電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】
この連載の最終回は、「電気設備の基本知識 #013【電気設備技術基準の規定】」でも触れた住宅の屋内電路の対地電圧の制限です。住宅は対地電圧150V以下が原則ですが、大きな機器のために300V以下にできる例外があります。この記事では、原則、200Vの機器と対地電圧の関係、例外の条件、施工イメージを、図とたとえで確認していきます。
結論
住宅の屋内電路は対地電圧150V以下が原則。単相3線式の200Vは対地100Vなので原則に収まります。2kW以上の機器なら、専用配線・直接接続・専用の開閉器と遮断器・漏電遮断器などの条件で300V以下にできます。
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原則 ― 対地電圧150V以下
住宅の屋内電路の対地電圧は、原則として150V以下です。住宅は人が長い時間くらす場所で、電気の知識がない人や子どもも電気を使います。感電したときに体にかかるのは対地電圧なので、それを低く抑えています。
たとえるなら家の中の階段の手すりです。毎日だれもが使う場所だからこそ、安全の基準を一段高くしています。対地電圧の考え方は「電気設備の基本知識 #013【電気設備技術基準の規定】」で解説しています。
- 住宅の屋内電路は対地電圧150V以下
- 感電したとき体にかかるのは対地電圧
- くらしの場は低く抑える
200Vと対地電圧 ― 線間で判断しない
「200Vの機器を住宅で使うなら例外が必要」と思いがちですが、そうとは限りません。住宅で一般的な単相3線式は中性線を接地しているので、電圧線どうしの線間は200Vでも、対地電圧は100Vです。IHクッキングヒーターやエアコンを単相200Vで使っても、原則の150V以下に収まります。
例外の条件が必要になるのは、三相200Vの機器のように、対地電圧が150Vを超える場合です。
ペン太
ハリタ- 単相3線式の200Vは対地100V
- IH・エアコンの単相200Vは原則に収まる
- 三相200Vなど対地150V超で例外が必要
例外の条件 ― 6つそろえば300V以下
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 機器 | 定格消費電力2kW以上の電気機械器具 |
| 専用の屋内配線 | その機器だけに電気を送る。対地電圧は300V以下 |
| 簡易接触防護措置 | 屋内配線と機器に施す |
| 直接接続 | 機器は屋内配線と直接接続する(コンセントを使わない) |
| 開閉器・過電流遮断器 | 専用の開閉器と過電流遮断器を設ける |
| 漏電遮断器 | 電路に漏電遮断器を設ける(二次300V以下の絶縁変圧器で負荷側を非接地にする場合などを除く) |
コンセントを使わないのは、ほかの機器を差し込めないようにするためです。専用の配線と直接接続で、その機器以外に高い対地電圧がかからないようにしています。漏電遮断器の決まりは「電気設備の基本知識 #034【漏電遮断器の施設と省略】」で解説しています。
- 2kW以上の機器の専用配線
- 直接接続・簡易接触防護措置
- 専用の開閉器・遮断器と漏電遮断器
施工イメージ ― 専用回路を引く
分電盤に専用の漏電遮断器と開閉器を設け、その機器だけのための配線を引いて、コンセントを使わずに直接つなぎます。配線は人が簡単に触れないように施設します。
- 分電盤に専用の漏電遮断器・開閉器
- その機器だけの専用配線
- コンセントを使わず直接接続
規定の全体像 ― 5つの視点
原則と例外を分け、例外の条件を「配線」「開閉器・遮断器」「守る」の3つに整理すると覚えやすくなります。
- 原則150V、例外300V
- 例外は2kW以上の機器だけ
- 条件は配線・開閉器・守るの3グループ
押さえる要点 ― 6つのルール
これで「電気設備の基本知識」全35回はおしまいです。最初から読み返すなら「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」からどうぞ。
- 住宅は対地電圧150V以下
- 単相3線式の200Vは対地100V
- 2kW以上の機器は条件つきで300V以下
よくある質問
住宅の屋内電路の対地電圧は?
原則として150V以下です。住宅で一般的な単相3線式は、100Vも200Vも対地電圧は100Vなので、この原則に収まります。
対地電圧300V以下にできる例外は?
定格消費電力2kW以上の電気機械器具と、それだけに電気を送る屋内配線は、条件をそろえれば対地電圧300V以下にできます。
例外の条件は?
その機器だけに電気を送る専用の屋内配線とする、屋内配線と機器に簡易接触防護措置をする、機器は屋内配線と直接接続する(コンセントを使わない)、専用の開閉器と過電流遮断器を設ける、電路に漏電遮断器を設ける、などです。
200VのIHクッキングヒーターやエアコンは、例外の条件が必要ですか?
単相3線式の200Vで使う場合、対地電圧は100Vなので、この例外の対象ではありません。例外が必要になるのは、三相200Vの機器のように対地電圧が150Vを超える場合です。
なぜ住宅だけ対地電圧が制限されているのですか?
住宅は人が長い時間くらす場所で、電気の知識がない人や子どもも電気を使います。感電したときに体にかかるのは対地電圧なので、それを低く抑えて危険を小さくしています。
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