単線結線図の読み方・書き方の全体像
📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

第2部の締めくくりは、電気設計の主役級の図面単線結線図。読めるようになるだけでなく、今日は自分の手で1枚描けるところまで行きます。ここを越えると、設計の景色が一気に変わりますよ。

ペン太ペン太
単線結線図を渡されると固まってしまいます。どこから読めばいいんですか?
ハリタハリタ
川の流れです。受電点→主幹→母線→分岐→負荷と、電源から5つの駅を順にたどれば怖くありません。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 単線結線図はどこから読み始めるのが正解か
  • 母線は、盤の中では実際に何という部品か
  • 「3階だけ停電できますか」と聞かれたとき、図面のどこをたどる

読み方:電源から負荷へ、「川の流れ」でたどる

トピック1:読み方:電源から負荷へ、「川の流れ」でたどる
ペンタ
ペンタ(新人)
はりたさん、記号は覚えたんですけど、単線結線図ってどこから読み始めればいいんですか?線がいっぱいで目が泳ぎます…。
はりた
はりた(先輩)
コツはひとつだけ。「川の流れ」だと思って、電源(上流)から負荷(下流)へたどること。図①を見て。上から順に、受電点→主幹→母線→分岐→負荷。この5つの“駅”を通るだけなんだ。
図1 単線結線図の読み方:受電点→主幹ブレーカー→母線→分岐ブレーカー→負荷の順に光る
図① 川の流れで読む単線結線図 ― 受電点から負荷まで5つの“駅”
  • ① 受電点(引込):電気の入口。電源方式(1φ3W 100/200Vなど)もここに書かれる。
  • ② 主幹ブレーカー:盤ぜんぶの親。ここが落ちると盤全体が停電。
  • ③ 母線(ぼせん):主幹から受けて各分岐へ配る“共通レール”。
  • ④ 分岐ブレーカー:回路ごとの子ブレーカー(20Aなど)。
  • ⑤ 負荷:照明・コンセント・エアコン。ここまでが1系統。
ペンタ
ペンタ(新人)
あ、第0回からずっと出てきてる「受電から末端まで」の流れが、そのまま図になってるんですね!
はりた
はりた(先輩)
その通り!だから単線結線図が読めると、「どのブレーカーを切ると、どこが停電するか」が図面から分かる。これが実務でめちゃくちゃ効くんだ。線に添えてある「20A」やケーブルの表記(CV5.5sq-3Cなど)も、慣れてきたら読んでいこう。
“駅” 役割 図面での見え方・ひとこと
① 受電点(引込) 電気の入口 電源方式(1φ3W 100/200Vなど)もここに書かれる
② 主幹ブレーカー 盤ぜんぶの親 ここが落ちると盤全体が停電
③ 母線(ぼせん) 主幹から受けて各分岐へ配る共通レール 図面では太めの横線。実物は盤の中の銅バー(ブスバー)
④ 分岐ブレーカー 回路ごとの子ブレーカー 線に「20A」などの定格が添えられる
⑤ 負荷 照明・コンセント・エアコン ここまでが1系統
ここまでのポイント
  • 読むコツはひとつ、電源(上流)から負荷(下流)へたどる
  • 通るのは受電点→主幹→母線→分岐→負荷の5つの“駅”だけ
  • 読めると「どのブレーカーを切ると、どこが停電するか」が図面から分かる


書き方:5ステップで、まず1枚描いてみる

トピック2:書き方:5ステップで、まず1枚描いてみる
ペンタ
ペンタ(新人)
読み方は分かってきました。でも「描ける」ようになるには、何から始めれば…?
はりた
はりた(先輩)
実は手順は決まってるんだ。図②の5ステップ。箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名。この順で描けば、分電盤1面ぶんの単線結線図が完成するよ。
図② 5ステップの作図手順 ― 回路名まで書けたら立派な単線結線図
ペンタ
ペンタ(新人)
えっ、これなら僕にも描けそう…!最後の「回路名」って大事なんですか?
はりた
はりた(先輩)
超大事!回路名(どこへ行く回路か)が書いてない結線図は、地図のない路線図みたいなもの。「1F照明」「給湯室」まで書いて、初めて現場で使える図になる。今日家に帰ったら、自宅の分電盤を見て1枚描いてみて。それが最高の練習だよ。

💼 この回が実務でこう生きる

  • 停電範囲の特定ができる(このブレーカーを切ると、どこが止まるか)。
  • 改修・増設の検討で系統への影響を図面から判断できる。
  • 受変電・幹線設計協議に参加できる(第2部卒業!)。
ペン太ペン太
停電範囲を聞かれたら、現場で盤を開けて確かめるしかないですよね?
ハリタハリタ
結線図で答えられます。止めたい負荷から川を上流にさかのぼれば、切るべきブレーカーが特定できます。
ここまでのポイント
  • 作図は箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名の5ステップ
  • 回路名(どこへ行く回路か)が書いてない結線図は、地図のない路線図
  • 「1F照明」「給湯室」まで書いて、初めて現場で使える図になる

📋 実務活用事例|「3階だけ停電できる?」に結線図で答える

トピック3:実務活用事例|「3階だけ停電できる?」に答える

ケース:テナント改修で「日曜午前だけ、3階だけを停電にして作業したい。他フロアは営業中なので止められない」と相談された。

単線結線図で3階の盤(L-3)を探し、その上流をたどる → 幹線ブレーカー「3F系統 100A」を特定。

② 同じ幹線に他フロアの盤がぶら下がっていないかを確認 → L-3専用の幹線と判明。

③ 回答:「幹線ブレーカーを切れば3階だけ停電にできます。ただしL-3から給電している廊下の非常灯系統だけ別途確認します」。

結論:停電計画は結線図の「川」を上流にさかのぼるだけで骨子が組める。これができる新人は、現場から間違いなく頼られます。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。

Q.ブレーカーはなんで「落ちる」って言うんですか?
→ 昔の開閉器はレバー式で、切れるとレバーが物理的に下へ落ちたから。今のブレーカーも操作レバーが下がるので、この言い方が残っています。

Q.家のブレーカーが落ちたら、すぐ上げていいんですか?
→ まず原因の見当をつけてから(使いすぎ?特定の家電?)。特に漏電ブレーカーが落ちたときは要注意で、何度も落ちるなら専門家に相談を。

場面 単線結線図から分かること
停電計画 止めたい負荷から川を上流にさかのぼれば、切るべきブレーカーが特定できる
改修・増設の検討 系統への影響を図面から判断できる
受変電・幹線の設計協議 系統の骨格が読めるので、協議に参加できる


🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

トピック4:深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう

Q.ブレーカーの横の「50AF/30AT」って何ですか?

A.AF(アンペアフレーム)=器体の大きさAT(アンペアトリップ)=実際に落ちる電流値。「50AFの箱に30ATの中身」という意味。選定やチェックで見るのは基本的にATの方だよ。

Q.線に書いてある「CV5.5sq-3C」って暗号ですか?

A.ケーブルの仕様だよ。CV=ケーブルの種類、5.5sq=断面積5.5mm²、3C=心線3本。「何の線を・どの太さで・何本」が1行で分かる。サイズ選定(第12回)でじっくりやるから、今は“読める”だけでOK。

Q.母線ってただの線に見えますが、実物は何ですか?

A.盤の中の銅バー(ブスバー)のこと。主幹から受けた電気を分岐ブレーカーに配る“背骨”で、実物は銅の板。図面では太めの横線で描かれるよ。

💬 はりたから新人さんへ:今日の宿題はひとつ。自宅の分電盤のフタを開けて(触らず見るだけ!)、5ステップで単線結線図を1枚描いてみる。主幹の定格、回路の数、回路名シール——教材が全部そこにあります。
ここまでのポイント
  • AF=器体の大きさ、AT=実際に落ちる電流値。「50AFの箱に30ATの中身」
  • 選定やチェックで見るのは基本的にATのほう
  • 母線の実物は盤の中の銅バー(ブスバー)。図面では太めの横線で描かれる

⚠️ ここだけ注意

トピック5:ここだけ注意

単線結線図は「省略の約束事」でできた図です。実際の電線の本数や結線は描かれていません。電線1本単位の接続が必要なとき(盤の製作や試験の複線図)は、別の図面を使います。まず系統をつかむための道具、と割り切って使いこなしましょう。

ペン太ペン太
読み方は掴めました。書けるようになるには何から始めれば?
ハリタハリタ
5ステップでまず1枚。箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名の順で、分電盤1面分を描いてみましょう。


まとめ

トピック6:まとめ

結論。単線結線図は、上から下へ一方向に読むだけの図。線の多さに目を奪われず、5つの駅を順に押さえれば読めます。

この図でできること この図ではできないこと
系統をつかむ(受電点→主幹→母線→分岐→負荷) 電線1本単位の接続を追う
停電範囲を特定する(川を上流にさかのぼる) 実際の電線の本数や結線を確認する
改修・増設で系統への影響を判断する 盤の製作や試験に使う(複線図が必要)

読むときの3つ

  • 読み方は川の流れ:受電点→主幹→母線→分岐→負荷(図①)。
  • 主幹=盤の親、母線=共通レール、分岐=回路の子
  • 停電範囲の特定は「川を上流にさかのぼる」だけ。

描くときの2つ

  • 書き方は5ステップ:箱→引込→主幹→母線と分岐→回路名(図②)。
  • 回路名まで書いて、初めて現場で使える図になる。

今日の宿題はひとつ。自宅の分電盤のフタを開けて(触らず見るだけ)、5ステップで1枚描いてみてください。主幹の定格、回路の数、回路名シール——教材は全部そこにあります。

▶ 次回・第7回(第3部:建物に電気が届くまで)

受電から末端まで:電気の流れを1本でたどる
第3部スタート。引込→受変電→幹線→分電盤→コンセントまで、建物全体の「電気の流れ1枚図」を手に入れます。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。