技術図書館めっき槽は専用電源と確実な接地で守る水を扱う設備なので電源は絶縁変圧器による専用のものに。接地は電圧で種別が変わり省略もできるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【104】電気めっき槽の施設
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

金属加工の現場に欠かせない「電気めっき槽」は、電気分解の原理で金属の薄膜を形成する装置です。感電や火災を防ぐため、電源装置・二次側配線・接地工事について施設基準が定められています。要点を図解で整理します。

電気めっき槽の施設ポイント3点の図解
結論:電源は絶縁変圧器を用いた専用装置とし、二次側は絶縁電線等を使用、接地は300V以下でD種・300V超でC種を行うのが基本です(一定条件を満たせば接地は省略可)。
この記事でわかること
✔ 電源装置と一次側の施設基準
✔ 二次側配線の施設基準
✔ 接地工事の基準と省略できる条件
ペン太ペン太
めっき槽の電源って、普通の分電盤から直接取っていいんですか?
ハリタハリタ
絶縁変圧器を使った専用の電源装置が必須です。一次側は各極に開閉器過電流遮断器を設けます。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 電気めっき槽の電源には、必ず何を使うか
  • 接地工事は、使用電圧によってどの種別に分かれるか
  • 接地工事を省略できるのは、どんな条件を満たすときか
この記事でわかること
接地の省略条件は、3つ目の項にまとめています。

電源装置と一次側の施設基準

トピック1:電源装置と一次側の施設基準
  • 電源供給には必ず絶縁変圧器を使用し、漏電による感電リスクを低減します。
  • 他の機器との電源共用は禁止され、めっき槽専用の電源装置を設けます。
  • 一次側は各極に開閉器と過電流遮断器を設置します(多線式電路の中性極は除く)。
  • ただし過電流遮断器に開閉機能があれば、遮断器のみでも可とされます。
ここまでのポイント
  • 電源供給には必ず絶縁変圧器を使用し、漏電による感電リスクを低減する
  • 他の機器との電源共用は禁止され、めっき槽専用の電源装置を設ける
  • 一次側は各極に開閉器と過電流遮断器を設置する(多線式電路の中性極は除く)
  • 過電流遮断器に開閉機能があれば、遮断器のみでもよい

二次側配線の施設基準

トピック2:二次側配線の施設基準
  • 使用する電線は絶縁電線・キャブタイヤケーブル・ケーブルのいずれかとします。
  • 取り扱い者以外が容易に触れない構造であれば、裸導体の使用も認められます
  • 腐食性ガスなどがある場所では、配線を「腐食性ガスなどがある場所の施設基準(3425節)」に準じて設置し、腐食による劣化を防ぎます。
ペン太ペン太
接地工事は絶対に省略できないと思ってました!
ハリタハリタ
槽内の金属製水管が大地と確実に接続され、接地抵抗が基準値以下なら省略できるんです。
取り違えやすいところ正しくは
接地工事は絶対に省略できない槽内の金属製水管が確実に接地され、抵抗値を満たせば省略できる
一般の電源から分岐して使ってよい他の機器との電源共用は禁止。専用の電源装置を設ける
変圧器は電圧が合っていれば種類は問わない必ず絶縁変圧器を使用する
二次側に裸導体は使えない取り扱い者以外が容易に触れない構造なら認められる
接地はどの電圧でもD種でよい300Vを超える低圧ではC種接地工事が必要
ここまでのポイント
  • 使用する電線は、絶縁電線・キャブタイヤケーブル・ケーブルのいずれかとする
  • 取り扱い者以外が容易に触れない構造であれば、裸導体の使用も認められる
  • 腐食性ガスなどがある場所では、3425節に準じて設置し、腐食による劣化を防ぐ

接地工事の基準と省略できる条件

トピック3:接地工事の基準と省略
  • 低圧300V以下で使用する場合はD種接地工事を行います。
  • 300Vを超える低圧の場合は、より強化されたC種接地工事が必要です。
  • 槽内の金属製水管が大地と電気的に確実に接続され、接地抵抗が100Ω以下(300V以下)/10Ω以下(300V超)であれば、接地工事を省略できます。
たとえ話:水を扱う装置に電気を流すのは、お風呂場で電化製品を使うようなもの。専用の安全な電源と確実なアースがあってはじめて、感電せずに使えるのです。
電気めっき槽って、なんだか危なそうな設備に感じますけど…ちゃんとした基準があるんですか?
もちろんあるよ。電源や配線、接地まで細かく基準が決まっているんだ。順番に見ていこう。
接地って、なんでもかんでもやるもんだと思ってましたけど、ちゃんと条件があるんですね!
そうだね。むやみにやるだけじゃなくて、安全性と実用性を両立する設計が大切なんだ。
電気めっき槽の専用電源装置・二次側配線・接地を示した図
電気めっき槽の電源には必ず絶縁変圧器を用いた専用の電源装置を設け、他の機器との電源共用は禁止。一次側は各極に開閉器と過電流遮断器を設ける(多線式電路の中性極は除く/過電流遮断器に開閉機能があれば遮断器のみでも可)。二次側配線は絶縁電線・キャブタイヤケーブル・ケーブルのいずれかとし、取扱者以外が容易に触れない構造であれば裸導体も使用できる。接地は300V以下でD種、300Vを超える低圧でC種。槽内の金属製水管が大地と確実に接続され接地抵抗が100Ω以下(300V超は10Ω以下)であれば省略できる。
使用電圧接地工事の種別省略できる接地抵抗
低圧300V以下D種接地工事100Ω以下
300Vを超える低圧C種接地工事10Ω以下
ここまでのポイント
  • 低圧300V以下で使用する場合はD種接地工事を行う
  • 300Vを超える低圧の場合は、より強化されたC種接地工事が必要
  • 槽内の金属製水管が大地と電気的に確実に接続され、接地抵抗が100Ω以下(300V以下)/10Ω以下(300V超)であれば省略できる

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. 電気めっき槽の電源装置に必要な条件は?
A. 絶縁変圧器を使用し、他機器と共用しない専用の電源装置とします。一次側は各極に開閉器と過電流遮断器を設置します(中性極を除く。遮断器に開閉機能があれば遮断器のみで可)。
Q. 二次側配線にはどんな電線を使いますか?
A. 絶縁電線・キャブタイヤケーブル・ケーブルのいずれかを使用します。取り扱い者以外が容易に触れない構造であれば裸導体も認められます。
Q. 接地工事はどの種類が必要ですか?
A. 低圧300V以下ではD種接地工事、300Vを超える低圧ではC種接地工事が必要です。
Q. 接地工事を省略できる場合はありますか?
A. 槽内の金属製水管が大地と確実に接続され、接地抵抗が100Ω以下(300V以下)または10Ω以下(300V超)であれば省略できます。

まとめ|専用の絶縁電源と、確実な接地

電気めっき槽は水を扱う設備のため、「絶縁変圧器による専用電源」と「確実な接地」の2つが安全の柱になります。接地は使用電圧で種別が変わり、条件を満たす場合に限って省略が認められます。

確認する順番見るところ基準
Step1電源絶縁変圧器を使い、めっき槽専用としているか
Step2一次側各極に開閉器と過電流遮断器(中性極を除く)
Step3二次側の電線絶縁電線・キャブタイヤ・ケーブル、または条件付きで裸導体
Step4設置環境腐食性ガスがある場所は3425節に準じているか
Step5接地300V以下はD種、300V超はC種。省略要件の抵抗値を満たすか

省略要件は「槽内の金属製水管が大地と確実に接続されていること」が前提です。実測した接地抵抗値を記録に残しておくと、後の検査でも根拠を示しやすくなります。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
その基準値はいくつなんですか?
ハリタハリタ
300V以下は100Ω以下、300V超は10Ω以下です。数値で確認してから判断してくださいね。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。