建築消防|誘導灯・誘導標識の設置基準|非常照明との違いも解説
「この出口、誘導灯の級(サイズ)はどれ?」——避難口や通路を前に、どの誘導灯をどこに付けるか迷ったことはありませんか。非常照明と名前は似ていても、根拠となる法律も役割もまったく別ものです。
🤔 こんなモヤモヤ、ありませんか?
・避難口誘導灯と通路誘導灯、どう使い分ける?
・A級・B級・C級はどう選ぶ?有効範囲は?
・非常電源は何分もたせる?非常照明と何が違う?
この記事では、誘導灯・誘導標識の設置基準(消防法)を、避難口/通路/客席の使い分けや級の選び方まで整理し、あわせて非常照明との違いもはっきりさせます。
「誘導灯って非常照明と何が違うの?」「A級・B級ってどう選ぶ?」——避難系の設備でいちばん混同されやすいのが誘導灯・誘導標識です。誘導灯は消防法にもとづき「避難口や避難方向を“見せる”」設備で、建築基準法の非常照明(経路を“照らす”)とは目的も根拠法も別物。この記事では、誘導灯の種類・区分・設置の考え方と、非常照明との違いをわかりやすく整理します。
🐧 ペン太: 先生、避難口の緑のサインと、天井の非常灯って同じものじゃないんですか?
🦔 ハリタ先生: いい所に気づいたね⚡ 見た目は近いけどまったくの別物。まずは誘導灯の中身から見て、最後に非常照明との違いをはっきりさせよう。

1. 誘導灯とは(3種類+誘導標識)
誘導灯は、火災時に避難口の位置や避難の方向を表示して人を安全に導く設備です。大きく3種類あります。
- 避難口誘導灯…避難口(出口)の位置を示す(緑地に白のピクトグラム)。扉・出口の上に設置。
- 通路誘導灯…避難の方向を矢印で示す(白地に緑)。廊下・通路・曲がり角に設置。
- 客席誘導灯…劇場・映画館などで客席の通路床面を照らす。
これらを補助するものとして、電源不要の誘導標識(蓄光式など)もあります。

2. 区分(A級・B級・C級)と有効範囲
誘導灯は表示面の大きさでA級・B級・C級に分かれ、大きいほど遠くから見える(有効範囲が広い)ようになっています。避難口までの見通し距離や建物規模で選びます。
| 種類 | 区分 | 表示面の大きさ(縦) | 有効範囲の目安 |
|---|---|---|---|
| 避難口誘導灯 | A級 | 0.4m以上 | 60m(矢印なし)/40m(矢印あり) |
| B級 | 0.2〜0.4m | 30m(矢印なし)/20m(矢印あり) | |
| C級 | 0.1〜0.2m | 15m | |
| 通路誘導灯 | A級 | 0.4m以上 | 20m |
| B級 | 0.2〜0.4m | 15m | |
| C級 | 0.1〜0.2m | 10m |
広い空間や見通し距離が長い場所はA級、小規模ならC級、というのが基本。避難口誘導灯は矢印(避難方向の併記)があると有効範囲が短くなる点にも注意です。
3. 設置が必要な場所と免除の考え方
誘導灯は、原則としてほぼ全ての防火対象物の避難口・通路が対象です。特に特定用途・地階・無窓階・11階以上は要注意。一方で、避難口を容易に見通せて歩行距離が短い小規模な場合などは、設置を省略できることがあります。
「まず避難口誘導灯 → 次に通路誘導灯 → 客席誘導灯」の順に、避難経路を追いながら配置します。免除規定は用途・階・見通し・歩行距離の条件が細かいので、最終的には所轄消防と最新の規則で確認しましょう。

3.5 設置場所と設置方法(技術基準の深掘り)
ここからは、Panasonicの照明設計サポート「P.L.A.M.」の技術資料をベースに、実務でおさえておきたい設置場所と設置方法をもう一段くわしく整理します。
避難口誘導灯を設置する主な場所
避難口誘導灯は、次の「避難口」の上部またはその直近の避難上有効な箇所に設置します。
- 屋内から直接地上へ通じる出入口(附室がある場合は附室の出入口)
- 直通階段の出入口(附室がある場合は附室の出入口)
- 上記の避難口に通じる廊下・通路に通ずる出入口
- 防火戸など、避難上の遮蔽物がある場所
原則は避難口の上部。上部に設けられない場合は「その直近の避難上有効な箇所」に設置します。扉の開閉や什器で隠れない位置を選ぶのがコツです。
通路誘導灯を設置する主な場所
- 廊下・通路の曲がり角
- 避難口誘導灯・他の通路誘導灯の有効範囲が届かない部分
通路誘導灯は、避難口誘導灯の有効範囲と通路誘導灯どうしの有効範囲(A級20m・B級15m・C級10m)が途切れないよう連続させて配置します。床面近くに設けるタイプ(床埋込形など)は、煙が滞留しても足元の方向を視認しやすい利点があります。
照度の基準(避難経路を確実に照らす)
階段・傾斜路や客席では、誘導灯に照度の基準が定められています。
| 場所 | 必要な照度 | 測定位置 |
|---|---|---|
| 階段・傾斜路(通路誘導灯) | 1lx以上 | 踏面の中心線上 |
| 客席(客席誘導灯) | 0.2lx以上 | 客席通路の中心線上(水平面) |
階段は「踏面の中心線上で1lx以上」、客席は「0.2lx以上」が目安。器具の配置ピッチや光束は、この照度を満たすようにメーカーの配光データ(P.L.A.M.等)で確認します。
4. 誘導灯と非常照明の違い
🦔 ハリタ先生: ここが今日の本題⚡ 誘導灯(消防法)と非常照明(建築基準法)は、目的も根拠法も電源時間も違うんだ。
いちばん混同しやすいポイントなので、対比で押さえましょう。
| 項目 | 誘導灯(消防法) | 非常照明(建築基準法) |
|---|---|---|
| 根拠法 | 消防法施行令26条 | 建築基準法施行令126条の4・5 |
| 目的 | 避難口・方向を「見せる」 | 避難経路を「照らす」(床面照度) |
| 点灯 | 原則 常時点灯 | 停電時に点灯 |
| 電源時間 | 20分以上(大規模は60分以上) | 30分以上 |
| 明るさ | 表示面の輝度で規定 | 床面1lx以上(LED器具は2lx以上) |
🐧 ペン太: なるほど!誘導灯は「どこが出口か見せる」、非常照明は「足元を照らす」なんですね。
🦔 ハリタ先生: その通り⚡ だから両方セットで避難計画を立てる。誘導灯だけ・非常照明だけでは避難の安全は成り立たないんだ。
5. 誘導灯の非常電源
誘導灯には非常電源が必要で、停電しても点灯し続けられる容量が求められます。作動時間の目安は20分間以上、ただし延べ面積5万㎡以上の地下街など大規模な場合は60分間以上です。多くは器具内蔵の予備電源(バッテリー)で対応します。
非常電源の全体像(自家発電・蓄電池・専用受電の使い分け)は別記事で解説しています。避難系は器具内蔵の予備電源で対応するのが基本、という点もそちらでどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. 誘導灯と非常照明はどちらか一方でいい?
いいえ。目的が異なる別々の設備で、原則両方必要です(誘導灯=消防法、非常照明=建築基準法)。
Q. A級・B級・C級はどう決まる?
表示面の大きさによる区分で、有効範囲(見える距離)が変わります。避難口までの距離や空間の規模で選定します。
Q. 誘導灯を省略できる場合は?
避難口を容易に見通せて歩行距離が短い小規模な場合など、条件を満たせば省略できることがあります。所轄消防で要確認です。
Q. 非常電源はどれくらいもてばいい?
原則20分以上、大規模な地下街等は60分以上です。
まとめ
- 誘導灯は避難口・通路・客席の3種類(+誘導標識)。
- 区分はA>B>C級で、表示面が大きいほど有効範囲が広い。
- 原則ほぼ全ての避難口・通路が対象。見通せる小規模は省略できる場合も。
- 誘導灯(消防法)と非常照明(建築基準法)は別物。目的・根拠法・電源時間が違う。
- 非常電源は20分以上(大規模は60分以上)。
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※ 本記事の数値(有効範囲・作動時間・免除条件等)は概要です。実際の適用は用途・構造・地域の運用で異なるため、設計時は最新の消防法令と所轄消防でご確認ください。なお設置場所・照度・有効範囲はPanasonic「P.L.A.M.」誘導灯設置基準の技術資料を参考に整理しています。





