・ハで扱いが違います。

令第12条第1項第1号

  •  別表第一(六)項イ(1)および(2) → 面積によらず全部
  •  別表第一(六)項ロ(1)および(3) → 面積によらず全部
  •  別表第一(六)項ロ(2)、(4)および(5) → 「介助がなければ避難できない者を主として入所させるもの以外」にあっては延べ面積275㎡以上

つまり275㎡という数字はハにしか付きません。しかもハであっても、介助がなければ避難できない者を主として入所させる施設なら面積によらず全部が対象です。「(六)項ロは275㎡以上から」という説明は、ロとハを混ぜてしまっています。

「介助がなければ避難できない者」の定義は規則第12条の3にあり、乳児・幼児のほか、障害支援区分の認定調査項目のうち「移乗」「移動」「危険の認識」「説明の理解」「多動・行動停止」「不安定な行動」のいずれかに該当する者とされています。

また第1号には「延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く」という除外があり、その構造は規則第12条の2に定められています。基準面積1,000㎡未満なら準耐火構造の壁・床で区画して区画内床面積100㎡以下かつ居室4室未満、1,000㎡以上なら耐火構造で区画内床面積200㎡以下、といった内容です。この構造をとればスプリンクラー設備そのものが不要になるので、計画の早い段階で建築側と詰める価値があります。


ヘッドの水平距離は「耐火建築物かどうか」で決まる

標準型ヘッドの水平距離は令第12条第2項第2号イに表があり、耐火建築物なら2.3m以下、耐火建築物以外なら2.1m以下、指定可燃物や舞台部なら1.7m以下です。

標準型ヘッドの水平距離はこう決まるR = X × r  R:水平距離[m] X:区分の数値 r:有効散水半径 (規則第13条の2第3項)区 分(X の値)標準型ヘッド令12条2項2号イ高感度型ヘッドr=2.6高感度型ヘッドr=2.8耐​火建築物X = 1.02.3 m2.6 m2.8 m耐​火建築物以外X = 0.92.1 m2.34 m2.52 m指​定可燃物・舞台部X = 0.751.7 m1.95 m2.1 mここを間違えている解説が多い・「一般は2.3m、耐​火建築物は2.6m」は誤り。正しくは耐​火建築物2.3m、耐​火建築物以外2.1mです。・2.6mという数字は、有効散水半径2.6の高感度型ヘッドを耐​火建築物に使ったときの値です。・高感度型ヘッドとは、感度種別が1種で、かつ有効散水半径が2.6以上のもの(規則第13条の2第2項)。・Xの区分は用途の項番号ではなく、耐​火建築物かどうか・指​定可燃物かどうかで決まります。HARITA
図2 標準型ヘッドの水平距離。2.6mは高感度型ヘッドを耐火建築物に使ったときの値で、標準型の数値ではない。

高感度型ヘッドを使う場合の水平距離は規則第13条の2第3項で、R=X×rという式で求めます。Rが水平距離、rが有効散水半径、Xは区分に応じた数値で、耐火建築物が1.0、耐火建築物以外が0.9、指定可燃物が0.75です。

高感度型ヘッドの定義(規則第13条の2第2項)

感度種別が1種であり、かつ有効散水半径が2.6以上のものをいいます。感度種別が1種でも有効散水半径が2.3であれば高感度型ではありません。

したがって「2.6m」という水平距離が出てくるのは、有効散水半径2.6の高感度型ヘッドを耐火建築物に使ったとき(2.6×1.0)だけです。標準型ヘッドで2.6mになることはありません。

もうひとつ、Xの区分は用途の項番号ではなく、耐火建築物かどうか・指定可燃物かどうかで決まります。「(四)項だから」「(十六)項イだから」で高感度型や特定の距離が決まるわけではないので、ここも注意してください。


ヘッドの種類と放水性能・水源水量

ヘッドには閉鎖型(標準型・小区画型・側壁型)、開放型、放水型ヘッド等があり、それぞれ放水性能と水源水量の算定が違います。放水性能は規則第13条の6第2項、水源水量は同条第1項です。

ヘッドの種類と放水性能・水源水量消防法施行規則 第13条の2〜第13条の6 (放水性能=第13条の6第2項、水源水量=同第1項)ヘッドの種類主な適用場所放水圧力放水量水源水量閉鎖型 標準型規則13条の2一般の防​火対象物で最も広く使うラック式倉庫は1140.1 MPa80 L/min個数 × 1.6 ㎥閉鎖型 小区画型規則13条の3第2項(五)項・(六)項の宿泊室・病室等水平距離2.6m・13㎡以下0.1 MPa50 L/min個数 × 1.0 ㎥閉鎖型 側壁型規則13条の3第3項(五)項・(六)項の宿泊室等と廊下壁面から0.15m以内0.1 MPa80 L/min個数 × 1.6 ㎥開放型規則13条の2第4項2号(一)項の舞台部一斉開放弁と組む0.1 MPa80 L/min個数 × 1.6 ㎥放水型ヘッド等規則13条の4高天井部分(アトリウム等)指​定可燃物は10長官告示5 L/min・㎡長官が定める特定施設水道連結型規則13条の6第2項(六)項の小規模施設 1,000㎡未満内装が準​不​燃材料以上0.02 MPa15 L/min水源施設は不要・特定施設水道連結型で内装が準​不​燃材料以外の場合は 0.05MPa・30L/min。この設備は非​常電源も送水口も不要(令12条2項7号ただし書)。・乾式または予作動式の流水検知装置を設けるものは、水源水量の算定に用いるヘッド個数に 1.5 を乗じる。HARITA
図3 ヘッドの種類ごとの放水圧力・放水量・水源水量。放水圧力と放水量の数値は令ではなく規則にある。

数値は令ではなく規則にある

令第12条第2項第5号は「総務省令で定めるところにより放水することができる性能のものであること」とだけ書いており、令の側に数値はありません。0.1MPa以上・80L/min以上という数値は規則第13条の6第2項第1号です。「令12条2項に0.1MPa・80L/minと書いてある」という説明は、条文の位置が違います。

小区画型ヘッドと側壁型ヘッド

この2つは規則第13条の3で、令別表第一の(五)項・(六)項、および(十六)項のうちこれらの用途部分にしか使えません。ホテル・共同住宅・病院・福祉施設が対象、ということです。

小区画型と側壁型の設置基準

  • 小区画型(第2項) 宿泊室、病室その他これらに類する部分に設ける。天井の各部分から1のヘッドまでの水平距離2.6m以下、かつ1のヘッドにより防護される部分の面積13㎡以下
  • 側壁型(第3項) 宿泊室等および廊下、通路その他これらに類する部分に設ける。壁面から0.15m以内、防護範囲は水平方向の両側それぞれ1.8m以内かつ前方3.6m以内。デフレクターの下方0.45m以内かつ水平方向0.45m以内に障害物を設けない

いずれも感度種別1種であることが第1項で求められています。

標示温度と取付け場所の温度

閉鎖型ヘッドの標示温度は規則第14条第1項第7号の表で、取付け場所の正常時における最高周囲温度に応じて決まります。

規則第14条第1項第7号

  • 最高周囲温度 39℃未満 → 標示温度 79℃未満
  • 39℃以上64℃未満 → 79℃以上121℃未満
  • 64℃以上106℃未満 → 121℃以上162℃未満
  • 106℃以上 → 162℃以上

電気室や機械室など発熱のある部屋に隣接する天井、厨房の上部、日射を受けるガラス面の近くなどは、この表の区分が上がることがあります。もっとも電気室そのものはヘッドを設けなくてもよい部分(後述)なので、隣接部の扱いが問題になります。

ヘッドの取付け方

標準型ヘッドの取付けは規則第13条の2第4項第1号です。天井をふかす、ダクトを通す、照明器具を並べるといった作業が干渉するところなので、電気側も知っておくと調整が早くなります。

規則第13条の2第4項第1号

  •  取付け面から0.4m以上突き出したはり等で区画された部分ごとに設ける(区画された部分の面積が小さく、はり等の中心からの距離が1.8m以下のものを除く)
  •  幅または奥行が1.2mを超える給排気用ダクト・棚等がある場合は、その下面にも設ける
  •  デフレクターと取付け面との距離は0.3m以下
  •  ヘッドの軸心が取付け面に対して直角となるように設ける
  •  デフレクターから下方0.45m以内(易燃性の可燃物を収容する部分は0.9m以内)かつ水平方向0.3m以内には何も設けない
  •  開口部に設ける場合は上枠から0.15m以内の壁面に設ける
  •  乾式・予作動式のものはデフレクターを上向きに設ける(凍結のおそれがない場合を除く)

ロの「幅または奥行が1.2mを超えるダクト・棚の下面にもヘッドを設ける」は、大型のケーブルラックやバスダクトを天井下に通すときに効いてきます。1.2mを超える幅のラックを計画するなら、その下にヘッドが増えることを見込んでおく必要があります。


電気室にスプリンクラーヘッドは要らない

電気設備の設計者がまず確認したいのがここです。規則第13条第3項に「ヘッドを設けなくてもよい部分」が第1号から第12号まで並んでおり、電気関係の部屋はきちんと入っています。

ヘッドを設けなくてもよい部分(全12号)消防法施行規則 第13条第3項(令第12条第2項第1号の「総務省令で定める部分」)1号階段、浴室、便所その他これらに類する場所(二)(四)(十六の二)項等は避​難階段・特別避​難階段に限る2号通信機器室、電子計算機器室、電子顕微鏡室その他これらに類する室3号エ​レベーターの機械室、機械換気設備の機械室その他これらに類する室4号発​電機、変​圧器その他これらに類する電気設備が設置されている場所面積・区画などの付加条件は条文にない5号エ​レベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類する部分6号直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所7号手術室、分娩室、内視鏡検査室、人工血液透析室麻酔室、重症患者集中治療看護室その他これらに類する室8号レントゲン室その他放射線源を使用・貯蔵・廃棄する室9号劇場等の固定式のいす席部分ヘッド取付け面の高さが8m以上の場所9の2号浴場・シャワー室等の廊下・収納設備・脱衣所基準面積1,000㎡未満のもの10号駐車場の乗降場及びこれに通ずる階段・通路11・12号耐火構造とした防​火対象物の一定条件下の区画部分11号は一般、12号は11階未満の複合用途の特定用途部分電気室・通信機器室・EV機械室は色を付けた3つ(第2号・第3号・第4号)。号番号の取り違えが多いところです。ヘッドを設けない部分には、補助散水栓を設けることができます(令第12条第2項第8号/規則第13条の6第4項)。HARITA
図4 規則第13条第3項のヘッド不要部分。電気関係は第2号(通信機器室)・第3号(EV機械室等)・第4号(電気設備)。

第4号の条文

発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている場所

条文はこれだけで、面積要件も区画要件も付いていません。「200㎡以上なら」「不燃区画されていれば」といった条件は条文にはありません。ただし実務では、各消防本部の審査基準や指導で「当該電気設備が存する部分に限る」「他の用途を兼ねる部分は認めない」といった運用が付されることがあります。この運用面は消防本部ごとに確認してください。

号番号の取り違えが多いので整理しておくと、第2号が通信機器室・電子計算機器室・電子顕微鏡室第3号がエレベーターの機械室・機械換気設備の機械室第4号が発電機・変圧器等の電気設備です。届出書に条文番号を書くときは、この3つを混ぜないようにしてください。

第1号の階段については、(二)項・(四)項・(十六の二)項、および(十六)項イのうち(二)項・(四)項の用途部分がある場合は建築基準法施行令第123条の避難階段または特別避難階段に限るという限定が付きます。一般の階段室ならヘッドが必要になることがある、ということです。

代替区画という考え方

規則第13条第2項には、区画によってスプリンクラー設備を省略できる規定があります。対象は特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物のうち、令別表第一の(二)項、(四)項、(五)項ロ、およびこれらの用途部分を含む(十六)項で、地階と無窓階は除かれます。

規則第13条第2項の要件

  • 耐火構造の壁および床で区画されていること
  • 床面積は10階以下の階で200㎡以下、11階以上の階で100㎡以下
  • 開口部には特定防火設備である防火戸(廊下と階段とを区画する部分以外の開口部は防火シャッターを除く)で、随時開けることができる自動閉鎖装置付き、または煙感知器連動かつ手動閉鎖できるもの
  • 内装は、地上に通ずる主たる廊下その他の通路が準不燃材料、その他の部分が難燃材料

開口部の防火戸を煙感知器連動にする場合、その煙感知器と連動制御器は電気工事の範囲です。スプリンクラーを省略した代わりに防火戸の連動設備が増えるという交換になるので、コスト比較のときは両方を並べて見る必要があります。

ヘッドを設けない部分には補助散水栓

ヘッドを設けなくてもよい部分には、令第12条第2項第8号により補助散水栓を設けることができます。細目は規則第13条の6第4項です。

補助散水栓(規則第13条の6第4項)

  • 第1号 その階の各部分から1のホース接続口までの水平距離15m以下(スプリンクラーヘッドが設けられている部分を除く)
  • 第2号 ノズル先端で放水圧力0.25MPa以上、放水量60L/min以上
  • 第3号イ 箱には「消火用散水栓」と表示する
  • 第3号ロ 箱の上部に赤色の灯火を設ける。取付け面と15度以上の角度となる方向に沿って10m離れた位置から容易に識別できること
  • 第5号 開閉弁は床面からの高さ1.5m以下または天井(天井に設ける場合は自動式)

赤色の灯火は電気工事です。屋内消火栓の位置表示灯と同じ考え方ですが、表示は「消火栓」ではなく「消火用散水栓」である点が違います。

放水性能の0.25MPa・60L/minは2号消火栓と同じ値です。1号消火栓の0.17MPa・130L/minと混同している資料があるので、水源やポンプの検討で使う数値としては注意してください。


加圧送水装置と電気設計

ここからが電気の本番です。規則第14条第1項の各号のうち、電気に関係するものを拾っていきます。

ポンプの起動方式と非​常電源の選択起​動装置 規則第14条第1項第8号イ閉鎖型ヘッド自​動火​災報知設備の感​知器・流水検知装置・起動用水圧開閉装置 のいずれかの作動と連動して→ 加圧送水装置を起動開放型ヘッド自​動火​災報知設備の感​知器・火災感知用ヘッドの作動または開放による圧力検知装置の作動と連動して→ 加圧送水装置と一斉開放弁を起動非​常電源 規則第14条第1項第6号の2延べ面積1,000㎡以上の特定防​火対象物か(小規模特定用途複合防​火対象物を除く)該 当 す る自​家発電設備蓄​電池設備燃​料電池設備専​用受​電設備は不可該当しない非​常電源専​用受​電設備自​家発電設備蓄​電池設備燃​料電池設備配線・制​御盤・ポンプまわりの数値・操作回路と表​示灯回路の配線は規則第12条第1項第5号に準じて耐熱配線とする(規則14条1項9号)。・制​御盤の表​示灯は電源=白色、運転=赤色、呼水槽減水=橙色(平成9年消防庁告示第8号 第6条)。・起動用水圧開閉装置の圧力タンクは100L以上(吐出側主配管の止水弁の呼び径150以下は50L以上)。・ポンプ吐出量=ヘッド個数×90L/min(小区画型60・ラック式倉庫130)、全揚程 H=h1+h2+10m。・総​合操作盤は規則第12条第1項第8号を準用(規則14条1項12号)。耐震措置は同第9号(同13号)。HARITA
図5 ポンプの起動方式と非常電源の選択。非常電源に専用受電設備が使えるかどうかは用途と延べ面積で決まる。

ポンプの起動方式(第8号)

規則第14条第1項第8号イが自動式起動装置を定めています。閉鎖型と開放型で、何と連動するかが違います。

第8号イ

  • 閉鎖型ヘッド 自動火災報知設備の感知器の作動、または流水検知装置もしくは起動用水圧開閉装置の作動と連動して加圧送水装置を起動できるもの
  • 開放型ヘッド 自動火災報知設備の感知器の作動、または火災感知用ヘッドの作動もしくは開放による圧力検知装置の作動と連動して、加圧送水装置および一斉開放弁を起動できるもの。ただし防災センター等に自火報の受信機があり、かつ手動で直ちに起動できる場合は除く

ロには手動式起動装置の規定があり、直接操作または遠隔操作により起動でき、2以上の放水区域があるときは放水区域を選択できることとされています。

実際にいちばん多いのは閉鎖型で、配管内の圧力低下を起動用水圧開閉装置(圧力タンク)が検知してポンプが自動起動する構成です。自火報の感知器と連動させる方式もありますが、その場合は自火報側の設計と噛み合わせる必要があります。

平成9年消防庁告示第8号「加圧送水装置の基準」から

  • 第6条第1号(制御盤) 外箱は鋼板製で防食処理。起動・停止スイッチのほか、電源表示灯は白色、運転表示灯は赤色、呼水槽減水表示灯は橙色
  • 第6条第2号(呼水装置) 有効水量100L以上(フート弁の呼び径150以下は50L以上)。減水警報は有効水量の2分の1となる前に発信すること
  • 第6条第5号(起動用水圧開閉装置) 圧力タンクの容量は100L以上(吐出側主配管の止水弁の呼び径が150以下の場合は50L以上)

非常電源に何が使えるか(第6号の2)

規則第14条第1項第6号の2は「非常電源は、第12条第1項第4号の規定の例により設けること」とだけ書いています。除外や限定の文言はありません

では専用受電設備が使えるかどうかはどこで決まるかというと、準用先である規則第12条第1項第4号の柱書の括弧書きです。

規則第12条第1項第4号の構造

柱書で「非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備」の4種類を並べたうえで、括弧書きで次のように絞り込んでいます。

「法第17条の2の5第2項第4号に規定する特定防火対象物で、延べ面積が1,000㎡以上のもの(小規模特定用途複合防火対象物を除く)にあつては、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備

そのうえで、イが非常電源専用受電設備、ロが自家発電設備、ハが蓄電池設備、ニが燃料電池設備、ホが配線の技術基準を定める、という構成です。

つまり「スプリンクラー設備には非常電源専用受電設備が使えない」という一律の説明は誤りです。使えないのは延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物(小規模特定用途複合防火対象物を除く)の場合であって、ラック式倉庫((十四)項)や指定可燃物のように非特定防火対象物であれば専用受電設備も選べます

不活性ガス消火設備との違い

不活性ガス消火設備の非常電源(規則第19条第5項第20号)は「第12条第1項第4号ロからホまでの規定の例による」と書かれており、イ(専用受電設備)が明文で外されています。設備の種類ごとに準用の範囲が違うので、条文をそのまま読む習慣が要ります。

配線と自動警報装置

配線は規則第14条第1項第9号で、操作回路の配線は規則第12条第1項第5号に準じることとされています。600V二種ビニル絶縁電線またはこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使い、金属管工事・可とう電線管工事・金属ダクト工事・不燃性ダクト内のケーブル工事で施設する、という耐熱配線です。

自動警報装置は第4号で、流水検知装置または圧力検知装置と、発信部・受信部・音響警報装置で構成されます。受信部は防災センター等に設ける表示装置で、複数設ける場合は相互に通話できる設備が必要です。この受信部までの配線も電気の範囲になります。

流水検知装置まわりの号

  • 第4号 自動警報装置(流水検知装置または圧力検知装置+発信部+受信部+音響警報装置)
  • 第4号の2 小区画型ヘッドを用いるものの流水検知装置は湿式とする
  • 第4号の3 ラック式倉庫の流水検知装置は予作動式以外とする
  • 第4号の4 流水検知装置の一次側に圧力計を設ける
  • 第4号の5 二次側の圧力が設定値より低下した場合に自動的に警報を発する装置
  • 第5号の2 末端試験弁(流水検知装置・圧力検知装置の作動試験用。一次側に圧力計、二次側に試験用放水口)

なお一斉開放弁は第4号ではなく第1号です。第2号は放水区域の数(一の舞台部または居室につき4以下)で、まったく別の内容です。

ポンプの容量と全揚程

規則第14条第1項第11号ハがポンプの吐出量と全揚程を定めています。

第11号ハ

  • (イ) 吐出量 水源水量の算定に用いるヘッドの個数に90L/minを乗じた量以上(小区画型は60L/minラック式倉庫は130L/min
  • (ロ) 全揚程 H = h₁(配管の摩擦損失水頭)+ h₂(落差)+ 10m

高架水槽方式は H=h₁+10m(イ)、圧力水槽方式は P=p₁+p₂+0.1MPa(ロ)です。

この吐出量に必要な電動機出力が決まり、そこから始動方式・保護協調・受電容量が決まっていきます。ヘッド個数(水源水量の基準個数)が変わると電気の計画がまるごと動くので、機械側の基準個数だけは早めに押さえておきたいところです。

水源水量の基準個数(規則第13条の6第1項第1号・閉鎖型標準型)

  • 百貨店等((四)項) 15個(高感度型r2.6なら12個、r2.8なら11個)
  • 地階を除く階数が10以下 10個(同8個/7個)
  • 地階を除く階数が11以上 15個(同12個/11個)
  • ラック式倉庫 等級Ⅰ〜Ⅲ 30個/等級Ⅳ 20個
  • 指定可燃物(1,000倍以上) 20個

これに1.6㎥を乗じたものが水源水量です。乾式または予作動式の流水検知装置を設けるものは、この個数に1.5を乗じます

あわせて第12号で総合操作盤(規則第12条第1項第8号を準用)、第13号で貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管等の耐震措置(同第9号)が求められます。

点検

点検の周期は規則第31条の6第1項と平成16年消防庁告示第9号により、機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回です。報告は特定防火対象物で1年に1回、非特定防火対象物で3年に1回(同条第3項)、報告先は消防長または消防署長です。

総合点検では末端試験弁を開いて流水検知装置の作動、ポンプの起動、圧力・放水量、音響警報装置の鳴動、防災センターの表示までを一連で確認します。末端試験弁が設けられているかどうか(規則第14条第1項第5号の2)は、竣工後の点検のしやすさを大きく左右する項目です。

まとめ 条文にあたって確認したこと

この記事で訂正した点

  • 令第12条第1項第3号が「地階を除く階数11以上」で棟単位、第12号が「11階以上の階」で階単位。まったく別の規定
  • (六)項の275㎡は第1号ハだけにかかる。イ・ロは面積によらず全部
  • 放水圧力0.1MPa・放水量80L/minは令ではなく規則第13条の6第2項第1号。令12条2項5号は完全な省令委任
  • 標準型ヘッドの水平距離は耐火建築物2.3m・耐火建築物以外2.1m・指定可燃物や舞台部1.7m。「一般2.3m・耐火2.6m」は誤り
  • 2.6mは高感度型(r=2.6)×耐火建築物(X=1.0)の値。Xの区分は用途の項ではなく耐火建築物かどうかで決まる
  • 一斉開放弁は規則第14条第1項第1号。第2号は放水区域の数
  • 第4号の見出しは「自動警報装置」で、流水検知装置固有の規定は第4号の2〜第4号の5
  • 規則第13条の5はラック式倉庫等で、特定施設水道連結型ではない
  • 補助散水栓は0.25MPa・60L/min(2号消火栓と同値)。0.17MPa・130L/minは1号消火栓
  • 非常電源に専用受電設備が使えないのは、延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物のみ。一律に使えないわけではない
  • ヘッド不要部分は第2号が通信機器室、第3号がEV機械室等、第4号が電気設備。第4号に面積・区画の付加条件は条文上ない

確認できなかったこと

  • (六)項に係る改正政令(平成26年・令和元年)の施行日と経過措置は、現行条文のみ確認しており改正政令の原文は確認していません。
  • 放水型ヘッド等の固定式・可動式の区分を定める消防庁長官告示は、告示番号まで特定できませんでした。
  • 規則第14条第1項第6号の2で第12条第1項第4号を準用したときの非常電源の容量(何分作動させるか)は、条文上明示を確認できませんでした。
  • 第4号の電気設備室について、各消防本部が付している運用上の条件は一次資料で確認していません。

スプリンクラー設備は、設置対象の判定(棟単位か階単位か)、ヘッドの種類と水平距離、省略できる部分、そして加圧送水装置の電源と制御という4段で読むと整理しやすくなります。電気設計者にとっての要点は、ヘッド個数から吐出量が決まり、用途と延べ面積から非常電源の種別が決まるという2本の線です。この2本さえ押さえておけば、機械側の図面を見ただけで自分の受電計画に何が必要かが見えてきます。

参考にした法令・告示

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条、第12条の2、第12条の3、第13条、第13条の2、第13条の3、第13条の4、第13条の5、第13条の6、第14条、第31条の6
  • 加圧送水装置の基準(平成9年消防庁告示第8号)
  • 加圧送水装置の基準を定める告示の制定について(平成9年消防予第115号)
  • 平成16年消防庁告示第9号(点検の期間)
  • 昭和50年消防庁告示第14号(消防用設備等の点検の基準)
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)

条文は e-Gov 法令検索、告示・通知は消防庁ウェブサイトで確認しています(2026年8月時点)。

スプリンクラー設備で電気設計者が最初に見るべきは、水源水量の基準個数と、用途・延べ面積による非常電源の種別です。この2つが決まればポンプ容量と受電計画の骨格が決まり、あとは耐熱配線の範囲と防災センターまでの信号を拾っていくだけになります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。