【新人講座 第15回】接地(アース)のきほんと接地線サイズ ― 漏電時の“逃げ道”を設計する

こんにちは、HARITAの設計室です。第4部もいよいよ最終回——接地(アース)。施工実務編④で「打って・測って」を見ましたが、今回はその設計側。なぜ接地するのか、どのクラスを選ぶのかを片づけます。


ペン太
ハリタ漏電時の逃げ道 ― 接地の有無で運命が変わる



ペン太
ハリタ- アースは「余った電気を地面に捨てる線」ではなく、人を守る保険。普段は何も流れていない。
- 電流は流れやすい道を選ぶ。人体よりずっと抵抗の低い接地線を用意しておけば、漏れ電流の大部分はそっちへ行く。
- さらにその漏れをELCB(漏電ブレーカー・30mA)が検知して遮断する。接地とELCBは二人一組の防御。
接地の種類マップ ― A・B・C・D





| A種・C種・D種 | B種 | |
|---|---|---|
| 何に付けるか | 機器の外箱 | 変圧器の低圧側(電気の系統そのもの) |
| 守るもの | 機器と、それに触れる人 | 系統 |
| ねらい | 漏電したとき、人体より抵抗の低い逃げ道をつくる | 高圧と低圧が触れる混触が起きても、低圧側に高圧が乗り込まないようにする |
| 実務での頻度 | 大多数の機器はD種(100Ω以下、条件付き500Ω) | キュービクルまわりの上級編 |
| 接地抵抗 | 接地線サイズ | |
|---|---|---|
| 何を表すか | 大地への逃げやすさ | 漏電電流を流しきる電線の太さ |
| 決め方 | 種別ごとの規定値以下にする | 上流ブレーカーの定格から内線規程の表で選ぶ |
| 覚え方 | 大地との相性 | 線の体力 |
| 確かめ方 | 竣工時に接地抵抗を測定して合否判定 | 図面・計算書に選定根拠を残す |
- A種・C種・D種は機器の外箱に付ける機器接地。B種だけ毛色が違い、変圧器の低圧側=電気の系統そのものに接地する。
- B種のねらいは、キュービクルの中で高圧と低圧が触れてしまったとき(混触)に、低圧側へ高圧が乗り込む大惨事を防ぐこと。
- 機器を守るA・C・D、系統を守るB。まずはこの役割の違いを持ち帰る。
- 「接地抵抗」と「接地線サイズ」は別の話。接地抵抗=大地への逃げやすさ、接地線サイズ=漏電電流を流しきる電線の太さで、上流ブレーカーの定格から内線規程の表で選ぶ。
- 抵抗は大地との相性、サイズは線の体力。
💼 実務でこう生きる
- 機器リストに対して電圧区分 → 種別(D種/C種/A種)→ 規定値 → 接地線サイズを一覧化するのが接地設計の基本作業。
- ELCB付き回路はD種500Ω緩和の適用可否も記載する。
- この表があると、竣工時の接地抵抗測定の合否判定がそのままできる。
- 検査で「この機器の接地は?」と聞かれたら、種別の根拠(電圧区分)と測定値で答える。「D種です。ELCB付きなので500Ω以下適用、実測は85Ωです」まで言えれば、是正どころか信頼を獲得できる。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
- コンセントのアース穴の線は、E付コンセントのアース極 → 緑の接地線 → 盤の接地端子 → 接地幹線 → 接地端子箱 → 大地の接地極へとつながる。建物中のアースは最終的に大地へ集まる一本の系統。
- 水気のある場所は人体の抵抗が下がり、同じ漏電でも危険度が跳ね上がる。
- アースなしで漏電すると、外箱に触れた瞬間に感電。アースがあれば漏れ電流は接地線へ流れ、漏電ブレーカーが遮断する。「水回りほどアースが命綱」。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
- 接地抵抗は低いほど安全側だが、低くするにはコストがかかる。「規定値以下を、合理的なコストで」がエンジニアリング。ただし避雷や特殊な機器では意図的に低い値を狙うこともある。
- 接地の共用には条件がある。種別ごとに独立が原則の組み合わせ、条件を満たせば共用できる組み合わせが決まっており、雷対策(SPD)や弱電の機能接地が絡むとさらに設計判断が要る。
- 避雷針の接地は目的が違う仲間。今回のは感電保護の接地、避雷針は雷の大電流を大地へ流す接地、SPDは雷サージから機器を守る。どれも「大地に逃がす」仲間だが、設計の流儀が違う。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 接地線の色は緑(緑/黄)厳守:色の取り違えは点検者への裏切り。施工実務編④の再掲です。
- 「抵抗値」と「線サイズ」を混同しない:規定値クリアと線の太さ選定は別々のチェック項目。
- ELCB緩和(500Ω)の条件を確認せず適用しない:0.1秒…ではなく0.5秒以内動作のELCB設置が条件。根拠ごと計算書へ。
ペン太
ハリタ- 接地線の色は緑(緑/黄)厳守。色の取り違えは点検者への裏切り。
- 「抵抗値」と「線サイズ」を混同しない。規定値クリアと線の太さ選定は、別々のチェック項目。
- ELCB緩和(500Ω)の条件を確認せず適用しない。0.5秒以内動作のELCB設置が条件。根拠ごと計算書へ。
まとめ ― 今日の1枚
接地は、事故が起きない限り一生仕事をしない設備です。だからこそ、根拠を書いておかないと「効くはずだった」で終わります。
| 接地種別の判定表に書く列 | 中身 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 機器 | 機器リストの各機器 | — |
| 電圧区分 | その機器の電圧区分 | 種別判定の入口 |
| 種別 | D種/C種/A種 | 検査で聞かれたときの根拠になる |
| 規定値 | 種別ごとの規定値。ELCB付き回路はD種500Ω緩和(0.5秒以内動作が条件)の適用可否も | 竣工時の接地抵抗測定の合否判定にそのまま使える |
| 接地線サイズ | 上流ブレーカーの定格から内線規程の表で選定 | 抵抗値とは別のチェック項目 |
接地とは何か
- 接地は「人を守る保険」。普段は流れず、漏電時に人体より太い逃げ道になる。
- 接地+漏電ブレーカー(30mA)で二人一組の防御。
種別の考え方
- 種別は機器接地のA・C・D、系統接地のB。大多数の機器はD種100Ω(条件付き500Ω)。
設計で分けて考えること
- 接地抵抗(大地との相性)と接地線サイズ(線の体力)は別の話。どちらも根拠を計算書に。
接地の線は、平常時は何も語りません。語るのは、漏電した一瞬だけです。その一瞬に効かせるために、私たちは規定値と線の太さを別々に確かめ、根拠を計算書に残します。地味な作業に見えて、この回はいちばん人命に近い設計かもしれません。
これで第4部「設計計算の基礎」完結! 需要率→ケーブルサイズ→電圧降下→ブレーカー→接地と、容量設計のフルコースを駆け抜けました。次回からは第5部「法規・規程のきほん」。第16回は、これまで何度も出てきた「基準値の出どころ」——電気設備の法律の地図を広げます。お楽しみに!
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