技術図書館変圧器一次側の開閉器を7枚のスライドで読む300kVAでのPC・LBSの分かれ目と、単相・三相のヒューズ定格の引き方を図解つきで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

「300kVAを超えたらLBS」――この一文だけで選定を進めると、単線結線図のチェックでかならず止まります。機器の種別が決まっても、そこに入れるヒューズの定格と種類記号(G定格かT定格か、速動形か遅動形か)まで決めないと、図面は完成しないからです。この記事は、変圧器一次側の開閉器とヒューズを容量 → 機器種別 → 定格 → 協調の順に、根拠つきで引けるようにまとめた早見表です。

結論

変圧器一次側は変圧器容量で機器種別を決め、ヒューズはT定格(変圧器用)を標準として早見表から引きます。

  • 変圧器 300kVA以下は高圧カットアウト(PC)を使える。超えると PF付LBS か VCB(JIS C 4620:2018)
  • 電力ヒューズ(PF)には G・T・M・C の種類記号があり、変圧器には T定格=変圧器用を選ぶ
  • T定格は「定格電流の10倍を0.1秒、100回」で溶断しない=励磁突入電流に耐える(JIS C 4604:2017)
  • PF付LBS はストライカが三相を同時に開放するので欠相しない。PC は相ごとに独立している
  • 一次電流の目安は 単相 I=P/6.6、三相 I=P/(√3×6.6)
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
選定でつまずくのは、たいてい STEP3 と STEP4。表を引く前に STEP1・2 を固めておきます。

PC・PF付LBS・VCB ― 分かれ目は変圧器容量300kVA

変圧器一次側の開閉器は、現場の好みで選ぶものではありません。JIS C 4620:2018(キュービクル式高圧受電設備)7.3.7 c) に、「変圧器の一次側に開閉装置を設ける場合は、遮断器、高圧交流負荷開閉器又はこれらと同等以上の開閉性能をもつものを用いる。ただし、変圧器容量が300kVA以下の場合は、高圧カットアウトを使用することができる」と書かれています。高圧受電設備規程(JEAC 8011)の「変圧器1次側の開閉装置」の表も同じ考え方で、300kVAを超えると高圧カットアウトは施設できません。

同じ「一次側開閉器」でも、短絡保護のしかたと1相溶断したときの挙動が違います。
機器 使える変圧器容量 短絡保護のしかた 1相だけ溶断すると 主な使いどころ
PC
高圧カットアウト
300kVA 以下 ヒューズリンクで遮断 その相だけ開放=欠相になる 小容量・単相変圧器、コスト重視の盤
PF付LBS
限流ヒューズ付
高圧交流負荷開閉器
容量の制限なし
(主遮断装置に使う場合は受電設備 300kVA まで)
限流ヒューズ(PF)が限流して遮断 ストライカが三相を同時に開放 キュービクル一次側の標準。三相はこれ
VCB
真空遮断器
容量の制限なし
(CB形の主遮断装置は 2,000kVA まで)
保護継電器(OCR)と連動して遮断 ―(ヒューズを使わない) 大容量、選択遮断や再閉路が要る受電
「主遮断装置の300kVA(PF・S形)」と「変圧器1台の300kVA」は別の規定です。混同しやすいところなので、図面では受電設備容量と変圧器容量を分けて確認します。

出典:JIS C 4620:2018 キュービクル式高圧受電設備、高圧受電設備規程 JEAC 8011(最新は2025年版)

コンデンサの一次側は「50kvar」で分かれる

同じ一次側でも、高圧進相コンデンサは基準が違います。高圧受電設備規程では定格設備容量50kvar以下までが高圧カットアウトの範囲で、これを超えると使えません(6%リアクトル付きならコンデンサ定格容量53.2kvar相当まで)。くわしくはコンデンサの開閉器仕様と容量の選定方法で扱っています。

ペン太ペン太
300kVA以下なら、三相でも全部PCで描いてしまっていいんですか?
ハリタハリタ
規程上は使えます。ただ三相はPF付LBSにしておくのが無難です。PCは相ごとに独立していて、1相だけ切れても残り2相は生きたまま。欠相に気づけないんです。
ペン太ペン太
図面上は同じ「一次側開閉器」なのに、中身がぜんぜん違うんですね。
ここまでのポイント
  • 変圧器 300kVA以下は PC を使える。超過は PF付LBS か VCB(JIS C 4620:2018)
  • キュービクルの一次側は PF付LBS が標準。欠相しないことが最大の理由
  • コンデンサは 50kvar 以下までが PC の範囲(変圧器とは基準が別)
  • 「受電設備容量 300kVA(PF・S形)」と「変圧器1台 300kVA」は別の規定


一次電流の求め方と、ヒューズ定格が決まる2つの条件

機器の種別が決まったら、次は一次電流です。ヒューズの定格は、この電流を基準に「下はここまで、上はここまで」と挟み込むように決まります。早見表の数字も、もとをたどればこの2つの条件から出てきたものです。

一次電流とCT比の早見表(6kV級)

単相 I=P/6.6[A](P:kVA)
三相 I=P/(√3×6.6)[A](P:kVA)
変圧器容量
[kVA]
単相(I=P/6.6) 三相(I=P/√3×6.6)
一次電流[A] 変流比/5A 一次電流[A] 変流比/5A
10 1.52 5 0.87 5
20 3.03 5 1.75 5
30 4.55 10 2.62 10
50 7.58 10 4.37 10
75 11.4 15 6.56 10
100 15.2 20 8.75 15
150 22.7 30 13.1 20
200 30.3 40 17.5 30
300 45.5 60 26.2 40
500 75.8 100 43.7 60
750 113.7 150 65.6 100
電流計を付けるときの変流比(CT比)もあわせて載せています。計算に使う電圧は公称電圧の6.6kVです。

⚠ 6kV級・6.6kV・7.2kV ― 3つの電圧表記を混ぜない

  • 公称電圧 6.6kV:系統の呼び名。一次電流の計算に使うのはこの値
  • 6kV級:機器の区分名(JIS C 4304「配電用6kV油入変圧器」など)。3.3kV級に対する呼び方
  • 定格電圧 7.2kV:ヒューズや高圧カットアウトの耐電圧クラス。カタログの定格電圧はこちら

「カタログが7,200Vなのに計算は6.6kV」で迷うのは、この3層を同じものとして読んでしまうからです。

ヒューズ定格は「下限」と「上限」にはさまれる

小さすぎると投入のたびに飛び、大きすぎると短絡しても切れません。定格はこの帯の中から選びます。

下限は励磁突入電流です。変圧器を投入した瞬間には定格電流の10倍前後の電流が短時間流れます。JIS C 4604:2017 は、種類記号 T(変圧器用)のヒューズについて「定格電流の10倍の電流を0.1秒通電し、これを100回繰り返しても溶断しない」という繰返し過電流特性を規定しています。ここを外すと、停電復旧のたびにヒューズが飛びます(励磁突入電流のしくみと対策)。

上限は二次側の短絡です。変圧器二次側の直下で短絡したとき、その電流(おおむね変圧器定格電流の25倍)を2秒以内に遮断できることが選定表の上限側の条件になっています。メーカーによっては励磁突入電流を15倍・0.1秒、電動機始動を8倍・0.3秒として、より厳しい社内基準で選定表を作っています。

💡 計算例:三相150kVA のとき

  1. 一次電流 150/(√3×6.6)= 約13.1A
  2. 突入電流の目安 13.1×10 = 約131A が 0.1秒
  3. 早見表から PF は T定格 15A、PC 用は速動形 30A/遅動形 15A
  4. 確認 15A のヒューズが 131A・0.1秒で溶断しないこと、二次側短絡を2秒以内に切れること

選定表の値を引いたあと、この2つを自分で言えるかどうかが、審査で聞かれたときの分かれ目になります。

ペン太ペン太
余裕をみて、大きめの定格にしておくのは安全側じゃないんですか?
ハリタハリタ
逆です。大きすぎるヒューズは短絡しても切れません。切れないまま電流が流れ続ければ、守るはずの変圧器が先に焼けます。
ペン太ペン太
「大きめ=安全」が通じないんですね。
ここまでのポイント
  • 一次電流は 単相 I=P/6.6、三相 I=P/(√3×6.6)
  • 定格の下限は励磁突入電流(T定格は10倍・0.1秒・100回で溶断しない)
  • 定格の上限は二次側短絡(おおむね25倍を2秒以内に遮断)
  • 計算は公称6.6kV、機器の定格電圧は7.2kV。表記を混ぜない


G・T・M・C ― 電力ヒューズ(PF)の種類記号

電力ヒューズのカタログには、定格電流のほかにG・T・M・Cという記号が並んでいます。これは JIS C 4604:2017 が定める「種類」で、二次側につながる負荷の特性に合わせた、溶断特性と繰返し過電流特性の分類です。定格電流が同じでも、記号が違えば別物と考えてください。

記号 用途 繰返し過電流特性(この条件で溶断しない)
G 一般用 規定なし(溶断特性だけを満たす)
T 変圧器用 定格電流の 10倍0.1秒100回
M 電動機用 定格電流の 5倍 を 10秒、10,000回
C コンデンサ用(リアクトルなし) 定格電流の 70倍 を 0.002秒、100回
LC コンデンサ用(リアクトル付き) 定格電流の 5倍 を 0.1秒、100回
G には繰返し過電流の規定がありません。変圧器に G定格を入れると、投入のたびの熱と機械的な疲労で可溶体が傷み、やがて不要溶断に至ります。

出典:JIS C 4604:2017 高圧限流ヒューズ、日本電機工業会(JEMA)汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査 報告書

ストライカが、三相を同時に落とす

PF付LBS は三相そろって落ちる。PC は切れた相だけが開く ― この差が欠相の有無になります。

ストライカとは、JIS の定義では「ヒューズの動作時に、他の機器もしくは表示器を動作させるために、指定するエネルギーを放出するヒューズリンクの一部を形成する機械装置部」です。ヒューズが溶断すると、このストライカが飛び出して負荷開閉器の引外し機構を叩き、3相すべてを同時に開放します。だから PF付LBS は欠相しません(限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(LBS)の解説)。

なお、ヒューズ側の JIS C 4604 は「開閉器の引外し機構との組合せにおけるストライカの正常動作は、この規格の対象外」と明記しています。組合せの協調は開閉器側の規格(JIS C 4611)で担保されるということです。ヒューズだけ別メーカーの手持ち品に替える、といった運用が危ないのはこのためです。

ペン太ペン太
定格電流さえ合っていれば、手元にある同じ定格のヒューズを入れてもいいですか?
ハリタハリタ
だめです。種類記号(G・T・M・C)と、開閉器との組合せが指定されています。定格だけ合わせた交換は、欠相か不要溶断のどちらかを呼びます。

⚠ 現場で起きる取り違え 3つ

  1. 定格だけ合わせた交換 種類記号が G のものを変圧器に入れてしまう
  2. 予備品の使い回し 保管中もヒューズは劣化する。保管期間を含めて更新時期を数える
  3. 組合せの変更 開閉器メーカーの指定外のヒューズを入れ、ストライカの引外しが効かなくなる
ここまでのポイント
  • PF の種類記号は G(一般用)・T(変圧器用)・M(電動機用)・C/LC(コンデンサ用)
  • 変圧器は T定格。10倍・0.1秒・100回で溶断しない耐量が規格で保証されている
  • ストライカが引外し機構を叩き、三相を同時に開放するので欠相しない
  • ヒューズと開閉器は「組合せ」で協調している。定格だけ合わせた交換はしない


単相・三相 ヒューズ容量早見表(6kV級)

ここからが早見表です。引き方は「行=変圧器容量、列=機器と種別」。迷うのはいつも列のほうなので、先に決めておきます。電力ヒューズ(PF)は T の列、高圧カットアウト用は速動形か遅動形のどちらを標準にするかを社内で決めておくと、毎回迷いません。

6kV 単相変圧器のヒューズ選定表

変圧器容量
[kVA]
電力ヒューズ(PF) 高圧カットアウト用ヒューズ(PC)
G
一般用
T
変圧器用
速動形 遅動形 万能形 G 万能形 T
10 10 3 5 2 7 3
20 20 7.5 10 5 10 7
30 20 7.5 10 5 10 7
50 30 15 15 10 15 10
75 30 15 20 15 20 15
100 40 20 30 20 25 20
150 50 30 50 30
200 60 40 75
300 75 50 100
500 150 100
750 200 150
単位は[A]。「―」はその種別の設定がない、または高圧カットアウトの適用範囲(300kVA以下)を超える組合せです。

6kV 三相変圧器のヒューズ選定表

変圧器容量
[kVA]
電力ヒューズ(PF) 高圧カットアウト用ヒューズ(PC)
G
一般用
T
変圧器用
速動形 遅動形 万能形 G 万能形 T
10 7 1.5 5 1 7 3
20 10 3 5 2 7 3
30 10 3 5 3 7 3
50 20 7.5 10 5 10 7
75 20 7.5 15 10 10 7
100 30 15 20 10 15 10
150 30 15 30 15 20 15
200 40 20 30 20 25 20
300 50 30 50 30
500 75 50
750 100 75
同じ容量でも一次電流が単相の 1/√3 になるため、三相のほうが小さい定格になります。

出典:メーカーの高圧ヒューズ選定表(日本高圧電気ほか)および高圧受電設備規程 JEAC 8011 の数値をもとに作成

三相150kVA を例に、表のどこを見て何を選ぶかをたどった図です。

速動形・遅動形・万能形は何が違うのか

種別 別名 性格 向いている使い方
速動形 テンションヒューズ 過電流耐量が小さく、早く溶断する 短絡保護を主目的にしたいとき
遅動形 タイムラグヒューズ 大電流域に遅れがあり、突入電流や始動電流では切れにくい 投入頻度が高い変圧器、電動機負荷
万能形 複合ヒューズ 通電部と機械的強度部を分けた構造。遅れは両者の中間 長時間の高温でも自然溶断させたくないとき
同じ変圧器容量でも、遅動形のほうが小さい定格を選べます(例:単相50kVA → 速動形15A/遅動形10A)。

どちらを標準にするかは、設計方針が分かれるところです。「短絡保護を確実に」という立場では速動形が標準に置かれ、実務の設計指針でもこちらを採る例が多く見られます。一方、メーカーのカタログは「励磁突入電流で溶断しにくく、過負荷保護も兼ねる」として遅動形を変圧器一次側に推奨しています。停電・復電の多い設備や、投入のたびに不要溶断が起きている設備では、遅動形への変更が現実的な解になります。社内標準がないなら、「速動形を基本とし、投入頻度が高い設備は遅動形を検討する」と決めておくと運用がぶれません。

ペン太ペン太
早見表の数字は、どのメーカーでも同じですか?
ハリタハリタ
近いですが同じではありません。突入電流を何倍とみるかが各社で違うからです。表で当たりを付けて、最後は採用品の選定表で確認してください。
ここまでのポイント
  • 行=変圧器容量、列=機器と種別。中間の容量は上位(大きい方)の行で読む
  • 電力ヒューズ(PF)は T=変圧器用の列。G=一般用の列ではない
  • 高圧カットアウト用は 速動形・遅動形・万能形。遅動形のほうが小さい定格を選べる
  • 表は当たりを付けるためのもの。最終確認は採用品のメーカー選定表で


選んだあとに確認する ― 保護協調・点検・更新

定格を決めたら終わり、ではありません。そのヒューズが上位より先に動くか、そしていつまで性能を保てるか。この2つを確認して、はじめて選定が完了します。

自分の設備の事故を、自分のところで止める。これができていないと波及事故になります。

保護協調は段階時限による選択遮断が基本です。負荷側から電源側に向かって動作時間を順に長くしておけば、事故点を最小の範囲で切り離せます。受電用の過電流継電器(OCR)は、変圧器一次ヒューズの動作領域ではヒューズより遅く整定し、後備保護として残します。整定の目安は限時要素が契約電力の120〜150%、瞬時要素が1,000〜1,500%です。

上位(配電用変電所)との関係では、受電側の瞬時要素の動作時間(約50ms)に遮断器の遮断時間(3サイクル=約60ms)を足した約0.11秒で切り、配電用変電所側の慣性不動作時間0.18秒より先に終わらせます。ここが逆転すると、自分の設備の事故で周囲を巻き込む波及事故になります。受電点の短絡電流短絡電流・遮断容量 計算ツールで概算できます。

💡 協調線図に描き込む5つ

  1. 励磁突入電流の点(変圧器定格電流の10倍・0.1秒)
  2. ヒューズの溶断特性(この点の右下を通ること=突入では切れない)
  3. 受電用OCRの限時要素・瞬時要素
  4. 変圧器の熱的・機械的強度(許容特性)
  5. 配電用変電所のOCR特性

更新の推奨時期 ― ヒューズは「使わなくても」劣化する

機器 更新推奨時期 備考
高圧限流ヒューズ(PF) 屋内 15年/屋外 10年 予備品も保管期間を含めて数える
高圧交流負荷開閉器(LBS) 屋内 15年/屋外 10年 または定格負荷電流の開閉 200回
高圧交流遮断器(VCB) 20年 または規定開閉回数
保護継電器・計器用変成器 15年 避雷器も15年
高圧カットアウト(PC) JEMA の対象機種外。保安協会の目安で25年とする例がある
日本電機工業会(JEMA)「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(2023年3月改訂)による。

見落とされやすいのが予備ヒューズです。同報告書は「ヒューズは用いなくても劣化するので、保管期間を含めて更新推奨時期に近づいたヒューズは更新することが望ましい」としています。可溶体(銀)の熱疲労や、突入電流の繰り返しによる機械的疲労は、抵抗測定では検出できません。「棚にある未使用品だから大丈夫」は通りません。

⚠ 年次点検で見るところ

  • ヒューズ:損傷・変色・亀裂、溶断表示(ストライカ)の確認、定格電流の確認、過熱・ゆるみ、絶縁抵抗
  • 高圧カットアウト:損傷・変形・汚損・亀裂、接触状態と可動状態、接触部の変色・過熱・ゆるみ、絶縁抵抗
  • 記録:交換したヒューズの種類記号と定格、交換年月(次の更新時期の起点になる)
選定した開閉器とヒューズを、そのまま単線結線図に落とし込めます。機器の配置・接続・開閉動作まで画面上で確認できるブラウザツールです(登録不要)。

単線結線図デザインスタジオを開く

ここまでのポイント
  • 保護協調は段階時限による選択遮断。変圧器一次ヒューズが最初に動く
  • 受電用OCRはヒューズより遅く整定して後備保護に回す(限時120〜150%/瞬時1,000〜1,500%)
  • 高圧限流ヒューズの更新推奨時期は屋内15年・屋外10年(JEMA)
  • 予備ヒューズも保管期間を含めて数える。未使用でも劣化する

よくある質問

変圧器一次側の開閉器は、PC と LBS のどちらを選びますか?

変圧器容量が300kVA以下なら高圧カットアウト(PC)を使えます。300kVAを超える場合は PF付LBS または VCB です(JIS C 4620:2018 7.3.7)。ただし300kVA以下でも、三相回路では欠相を避けるために PF付LBS を選ぶのが実務の標準です。

電力ヒューズ(PF)は、どの定格を標準に選びますか?

T定格(変圧器用)です。JIS C 4604:2017 の種類記号 T は「定格電流の10倍を0.1秒、100回繰り返しても溶断しない」繰返し過電流特性をもち、変圧器の励磁突入電流に耐えられます。G(一般用)にはこの規定がありません。

高圧カットアウト用のヒューズは、速動形と遅動形のどちらですか?

短絡保護を主目的とする設計では速動形を標準とする例が多く、メーカーカタログは励磁突入電流に強い遅動形(タイムラグ)を変圧器一次側に推奨しています。社内標準がなければ「速動形を基本とし、投入頻度の高い設備は遅動形を検討する」と決めておくと運用がぶれません。

PC・LBS に取り付けるヒューズの役割は何ですか?

短絡事故から変圧器や進相コンデンサを保護することです。過負荷保護ではありません。PF付LBS の場合はさらに、ストライカで開閉器を引き外し、三相を同時に開放して欠相を防ぐ役割があります。

ヒューズの定格は大きめにしておけば安全ですか?

いいえ。定格が大きすぎると、二次側が短絡しても規定時間内に遮断できず、守るはずの変圧器が先に損傷します。定格は「突入電流で切れない下限」と「短絡を切れる上限」の間から選びます。

投入のたびにヒューズが飛びます。原因は何ですか?

励磁突入電流に対して定格が小さい、または種類記号が G(一般用)のヒューズが入っている可能性があります。経年劣化で可溶体が傷んでいる場合もあります。定格・種類記号・設置年を先に確認してください。

一次電流はどう計算しますか?

公称電圧6.6kVで、単相は I=P/6.6、三相は I=P/(√3×6.6)です(P:kVA、I:A)。三相150kVA なら 150/(1.732×6.6)= 約13.1A になります。

300kVA という数字は、受電設備容量のことですか?

違います。JIS C 4620 の300kVAは「変圧器1台の容量」で、高圧カットアウトを使える上限です。一方、主遮断装置を PF・S形にできる受電設備容量300kVA は別の規定です。図面では両方を分けて確認します。

まとめ ― 取り違えやすいところと、選定の手順

取り違えやすいところ 正しくは
開閉器は現場の判断で選べる 変圧器容量で機器種別が決まる(300kVA以下はPCを使える)
電力ヒューズは G定格を選ぶ 変圧器には T定格(変圧器用)。G には繰返し過電流の規定がない
ヒューズは過負荷保護のためのもの 短絡事故から変圧器・コンデンサを守るのが役割
定格は大きめが安全 大きすぎると短絡時に切れない。上限は二次側短絡で決まる
PC でも 300kVA 以下なら問題ない 三相では1相溶断で欠相になる。PF付LBS が標準
予備ヒューズは未使用だから使える 保管期間を含めて更新推奨時期(屋内15年・屋外10年)で数える
300kVA は受電設備容量のこと 変圧器1台の容量。主遮断装置の300kVA とは別の規定
審査や先輩のチェックで指摘されやすいのは、たいていこの7つのどれかです。
手順 やること 根拠・目安
1|容量の確認 単相か三相か、容量[kVA]はいくつか 図面・変圧器銘板
2|一次電流 単相 I=P/6.6、三相 I=P/(√3×6.6) 公称電圧6.6kV
3|機器種別 300kVA以下は PC 可、超過は PF付LBS か VCB JIS C 4620:2018 7.3.7 c)
4|ヒューズ定格 PF は T定格、PC 用は速動形/遅動形を方針どおりに 早見表 → 採用品の選定表
5|溶断しないか 定格電流の10倍・0.1秒で溶断しないこと JIS C 4604:2017(T種)
6|協調の確認 上位OCRより先に動くか、配変より早く切れるか 限時120〜150%/瞬時1,000〜1,500%
この6手順を図面のチェックリストにしておくと、変圧器が何台あっても同じ精度で選定できます。

📘 体系的に学びたい方へ

このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。関連する回:⑨ 変圧器部 ― 容量・結線・台数の決め方④ 引込部 ― 責任分界点と PAS・UGS

出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011)、JIS C 4620:2018 キュービクル式高圧受電設備、JIS C 4604:2017 高圧限流ヒューズ、JIS C 4611 限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器、日本電機工業会(JEMA)「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書、各メーカーの高圧ヒューズ・高圧カットアウトカタログ。数値は目安であり、適用にあたっては最新版の原典と採用品の選定表をご確認ください。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。高圧受変電設備・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。