第二種電気工事士 合格カリキュラム学科③ 電気機器・配線器具・材料・工具
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分電盤の中にある、テストボタン付きのブレーカー。あれが漏電遮断器です。電気が漏れたことに気づくと、人が感電したり火事になったりする前に、すばやく電気を止めてくれます。この記事では、漏電遮断器のしくみ、設けなければならない電路、省略できる場合、感度と速さを、図とたとえで確認していきます。

結論

漏電遮断器は行きと帰りの電流の差で漏電を見つけます。金属製外箱・60V超・人が触れるおそれがある機器の電路には原則設け、乾燥した場所・150V以下で水気なし・二重絶縁などは省略できます。

  • 零相変流器で電流の差を検出する
  • 簡易接触防護措置をすれば省略できる
  • 絶縁変圧器で負荷側を非接地にすれば省略できる
  • 住宅では30mA・0.1秒以下の高感度高速形が一般的
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
漏電遮断器の零相変流器が、行きの電流と帰りの電流の差を見張り、差が0なら電気を流し、機器から大地へ30mA漏れて差が生じると電路を遮断することを示した動く図解
動く図解:行きと帰りの電流の差で、漏電を見つけます。

しくみ ― 行きと帰りの差を見張る

電気は、電線の「行き」から機器に入り、「帰り」の電線で戻ってきます。漏電がなければ、行きと帰りの電流は同じです。ところが、機器から大地へ電気が漏れると、帰りの電流が少し減ります。漏電遮断器は、この差を零相変流器で見張り、差が決まった値(定格感度電流)を超えると電路を遮断します。

たとえるなら駐車場の入口と出口のカウンターです。入った台数と出た台数が合わなければ、どこかに消えた(漏れた)とわかります。

ペン太ペン太
金属製の外箱がある機器には、とにかく漏電遮断器が要りますよね?
ハリタハリタ
原則はそうなんですが、省略できる場合がいくつも決められています。「乾燥」「150V以下」「二重絶縁」を軸に整理すると覚えやすいですよ。
ここまでのポイント
  • 行きと帰りの電流の差を見張る
  • 零相変流器で差を検出
  • 差が定格感度電流を超えたら遮断

設ける電路 ― 3つの条件

漏電遮断器を設けるのが原則の電路として、金属製外箱を持つ機械器具、使用電圧が60Vを超える低圧、人が容易に触れるおそれがある場所の3つがそろった機器に電気を送る電路であることを示した図
3つの条件がそろった機器の電路に、漏電遮断器を設けます。
条件 内容
機器 金属製外箱を持つ機械器具
電圧 使用電圧が60Vを超える低圧
場所 人が容易に触れるおそれがある場所に施設する
電気設備技術基準の解釈(地絡遮断装置の施設)をもとに作成

このほか、住宅で対地電圧300V以下の電路を使う場合(「電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】」)や、ライティングダクト(「電気設備の基本知識 #029【ライティングダクト工事】」)など、個別に漏電遮断器を求める決まりもあります。

ここまでのポイント
  • 金属製外箱の機器
  • 使用電圧60V超の低圧
  • 人が触れるおそれのある場所

省略できる場合 ― 8つのパターン

漏電遮断器を省略できる主な場合として、簡易接触防護措置、乾燥した場所、対地電圧150V以下の機器を水気のある場所以外に、二重絶縁構造、絶縁物で被覆した機器、誘導電動機の二次側電路、絶縁変圧器で負荷側を非接地、C種・D種接地の接地抵抗が3Ω以下を順に示した動く図解
動く図解:省略できるパターンを1つずつ確認します。
主な場合 内容
簡易接触防護措置 機械器具に簡易接触防護措置をする
乾燥 機械器具を乾燥した場所に施設する
150V以下 対地電圧150V以下の機械器具を、水気のある場所以外に施設する
二重絶縁・被覆 二重絶縁構造の機械器具、ゴム・合成樹脂などの絶縁物で被覆した機械器具
誘導電動機 誘導電動機の二次側電路に施設する機械器具
絶縁変圧器 電源側に二次電圧300V以下の絶縁変圧器を設け、負荷側を非接地
接地抵抗 機械器具に施したC種・D種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下
電気設備技術基準の解釈(地絡遮断装置の施設)をもとに要約。くわしくは条文で確認する
ここまでのポイント
  • 乾燥・150V以下で水気なし・二重絶縁が軸
  • 簡易接触防護措置でも省略できる
  • 絶縁変圧器・接地抵抗3Ω以下も


感度と速さ ― 目的で選ぶ

漏電遮断器の感度と速さとして、定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以下の高感度高速形は人の感電を防ぐ目的で住宅の分電盤などで一般的、定格感度電流が大きい中感度形などは漏電火災の防止や幹線の保護などに使うことを比べた図
感度と速さで、漏電遮断器の種類が分かれます。
種類 定格感度電流・動作時間 主な目的
高感度高速形 30mA以下・0.1秒以下 人の感電を防ぐ(住宅の分電盤など)
中感度形など 100mA〜など 漏電火災の防止、幹線の保護など
一般的な製品の区分

外箱の接地を省略するために使う漏電遮断器は、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下とされています(「電気設備の基本知識 #033【接地工事の要点 C種・D種】」参照)。目的によって必要な感度が違う点に注意しましょう。

ここまでのポイント
  • 住宅は30mA・0.1秒以下が一般的
  • 接地省略用は15mA・0.1秒以下
  • 中感度形は火災防止などに

規定の全体像 ― 5つの視点

漏電遮断器の施設の規定を、しくみ(行きと帰りの電流の差を零相変流器で検出)、設ける所(金属製外箱・60V超・人が触れるおそれ)、省略①(乾燥・150V以下で水気なし)、省略②(二重絶縁・絶縁被覆・簡易接触防護措置)、省略③(絶縁変圧器で非接地・接地抵抗3Ω以下)の5つの視点で整理した図
漏電遮断器の施設は、5つの視点で整理できます。

「設ける所」の3条件と、省略の3つのグループを押さえれば、全体が整理できます。

ここまでのポイント
  • しくみ・設ける所・省略の3グループ
  • 省略は「場所」「機器」「電源」で分けて覚える
  • 細かな条件は条文で確認

押さえる要点 ― 6つのルール

漏電遮断器の施設と省略で押さえる要点として、設ける所(金属製外箱・60V超・人が触れるおそれ)、省略(乾燥した場所)、省略(150V以下で水気なし)、省略(二重絶縁・絶縁被覆)、省略(絶縁変圧器で非接地)、感度(30mA・0.1秒以下)の6つを並べた図
漏電遮断器の施設と省略のまとめ。

次の#035は、この連載の最終回「電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】」です。

ここまでのポイント
  • 金属製外箱・60V超・人が触れるおそれで設ける
  • 乾燥・150V以下・二重絶縁などで省略
  • 住宅は30mA・0.1秒以下が一般的

よくある質問

漏電遮断器はどうやって漏電を見つけるのですか?

零相変流器で、電路の行きと帰りの電流の差を見張っています。漏電がなければ差は0ですが、電気が大地へ漏れると差が生じ、それが定格感度電流を超えると電路を遮断します。

漏電遮断器を設けなければならないのはどんな場合ですか?

金属製外箱を持つ使用電圧60Vを超える低圧の機械器具で、人が容易に触れるおそれがある場所に施設するものに電気を送る電路には、原則として地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器)を設けます。

漏電遮断器を省略できる主な場合は?

機械器具に簡易接触防護措置をする場合、乾燥した場所に施設する場合、対地電圧150V以下の機械器具を水気のある場所以外に施設する場合、二重絶縁構造の機械器具、絶縁物で被覆した機械器具、誘導電動機の二次側電路に施設する機械器具などです。

絶縁変圧器を使う場合は?

電源側に二次電圧300V以下の絶縁変圧器を設け、その負荷側の電路を非接地とする場合は、漏電遮断器を省略できます。細かな条件は条文で確認します。

住宅でよく使われる漏電遮断器の感度は?

人の感電を防ぐ目的で、定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以下の高感度高速形が一般的に使われます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。