技術図書館油入とモールドの違いを8枚のスライドで読む仕様の比較・メリットとデメリット・寸法早見・屋外設置の3条件を通して確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

単線結線図に「油入」と書くか「モールド」と書くか。価格や納期の話から入りがちですが、先に決まってしまうのは「置き場所」と「消火設備」です。この記事では、二つの違いを規格・耐熱クラス・消防法の扱い・保守・寸法の順に整理し、屋外キュービクルに入れるときの3条件と、2026年度から変わったトップランナー基準との関係まで通して確認できるようにしました。

結論

違いの大もとは冷却と絶縁に油を使うかどうか。そこから消防・保守・寸法のすべてが分かれます。

  • 基本は油入。安く、納期が読め、熱容量が大きい
  • 油を置きたくない場所(地下・高層・避難経路の近く)ならモールド
  • 油を使わない機器は消防法施行令13条の対象外。ここが最大の差
  • モールドのJIS(C 4306)は屋内用。屋外キュービクルなら3条件が要る
  • 小容量ではモールドのほうが幅が広い。「小さいから」で選ぶと入らない
  • モールドもメンテナンスフリーではない。見るところが変わるだけ
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
動く図解この記事のポイントを動く図解にまとめました(中身 → 耐熱クラス → 消火設備 → 保守・くり返し再生)。ジャンル「受変電・高圧」で見る →

まず結論 ― 決め手は「油があるかどうか」

油入変圧器は絶縁油の中にコイルが浸かっている変圧器、モールド変圧器はコイルをエポキシ樹脂で固めた変圧器です。違いはここだけですが、この一点から消防・保守・寸法のすべてが分かれます。

まずは油入。そのうえで「油を置きたくない理由」があるときにモールドです。

基本仕様は油入です。価格が安く、納期が読め、油があるぶん熱容量が大きいからです。それでもモールドを選ぶのは、油そのものが問題になる場所のときです。地下の電気室、高層階、避難経路に近い場所、不特定多数が出入りする建物などが当たります。

モールドは熱を空気にしか渡せません。あとで出てくる「換気」の話はここから来ています。
ひっかけ注意
見積が安いので、いつも油入で書いてしまっています。
それで合っていることが多いです。ただ、置き場所を先に見ておくと手戻りが減ります。
ここまでのポイント
  • 油入は絶縁油の中にコイルがある。モールドは樹脂で固めてある
  • 基本仕様は油入。安く、納期が読め、熱容量が大きい
  • 油を置きたくない場所(地下・高層・避難経路の近く)ならモールド
  • モールドは熱を空気にしか渡せないので、換気の条件が付いてくる

中身の違い ― 規格・絶縁・耐熱クラス

どちらもJISで決まっている配電用6kV変圧器です。油入がJIS C 4304、モールドがJIS C 4306で、いずれも2024年11月に改正されています。容量の範囲は同じで、単相10〜500kVA、三相20〜2000kVAです。

JIS C 4306が「屋内用」であることは、あとの章で効いてきます。

耐熱クラスが違うと、何が変わるのか

油入はクラスA(許容最高温度105℃)、モールドはB・F・Hが使われます。許容温度が高いぶん、モールドは温度上昇限度が大きく取れます。油入が巻線65K・油55Kであるのに対し、モールドはB種で80K、F種で100Kです。

ただし「熱に強い=過負荷に強い」ではありません。油入は油の熱容量があるため、短時間の過負荷では温度が上がりにくい面があります。モールドの過負荷の考え方は過負荷率の早見表にまとめています。

出典:JIS C 4304:2024/JIS C 4306:2024(日本規格協会)、公益社団法人 日本電気技術者協会「変圧器の銘板に学ぶ」。規格は改正されることがあります。適用にあたっては最新版をご確認ください。

ここまでのポイント
  • 油入はJIS C 4304:2024、モールドはJIS C 4306:2024
  • JIS C 4306は「屋内用自冷式」として規定されている
  • 容量の範囲は同じ(単相10〜500kVA/三相20〜2000kVA)
  • 耐熱クラスは油入A(105℃)、モールドB・F・H(130〜180℃)
  • 温度上昇限度は油入65K/モールドF種100K。ただし熱容量は油入が大きい


消火設備の扱いが、いちばん大きな差

ここが実務でいちばん効いてきます。冷却または絶縁のために油類を使わず、可燃性ガスを発生するおそれのない機器は、消防法施行令 第13条の対象になりません。モールド(乾式)が「消火設備の話にならない」のは、この一文が理由です。

容量の大小より先に、「油を使っているか」を見ます。

油入の場合は、次に設置されている部分の床面積を見ます。変圧器などの電気設備が設置されている部分の床面積が200㎡以上になると、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末のいずれかが必要になります。

①で終わるか、②〜④まで進むか。ここで計画の手戻りが決まります。

⚠「変圧器の容量で決まる」ではありません

よくある誤解が「○○kVAを超えたら特殊消火設備」という覚え方です。令13条の一次判定は、変圧器の容量ではなく設置部分の床面積です。容量が出てくるのは、移動式(大型消火器)でよいかどうかという次の段階です。

1,000kVA未満の電気設備、密封方式で15,000kVA未満のものなどは、大型消火器で足りるという運用が置かれています。ただしこれは市町村の運用基準なので、計画の早い段階で所轄消防に確認してください。

絶縁油そのものは、消防法上は第四類 第三石油類(非水溶性)にあたります。ただしメーカーの見解では、変圧器として使用している状態では危険物関係法令の規制対象にならないと整理されています。油を抜いて保管するとき、あるいは発電機の燃料タンクのように「油を貯蔵している」状態になると話が変わります。その場合の考え方は少量危険物貯蔵庫と発電機の油庫でまとめています。

出典:消防法施行令 第13条、大阪市「電気設備及び火気使用設備に係る消火設備の運用指針」、名古屋市「電気設備が設置されている部分等における消火設備の取扱いについて」、三菱電機FA よくある質問「油入変圧器で用いられる絶縁油の消防上の扱いについて」。

ここまでのポイント
  • 冷却・絶縁に油類を使わない機器は令13条の対象外。モールドはここで外れる
  • 油入は、設置部分の床面積200㎡以上が一次判定
  • 「容量で決まる」は誤解。容量は大型消火器でよいかの判断に出てくる
  • 1,000kVA未満・密封方式15,000kVA未満などは大型消火器でよい運用がある
  • 絶縁油は第四類第三石油類だが、変圧器として使用中は危険物規制の対象外


保守 ― 「メンテナンスフリー」ではない

モールドの説明で必ず出てくるのが「メンテナンスフリー」という言葉です。これは絶縁油の管理が要らないという意味であって、点検そのものが要らないという意味ではありません。

どちらも点検は要ります。見る対象が「油」から「汚れとひび」に変わるだけです。
絶縁油の管理値は、測定値が正常なら3年ごとが目安です。

💡 モールドで気をつけるのは、じんあいと樹脂のひび

モールドはコイルの表面が露出しています。そこにほこりが積もると沿面放電の原因になるため、停電時の清掃が実質的な保守になります。粉じんの多い工場や、外気を取り込むキュービクルでは特に効いてきます。

もうひとつが樹脂のクラック(ひび割れ)です。運転と停止の繰り返しによる温度変化で発生することがあり、外観点検で見つけておきたい項目です。

更新推奨時期は、油入もモールドも20年です(JEMA)。変圧器中身の期待寿命30年をもとに、使用環境の影響を見込んだ目安とされています。「モールドだから長持ちする」という差は、公表されている数字の上では出てきません。

出典:JEMA『汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査』報告書(改訂版)、JEMA「配電用6kV変圧器の保守点検のおすすめ」、公益社団法人 日本電気技術者協会「絶縁油の管理」。

ひっかけ注意
モールドにすれば点検が楽になる、と説明してしまいました。
油の試験がなくなる、が正確です。清掃と外観点検は残ります。
ここまでのポイント
  • 「メンテナンスフリー」は絶縁油の管理が要らないという意味
  • 油入は絶縁破壊電圧30kV以上・全酸価0.1mg以下・水分30ppm以下が目安。正常なら3年ごと
  • モールドは樹脂のクラックとじんあいの付着を見る。清掃が実質的な保守
  • 更新推奨時期はどちらも20年(JEMA)。長持ちするという差は出ていない

屋外キュービクルに入れるときの3条件

モールドのJIS(C 4306)は屋内用として規定されています。それでも屋外のキュービクルに収めることは普通に行われていますが、そのときはメーカーが示す条件を満たす盤にする必要があります。

この3点は、盤メーカーと変圧器メーカーの両方に伝えておきます。

なぜモールドだけ条件が付くのか

油入はコイルがタンクの中の油に浸かっています。いっぽうモールドはコイルが盤の中の空気にそのまま面しています。雨水がかかれば、そこが直接の充電部になります。結露も同じで、樹脂の表面に水の膜ができると沿面の絶縁が下がります。

直射日光と周囲温度も、熱を空気にしか渡せないことから来ています。盤内温度の見積りは換気量の計算で確認できます。

変圧器の損失から盤内の発熱量と必要換気量を出し、換気扇の台数とガラリ面積まで確認できます。既設設備なら、いまの換気量から室温を逆算することもできます。登録は不要です。

電気室・キュービクル 換気量計算

出典:モールド変圧器のカタログ・取扱説明(日立産機システム、三菱電機)に示されている屋外キュービクル設置時の注意事項によります。機種によって条件が異なる場合があります。

ここまでのポイント
  • JIS C 4306は屋内用自冷式として規定されている
  • 屋外キュービクルに入れるなら、雨水・直射日光・周囲温度40℃以下の3条件
  • モールドはコイルが盤内の空気に面しているため、雨水と結露に弱い
  • 条件は盤メーカーと変圧器メーカーの両方に伝えて、盤仕様に落とす


寸法と質量 ― 小容量では逆転する

「モールドはコンパクト」と言われますが、すべての容量でそうなるわけではありません。小容量ではむしろモールドのほうが幅が広く、重いこともあります。

50kVAでは油入550mmに対しモールド620mm。盤の内寸を先に確認します。
容量 油入(X/Y/Z/質量) モールド(X/Y/Z/質量)
50 kVA 550 495 760 280 kg 620 400 710 260 kg
75 kVA 790 505 915 395 kg 735 470 820 400 kg
100 kVA 820 510 1010 480 kg 735 470 820 410 kg
150 kVA 815 550 1040 640 kg 810 550 905 590 kg
200 kVA 900 550 1070 760 kg 900 560 945 740 kg
300 kVA 985 615 1205 1060 kg 930 585 1020 910 kg
500 kVA 1150 665 1300 1530 kg 1125 620 1190 1420 kg
三相 6kV-210V・50Hz の代表寸法(mm)。60Hzでも寸法はほぼ同じで、質量がやや軽くなります。
容量 油入(X/Y/Z/質量) モールド(X/Y/Z/質量)
50 kVA 490 540 740 245 kg 525 515 830 290 kg
75 kVA 605 520 915 330 kg 590 530 860 350 kg
100 kVA 615 560 1010 405 kg 530 520 870 390 kg
150 kVA 670 580 1060 500 kg 595 565 915 470 kg
200 kVA 735 640 1060 610 kg 625 570 1020 600 kg
300 kVA 790 625 1230 805 kg 670 595 1190 880 kg
500 kVA 945 725 1430 1370 kg 860 725 1225 1130 kg
単相 6kV-210/105V・50Hz の代表寸法(mm)。50kVAと300kVAでは、モールドのほうが重くなっています。

⚠ この表は第二次判断基準(2014年度)のシリーズの値です

2026年4月以降に出荷される変圧器は第三次判断基準に適合した機種になり、損失を下げるぶん鉄心や巻線が大きくなるため、寸法・質量とも増える方向です。既設のキュービクルに入れ替えるときは、必ず最新カタログの値で確認してください。

どれくらい変わるかはキュービクルに入らない|寸法・質量の増加で具体的に比べています。

盤の内寸を入れるだけで、その変圧器が収まるかどうかを一次判定できます。主要メーカーの最大値に対応しているので、機種が決まる前でも当たりを付けられます。

キュービクル収納可否チェッカー

出典:三菱電機 配電用変圧器カタログ(油入・モールド)の寸法表より抜粋。機種・シリーズによって値が異なります。設計にあたっては最新カタログをご確認ください。

ここまでのポイント
  • 小容量ではモールドのほうが幅が広い(三相50kVAで550mm対620mm)
  • 単相50kVA・300kVAでは、モールドのほうが重い
  • 容量が大きくなるほど、モールドが小さく軽くなる傾向
  • 2026年度基準の適合品は寸法・質量とも増える方向。最新カタログで確認する


2026年度から変わったトップランナー基準との関係

油入もモールドも、省エネ法の特定エネルギー消費機器(トップランナー制度)の対象です。2026年4月1日の製造業者出荷分から、第三次判断基準が適用されています。目標年度は2026年度です。

項目 内容
適用開始 2026年4月1日 製造業者出荷分から(目標年度は2026年度)
対象 油入変圧器・モールド変圧器とも、単相10〜500kVA/三相20〜2000kVA
基準の中身 種別・相数・定格周波数・定格容量・標準仕様の5要素で全24区分。区分ごとに算定式
基準エネルギー消費効率 基準負荷率における全損失(無負荷損+負荷損)
基準負荷率 500kVA以下は40%、500kVA超は50%
対象外 ガス絶縁変圧器、H種乾式変圧器、スコット結線変圧器、柱上変圧器、水冷・風冷変圧器
既設との併用 使用は可能。並列運転するなら短絡インピーダンス・結線・タップ電圧を確認する
第二次基準との比較で、およそ26%の省エネ効果が見込まれるとされています。

油入かモールドかの判断に、どう効いてくるか

基準は種別(油入/モールド)ごとに区分が分かれているので、どちらを選んでもトップランナー適合品が用意されています。ただし損失を下げるために鉄心・巻線が大きくなるため、寸法と質量、そして価格が上がるという共通の影響があります。

発熱が増える機種もあり、換気設計が問題になることがあります。詳しくは省エネ機なのに発熱が増えるをご覧ください。制度の全体像は第1回 2026年4月に何が変わった?から追えます。

第二次基準の機種と第三次基準の機種で、寸法・質量・損失を並べて比べられます。実負荷率を入れれば電気代の差と損益分岐負荷率も出せます。ブラウザだけで完結します。

2026トップランナー変圧器 諸元比較

出典:一般社団法人 日本電機工業会「トップランナー変圧器第三次判断基準 2026年度スタート」および「2026トップランナー変圧器のFAQ」(2025年12月改定)。

ここまでのポイント
  • 第三次判断基準は2026年4月1日 製造業者出荷分から適用。目標年度は2026年度
  • 対象は油入・モールドとも単相10〜500kVA/三相20〜2000kVA
  • 基準エネルギー消費効率は基準負荷率における全損失。500kVA以下は40%、超は50%
  • ガス絶縁・H種乾式・スコット結線・柱上・水冷風冷は対象外
  • 種別ごとに区分があるため、どちらを選んでも適合品はある

選定の手順と、発注前のチェック

最後に手順としてまとめます。価格から入らず、置き場所から入るのがこつです。

この8つが埋まっていれば、機器表に書いたあとで戻されることはまずありません。

変圧器の容量・結線・台数の決め方は受変電設備の設計マニュアル⑨ 変圧器部、力率改善のリアクトルは6%・13%の意味で扱っています。

ここまでのポイント
  • 置き場所 → 油を置けるか → 消防 → 寸法 → 温度 → 保守の順に見る
  • 所轄消防への確認は、計画の早い段階で行う
  • 屋外+モールドなら、3条件を盤仕様に落としておく
  • 2026年度基準適合品であることを仕様書と見積の条件に書く

よくある質問

油入とモールドは、どちらを選ぶのが基本ですか?

基本は油入です。価格が安く、納期が読め、油があるぶん熱容量が大きいためです。モールドを選ぶのは、地下・高層・避難経路の近くなど、油そのものを置きたくない場所や、不燃性が求められる場合です。

油入とモールドで、消火設備はどう変わりますか?

冷却または絶縁のために油類を使わず、可燃性ガスを発生するおそれのない機器は、消防法施行令第13条の対象になりません。モールド(乾式)はここで外れます。油入は、設置されている部分の床面積が200㎡以上になると特殊消火設備の検討が必要です。

「○○kVAを超えたら特殊消火設備」という理解で合っていますか?

正確ではありません。令13条の一次判定は変圧器の容量ではなく、電気設備が設置されている部分の床面積です。容量は、移動式(大型消火器)でよいかどうかの判断に出てきます。1,000kVA未満の電気設備や、密封方式で15,000kVA未満のものなどが対象で、これは市町村の運用基準によります。

絶縁油は危険物として届出が必要ですか?

絶縁油そのものは消防法上の第四類第三石油類(非水溶性)にあたりますが、メーカーの見解では、変圧器として使用している状態では危険物関係法令の規制対象にならないと整理されています。抜油して保管する場合などは扱いが変わるため、所轄消防にご確認ください。

モールド変圧器はメンテナンスフリーですか?

絶縁油の管理が要らないという意味であって、点検が不要という意味ではありません。樹脂部のクラックや汚損、コイル表面のじんあいの付着(沿面放電の原因)を見る必要があり、停電時の清掃が実質的な保守になります。

絶縁油の試験はどのくらいの周期で行いますか?

測定値が正常であれば3年周期、要注意の範囲に入ったら1年ごとが目安です。判定の目安は絶縁破壊電圧30kV以上、全酸価0.1mg以下、水分30ppm以下です。

油入とモールドで寿命は違いますか?

公表されている更新推奨時期は、どちらも20年です(JEMA)。変圧器中身の期待寿命30年をもとにした目安で、種別による差は示されていません。

モールドを屋外のキュービクルに入れてもよいですか?

入れられますが条件が付きます。JIS C 4306は屋内用自冷式として規定されているためです。メーカーは、①暴風雨時に吸気口・排気口から入った雨水が変圧器にかからない構造、②直射日光がモールドコイルに当たらないようガラスやアクリル板で遮る、③換気を十分に行い周囲温度を40℃以下に保つ、の3点を求めています。

モールドのほうが小さくて軽いのではないですか?

容量によります。三相50kVAでは幅が油入550mmに対しモールド620mm、単相50kVAでは質量が油入245kgに対しモールド290kgで、小容量ではモールドのほうが大きく重くなります。容量が大きくなるとモールドのほうが小さく軽くなる傾向です。

2026年度のトップランナー基準は、どちらにも適用されますか?

適用されます。油入・モールドとも単相10〜500kVA、三相20〜2000kVAが対象で、2026年4月1日の製造業者出荷分から第三次判断基準が適用されています。ガス絶縁変圧器、H種乾式変圧器、スコット結線変圧器、柱上変圧器、水冷・風冷変圧器は対象外です。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
変圧器の容量で特殊消火設備が決まる 一次判定は設置部分の床面積200㎡以上。容量は大型消火器でよいかの判断に出てくる
モールドはメンテナンスフリー 絶縁油の管理が要らないだけ。樹脂のクラックとじんあいの清掃は残る
油入は定期的に絶縁油の交換が必要 まず劣化診断。結果に応じてろ過・再生・交換を判断する
モールドはいつでも小さくて軽い 小容量では幅が広く、重いこともある。盤の内寸で確認する
モールドは屋外でもそのまま使える JISは屋内用。雨水・直射日光・周囲温度40℃以下の3条件が要る
モールドのほうが長持ちする 更新推奨時期はどちらも20年(JEMA)
旧シリーズの寸法表で盤を計画してよい 2026年度基準の適合品は寸法・質量が増える方向。最新カタログで確認する
「油があるかないか」から出発すると、消防・保守・寸法のどれも説明が付きます。
手順 やること 見るところ
1|置き場所 屋内の電気室か、屋外のキュービクルか 屋外+モールドなら3条件
2|油の可否 地下・高層・避難経路の近くでないか 不燃性の要求
3|消防 設置部分の床面積と、容量による特例 200㎡/1,000kVA
4|寸法 盤の内寸に納まるか 小容量は逆転する
5|温度 夏に周囲40℃以下を保てるか 換気量・ガラリ面積
6|保守 点検の担当と周期を決める 絶縁油の試験/清掃
この6手順で、機器表に「油入」と書くか「モールド」と書くかが決まります。

📘 あわせて確認したいこと

変圧器の容量・結線・台数の決め方は設計マニュアル⑨ 変圧器部にまとめています。受変電設備の計画全体の流れは高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)からご覧いただけます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。