内線規程の解釈と解説【068】|低圧電動機
出典:内線規程(JEAC8001-2022)より
工場や建物の設備で広く使われる低圧電動機は、設置位置・始動装置・移動式機械への給電など、安全のための施設ルールが内線規程で細かく定められています。この記事では、低圧電動機を施設するときに押さえておきたいポイントを整理して解説します。

電動機は保守点検が容易な位置に施設し、出力3.7kWを超える三相誘導電動機には原則として始動装置が必要です。スターデルタ始動器と電動機間の配線は分岐回路の許容電流の60%以上、屋内のトロリー線をがいし引きで露出施設する場合は床面から3.5m以上に施設します。
✔ ① 電動機の位置と始動装置
✔ ② スターデルタ始動と配線
✔ ③ 水中電動機とトロリー線
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 始動装置が必要になるのは、三相誘導電動機の出力が何kWを超えるときですか。
- スターデルタ始動器と電動機の間の配線は、どのくらいの許容電流が必要ですか。
- 屋内のトロリー線をがいし引きで露出施設するとき、床面からの高さは何m以上ですか。
① 電動機の位置と始動装置
- 電動機は軸受の給油・スリップリングの点検・ブラシ取替えなど保守点検が容易にできるように施設します(水中電動機等を除く)。
- 火花を発するおそれのある開放形電動機は、火花が易燃性の物に達しない場所に設置します(遮へい装置を付ける場合を除く)。
- 出力3.7kWを超える三相誘導電動機は原則として始動装置が必要です。
- 例外として、特殊かご形(定格出力11kW未満等)、契約電力80kW以上で電動機出力が契約電力の1/10以下の場合などは始動装置なしも認められます。
ペン太
ハリタ| 始動装置 | 扱い |
|---|---|
| 出力3.7kWを超える三相誘導電動機 | 原則として始動装置が必要 |
| 特殊かご形(定格出力11kW未満等) | 始動装置なしも認められる |
| 契約電力80kW以上で電動機出力が契約電力の1/10以下 | 始動装置なしも認められる |
- 軸受の給油・スリップリングの点検・ブラシ取替えなど、保守点検が容易にできるように施設する(水中電動機等を除く)。
- 火花を発するおそれのある開放形は、火花が易燃性の物に達しない場所に設置する(遮へい装置を付ける場合を除く)。
- 出力3.7kWを超える三相誘導電動機は、原則として始動装置が必要。
② スターデルタ始動と配線
- スターデルタ始動器と電動機間の配線には、電動機分岐回路の配線許容電流の60%以上の能力を持つ電線を使用します。
- これは始動時に配線へ流れる電流が線電流の1/√3に減少するためです。
- 電磁式スターデルタ始動装置は、電動機停止中に巻線へ電圧を加えない措置を講じます。
- 電灯と併用する単相誘導電動機(一般用電気工作物)の始動電流は、原則として37A以下とします(電気事業者と協議した場合を除く)。
- 始動器と電動機間の配線は、電動機分岐回路の配線許容電流の60%以上の能力を持つ電線を使う。
- 始動時に配線へ流れる電流が線電流の1/√3に減少するため。
- 電磁式スターデルタ始動装置は、電動機停止中に巻線へ電圧を加えない措置を講じる。
- 電灯と併用する単相誘導電動機(一般用電気工作物)の始動電流は、原則37A以下。
③ 水中電動機とトロリー線
- 水中電動機の配線には原則一種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルを使用し、揚水管への支持点間距離は太さに応じ6m以下又は3m以下(ビニル管製は1.5m以下)とします。
- 水中電動機には過負荷保護装置又は温度検出による焼損防止装置の設置が必須です。
- 屋内のトロリー線はがいし引き・バスダクト・絶縁トロリー配線で施設し、露出場所又は点検できる隠ぺい場所以外には施設できません。
- がいし引きで露出施設する場合、床面からの高さは3.5m以上とします(60V以下で乾燥した場所に簡易接触防護措置を施す場合等を除く)。
- トロリー線は引張強さ11.2kN以上又は直径6mm・断面積28mm²以上の硬銅線を使用します(使用電圧300V以下は緩和規定あり)。
電動機の始動装置は、自転車の発進に似ています。いきなりトップギアで漕ぎ出すと脚に大きな負担がかかりますが、軽いギアから始めれば楽に走り出せます。大きな電動機もそのまま起動すると過大な始動電流が流れるため、始動装置で電流を抑えてスムーズに立ち上げるのです。
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 3.7kW以上なら始動装置が必要 | 3.7kWを「超える」三相誘導電動機が対象。例外規定もある |
| 始動器と電動機の間も分岐回路と同じ太さがいる | 電動機分岐回路の配線許容電流の60%以上の能力があればよい |
| 電磁式スターデルタは停止中の配慮は不要 | 電動機停止中に巻線へ電圧を加えない措置を講じる |
| 水中電動機はケーブルなら何でもよい | 原則として一種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルを使う |
| トロリー線は点検できない隠ぺい場所にも施設できる | 露出場所又は点検できる隠ぺい場所以外には施設できない |
- 水中電動機の配線は、原則として一種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブル。
- 水中電動機には、過負荷保護装置又は温度検出による焼損防止装置が必須。
- 屋内のトロリー線は、露出場所又は点検できる隠ぺい場所以外には施設できない。
- がいし引きで露出施設する場合、床面からの高さは3.5m以上。
よくある質問(FAQ)
まとめ|位置・始動・配線の3点で低圧電動機を押さえる
低圧電動機の施設は、保守点検しやすい位置に置き、出力に応じた始動装置を選び、始動器まわりの配線と高さの規定を守ることが基本です。
| 確認する項目 | 規程が示す内容 |
|---|---|
| 設置位置 | 軸受の給油・スリップリングの点検・ブラシ取替えなど保守点検が容易な位置(水中電動機等を除く) |
| 開放形電動機 | 火花が易燃性の物に達しない場所(遮へい装置を付ける場合を除く) |
| 始動装置が必要な出力 | 3.7kWを超える三相誘導電動機(原則) |
| 始動装置の例外 | 特殊かご形(定格出力11kW未満等)、契約電力80kW以上で電動機出力が契約電力の1/10以下など |
| 始動器と電動機間の配線 | 電動機分岐回路の配線許容電流の60%以上 |
| 電磁式スターデルタ | 停止中に巻線へ電圧を加えない措置 |
| 単相誘導電動機の始動電流 | 原則37A以下(電灯と併用する一般用電気工作物。電気事業者と協議した場合を除く) |
| 水中電動機の配線 | 一種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブル(原則) |
| 揚水管への支持点間距離 | 太さに応じ6m以下又は3m以下(ビニル管製は1.5m以下) |
| 水中電動機の保護 | 過負荷保護装置、又は温度検出による焼損防止装置 |
| トロリー線の施設方法 | がいし引き・バスダクト・絶縁トロリー配線(露出場所又は点検できる隠ぺい場所) |
| がいし引き露出時の高さ | 床面から3.5m以上(60V以下で乾燥した場所に簡易接触防護措置を施す場合等を除く) |
| トロリー線の電線 | 引張強さ11.2kN以上、又は直径6mm・断面積28mm²以上の硬銅線(300V以下は緩和規定あり) |
据付けで押さえること
- 保守点検の作業スペースを確保できているか。
- 開放形の火花が届く範囲に易燃性の物がないか。
始動と配線で押さえること
- 出力3.7kW超か、例外に当てはまるか。
- 始動器と電動機間の電線が許容電流の60%以上か。
- 停止中の巻線への電圧印加を防ぐ措置があるか。
水中電動機とトロリー線で押さえること
- キャブタイヤケーブルの種類と支持点間距離。
- 過負荷保護装置又は焼損防止装置の有無。
- トロリー線の施設場所と床面からの高さ。
低圧電動機は台数が多く、機種や用途もさまざまです。上の表を「据付け→始動→配線→保護」の順に見ていくと、機種が変わっても同じ手順で確認でき、見落としを減らせます。
📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】
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