電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】
電線には、太さに応じて流してよい電流の上限が決まっています。これが許容電流です。同じ太さでも、電線管にまとめて入れると上限が下がる、というのがポイントです。この記事では、許容電流の考え方、まとめると下がる理由、IV線の許容電流、電流減少係数、計算の方法を、図とたとえで1つずつ解説します。
結論
許容電流は被覆が傷まない電流の上限。IV線は1.6mmで27A、2.0mmで35A。電線管にまとめると熱がこもるので、電流減少係数(3本以下0.70・4本0.63・5〜6本0.56)をかけます。
- 被覆の最高許容温度(IV線は60℃)を超えない限界が許容電流
- 太い電線ほど許容電流は大きい
- 同じ管に入れる本数が多いほど、係数は小さくなる
- 試験の計算では小数点以下を7捨8入
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許容電流とは ― 電線の「定員」
電線に電流を流すと、導体の抵抗によって熱が出ます。電流を流しすぎると温度が上がり、まわりの絶縁被覆が傷んで、漏電や火災の原因になります。被覆には耐えられる温度の上限(最高許容温度)があり、その温度を超えない限界の電流が許容電流です。
たとえるならエレベーターの定員です。定員を超えて乗せると動けなくなるように、電線にも安全に流せる量の上限があります。
| 電線・ケーブル | 最高許容温度 |
|---|---|
| IV・VVF・VVR | 60℃ |
| HIV など | 75℃ |
| CV・CVT | 90℃ |
耐熱性の高い電線ほど、同じ太さでも多くの電流を流せます。電線の種類は「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」で解説しています。
- 電流を流すと電線は発熱する
- 被覆の最高許容温度を超えない限界が許容電流
- IV線は60℃、CVは90℃
まとめると下がる ― 熱がこもる
電線が1本だけなら、出た熱はまわりの空気へ逃げていきます。ところが、電線管の中に何本もまとめて入れると、おたがいの熱で温度が上がり、熱がこもってしまいます。たとえるなら満員電車です。人が多いほど、車内は暑くなりますよね。
そこで、電線管に入れるときは、本数に応じて許容電流を小さくします。このときにかける数を電流減少係数といいます。
- 1本なら熱は空気へ逃げる
- まとめると熱がこもる
- 本数に応じて電流減少係数をかける
IV線の許容電流 ― 太いほど大きい
電線は太いほど抵抗が小さく、熱が出にくいので、許容電流は大きくなります。IV線の許容電流は次のとおりです。
| 単線(直径) | 許容電流 | より線(断面積) | 許容電流 |
|---|---|---|---|
| 1.6mm | 27A | 2mm² | 27A |
| 2.0mm | 35A | 3.5mm² | 37A |
| 2.6mm | 48A | 5.5mm² | 49A |
| 3.2mm | 62A | 8mm² | 61A |
単線は直径(mm)、より線は断面積(mm²)で太さを表します。単線1.6mmとより線2mm²は、どちらも27Aです。
- 単線1.6mm→27A、2.0mm→35A、2.6mm→48A
- より線2mm²→27A、3.5mm²→37A、5.5mm²→49A
- 単線は直径、より線は断面積で表す
電流減少係数 ― 本数で決まる
| 同じ管に入れる本数 | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5〜6本 | 0.56 |
| 7〜15本 | 0.49 |
📘 ケーブルも同じ考え方
VVFケーブルなどのケーブルは、中の心線の数を本数として考えます。3心以下なら0.70なので、VVF1.6mmは27×0.70=18.9→19A、VVF2.0mmは35×0.70=24.5→24Aです。
- 3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49
- 許容電流×係数=管に入れたときの許容電流
- ケーブルは心線の数で考える
計算の方法 ― 表・係数・7捨8入
計算は4つのステップです。①表から許容電流を読む、②本数から係数を選ぶ、③かけ算する、④端数を処理する。第二種電気工事士の試験では、小数点以下第1位を7捨8入(7以下は切り捨て、8以上は切り上げ)します。
📘 計算してみよう
2.0mmのIV線を4本、同じ電線管に入れたときの許容電流は?
35A × 0.63 = 22.05A → 小数点以下第1位は0なので切り捨て → 22A
- 表→係数→かけ算→端数処理の4ステップ
- 試験では小数点以下第1位を7捨8入
- 2.0mm×4本なら22A
よく使う値 ― 早見表
よく使う組み合わせは、早見表で覚えておくと便利です。許容電流は、電線を守る過電流遮断器の選び方にもつながります。続きは「電気設備の基本知識 #015【過電流遮断器】」、分岐回路での使い方は「電気設備の基本知識 #018【分岐回路の設計】」で解説しています。
- 1.6mm:19A・17A・15A(3本以下・4本・5〜6本)
- 2.0mm:24A・22A・19A
- 2.6mm:33A・30A・27A
よくある質問
なぜ電線に許容電流が決められているのですか?
電流を流すと電線が発熱し、流しすぎると絶縁被覆が傷んで漏電や火災の原因になるためです。被覆の最高許容温度(IV線なら60℃)を超えない限界の電流が許容電流です。
IV線の許容電流はどれくらいですか?
周囲温度30℃以下で、単線1.6mmが27A、2.0mmが35A、2.6mmが48A、より線2mm²が27A、3.5mm²が37A、5.5mm²が49Aです。
電線管に何本も入れると許容電流はどうなりますか?
熱がこもるため、許容電流に電流減少係数をかけて小さくします。係数は3本以下で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56、7〜15本で0.49です。
「7捨8入」とは何ですか?
第二種電気工事士の試験で使う端数の処理で、係数をかけたあとの値の小数点以下第1位が7以下なら切り捨て、8以上なら切り上げます。たとえば35×0.63=22.05は22A、27×0.70=18.9は19Aです。
VVFケーブルの許容電流はどう考えますか?
VVFケーブルなどのケーブルは、中の心線の数を電線の本数として考え、電流減少係数をかけます。3心以下なら0.70なので、VVF1.6mmは27×0.70で19A、VVF2.0mmは35×0.70で24Aです。
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