技術図書館許容電流は電線の定員被覆が傷まない電流の上限、管にまとめると下がる理由、電流減少係数と7捨8入の計算この資料をスライドで見る資料一覧を見る
第二種電気工事士 合格カリキュラム学科② 配電理論と配線設計
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電線には、太さに応じて流してよい電流の上限が決まっています。これが許容電流です。同じ太さでも、電線管にまとめて入れると上限が下がる、というのがポイントです。この記事では、許容電流の考え方、まとめると下がる理由、IV線の許容電流、電流減少係数、計算の方法を、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

許容電流は被覆が傷まない電流の上限。IV線は1.6mmで27A、2.0mmで35A。電線管にまとめると熱がこもるので、電流減少係数(3本以下0.70・4本0.63・5〜6本0.56)をかけます。

  • 被覆の最高許容温度(IV線は60℃)を超えない限界が許容電流
  • 太い電線ほど許容電流は大きい
  • 同じ管に入れる本数が多いほど、係数は小さくなる
  • 試験の計算では小数点以下を7捨8入
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
電線に電流が流れると熱が出ること、被覆の最高許容温度がIV・VVFで60℃、HIVなどで75℃、CVで90℃であり、その温度を超えない限界の電流が許容電流であることを示した図
許容電流は、被覆が傷まない電流の上限です。

許容電流とは ― 電線の「定員」

電線に電流を流すと、導体の抵抗によって熱が出ます。電流を流しすぎると温度が上がり、まわりの絶縁被覆が傷んで、漏電や火災の原因になります。被覆には耐えられる温度の上限(最高許容温度)があり、その温度を超えない限界の電流が許容電流です。

たとえるならエレベーターの定員です。定員を超えて乗せると動けなくなるように、電線にも安全に流せる量の上限があります。

電線・ケーブル 最高許容温度
IV・VVF・VVR 60℃
HIV など 75℃
CV・CVT 90℃
一般的な値

耐熱性の高い電線ほど、同じ太さでも多くの電流を流せます。電線の種類は「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 電流を流すと電線は発熱する
  • 被覆の最高許容温度を超えない限界が許容電流
  • IV線は60℃、CVは90℃

まとめると下がる ― 熱がこもる

空気中の電線1本は熱が四方へ逃げるが、同じ電線管に4本入れると熱がこもるため、流せる電流を減らす必要があることを比べた動く図解
動く図解:まとめて入れると、熱の逃げ場がなくなります。

電線が1本だけなら、出た熱はまわりの空気へ逃げていきます。ところが、電線管の中に何本もまとめて入れると、おたがいの熱で温度が上がり、熱がこもってしまいます。たとえるなら満員電車です。人が多いほど、車内は暑くなりますよね。

そこで、電線管に入れるときは、本数に応じて許容電流を小さくします。このときにかける数を電流減少係数といいます。

ひっかけ注意
同じ太さなら、何本まとめても流せる電流は同じだと思っていました。
そこが落とし穴です。1本ずつは大丈夫でも、まとめると熱がこもります。だから、本数が増えるほど係数が小さくなるんですよ。
ここまでのポイント
  • 1本なら熱は空気へ逃げる
  • まとめると熱がこもる
  • 本数に応じて電流減少係数をかける

IV線の許容電流 ― 太いほど大きい

IV線(600Vビニル絶縁電線)の許容電流の表。単線1.6mmが27A、2.0mmが35A、2.6mmが48A、3.2mmが62A、より線2mm²が27A、3.5mm²が37A、5.5mm²が49A、8mm²が61A、14mm²が88A、22mm²が115A
IV線の許容電流(周囲温度30℃以下)。

電線は太いほど抵抗が小さく、熱が出にくいので、許容電流は大きくなります。IV線の許容電流は次のとおりです。

単線(直径) 許容電流 より線(断面積) 許容電流
1.6mm 27A 2mm² 27A
2.0mm 35A 3.5mm² 37A
2.6mm 48A 5.5mm² 49A
3.2mm 62A 8mm² 61A
電気設備技術基準の解釈をもとに作成(600Vビニル絶縁電線・周囲温度30℃以下)

単線は直径(mm)、より線は断面積(mm²)で太さを表します。単線1.6mmとより線2mm²は、どちらも27Aです。

ここまでのポイント
  • 単線1.6mm→27A、2.0mm→35A、2.6mm→48A
  • より線2mm²→27A、3.5mm²→37A、5.5mm²→49A
  • 単線は直径、より線は断面積で表す


電流減少係数 ― 本数で決まる

同じ電線管に入れる電線の本数ごとの電流減少係数として、3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49を示した図
本数が増えるほど、係数は小さくなります。
同じ管に入れる本数 電流減少係数
3本以下 0.70
4本 0.63
5〜6本 0.56
7〜15本 0.49
電気設備技術基準の解釈をもとに作成

📘 ケーブルも同じ考え方

VVFケーブルなどのケーブルは、中の心線の数を本数として考えます。3心以下なら0.70なので、VVF1.6mmは27×0.70=18.9→19A、VVF2.0mmは35×0.70=24.5→24Aです。

ここまでのポイント
  • 3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49
  • 許容電流×係数=管に入れたときの許容電流
  • ケーブルは心線の数で考える

計算の方法 ― 表・係数・7捨8入

2.0mmのIV線4本を同じ管に入れる場合の計算手順として、表から35A、4本なので係数0.63、35×0.63=22.05A、7捨8入で22Aになる流れを示した動く図解
動く図解:4つのステップで答えが出ます。

計算は4つのステップです。①表から許容電流を読む、②本数から係数を選ぶ、③かけ算する、④端数を処理する。第二種電気工事士の試験では、小数点以下第1位を7捨8入(7以下は切り捨て、8以上は切り上げ)します。

📘 計算してみよう

2.0mmのIV線を4本、同じ電線管に入れたときの許容電流は?
35A × 0.63 = 22.05A → 小数点以下第1位は0なので切り捨て → 22A

ここまでのポイント
  • 表→係数→かけ算→端数処理の4ステップ
  • 試験では小数点以下第1位を7捨8入
  • 2.0mm×4本なら22A

よく使う値 ― 早見表

IV線の太さと本数ごとの許容電流の早見表。1.6mmは3本以下19A・4本17A・5〜6本15A、2.0mmは24A・22A・19A、2.6mmは33A・30A・27A
よく使う組み合わせは、覚えておくと便利です。

よく使う組み合わせは、早見表で覚えておくと便利です。許容電流は、電線を守る過電流遮断器の選び方にもつながります。続きは「電気設備の基本知識 #015【過電流遮断器】」、分岐回路での使い方は「電気設備の基本知識 #018【分岐回路の設計】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 1.6mm:19A・17A・15A(3本以下・4本・5〜6本)
  • 2.0mm:24A・22A・19A
  • 2.6mm:33A・30A・27A


よくある質問

なぜ電線に許容電流が決められているのですか?

電流を流すと電線が発熱し、流しすぎると絶縁被覆が傷んで漏電や火災の原因になるためです。被覆の最高許容温度(IV線なら60℃)を超えない限界の電流が許容電流です。

IV線の許容電流はどれくらいですか?

周囲温度30℃以下で、単線1.6mmが27A、2.0mmが35A、2.6mmが48A、より線2mm²が27A、3.5mm²が37A、5.5mm²が49Aです。

電線管に何本も入れると許容電流はどうなりますか?

熱がこもるため、許容電流に電流減少係数をかけて小さくします。係数は3本以下で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56、7〜15本で0.49です。

「7捨8入」とは何ですか?

第二種電気工事士の試験で使う端数の処理で、係数をかけたあとの値の小数点以下第1位が7以下なら切り捨て、8以上なら切り上げます。たとえば35×0.63=22.05は22A、27×0.70=18.9は19Aです。

VVFケーブルの許容電流はどう考えますか?

VVFケーブルなどのケーブルは、中の心線の数を電線の本数として考え、電流減少係数をかけます。3心以下なら0.70なので、VVF1.6mmは27×0.70で19A、VVF2.0mmは35×0.70で24Aです。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。