技術図書館燃えないホコリでも、絶縁は落ちていく不燃でも絶縁性能を落として感電や火災を招く。配線方法には除外があり、電動機は全閉形を選ぶこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
技術図書館特殊な場所の配線|場所の区分で工事方法が決まる粉じん・じんあい・ガス蒸気・危険物・腐食性ガス・火薬庫。先に決まるのは機器ではなく場所の区分、という見取り図を全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

📚 内線規程の解説シリーズ(全119条文+テーマ解説)|条文・テーマから探せる 総合インデックスはこちら →

セメント工場、石材の加工場、鋳物の砂を扱う場所。燃えないほこり(不燃性じんあい)が多い所は、爆発の心配はなくても、機器にたまったほこりが湿気を吸って絶縁を下げます。だからどの工事で配線するか・機器の選び方に決まりがあります。この記事では、電技解釈 第175条と内線規程をもとに、不燃性じんあいの多い場所の考え方を3つの質問と動く図で整理します。

①燃えなくても、たまったほこりが絶縁を下げ、漏電・過熱・動作不良の原因になります。②配線はがいし引き・金属管・合成樹脂管(2mm未満とCD管を除く)・金属可とう電線管・金属ダクト・バスダクト(換気形を除く)・ケーブルのいずれか。③開閉器などは粉じんが入りにくい外箱かキャビネットに収め、電動機は全閉形、移動電線はキャブタイヤにします。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

※本欄はアフィリエイト広告(PR)を含みます

先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
不燃性じんあい 燃えないほこり。セメント・石粉・砂など
絶縁低下 電気を通さないはずの所に、電気が漏れやすくなること
全閉形電動機 外の空気やほこりが中に入らない構造の電動機
換気形バスダクト 通気のための穴が開いたバスダクト
除じん装置 空気中のほこりを取り除く装置
電技解釈 第175条、内線規程。

質問① 何が困る?

不燃性のほこりは燃えませんが、機器にたまって湿気を吸うと、端子の間に漏れ電流の通り道ができます。絶縁の低下や、温度上昇、開閉機構の動作不良の原因になります。
たとえるなら
不燃性じんあいは、「スマホの充電口にたまる綿ぼこり」です。
燃えはしなくても、たまったほこりが湿気を吸うと、接点の間に電気が漏れたり、差し込みが悪くなったりします。入らないように、たまらないようにするのが対策です。
ひっかけ注意
「燃えない粉じんなら、ふつうの場所と同じでよい」ではありません。
爆発のおそれはなくても、絶縁低下で漏電や感電を招きます。工事方法と機器の構造に決まりがあります。
ここまでのポイント
  • 燃えなくても絶縁を下げる
  • 湿気を吸うと漏れ電流の通り道に
  • 温度上昇・動作不良の原因にも

質問② どの工事で配線する?

がいし引き・金属管・合成樹脂管(厚さ2mm未満の管とCD管を除く)・金属可とう電線管・金属ダクト・バスダクト(換気形を除く)・ケーブルのいずれかで配線します。有効な除じん装置を施設する場合は、この制限によらないことができます。
ここまでのポイント
  • 7つの工事から選ぶ
  • 合成樹脂管は2mm未満・CD管を除く
  • バスダクトは換気形を除く

質問③ 機器は?

開閉器・コンセント・過電流遮断器などは、粉じんが入りにくい堅ろうな外箱のものか、堅ろうなキャビネットに収めます。電動機は全閉形(適切な防じん箱に入れるなら例外)、移動電線はキャブタイヤコードやキャブタイヤケーブルを使い、接続部は緩み止めを施し、鉄台や外箱は接地します。
機器 決まり
開閉器・コンセント・遮断器 粉じんが入りにくい堅ろうな外箱か、堅ろうなキャビネット
照明器具 付着した粉じんで絶縁が低下しないもの
電動機 全閉形(適切な防じん箱に入れるなら例外)
移動電線 キャブタイヤコード・キャブタイヤケーブルなど
内線規程の定めです。温度上昇や性能低下のおそれがある機器には防じん装置を設けます。
ここまでのポイント
  • 開閉器などは防じんの外箱に
  • 電動機は全閉形
  • 移動電線はキャブタイヤ
ひとことで言うと:「燃えないほこりも絶縁を下げる。配線は7つの工事から、機器は防じんの箱や全閉形、移動電線はキャブタイヤ」。


よくある質問

不燃性じんあいの多い場所の工事方法は?

がいし引き・金属管・合成樹脂管(厚さ2mm未満の管とCD管を除く)・金属可とう電線管・金属ダクト・バスダクト(換気形を除く)・ケーブルのいずれかです(電技解釈 第175条)。

燃えない粉じんでも対策が要るのですか?

要ります。ほこりがたまって湿気を吸うと絶縁が低下し、漏電や感電、機器の過熱・動作不良の原因になります。

電動機はどの形式を選びますか?

全閉形を選びます。適切な防じん箱に入れる場合は全閉形でなくてもかまいません(内線規程)。

移動電線は?

キャブタイヤコードやキャブタイヤケーブルなどを使います。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
燃えない粉じんなら安全 絶縁低下で漏電・感電
バスダクトはどれでも 換気形は除く
機器はそのまま置く 防じんの外箱かキャビネット
電動機はどの形式でも 全閉形
「何が困るか → 工事方法 → 機器 → 移動電線 → 接地」の順で確かめます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

📎 関連するおすすめアイテム

内線規程の実務では、規程集や技術資料を手元に置いておくと確認がぐっと早くなります。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?

タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。

次に読むならこれ【そうだったのか小ネタ④】絶縁抵抗0.1MΩはどこから来たのか ― 1mAという「感じ始める境界」から逆算された数字電気設計の解説
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。