この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
管灯回路1,000V以下の放電灯(蛍光灯・水銀灯等)の施設ルールを図解で解説。対地電圧150V以下、がいし引き配線の離隔(電線相互6cm以下等)、電線支持点間距離、A種・C種・D種接地の使い分けをまとめました。
技術図書館1,000V以下の放電灯|電圧で離隔・支持・接地が決まる対地電圧は原則150V以下、1組の合計容量はスイッチ定格の80%以下。支持点間は300V超600V以下で2m、600V超で1m。全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:内線規程【058】1,000V以下の放電灯
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

放電灯はガス放電で発光する照明の総称で、蛍光灯・水銀灯・ナトリウム灯などが該当します。ここでは管灯回路の使用電圧が1,000V以下の放電灯を屋内に施設する場合のルールを、対地電圧・がいし引き配線・接地の3点に整理します。

管灯回路1,000V以下の放電灯の施設ルール(適用と対地電圧・がいし引き配線・接地工事)の3つのポイントを示した図解
結論
①管灯回路1,000V以下の放電灯を屋内に施設。電路の対地電圧は150V以下(住宅以外で接触防護措置+直接接続なら300V以下も可)。1組の合計容量はスイッチ定格電流の80%以下。②がいし引き配線では電線相互6cm以下、電線と造営材2.5cm以上(湿気の多い場所4.5cm以上)、支持点間は300V超600V以下で2m以下・600V超1,000V以下で1m以下。③接地は電圧と動作電流でA種/C種/D種を使い分ける。
この記事でわかること
✔ 1. 適用範囲・対地電圧・分岐回路
✔ 2. がいし引き配線(3220-2表)
✔ 3. 安定器・灯具の接地
ペン太ペン太
蛍光灯や水銀灯の回路って、分岐回路いっぱいまで器具をつなげますよね?
ハリタハリタ
合計容量はスイッチ定格電流の80%以下に抑えます。対地電圧も原則150V以下です。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 管灯回路の電圧が600Vを超え1,000V以下のとき、電線支持点間の距離は何m以下ですか。
  • 1組の合計容量は、タンブラスイッチの定格電流の何%以下にしますか。
  • 接地工事がA種になるのは、どのような場合ですか。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、1,000V以下の放電灯の施設ルールを4つの視点で整理します。

1. 適用範囲・対地電圧・分岐回路

トピック1:適用範囲・対地電圧・分岐回路
  • 管灯回路の使用電圧が1,000V以下の放電灯を屋内に施設する場合に適用(屋側・屋外も準用)
  • 電路の対地電圧は150V以下とする
  • ただし住宅以外の場所で、放電灯に接触防護措置を施し、安定器を屋内配線と直接接続する場合は300V以下とできる
  • 3605節(配線設計)に規定する分岐回路により使用する
  • 1組(1個のタンブラスイッチで点滅できるもの)の合計容量は、スイッチの定格電流の80%以下とする
ペン太ペン太
がいし引きのとき、支持点の間隔はどこまで広げられますか?
ハリタハリタ
電圧により2m以下または1m以下です。電線と造営材は2.5cm以上、湿度の高い場所は4.5cm以上離します。
ここまでのポイント
  • 管灯回路の使用電圧が1,000V以下の放電灯を屋内に施設する場合に適用(屋側・屋外も準用)。
  • 電路の対地電圧は150V以下とする。
  • 住宅以外の場所で、放電灯に接触防護措置を施し、安定器を屋内配線と直接接続する場合は300V以下とできる。
  • 3605節(配線設計)に規定する分岐回路により使用する。
  • 1組(1個のタンブラスイッチで点滅できるもの)の合計容量は、スイッチの定格電流の80%以下とする。

2. がいし引き配線(3220-2表)

トピック2:がいし引き配線
  • 電線相互間の距離は6cm以下とする
  • 電線と造営材との距離は2.5cm以上(湿気の多い場所では4.5cm以上)とする
  • 管灯回路の電圧が300Vを超え600V以下の場合、電線支持点間の距離は2m以下とする
  • 管灯回路の電圧が600Vを超え1,000V以下の場合、電線支持点間の距離は1m以下とする
  • 安定器は原則として照明器具内に収め、外部に施設する場合は造営材の下面又は側面に取り付ける
項目条件距離
電線と造営材との距離一般の場所2.5cm以上
電線と造営材との距離湿気の多い場所4.5cm以上
電線支持点間の距離管灯回路の電圧が300Vを超え600V以下2m以下
電線支持点間の距離管灯回路の電圧が600Vを超え1,000V以下1m以下
ここまでのポイント
  • 電線相互間の距離は6cm以下とする。
  • 電線と造営材との距離は2.5cm以上(湿気の多い場所では4.5cm以上)。
  • 管灯回路の電圧が300Vを超え600V以下の場合、電線支持点間の距離は2m以下。
  • 管灯回路の電圧が600Vを超え1,000V以下の場合、電線支持点間の距離は1m以下。
  • 安定器は原則として照明器具内に収め、外部に施設する場合は造営材の下面又は側面に取り付ける。

3. 安定器・灯具の接地

トピック3:安定器・灯具の接地
  • 管灯回路が高圧で、放電灯用変圧器の定格二次短絡電流又は回路の動作電流が1Aを超える場合はA種接地工事
  • 管灯回路が300Vを超える低圧で、同電流が1Aを超える場合はC種接地工事
  • その他の場合はD種接地工事
  • 対地電圧150V以下を乾燥した場所に施設する場合などは接地工事を省略できる
  • 可搬型で移動電線を用いる場合は3心コード又は3心キャブタイヤケーブルの1心を接地用とし、接地極付コンセント・プラグで接地
たとえ話
放電灯の配線は「電線同士・壁との間にきちんと隙間をあける整列乗車」のようなもの。電圧が高いほど離隔や支持の間隔が厳しくなり、電圧が上がるほど支持点を密に(2m→1m)して、たるみや接触による事故を防ぎます。
見習いペン太
見習いペン太
放電灯って蛍光灯のことだよね。配線で気をつけることは?
はりた
はりた
がいし引き配線では電線相互を6cm以下、電線と造営材を2.5cm以上あけるんだ。湿気の多い場所なら4.5cm以上だよ。
見習いペン太
見習いペン太
電圧が高いと支持の間隔も変わるの?
はりた
はりた
そう。300V超600V以下なら2m以下、600V超1,000V以下なら1m以下。電圧が高いほど支持点を密にするんだ。
1000V以下の放電灯におけるがいし引き配線の離隔距離と支持点間を示した図
図|がいし引き配線の離隔と支持点間(3220-2表)。電線相互間は6cm以下、造営材とは2.5cm以上、湿気の多い場所では4.5cm以上。支持点間は管灯回路の電圧が300V超600V以下で2m以下、600V超1,000V以下で1m以下。
管灯回路の条件接地工事の種類
高圧で、放電灯用変圧器の定格二次短絡電流又は回路の動作電流が1Aを超えるA種接地工事
300Vを超える低圧で、同電流が1Aを超えるC種接地工事
その他の場合D種接地工事
対地電圧150V以下を乾燥した場所に施設する場合など省略できる
ここまでのポイント
  • 管灯回路が高圧で、放電灯用変圧器の定格二次短絡電流又は回路の動作電流が1Aを超える場合はA種接地工事。
  • 管灯回路が300Vを超える低圧で、同電流が1Aを超える場合はC種接地工事。
  • その他の場合はD種接地工事。
  • 対地電圧150V以下を乾燥した場所に施設する場合などは接地工事を省略できる。
  • 可搬型で移動電線を用いる場合は、3心コード又は3心キャブタイヤケーブルの1心を接地用とし、接地極付コンセント・プラグで接地する。

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)
Q. この節が対象とする放電灯は?
A. 管灯回路の使用電圧が1,000V以下の放電灯(蛍光灯・水銀灯・ナトリウム灯など)を屋内に施設する場合です。
Q. 放電灯の対地電圧の上限は?
A. 原則150V以下です。住宅以外で接触防護措置を施し、安定器を屋内配線と直接接続する場合は300V以下とできます。
Q. がいし引き配線の離隔距離は?
A. 電線相互間は6cm以下、電線と造営材との距離は2.5cm以上(湿気の多い場所は4.5cm以上)です。
Q. 電線支持点間の距離は?
A. 管灯回路300V超600V以下で2m以下、600V超1,000V以下で1m以下です。
Q. 安定器・灯具の接地工事の種類は?
A. 高圧かつ1A超でA種、300V超の低圧かつ1A超でC種、その他はD種接地工事です。一定条件で省略できます。

まとめ|電圧で離隔・支持・接地が決まる

1,000V以下の放電灯は、管灯回路の電圧が上がるほど支持点を密にし、接地工事の種類も電圧と動作電流で決まるという構造で覚えると整理しやすくなります。

確認する項目規程が示す内容
適用範囲管灯回路の使用電圧が1,000V以下の放電灯の屋内施設(屋側・屋外も準用)
電路の対地電圧150V以下
300V以下とできる条件住宅以外の場所、放電灯に接触防護措置、安定器を屋内配線と直接接続
分岐回路3605節(配線設計)に規定する分岐回路により使用
1組の合計容量1個のタンブラスイッチで点滅できるものにつき、スイッチの定格電流の80%以下
電線相互間の距離6cm以下
電線と造営材との距離2.5cm以上(湿気の多い場所では4.5cm以上)
支持点間(300V超600V以下)2m以下
支持点間(600V超1,000V以下)1m以下
安定器の収め方原則として照明器具内。外部に施設する場合は造営材の下面又は側面
接地工事(高圧・動作電流1A超)A種接地工事
接地工事(300V超の低圧・動作電流1A超)C種接地工事
接地工事(その他)D種接地工事
接地を省略できる場合対地電圧150V以下を乾燥した場所に施設する場合など
可搬型で移動電線を用いる場合3心コード又は3心キャブタイヤケーブルの1心を接地用とし、接地極付コンセント・プラグで接地

回路の計画で押さえること

  • 対地電圧150V以下、又は300V以下にできる条件。
  • 配線設計の規定による分岐回路であること。
  • 1組の合計容量がスイッチ定格の80%以下か。

がいし引き配線で押さえること

  • 電線と造営材との距離(湿気の多い場所は別)。
  • 管灯回路の電圧に応じた支持点間距離。
  • 安定器を照明器具内に収めているか、外部なら取付位置。

接地で押さえること

  • 管灯回路の電圧と動作電流から接地工事の種類を判定する。
  • 省略できる条件にあてはまるか。
  • 可搬型の場合の接地用心線と接地極付コンセント・プラグ。

放電灯は蛍光灯から水銀灯まで幅が広く、同じ「放電灯」でも管灯回路の電圧によって求められる寸法や接地が変わります。上の表で電圧区分をまず確定し、そこから離隔・支持・接地を順に決めていくと迷いにくくなります。

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ペン太ペン太
接地はどの種別を選べばいいですか?
ハリタハリタ
A種・C種・D種を条件に応じて使い分けます。安定器・灯具まで含めて確認していきましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。