新人の学習ルート 3. 図面を読めるようにする
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技術図書館単線結線図は川の流れで読む受電点から負荷まで5つの駅、5ステップの描き方、停電範囲を上流にたどって答えるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
動く図解この記事のポイントを動く図解にまとめました(①単線 → ②川の流れ → ③停電範囲 → ④描き方・くり返し再生)。ジャンル「図面の読み方・描き方」で見る →
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今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

第2部の締めくくりは、電気設計の主役級の図面「単線結線図」。読めるようになるだけでなく、今日は自分の手で1枚描けるところまで行きます。ここを越えると、設計の景色が一気に変わりますよ。

ペン太ペン太
単線結線図を渡されると固まってしまいます。どこから読めばいいんですか?
ハリタハリタ
川の流れです。受電点→主幹→母線→分岐→負荷と、電源から5つの駅を順にたどれば怖くありません。

この記事で押さえる3つのこと

  • 単線結線図は電源(上流)から負荷(下流)へ読む
  • 母線の実物は、盤の中の銅バー(ブスバー)
  • 「3階だけ停電できる?」は、3階の盤から上流へさかのぼって答える
この記事の内容を、ツールで計算する分電盤 単線結線図 作成ツール回路を入れると、単線結線図と相別集計が自動で出ます
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読み方:電源から負荷へ、「川の流れ」でたどる

受電点 電気の入口。
主幹 盤ぜんぶの親。
母線 分岐へ配る共通レール。
分岐→負荷 回路ごとに負荷へ。
たとえるなら
単線結線図は、電車の路線図
路線図には、線路が何本あるかは描かれていませんが、どの駅からどの駅へつながっているかはひと目で分かります。単線結線図も、電線が何本あっても1本の線で描き、受電点から負荷までどうつながっているかをつかむための図です。
ここに注意!
「単線結線図は、どこから読んでもよい」ではありません。
電源(上流)から負荷(下流)へ、受電点→主幹→母線→分岐→負荷の順にたどります。流れの向きに沿って読むと、どのブレーカーを切るとどこが止まるかが分かります。
ペンタ
ペンタ(新人)
はりたさん、記号は覚えたんですけど、単線結線図ってどこから読み始めればいいんですか?線がいっぱいで目が泳ぎます…。
はりた
はりた(先輩)
コツはひとつだけ。「川の流れ」だと思って、電源(上流)から負荷(下流)へたどること。図①を見て。上から順に、受電点→主幹→母線→分岐→負荷。この5つの“駅”を通るだけなんだ。
図1 単線結線図の読み方:受電点→主幹ブレーカー→母線→分岐ブレーカー→負荷の順に光る
図① 川の流れで読む単線結線図 ― 受電点から負荷まで5つの“駅”
  • ① 受電点(引込):電気の入口。電源方式(1φ3W 100/200Vなど)もここに書かれる。
  • ② 主幹ブレーカー:盤ぜんぶの親。ここが落ちると盤全体が停電。
  • ③ 母線(ぼせん):主幹から受けて各分岐へ配る“共通レール”。
  • ④ 分岐ブレーカー:回路ごとの子ブレーカー(20Aなど)。
  • ⑤ 負荷:照明・コンセント・エアコン。ここまでが1系統。
ペンタ
ペンタ(新人)
あ、第0回からずっと出てきてる「受電から末端まで」の流れが、そのまま図になってるんですね!
はりた
はりた(先輩)
その通り!だから単線結線図が読めると、「どのブレーカーを切ると、どこが停電するか」が図面から分かる。これが実務でめちゃくちゃ効くんだ。線に添えてある「20A」やケーブルの表記(CV5.5sq-3Cなど)も、慣れてきたら読んでいこう。
“駅” 役割 図面での見え方・ひとこと
① 受電点(引込) 電気の入口 電源方式(1φ3W 100/200Vなど)もここに書かれる
② 主幹ブレーカー 盤ぜんぶの親 ここが落ちると盤全体が停電
③ 母線(ぼせん) 主幹から受けて各分岐へ配る共通レール 図面では太めの横線。実物は盤の中の銅バー(ブスバー)
④ 分岐ブレーカー 回路ごとの子ブレーカー 線に「20A」などの定格が添えられる
⑤ 負荷 照明・コンセント・エアコン ここまでが1系統
ここまでのポイント
  • 読むコツはひとつ、電源(上流)から負荷(下流)へたどる
  • 通るのは受電点→主幹→母線→分岐→負荷の5つの“駅”だけ
  • 読めると「どのブレーカーを切ると、どこが停電するか」が図面から分かる


書き方:5ステップで、まず1枚描いてみる

箱・引込 盤と電源方式。
主幹 定格を添える。
母線と分岐 回路の数だけ。
回路名 どこへ行く回路か。
ペンタ
ペンタ(新人)
読み方は分かってきました。でも「描ける」ようになるには、何から始めれば…?
はりた
はりた(先輩)
実は手順は決まってるんだ。図②の5ステップ。箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名。この順で描けば、分電盤1面ぶんの単線結線図が完成するよ。
図② 5ステップの作図手順 ― 回路名まで書けたら立派な単線結線図
ペンタ
ペンタ(新人)
えっ、これなら僕にも描けそう…!最後の「回路名」って大事なんですか?
はりた
はりた(先輩)
超大事!回路名(どこへ行く回路か)が書いてない結線図は、地図のない路線図みたいなもの。「1F照明」「給湯室」まで書いて、初めて現場で使える図になる。今日家に帰ったら、自宅の分電盤を見て1枚描いてみて。それが最高の練習だよ。

💼 この回が実務でこう生きる

  • 停電範囲の特定ができる(このブレーカーを切ると、どこが止まるか)。
  • 改修・増設の検討で系統への影響を図面から判断できる。
  • 受変電・幹線の設計協議に参加できる(第2部卒業!)。
ペン太ペン太
停電範囲を聞かれたら、現場で盤を開けて確かめるしかないですよね?
ハリタハリタ
結線図で答えられます。止めたい負荷から川を上流にさかのぼれば、切るべきブレーカーが特定できます。
ここまでのポイント
  • 作図は箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名の5ステップ
  • 回路名(どこへ行く回路か)が書いてない結線図は、地図のない路線図
  • 「1F照明」「給湯室」まで書いて、初めて現場で使える図になる

📋 実務活用事例|「3階だけ停電できる?」に結線図で答える

探す 3階の盤L-3。
さかのぼる 幹線ブレーカーを特定。
共用 ほかの盤がないか。
例外 非常灯などを確かめる。
たとえるなら
停電範囲は、川の水門を上流で閉めること
川のある地点で水門を閉めると、そこより下流だけ水が止まり、ほかの支流には流れ続けます。止めたい盤から川を上流へさかのぼり、ほかの盤と分かれる手前のブレーカーを切れば、そこから下だけを停電にできます。
ここに注意!
「3階だけ止めるには、主幹を切るしかない」ではありません。
3階の盤から上流へさかのぼり、3階専用の幹線ブレーカーがあれば、それを切れば3階だけを止められます。同じ幹線にほかの盤がつながっていないかと、非常灯などの系統は先に確かめます。

ケース:テナント改修で「日曜午前だけ、3階だけを停電にして作業したい。他フロアは営業中なので止められない」と相談された。

① 単線結線図で3階の盤(L-3)を探し、その上流をたどる → 幹線ブレーカー「3F系統 100A」を特定。

② 同じ幹線に他フロアの盤がぶら下がっていないかを確認 → L-3専用の幹線と判明。

③ 回答:「幹線ブレーカーを切れば3階だけ停電にできます。ただしL-3から給電している廊下の非常灯系統だけ別途確認します」。

結論:停電計画は結線図の「川」を上流にさかのぼるだけで骨子が組める。これができる新人は、現場から間違いなく頼られます。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。

Q.ブレーカーはなんで「落ちる」って言うんですか?
→ 昔の開閉器はレバー式で、切れるとレバーが物理的に下へ落ちたから。今のブレーカーも操作レバーが下がるので、この言い方が残っています。

Q.家のブレーカーが落ちたら、すぐ上げていいんですか?
→ まず原因の見当をつけてから(使いすぎ?特定の家電?)。特に漏電ブレーカーが落ちたときは要注意で、何度も落ちるなら専門家に相談を。

場面 単線結線図から分かること
停電計画 止めたい負荷から川を上流にさかのぼれば、切るべきブレーカーが特定できる
改修・増設の検討 系統への影響を図面から判断できる
受変電・幹線の設計協議 系統の骨格が読めるので、協議に参加できる


🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

AF 器体の大きさ。
AT 実際に落ちる値。
CV5.5sq-3C 種類・太さ・本数。
単線と複線 系統か1本ずつか。
ここに注意!
「母線は、ほかと同じただの線」ではありません。
母線は、主幹から受けた電気を分岐ブレーカーへ配る共通レールで、実物は盤の中の銅バー(ブスバー)です。図面では太めの横線で描かれます。
ここに注意!
「50AF/30ATのブレーカーは、50Aで落ちる」ではありません。
AF(アンペアフレーム)は器体の大きさで、実際に落ちる電流値はAT(アンペアトリップ)の30Aです。選定やチェックで見るのは基本的にATです。

Q.ブレーカーの横の「50AF/30AT」って何ですか?

A.AF(アンペアフレーム)=器体の大きさ、AT(アンペアトリップ)=実際に落ちる電流値。「50AFの箱に30ATの中身」という意味。選定やチェックで見るのは基本的にATの方だよ。

Q.線に書いてある「CV5.5sq-3C」って暗号ですか?

A.ケーブルの仕様だよ。CV=ケーブルの種類、5.5sq=断面積5.5mm²、3C=心線3本。「何の線を・どの太さで・何本」が1行で分かる。サイズ選定(第12回)でじっくりやるから、今は“読める”だけでOK。

Q.母線ってただの線に見えますが、実物は何ですか?

A.盤の中の銅バー(ブスバー)のこと。主幹から受けた電気を分岐ブレーカーに配る“背骨”で、実物は銅の板。図面では太めの横線で描かれるよ。

Q.単線結線図と複線図は、何が違いますか?

A.単線結線図は、系統をつかむために電線が何本あっても1本の線で描く図です。複線図は、電線1本ずつの接続を描く図で、盤の製作や電気工事士の技能試験などで使います。

Q.単線結線図には、何を書き込めばよいですか?

A.電源方式(1φ3W 100/200Vなど)、主幹と分岐ブレーカーの定格(AF/AT)、ケーブルの種類と太さ、そして回路名です。回路名(どこへ行く回路か)まで書いて、はじめて現場で使える図になります。

💬 はりたから新人さんへ:今日の宿題はひとつ。自宅の分電盤のフタを開けて(触らず見るだけ!)、5ステップで単線結線図を1枚描いてみる。主幹の定格、回路の数、回路名シール——教材が全部そこにあります。
ここまでのポイント
  • AF=器体の大きさ、AT=実際に落ちる電流値。「50AFの箱に30ATの中身」
  • 選定やチェックで見るのは基本的にATのほう
  • 母線の実物は盤の中の銅バー(ブスバー)。図面では太めの横線で描かれる


⚠️ ここだけ注意

ここに注意!
「単線結線図を見れば、電線1本ずつの接続まで分かる」ではありません。
単線結線図は省略の約束事でできた図で、実際の電線の本数や結線は描かれていません。盤の製作や試験で1本ずつの接続が要るときは、複線図を使います。

単線結線図は「省略の約束事」でできた図です。実際の電線の本数や結線は描かれていません。電線1本単位の接続が必要なとき(盤の製作や試験の複線図)は、別の図面を使います。まず系統をつかむための道具、と割り切って使いこなしましょう。

ペン太ペン太
読み方は掴めました。書けるようになるには何から始めれば?
ハリタハリタ
5ステップでまず1枚。箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名の順で、分電盤1面分を描いてみましょう。

まとめ

結論。単線結線図は、上から下へ一方向に読むだけの図。線の多さに目を奪われず、5つの駅を順に押さえれば読めます。

この図でできること この図ではできないこと
系統をつかむ(受電点→主幹→母線→分岐→負荷) 電線1本単位の接続を追う
停電範囲を特定する(川を上流にさかのぼる) 実際の電線の本数や結線を確認する
改修・増設で系統への影響を判断する 盤の製作や試験に使う(複線図が必要)

読むときの3つ

  • 読み方は川の流れ:受電点→主幹→母線→分岐→負荷(図①)。
  • 主幹=盤の親、母線=共通レール、分岐=回路の子。
  • 停電範囲の特定は「川を上流にさかのぼる」だけ。

描くときの2つ

  • 書き方は5ステップ:箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名(図②)。
  • 回路名まで書いて、初めて現場で使える図になる。

今日の宿題はひとつ。自宅の分電盤のフタを開けて(触らず見るだけ)、5ステップで1枚描いてみてください。主幹の定格、回路の数、回路名シール——教材は全部そこにあります。

▶ 次回・第7回(第3部:建物に電気が届くまで)

受電から末端まで:電気の流れを1本でたどる
第3部スタート。引込→受変電→幹線→分電盤→コンセントまで、建物全体の「電気の流れ1枚図」を手に入れます。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。