【新人講座 第5回】電気図記号の読み方 ― 頻出8記号と「添字」で配置図が文章になる
前回、配置図は「場所を答える図」だと分かりました。でも開いてみると、丸や黒丸、線だらけ…。今日はその図面の“文字”=図記号を覚えます。頻出の記号さえ押さえれば、配置図の9割は読めるようになります。
まずは頻出8記号から
はりたさん、配置図を開いたんですけど、丸とか黒丸とか記号だらけで暗号にしか見えません…。これ、全部覚えるんですか?
安心して。よく出る記号は実はひと握り。まずは図①の8つだけ覚えよう。これで配置図の大半は読めるようになるよ。

- 照明:丸=シーリングライト、細長=ベースライト(蛍光灯形)。
- コンセント:丸+2本線。添字が仕様を表す(「2」=2口、「E」=アース付、「WP」=防水)。
- スイッチ:黒丸。「3」が付けば3路スイッチ(階段など2か所で操作)。
- 盤・換気:半分塗りの四角=分電盤、羽根マーク=換気扇。
記号が読めると、図面が「文章」になる
お、たしかにこの8つなら覚えられそう…。でも記号を覚えたら、図面が読めるようになるんですか?
なるよ。図②を見て。ひとつの部屋を記号で追っていくと、図面がまるで文章みたいに読めるから。特に注目してほしいのが、スイッチと照明を結ぶ点線だよ。

図②を文章にすると――「部屋の中央にシーリングライト。ドア横の片切スイッチで操作(点線でひも付け)。壁に2口コンセント、水回り側はアース付き。外壁に換気扇」。記号+添字+線の3点セットが読めれば、初めての図面でも部屋の電気設備を説明できます。
ほんとだ、文章になった…!点線がスイッチと照明の“ひも付け”っていうのは知りませんでした。
この線が読めると「このスイッチはどこの照明?」という現場の質問に答えられる。あと大事なのが凡例(はんれい)。図面の最初にある記号の一覧表のことで、迷ったら必ず凡例に戻る。これが図面読みの鉄則だよ。
💼 この回が実務でこう生きる
- 配置図を独力で読める → 図面チェック・現場対応のスピードが上がる。
- 拾い出し(数量拾い)で器具を数え間違えない。添字(E・WP・口数)で仕様まで正確に拾える。
- 「このスイッチはどの照明?」に点線のひも付けで答えられる。
📋 実務活用事例|見積の「拾い出し」は記号読みが勝負
ケース:見積のため、配置図から器具を数える「拾い出し」を任された。
記号があいまいな新人:シーリングとダウンライトを混同して照明を数え間違い。コンセントも「個数」だけ数えて、アース付や防水の区別を落とす → 見積が合わない・材料の手配ミス。
記号が読める新人:照明24台(シーリング8・ベースライト16)、コンセント36個(うちE付き6・WP防水2)と、数量+仕様まで正確に拾い、器具表と突き合わせて検算。差異が出た2か所を発見して先輩に報告。
結論:拾い出しの精度=見積の精度。記号と添字が読めることが、そのままお金の精度につながります。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。
Q.照明の「丸」とコンセントの「丸」、見分けがつかなくなりませんか?
→ コンセントには斜めの2本線が付き、照明には付きません。それでも迷ったら凡例へ。最初はみんな混同するので大丈夫。
Q.記号の大きさに意味はありますか?
→ 基本的にありません(見やすさ優先)。情報は大きさではなく「形」と「添字」に詰まっています。
🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう
Q.図記号って、結局ぜんぶ暗記しなきゃダメですか?
A.全部は不要!記号はJIS(C 0303)で決まっているけど、頻出の20個くらいで実務の9割はカバーできる。残りは図面の最初にある凡例(記号一覧表)を引けばOK。「凡例に戻る」習慣の方が暗記より大事だよ。
Q.コンセントの「E」と「ET」って何が違うんですか?
A.E=接地極付(アース線を差せる穴がある)、ET=接地端子付(ネジ式の端子)。洗濯機・冷蔵庫・電子レンジなど水回りや大型家電はE付きが基本。ちなみに「EET」なら両方付き。銘板ならぬ添字に仕様が全部詰まってるんだ。
Q.3路スイッチの「3路」ってどういう意味ですか?
A.スイッチの中の接点の数(電線をつなぐ端子が3つ)から来た呼び名。階段の上下や廊下の両端など、2か所から同じ照明をON/OFFしたいときに使う。ちなみに3か所以上で操作するときは真ん中に「4路スイッチ」が入るよ。
⚠️ ここだけ注意
図記号はJISが基本ですが、会社・CADの標準で形が少し違うことがよくあります。この記事の記号も「代表的な描き方」。実案件では必ずその図面の凡例を正とすること。凡例と違う記号を見つけたら、それは質問のチャンスです。
まとめ
- 図記号は図面の“文字”。頻出8記号で配置図の大半が読める(図①)。
- 添字が仕様:2=口数、E=アース付、WP=防水、3=3路。
- 点線=スイッチと照明のひも付け。記号+添字+線で図面が文章になる(図②)。
- 迷ったら凡例(記号一覧表)に戻るのが鉄則。
- 記号読みの精度は、拾い出し=見積の精度に直結する。
▶ 次回・第6回
単線結線図の読み方・書き方の第一歩
受電から盤、負荷までを「1本の線」で表す考え方を、実例でたどります。第2部のクライマックス!





