この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【045】天井面・壁面に施設する平形保護層配線
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

天井面・壁面に施設する平形保護層配線は、住宅の天井や壁フラットケーブルを施設する方法です。床面の場合(前項)と似ていますが、住宅向けに15A用が加わり、隠ぺい・経路表示など独自のルールがあります。要点を3つに整理します。

天井面・壁面に施設する平形保護層配線の3つのポイントの図解
結論
接地線付きの平形導体合成樹脂絶縁電線(15A/20A/30A用)を使い、対地電圧150V以下。住宅の石膏ボード・木材・コンクリート等の天井面・壁面に施設(土壁など軟材質は不可)。②保護層内に接続点なし、30A以下の専用分岐回路漏電遮断器、人が触れぬよう隠ぺいし配線経路を表示。③電線相互の接続は禁止、金属製部分にD種接地
この記事でわかること
✔ 1. 使用電線・対地電圧・施設場所
✔ 2. 施設方法
✔ 3. 接続と接地
ペン太ペン太
平形保護層配線って床用だけかと思ったら、天井や壁にも施設できるんですね?
ハリタハリタ
住宅の天井面・壁面用の規定があります。対地電圧150V以下で、接地線付きの専用電線を使います。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 施設できない下地の材質は、どのようなものですか。
  • 電路に施設する漏電遮断器の定格感度電流と動作時間は。
  • 平形導体合成樹脂絶縁電線どうしを接続できますか。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、天井面・壁面に施設する平形保護層配線のルールを4つの視点で整理します。

1. 使用電線・対地電圧・施設場所

トピック1:使用電線・対地電圧・施設場所
  • 電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、15A用・20A用または30A用、かつ接地線を有するものを使う
  • 対地電圧は150V以下
  • 住宅の石膏ボード・木材・集成材・合板等の木質材料・コンクリートなどの天井面・壁面に施設する
  • 土壁のようなやわらかい材質には施設できない(配線を堅固に固定できる材質に限る)
ペン太ペン太
下地って石こうボードでも土壁でも、貼れれば何でもいいんですよね?
ハリタハリタ
土壁のようなやわらかい材質は不可です。石こうボードや木材、コンクリートなど堅固な下地に施設します。
下地の材質施設の可否
住宅の石膏ボード施設できる
木材・集成材・合板等の木質材料施設できる
コンクリート施設できる
土壁のようなやわらかい材質施設できない(配線を堅固に固定できる材質に限る)
ここまでのポイント
  • 電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、15A用・20A用または30A用、かつ接地線を有するものを使う。
  • 対地電圧は150V以下。
  • 住宅の石膏ボード・木材・集成材・合板等の木質材料・コンクリートなどの天井面・壁面に施設する。
  • 土壁のようなやわらかい材質には施設できない(配線を堅固に固定できる材質に限る)。

2. 施設方法

トピック2:施設方法
  • 平形保護層内には接続点を設けない。外部への引き出しは中継ボックスを使う
  • 過電流遮断器30A以下の分岐回路で使用する(20Aの配線用遮断器で保護され15A用受口を施設する場合は15A用電線も可)
  • 電路には漏電遮断器(定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内)を施設する
  • 平形保護層は人が触れるおそれがないよう壁クロス等で隠ぺいし、両面を保護する
  • 容易にはがれないよう固定し、電線の自重による張力が接続部に加わらないよう張力止め等を施す
  • 配線経路を識別できる表示(矢印や注意シール等)を、配線器具付近など分かりやすい場所に施す
  • 電線を直接重ね合わせて施設しない(折り曲げ・交差・接続部・電源引出し部周辺は除く)
たとえ話
天井や壁の中の見えない場所を通すぶん、後から「ここに電線が走っている」と分からないと釘やビスで傷つけてしまいます。だから配線経路の表示で居住者に注意を促すわけです。
見習いペン太
見習いペン太
壁の中だから、どこに電線があるか分からなくなりそう…。
はりた
はりた
そう、だから矢印シールなどで経路を表示するのが必須なんだ。接続も中継ボックスの中だけだよ。
ここまでのポイント
  • 平形保護層内には接続点を設けない。外部への引き出しは中継ボックスを使う。
  • 過電流遮断器30A以下の分岐回路で使用する(20Aの配線用遮断器で保護され15A用受口を施設する場合は15A用電線も可)。
  • 電路には漏電遮断器(定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内)を施設する。
  • 平形保護層は人が触れるおそれがないよう壁クロス等で隠ぺいし、両面を保護する。
  • 容易にはがれないよう固定し、電線の自重による張力が接続部に加わらないよう張力止め等を施す。
  • 配線経路を識別できる表示(矢印や注意シール等)を、配線器具付近など分かりやすい場所に施す。
  • 電線を直接重ね合わせて施設しない(折り曲げ・交差・接続部・電源引出し部周辺は除く)。

3. 接続と接地

トピック3:接続と接地
  • 平形導体合成樹脂絶縁電線相互の接続はしてはいけない
  • 端子台・コンセント等との接続は適した専用コネクタを使う(必要な専用工具は必ず使用)。一体接続加工品などは端子台を省略できる
  • 他の配線との接続に用いる端子台は中継ボックス内に設け、容易に点検できるようにする
  • コネクタは再使用してはいけない
  • 機械的保護層・接地用保護層・中継ボックス・差込み接続器の金属製外箱にはD種接地工事を施す
  • 緑/黄色のしま模様または緑色の線心は接地線以外に使ってはいけない
取り違えやすいところ正しくは
一般の平形電線が使える電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、15A用・20A用または30A用、かつ接地線を有するもの
保護層の中で接続してもよい平形保護層内には接続点を設けない。外部への引き出しは中継ボックスを使う
30Aを超える分岐回路でも使える過電流遮断器30A以下の分岐回路で使用する
漏電遮断器は一般のもので足りる定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内のものを施設する
壁紙で隠せば表示は不要配線経路を識別できる表示(矢印や注意シール等)を、配線器具付近など分かりやすい場所に施す
電線どうしをコネクタでつなげる平形導体合成樹脂絶縁電線相互の接続はしてはいけない
コネクタは外して付け直せるコネクタは再使用してはいけない
緑や緑/黄のしま模様も一般線として使える接地線以外に使ってはいけない
ここまでのポイント
  • 平形導体合成樹脂絶縁電線相互の接続はしてはいけない。
  • 端子台・コンセント等との接続は適した専用コネクタを使う(必要な専用工具は必ず使用)。一体接続加工品などは端子台を省略できる。
  • 他の配線との接続に用いる端子台は中継ボックス内に設け、容易に点検できるようにする。
  • コネクタは再使用してはいけない。
  • 機械的保護層・接地用保護層・中継ボックス・差込み接続器の金属製外箱にはD種接地工事を施す。
  • 緑/黄色のしま模様または緑色の線心は、接地線以外に使ってはいけない。

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)
Q. 天井面・壁面の平形保護層配線に使える電線は?
A. 電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、15A用・20A用または30A用、かつ接地線を有するものです。
Q. どんな下地に施設できる?
A. 住宅の石膏ボード、木材・集成材・合板等の木質材料、コンクリートなど、配線を堅固に固定できる材質の天井面・壁面です。土壁のようなやわらかい材質には施設できません。
Q. 電線どうしを接続できる?
A. いいえ。平形導体合成樹脂絶縁電線相互の接続はできません。端子台・コンセント等との接続は専用コネクタを使い、コネクタは再使用できません。
Q. 配線経路の表示は必要?
A. 必要です。居住者への注意喚起のため、矢印による行き先表示や注意シールなどを配線器具付近の分かりやすい場所に施します。
Q. 接地は必要?
A. 機械的保護層・接地用保護層・中継ボックス・差込み接続器の金属製外箱にD種接地工事が必要です。

まとめ|下地・回路・接続の3点で判断する

天井面・壁面の平形保護層配線は、堅固に固定できる下地を選び、30A以下の分岐回路と漏電遮断器で守り、接続は中継ボックスの中だけで行うことが基本です。

確認する項目規程が示す内容
使用する電線電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線(15A用・20A用または30A用、接地線を有するもの)
対地電圧150V以下
施設できる下地住宅の石膏ボード、木材・集成材・合板等の木質材料、コンクリートなど
施設できない下地土壁のようなやわらかい材質
保護層内の接続点設けない(外部への引き出しは中継ボックス)
分岐回路過電流遮断器30A以下(20Aの配線用遮断器で保護され15A用受口を施設する場合は15A用電線も可)
漏電遮断器定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内
隠ぺいと保護壁クロス等で隠ぺいし、両面を保護する
固定と張力容易にはがれないよう固定し、張力止め等を施す
配線経路の表示矢印や注意シール等を配線器具付近など分かりやすい場所に
重ね合わせ電線を直接重ね合わせない(折り曲げ・交差・接続部・電源引出し部周辺を除く)
電線相互の接続してはいけない
端子台・コンセント等との接続適した専用コネクタと専用工具(一体接続加工品などは端子台を省略できる)
他の配線との接続に用いる端子台中継ボックス内に設け、容易に点検できるように
コネクタ再使用してはいけない
D種接地工事の対象機械的保護層・接地用保護層・中継ボックス・差込み接続器の金属製外箱
緑/黄のしま模様・緑色の線心接地線以外に使ってはいけない

下地と電線で押さえること

  • 配線を堅固に固定できる材質か。
  • 電線の種類と定格、接地線の有無。
  • 対地電圧150V以下。

回路と保護で押さえること

  • 過電流遮断器30A以下の分岐回路か。
  • 漏電遮断器の定格感度電流と動作時間。
  • 隠ぺいと両面の保護。

接続と表示で押さえること

  • 電線相互を接続していないか。
  • 専用コネクタと専用工具、コネクタの再使用禁止。
  • 配線経路の表示とD種接地工事。

平形保護層配線は仕上げ材の下に隠れるため、あとから経路が分からなくなりがちです。表示の規定は住まい手を守るためのものなので、引き渡し前に位置と内容をもう一度確認しておくと安心です。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
仕上げ段階で忘れがちなことは何ですか?
ハリタハリタ
配線経路の表示です。矢印などで示して、後から釘やビスで電線を傷つけるのを防ぎます。漏電遮断器も忘れずに。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。