【新人講座 第6回】単線結線図の読み方・書き方 ― 「川の流れ」と5ステップでもう怖くない

第2部の締めくくりは、電気設計の主役級の図面「単線結線図」。読めるようになるだけでなく、今日は自分の手で1枚描けるところまで行きます。ここを越えると、設計の景色が一気に変わりますよ。
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 単線結線図はどこから読み始めるのが正解か
- 母線は、盤の中では実際に何という部品か
- 「3階だけ停電できますか」と聞かれたとき、図面のどこをたどるか
- 受電点→主幹→母線→分岐→負荷の5つの“駅”
- 箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名の5ステップ
- 「3階だけ停電できる?」に結線図で答える実例
- 50AF/30AT・母線など、もう一歩の疑問
- 単線結線図で描かれないもの
- まとめ|停電範囲は川を上流にさかのぼる
読み方:電源から負荷へ、「川の流れ」でたどる
はりたさん、記号は覚えたんですけど、単線結線図ってどこから読み始めればいいんですか?線がいっぱいで目が泳ぎます…。
コツはひとつだけ。「川の流れ」だと思って、電源(上流)から負荷(下流)へたどること。図①を見て。上から順に、受電点→主幹→母線→分岐→負荷。この5つの“駅”を通るだけなんだ。

- ① 受電点(引込):電気の入口。電源方式(1φ3W 100/200Vなど)もここに書かれる。
- ② 主幹ブレーカー:盤ぜんぶの親。ここが落ちると盤全体が停電。
- ③ 母線(ぼせん):主幹から受けて各分岐へ配る“共通レール”。
- ④ 分岐ブレーカー:回路ごとの子ブレーカー(20Aなど)。
- ⑤ 負荷:照明・コンセント・エアコン。ここまでが1系統。
あ、第0回からずっと出てきてる「受電から末端まで」の流れが、そのまま図になってるんですね!
その通り!だから単線結線図が読めると、「どのブレーカーを切ると、どこが停電するか」が図面から分かる。これが実務でめちゃくちゃ効くんだ。線に添えてある「20A」やケーブルの表記(CV5.5sq-3Cなど)も、慣れてきたら読んでいこう。
| “駅” | 役割 | 図面での見え方・ひとこと |
|---|---|---|
| ① 受電点(引込) | 電気の入口 | 電源方式(1φ3W 100/200Vなど)もここに書かれる |
| ② 主幹ブレーカー | 盤ぜんぶの親 | ここが落ちると盤全体が停電 |
| ③ 母線(ぼせん) | 主幹から受けて各分岐へ配る共通レール | 図面では太めの横線。実物は盤の中の銅バー(ブスバー) |
| ④ 分岐ブレーカー | 回路ごとの子ブレーカー | 線に「20A」などの定格が添えられる |
| ⑤ 負荷 | 照明・コンセント・エアコン | ここまでが1系統 |
- 読むコツはひとつ、電源(上流)から負荷(下流)へたどる
- 通るのは受電点→主幹→母線→分岐→負荷の5つの“駅”だけ
- 読めると「どのブレーカーを切ると、どこが停電するか」が図面から分かる
書き方:5ステップで、まず1枚描いてみる
読み方は分かってきました。でも「描ける」ようになるには、何から始めれば…?
えっ、これなら僕にも描けそう…!最後の「回路名」って大事なんですか?
超大事!回路名(どこへ行く回路か)が書いてない結線図は、地図のない路線図みたいなもの。「1F照明」「給湯室」まで書いて、初めて現場で使える図になる。今日家に帰ったら、自宅の分電盤を見て1枚描いてみて。それが最高の練習だよ。
💼 この回が実務でこう生きる
- 停電範囲の特定ができる(このブレーカーを切ると、どこが止まるか)。
- 改修・増設の検討で系統への影響を図面から判断できる。
- 受変電・幹線の設計協議に参加できる(第2部卒業!)。
ペン太
ハリタ- 作図は箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名の5ステップ
- 回路名(どこへ行く回路か)が書いてない結線図は、地図のない路線図
- 「1F照明」「給湯室」まで書いて、初めて現場で使える図になる
📋 実務活用事例|「3階だけ停電できる?」に結線図で答える
ケース:テナント改修で「日曜午前だけ、3階だけを停電にして作業したい。他フロアは営業中なので止められない」と相談された。
① 単線結線図で3階の盤(L-3)を探し、その上流をたどる → 幹線ブレーカー「3F系統 100A」を特定。
② 同じ幹線に他フロアの盤がぶら下がっていないかを確認 → L-3専用の幹線と判明。
③ 回答:「幹線ブレーカーを切れば3階だけ停電にできます。ただしL-3から給電している廊下の非常灯系統だけ別途確認します」。
結論:停電計画は結線図の「川」を上流にさかのぼるだけで骨子が組める。これができる新人は、現場から間違いなく頼られます。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。
Q.ブレーカーはなんで「落ちる」って言うんですか?
→ 昔の開閉器はレバー式で、切れるとレバーが物理的に下へ落ちたから。今のブレーカーも操作レバーが下がるので、この言い方が残っています。
Q.家のブレーカーが落ちたら、すぐ上げていいんですか?
→ まず原因の見当をつけてから(使いすぎ?特定の家電?)。特に漏電ブレーカーが落ちたときは要注意で、何度も落ちるなら専門家に相談を。
| 場面 | 単線結線図から分かること |
|---|---|
| 停電計画 | 止めたい負荷から川を上流にさかのぼれば、切るべきブレーカーが特定できる |
| 改修・増設の検討 | 系統への影響を図面から判断できる |
| 受変電・幹線の設計協議 | 系統の骨格が読めるので、協議に参加できる |
🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう
Q.ブレーカーの横の「50AF/30AT」って何ですか?
A.AF(アンペアフレーム)=器体の大きさ、AT(アンペアトリップ)=実際に落ちる電流値。「50AFの箱に30ATの中身」という意味。選定やチェックで見るのは基本的にATの方だよ。
Q.線に書いてある「CV5.5sq-3C」って暗号ですか?
A.ケーブルの仕様だよ。CV=ケーブルの種類、5.5sq=断面積5.5mm²、3C=心線3本。「何の線を・どの太さで・何本」が1行で分かる。サイズ選定(第12回)でじっくりやるから、今は“読める”だけでOK。
Q.母線ってただの線に見えますが、実物は何ですか?
A.盤の中の銅バー(ブスバー)のこと。主幹から受けた電気を分岐ブレーカーに配る“背骨”で、実物は銅の板。図面では太めの横線で描かれるよ。
- AF=器体の大きさ、AT=実際に落ちる電流値。「50AFの箱に30ATの中身」
- 選定やチェックで見るのは基本的にATのほう
- 母線の実物は盤の中の銅バー(ブスバー)。図面では太めの横線で描かれる
⚠️ ここだけ注意
単線結線図は「省略の約束事」でできた図です。実際の電線の本数や結線は描かれていません。電線1本単位の接続が必要なとき(盤の製作や試験の複線図)は、別の図面を使います。まず系統をつかむための道具、と割り切って使いこなしましょう。
ペン太
ハリタ
まとめ
結論。単線結線図は、上から下へ一方向に読むだけの図。線の多さに目を奪われず、5つの駅を順に押さえれば読めます。
| この図でできること | この図ではできないこと |
|---|---|
| 系統をつかむ(受電点→主幹→母線→分岐→負荷) | 電線1本単位の接続を追う |
| 停電範囲を特定する(川を上流にさかのぼる) | 実際の電線の本数や結線を確認する |
| 改修・増設で系統への影響を判断する | 盤の製作や試験に使う(複線図が必要) |
読むときの3つ
- 読み方は川の流れ:受電点→主幹→母線→分岐→負荷(図①)。
- 主幹=盤の親、母線=共通レール、分岐=回路の子。
- 停電範囲の特定は「川を上流にさかのぼる」だけ。
描くときの2つ
- 書き方は5ステップ:箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名(図②)。
- 回路名まで書いて、初めて現場で使える図になる。
今日の宿題はひとつ。自宅の分電盤のフタを開けて(触らず見るだけ)、5ステップで1枚描いてみてください。主幹の定格、回路の数、回路名シール——教材は全部そこにあります。
▶ 次回・第7回(第3部:建物に電気が届くまで)
受電から末端まで:電気の流れを1本でたどる
第3部スタート。引込→受変電→幹線→分電盤→コンセントまで、建物全体の「電気の流れ1枚図」を手に入れます。
30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?
タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。
ご回答ありがとうございます!
よければ、あと3つだけ教えてください(任意・答えなくてもOK)
ありがとうございました。いただいた声は記事の改善に使わせていただきます。
この記事に関連する無料ツール
- 分電盤 単線結線図 作成ツール(セコサポ・ブラウザで無料)
